交通事故の加害者向けの相談窓口5選|相談時のポイントや弁護士との面会方法も解説


交通事故の加害者が利用できる相談窓口は、被害者が利用できる窓口よりも少ないです。
そのため「事故後にどこに相談したらよいのかわからない」と悩んでいる方もいるかもしれません。
そこで本記事では、交通事故の加害者になった方を対象に、以下の内容について説明します。
- 交通事故の加害者になったときの相談先
- 加害者が交通事故について相談するときのポイント
- すでに逮捕されており被疑者になっている場合の相談方法 など
本記事を参考に、交通事故の加害者に適した相談窓口を見つけられるようになりましょう。
交通事故の加害者になったときの相談先5選
交通事故の加害者になったときの主な相談先は、以下のとおりです。
- ベンナビ交通事故
- 自分の契約している保険会社
- 弁護士会の法律相談センター
- 日弁連交通事故相談センター
- 都道府県の交通事故相談所
ここでは、交通事故の加害者からの相談を受け付けている窓口を紹介します。
1.ベンナビ交通事故|加害者支援が得意な法律事務所を効率よく探せる
ベンナビ交通事故では、交通事故の加害者の相談を受け付けている法律事務所を探せます。
交通事故(人身事故)の加害者は、民事責任のほか刑事責任や行政責任も問われる可能性があります。
そのため、交通事故の中でも「加害者側の支援が可能な弁護士」に相談することが重要となっています。
まずは最寄りの加害者側の支援が可能な法律事務所を探して、自身の事故について相談してみましょう。
2.自分が契約している保険会社|今後の流れや手続きなどを教えてもらえる
交通事故を起こしたときは、自分が契約している任意保険会社にも連絡しましょう。
任意保険会社に連絡した場合は、以下のようなサポートを受けることができます。
- 保険請求の手続きの流れなどを教えてもらえる
- 加害者に代わって被害者との示談を代行してもらえる など
保険会社の社名や連絡先がわからないときは、保険証券などを確認してください。
基本的には24時間365日体制で対応しており、いつでも相談することができます。
3.弁護士会の法律相談センター|地域によっては加害者からの相談を受け付けている
弁護士会の法律相談センターによっては、交通事故の加害者からの相談にも対応しています。
たとえば、大阪弁護士会では面談相談と電話相談に対応しており、最大5回まで相談に乗ってもらえます。
また、刑事事件に関する相談にも対応しており、逮捕・勾留などされたときの支援を受けることも可能です。
相談時間や相談方法などはそれぞれ異なるため、まずはお住まいの地域の弁護士会で詳細を確認してください。
4.日弁連交通事故相談センター|電話や窓口で弁護士と無料で相談することができる
日弁連交通事故相談センターでは、被害者だけでなく、加害者からの民事事件の法律相談に対応しています。
相談方法には電話相談(0120-078325)と対面相談の2種類があり、それぞれの特徴は以下のようになっています。
相談方法 | 受付時間 | 相談時間 |
---|---|---|
電話相談 | 平日10時00分~19時00分 | 1回あたり10分程度 |
対面相談 | 平日10時00分~12時00分 13時00分~17時00分 ※東京相談所の場合 |
1回あたり30分×5回まで |
なお、日弁連交通事故相談センターでは刑事事件や行政事件に関する相談には対応していないので注意しましょう。
詳しくは、日弁連交通事故相談センターの公式Webサイトを確認してください。
【参考】【公式】日弁連交通事故相談センター|弁護士が直接無料相談
5.都道府県の交通事故相談所|専門の相談員から交通事故のアドバイスが受けられる
都道府県や市区町村によっては、交通事故相談所が開設されています。
相談日時や相談方法は窓口によって異なり、たとえば、東京都の場合は以下のようになっています。
名称 | 東京都交通事故相談所 |
---|---|
相談日時 | 平日9時00分~17時00分 |
相談方法 | 電話相談・対面相談 |
連絡先 | 03-5320-7733 |
なお、交通事故相談所の相談相手は専門の相談員であり、弁護士ではない点に注意する必要があります。
まずはお住まいの地域の自治体にある交通事故相談所を探して、相談日時や相談方法などを確認してみましょう。
加害者が交通事故について相談するときの3つのポイント
加害者が交通事故について相談するときのポイントは以下のとおりです。
- できる限り弁護士に相談する
- 事故後なるべく早く相談する
- 嘘をつかずに正直に相談する
ここでは、加害者が交通事故について相談するときの3つのポイントについて説明します。
1.できる限り弁護士に相談する
交通事故の相談相手には、弁護士とそれ以外の相談員がいます。
このうち加害者が相談する場合は、以下のような理由から弁護士を選択するほうが望ましいです。
- 民事事件・刑事事件を問わず相談できるから
- 相談者の状況を踏まえてアドバイスがもらえるから
- 弁護士の支援が必要となったときにすぐ依頼ができるから など
このように弁護士であれば幅広いトラブルに対応でき、相談後の支援もしてくれるためおすすめです。
なお、保険会社は示談の代行はしてくれますが、刑事事件の支援はできないので弁護士に相談するべきでしょう。
2.事故後なるべく早く相談する
加害者の場合は、事故後できる限り早く相談するほうが望ましいです。
なぜなら、交通事故を起こすと以下のような犯罪が成立する可能性があるからです。
- 過失運転致死傷罪:7年以下の懲役、100万円以下の罰金
- 危険運転致死傷罪:けがの場合は15年以下の懲役、死亡の場合は1年以上の有期懲役
- 報告義務違反:3ヵ月以下の懲役、5万円以下の罰金
- 救護義務違反:10年以下の懲役、100万円以下の罰金
- 危険防止措置義務違反:10年以下の懲役、100万円以下の罰金
これらの犯罪が成立する可能性がある場合には、捜査機関に逮捕・勾留されるリスクがあります。
そのため、早めに弁護士などに相談しておき、適切なサポートを受けられるようにしておくことが重要です。
3.嘘をつかずに正直に相談する
弁護士などに相談するときは、嘘をつかずに正直に話すことが重要です。
仮に嘘を伝えたり、不利な情報を隠したりすると、専門家から適切なアドバイスを受けられなくなります。
また、刑事事件などに発展した際にあとから事実が判明して、不利になってしまうリスクが高まるでしょう。
弁護士などには守秘義務があり他人に知られる心配はありませんので、安心して正直に話すようにしてください。
【刑事事件】交通事故の加害者ですでに逮捕されている場合の相談方法
交通事故で加害者がすでに捜査機関に逮捕されている場合は、以下の方法で弁護士に相談することができます。
- 当番弁護士を呼んでもらう
- 刑事被疑者弁護援助制度を利用する
- 国選弁護人を選任してもらう
ここでは、交通事故の加害者ですでに逮捕されている場合の相談方法について説明します。
1.当番弁護士を呼んでもらう
捜査機関に逮捕された被疑者は、1度だけ無料で当番弁護士を呼ぶことができます。
当番弁護士を呼んだ場合、主に以下の内容についてアドバイスを受けることが可能です。
- 取調べの対応方法
- 逮捕後の大まかな流れ など
警察官や検察官などに「当番弁護士を呼んでほしい」と依頼すると駆けつけてくれるでしょう。
2.刑事被疑者弁護援助制度を利用する
逮捕から勾留決定までの間は、刑事被疑者弁護援助制度を使って私選弁護人に相談することも可能です。
刑事被疑者弁護援助制度とは、刑事事件の弁護活動をする弁護士の費用を日弁連が負担してくれる制度のことです。
通常、当番弁護士を呼んだ際に刑事被疑者弁護援助制度の説明を受け、そのまま利用することが多くなっています。
私選弁護人として選任することで、勾留を阻止するための支援などを受けることができるでしょう。
3.国選弁護人を選任してもらう
捜査機関に勾留されたあとは、国選弁護人を選任してもらえます。
国選弁護人を選任してもらった場合は、以下のようなサポートを受けることができます。
- 証拠の収集
- 被害者との示談交渉
- 検察官への働きかけ
- 刑事裁判での弁護活動 など
国選弁護人を依頼したい場合は、裁判官との勾留質問の際に「利用したい」旨を伝えるようにしましょう。
交通事故の加害者からよくある相談・質問
最後に、交通事故の加害者からよくある相談・質問に回答します。
Q.交通事故の加害者はどのような責任を負うのか?
交通事故を起こした加害者は、以下のような責任を負うことになります。
- 民事責任:被害者に対して損害賠償を支払う
- 刑事責任:道路交通法などに基づき処罰される
- 行政責任:運転免許証についての処分を受ける
なお、このうち刑事責任と行政責任については、警察などの判断を待つ必要があります。
Q.どのような場合に弁護士に相談・依頼をするべきか?
以下のようなケースでは、弁護士に相談・依頼するほうがよいでしょう。
- 刑事事件に発展した場合
- 任意保険に加入していない場合
- 任意保険会社の対応に満足できない場合 など
通常、交通事故を起こした場合、被害者との示談交渉は保険会社に依頼することが多いです。
しかし、示談交渉はあくまで民事責任であり、刑事責任に関するサポートは弁護士しかおこなえません。
刑事事件のサポートが必要な場合や、任意保険会社に依頼できない場合には弁護士に依頼するのが望ましいです。
Q.交通事故を起こした加害者は必ず逮捕されるのか?
交通事故の加害者になったからといって、必ずしも逮捕されるわけではありません。
一般的に以下のようなケースでは、捜査機関に逮捕される可能性が高いとされています。
- 死亡事故や重傷事故など、被害が大きい場合
- 飲酒運転や無免許運転など、道路交通法違反がある場合
反対に、軽傷事故や物損事故などの場合は、逮捕されずに在宅事件として捜査が進むことが多いでしょう。
さいごに|交通事故の加害者になった場合は早めに弁護士に相談を
交通事故の加害者が利用できる相談窓口にはいくつか種類があります。
このうちおすすめなのは、法律事務所や法律相談センターなど弁護士と相談できる窓口です。
特に刑事事件の場合に早期に弁護士に相談しておけば、身柄拘束や起訴を回避できる可能性が高まります。
なお、相談する際は、交通事故トラブルが得意で加害者側の対応が可能な弁護士を選ぶのが望ましいです。
まずは「ベンナビ交通事故」を使って加害者側の対応が可能な最寄りの弁護士を探して相談してみましょう。