自己破産の申立てに必要な書類一覧|作成方法や入手方法、コツなどを解説


- 「自己破産の書類ってどんなものがあるの?」
- 「自己破産したいけど必要な書類の集め方がわからない」
自己破産を検討中の方の中には、このような悩みを抱えている人も少なくないでしょう。
自己破産するためには、とても多くの書類が必要です。
そこで本記事では、自己破産の申し立てに必要な書類の概要や作成方法、収集方法を紹介します。
自己破産を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
なお、自己破産の必要書類を一人で集めるのは手間も時間もかかります。
また、自己破産ができるかどうかはケースによっても異なるので、事前に弁護士へ相談するのがおすすめです。
自己破産の申し立てに必要な書類一覧
自己破産の申し立てには、下記の表のとおりの書類が必要です。
自己破産者共通で必要な書類と、ケースごとに必要な書類を分けてまとめているので、ぜひ参考にしてください。
対象者 | 必要書類 | 入手先 |
---|---|---|
共通 | 申立書 | 作成 |
陳述書 | ||
債権者一覧表 | ||
滞納公租公課一覧表 | ||
財産目録 | ||
債権者宛名ラベル | ||
添付書類一覧表 | ||
家計収支表 | ||
住民票 | 市区町村役場 | |
戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | |
給与明細書(直近2ヵ月分) | 勤務先 | |
源泉徴収票(直近1年分) | 勤務先 | |
預貯金通帳のコピー | ― | |
退職金がある場合 | 退職金の試算書 退職金支給明細書 | 勤務先 |
賃貸住宅に住んでいる場合 | 賃貸借契約書のコピー | ― |
持ち家に住んでいる場合 | 不動産登記簿謄本 | 法務局 |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役場 | |
査定書など実勢価格のわかる書類 | 不動産業者 | |
ローン残高証明書 | 金融機関 | |
自動車を所有している場合 | 車検証のコピー | ― |
車両の評価額がわかる書類 | ― | |
生命保険に加入している場合 | 保険証券のコピー | ― |
解約返戻金計算書のコピー | 保険会社 | |
有価証券を所有している場合 | 証券・証書のコピー | ― |
株の取引明細 | 証券会社 |
自己破産の手続きで必要な書類の作成方法
自己破産の手続きでは、自分で作成しなければならない書類も多くあります。
具体的には以下のとおりです。
書類 | 概要 |
---|---|
申立書 | 自己破産の開始を求める書類のこと |
陳述書 | 身上関係や言い分をまとめた書類のこと |
債権者一覧表 | 借入先や借金額をまとめた書類のこと |
滞納公租公課一覧表 | 滞納税金や保険料をまとめた書類のこと |
財産目録 | 預金や不動産といった所有財産をまとめた書類のこと |
債権者宛名ラベル | 借入先の住所や社名を記載したシールのこと |
添付書類等一覧表 | 提出書類の準備状況を確認できる書類のこと |
家計収支表 | 直近2ヵ月分の収入と支出の状況をまとめた書類のこと |
基本的には、各裁判所が申し立て書類のテンプレートを公開しているので、参考にしながら作成するとよいでしょう。
以下では、それぞれの書類の作成方法について詳しく解説します。
申立書|自己破産の開始を求める書類のこと
自己破産手続きの申込書には、申立人の氏名や借金総額など、自己破産に必要な基本事項を記載します。
申立書は裁判所ごとに書式が異なるので、裁判所のホームページを確認するほか、裁判所に問い合わせてテンプレートを入手しましょう。
陳述書|身上関係や言い分をまとめた書類のこと
陳述書とは、身上関係や自己破産の言い分をまとめた書類のことです。
主に下記の内容を記載します。
- 債務者(自己破産者)が自己破産に至った経緯
- 債務者の生活状況
- 借金返済が免除されない事由の有無
記載には下記の①~④の内容を事前にまとめ、文章にする必要があります。
①借金の理由
陳述書には、なぜ借金をしてしまったのかを詳しく書く必要があります。
自己破産で免責が認められるかどうかの判断にあたって、借金を作ってしまった理由はとても重要です。
借入先や借入金額、借入時期とそれぞれどのような理由で借金するに至ったのか記載しましょう。
この際、嘘や隠し事は絶対にしてはいけません。
免責不許可事由にあたる事情があったとしても、正直に記載し、借金への反省を示す必要があります。
②借金が増えた理由
自己破産は、複数の借り入れや高額な借金が原因であるケースが大半です。
そのため、なぜ繰り返し借金を作ってしまったのか、高額な借金になってしまったのかなどを記載する必要があります。
裁判所は、借金の理由などによって自己破産で返済を免責しても良いか判断することになるため、丁寧に記載しましょう。
③自己破産に至った理由
次に、自己破産に至った理由を記載します。
納得できる理由であれば、裁判所も免責決定してくれる可能性が高くなります。
④反省の姿勢
自己破産で借金の返済を免責したとしても、また借金をするようでは自己破産を認めた意味がありません。
借金を返済できなくなってしまったことへの反省の気持ちや今後どのように生活するつもりか、具体的に記載しましょう。
債権者一覧表|借入先や借金額をまとめた書類のこと
債権者一覧表とは、自己破産を申し立てる際に申立書と一緒に提出する借入先や借金額をまとめた書類のことです。
自己破産は、原則として全ての借金の返済を免責する手続きです。
そのため、どのような借金があるのか、全て裁判所に報告しなければなりません。
債権者一覧表には、金融機関や貸金業者、ローン会社など会社からの借り入れだけでなく、個人からの借り入れも記載します。
個人からの借り入れがたとえ数万円であったとしても記載が必要です。
一部の借金を隠して申告しなかった場合には、その借金が免除されないほか、免責不許可事由となり、自己破産そのものが認められない可能性があります。
滞納公租公課一覧表|滞納税金や保険料をまとめた書類のこと
滞納公租公課一覧表とは、滞納税金や保険料をまとめた書類のことです。
借金の返済を滞納している場合、税金の支払いも滞納していることも考えられます。
そのため、税金の支払いについて調査するために、滞納公租公課一覧表の提出が必要となるのです。
財産目録|預金や不動産といった所有財産をまとめた書類のこと
財産目録とは、預金や不動産などの所有する財産を全てまとめた書類のことです。
自己破産は、所有する財産の額によって適用される手続きが異なるため、財産目録によって財産を把握する必要があります。
また、財産目録は債権者に配当できる財産がないかを確認するためにも用いられるので、正確に作成しましょう。
財産を故意に隠すと免責不許可事由にあたり、自己破産ができない可能性があります。
悪質なケースでは、詐欺破産罪(破産法第265条)として刑事罰に処される可能性もあるので注意してください。
債権者宛名ラベル|借入先の住所や社名を記載したシールのこと
債権者宛名ラベルとは、借入先の住所や社名を記載したシールのことです。
自己破産手続きが始まると、債権者に裁判所から自己破産手続きが開始された旨が通知されます。
債権者宛名ラベルは、債権者に各種書類を送付するための宛名として必要です。
添付書類等一覧表|提出書類の準備状況を確認できる書類のこと
添付書類等一覧表とは、提出書類の準備状況を確認できる書類のことです。
全ての書類が揃っているかどうか確認するためのチェックリストの役割があります。
添付書類等一覧表も各裁判所で書式が異なるため、自己破産手続きをする裁判所への確認が必要です。
家計収支表|直近2ヵ月分の収入と支出の状況をまとめた書類のこと
家計収支表とは、直近2ヵ月分の収入と支出の状況をまとめた書類のことです。
銀行の引き落としや公共料金、保険料の支払いなど、各金額をまとめる必要があります。
加えて、自己破産者本人の家計状況だけでなく、同居している家族全員を含めた世帯としての家計状況の記載が必要です。
子どもがいる場合、交通費などは世帯全員分の合計金額を記載し、その内訳を記載しなければなりません。
自己破産の手続きで必要な書類の入手方法
自己破産の手続きには、自分で作成する書類のほか、役所などで入手しなければならない書類があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
役所で取得する資料
自己破産するにあたって、役所で取得しなければならない資料は下記のとおりです。
書類 | 概要 |
---|---|
住民票 | 本人確認書類として必要 入手:市区町村役場 |
戸籍謄本 | 本人確認書類として必要 入手:市区町村役場 |
住民票・戸籍謄本は、本人確認書類として必要です。
世帯全員分の情報が記載されているかつ、本籍と続柄の記載がるものを取得しましょう。
なお、提出する本人確認書類は、3ヵ月以内に発行されたものでなければなりません。
収入・貯金に関する書類
以下のような収入・貯金に関する書類も必要です。
書類 | 概要 |
---|---|
預貯金通帳のコピー | 収入と支出の流れについて確認するために必要 入手:銀行 |
給与明細 | 収入状況について確認するため必要 入手:勤務先 |
源泉徴収票 | 収入状況について確認するため必要 入手:勤務先 |
退職金の試算書 退職金支給明細書 |
収入状況について確認するため必要 入手:勤務先 |
預貯金通帳のコピー
預貯金通帳のコピーは、申し立ての1週間前に記帳のうえ、過去2年分の写しを取得しましょう。
通帳の残高が0円の場合であっても、持っている全ての通帳のコピーを提出しなければなりません。
また、表紙や裏表紙など額面が印字されているページ以外もコピーして提出します。
日頃から記帳していない場合は、金融機関が発行する取引明細表が必要です。
給与明細
月々の給与が記載された給与明細の提出も必要です。
給与明細を提出することで、現在の収入では借金の返済ができないかどうかを判断します。
源泉徴収票
年間の所得税など収入面を確認するために、源泉徴収票も提出します。
源泉徴収票は、勤務先の経理担当に申請すれば発行してもらえます。
源泉徴収票が失業や紛失等で再発行できない場合には、各市区町村役場で発行できる課税証明書を提出してください。
退職金の試算書
退職金が貰える場合は収入とみなされるため、退職金の試算書の提出も必要です。
勤務先が、退職金見込額証明書を発行してくれれば、それを提出します。
しかし、多くの企業では退職金見込額証明書を発行していないため、自分で計算する必要があるでしょう。
計算にあたっては、就業規則の退職金規定などを参考に計算します。自分では計算が難しい場合には、弁護士に依頼するようにしましょう。
不動産に関する書類
不動産に関する必要書類は、賃貸住宅に居住している場合と持ち家に住んでいる場合で異なります。
書類 | 概要 |
---|---|
賃貸借契約書のコピー | 現在の居住や生活環境について確認するために必要 |
不動産登記簿謄本 | 所有する財産を確認するために必要 入手:法務局 |
固定資産税評価証明書 | 所有する財産を確認するために必要 入手:市区町村役場 |
査定書など実勢価格のわかる書類 | 所有する財産を確認するために必要 入手:不動産業者 |
ローン残高証明書 | 借金額を確認するために必要 入手:金融機関 |
賃貸借契約書のコピー
賃貸住宅に住んでいる場合には、現在の居住地や生活環境を把握するために、賃貸契約書のコピーの提出が必要です。
入居時に賃貸借契約書をもらっているはずですが、紛失してしまった場合には管理業者や不動産屋、大家に連絡し、コピーをもらえないか相談してみましょう。
不動産登記簿謄本
不動産登記簿謄本は、不動産の情報を証明するための書類です。
法務局の窓口で申請できるほか、オンラインでの申請や郵送受取が可能です。
固定資産税評価証明書
固定資産税評価証明書とは、不動産の評価額と固定資産税が記された書類です。
不動産の価格の目安を知れるほか、固定資産の所有者、所在地、地名、地積、家屋の種類や構造、床面積、固定資産評価額、課税標準額が記載されています。
不動産登記簿謄本と異なり、各市区町村役場で取得します。
査定書など実勢価格のわかる書類
固定資産税評価証明書と異なり、市場価格ではどのくらいの価値があるのか示すために必要な書類です。
公的な書類ではないため、不動産会社などに依頼して不動産価格を評価してもらう必要があります。
ローン残高証明書
ローン残高証明書は、借入先の金融機関から発行してもらいます。
自動車に関する書類
自動車を保有している場合には、下記の書類が必要です。
書類 | 概要 |
---|---|
車検証のコピー | 所有財産について確認するために必要 |
車両の評価額がわかる書類 | 所有財産について確認するために必要 |
車検証のコピー
車検証とは、保有している自動車が安全基準をクリアしているかどうか、どのような自動車なのか証明するためのものです。
車両の評価額がわかる書類
財産を把握するために、自動車がどのくらいの価値があるのか査定し、評価額がわかる書類を提出する必要があります。
生命保険に関する書類
生命保険に加入している場合には、生命保険に関する書類の提出も必要です。
書類 | 概要 |
---|---|
保険証券のコピー | 保険の内容を確認するために必要 |
解約返戻金計算書のコピー | 保険金の解約返戻金の額を確認するために必要 入手:保険会社 |
保険証券のコピー
生命保険証書には、加入中の保険の種類や保障の限度額、契約者、被保険者、保険期間など契約内容が記載されています。
紛失してしまった場合には、保険会社に問い合わせ再発行手続きが必要です。
解約返戻金計算書のコピー
解約返戻金計算書とは、保険を解約した場合に掛け金がいくら戻ってくるのかを計算した資料です。
一般的に加入している保険会社に問い合わせ、計算してもらいます。
有価証券に関する書類
以下のような株やFXなど有価証券に関する書類がある場合は、提出が必要です。
書類 | 概要 |
---|---|
証券・証書のコピー | 有価証券の財産について確認するために必要 |
株の取引明細 | 有価証券の財産について確認するために必要 入手:証券会社 |
取引歴がある場合には、過去1~2年分の取引明細書の提出をしなければなりません。
明細書は、証券会社から郵送されたり、電子書面で確認できたりしますが、紛失してしまった場合には、証券会社へ問い合わせしましょう。
自己破産の申し立て書類に添付する印紙と郵券(郵便切手代)
自己破産を申し立てには、印紙や郵券が必要です。
東京地方裁判所の場合、下記の金額が費用の目安となります。
項目 | 費用目安 |
---|---|
印紙代 | 1,500円 |
予納郵券 | 4,400円 |
予納金 | ①同時廃止事件:11,859円 ②管財事件:22万円~ |
自己破産の申し立て書類をスムーズに準備するための3つのコツ
ここからは、自己破産の申し立て書類をスムーズに準備するための3つのコツを紹介します。
1.リストを作って、状況を把握しながら進める
自己破産にはたくさんの書類が必要になるため、必要書類のリストを作成して収集を進めるのがよいでしょう。
リストには、必要書類・入手先・いつまでに入手するかなどを記載します。
一度リストを作成してしまえば、何が足りないのか、いつまでに取得が必要かなどの全体像を把握できます。
リスト作成が難しいようであれば、弁護士に依頼してリストを作ってもらうか、書類の作成と収集を依頼するのもおすすめです。
2.有効期限が設けられていない書類から集める
必要書類の中には、有効期限が設けられているものがあります。
早めに書類を集め、手続きの準備をすることは大切ですが、有効期限が過ぎてしまうと使えなくなってしまうので注意しましょう。
3.自己破産の手続きが得意な弁護士に依頼する
自己破産の手続きは、書類を提出して終わりというわけではありません。
書類を集めたあとは、自己破産の申請手続きが必要ですが、手続きには法的な知識や適切な対処が求められることもあります。
素人が一人で手続きを進めるのは難しいといえるでしょう。
そのため、自己破産の手続きは弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士であれば、書類の収集はもちろん、手続きも代行してもらえます。
さいごに|ベンナビ債務整理で自己破産が得意な弁護士を探して相談しよう
自己破産の手続きには、たくさんの書類が必要です。
また、各書類の作成や収集は個人でおこなうには難しいのが実情です。
そのため、自己破産を検討したら、債務整理の解決実績が得意な弁護士に相談し、書類の収集や手続きについてサポートを受けるとよいでしょう。
無料相談に対応している事務所も多いので、まずは気軽に相談してみてください。