借金をまとめるには?一本化の方法やメリット・デメリットを解説


- 「借金をまとめると返済は楽になるの?」
- 「借金をまとめることにデメリットはある?」
- 「借金をまとめるにはどうすればいい?」
借金を一本化し、返済を楽にする方法はあります。
ただし借金をまとめることで、必ずしも問題が解決するとは限りません。
かえって返済総額が増えてしまったり、そもそも審査にとおらなかったりすることもあるのです。
本記事では、借金をまとめるとはどういったことかといった基本やメリット、デメリット、借金をまとめる方法や選び方について解説しています。
本記事を読むことで、借金をまとめることで返済負担を減らすにはどうすればよいかが理解できるでしょう。
借金をまとめる(借金一本化をする)メリット
借金をまとめるメリットとして、以下が挙げられます。
- 返済の負担を抑えられることがある
- 借金の管理がしやすくなる
- 信用情報を整理できる
返済の負担を抑えられることがある
借入先ごとに設定されている約定返済金額は、借金をまとめることで減らせることがあります。
約定返済金額とは、毎月返済しなければならない最低金額です。
複数の借入先があると、それぞれ最低金額を返済しなければなりません。
借金をまとめることで約定返済額をひとつにし、返済しなければならない最低金額もひとつにすることができます。
また、少しでも金利の低い借入先にまとめることで、借金全体の金利が少なくなり、返済総額を抑えられる可能性があります。
このように月々の返済額を減らし、低い金利の借入先にまとめることで返済の負担を抑えられます。
借金の管理がしやすくなる
複数の借入先があると、毎月の返済日や返済方法がバラバラで管理が複雑になります。
借金をまとめることで、月1回、借入先1社に対して返済することになるため、管理がしやすくなり、返済スケジュールの見通しが立てやすくなるのです。
信用情報を整理できる
新しいクレジットカードやローンを申し込んだときは信用情報が参照され、申し込みを受け付けても問題ないか判断されます。
たとえば信用情報に返済の滞納が続いている記録があれば、審査が通りにくくなるのです。
信用情報で複数の借金があると、多重債務を疑われクレジットカードやローンの審査が通りにくくなる可能性があります。
その点、借金が一本化され多重債務を疑われる状態が解消されれば、ローンなどの審査が通りやすくなるわけです。
借金をまとめる(借金一本化をする)デメリット
一方で借金をまとめるデメリットもあります。
- 必ずしも借金が減るとは限らない
- 追加の借入れができなくなるおそれがある
- 保証人や不動産担保を求められるケースが多い
必ずしも借金が減るとは限らない
借金をまとめて1本化するいわゆる「おまとめローン」は、借金が減ると宣伝されていることがあります。
しかし、おまとめローンの内容によっては、必ずしも借金が減るとは限りません。
一本化する金融機関によっては金利が下がらないこともある
一本化する金融機関によっては、金利が下がらず、返済総額が減らないケースが考えられます。
また、元々の借入先の金利が低かった場合、おまとめローンを利用することで金利が上がり、かえって返済総額が増えてしまうリスクがあります。
借金をまとめたいと考えている場合には、借入先の金利や約定返済額などを比較しながら、どの借入先にまとめるか、おまとめローンを利用するか慎重に検討しなければなりません。
返済期間が長くなって利息が膨らむ可能性がある
金利の低い借入先で借金をまとめることで月々の返済額を減らし、負担を軽減できます。
しかし、契約内容によっては、返済期間が長くなり、金利が低いのに返済期間が長いため、利息が膨らむ可能性があります。
利息が膨らむと返済総額が増え、全体的な返済の負担としては重くなってしまう可能性があるので、借入先を慎重に選ばなければなりません。
追加の借入れができなくなるおそれがある
借金をまとめると、追加の借入れができなくなるおそれがあります。
たとえば、1社に借金をまとめる「おまとめローン」などの代表的なローン商品を利用すると、原則追加融資を受けられません。
そのため、追加の借入れが必要になる可能性がある場合には、おまとめローンではなく、通常のカードローンを利用することを考えましょう。
保証人や不動産担保を求められるケースが多い
おまとめローンを利用する場合には、借金をまとめる都合でまとまった高額の金額を新たに借入することになります。
そのため、金融機関によっては、保証人や不動産担保を求められるケースが多いです。
保証人が設定された場合、おまとめローンの返済ができないと保証人が代わりに借金の返済をしなければなりません。
また、不動産を担保に入れていた場合、ローン返済ができなければ不動産が競売にかけられ、売却され、失ってしまう可能性があります。
おまとめローンは、確実に返済ができ、現実的な返済計画がたてられる場合に利用しましょう。
借金をまとめる方法は主に4種類
借金をまとめる方法は、主に下記の4種類があります。
- おまとめローン|借金を一本化するための専用サービス
- カードローン|限度額の範囲内で借入れができるサービス
- 有担保ローン|担保提供により高額な借入れが可能になるサービス
- ビジネスローン|事業の借金を対象としたローンサービス
おまとめローン|借金を一本化するための専用サービス
おまとめローンは、借金を一本化するための専用のサービスです。
おまとめローンでは、新しい金融業者から借金総額相当額の融資を受けて、現在の借入先に借金を返済します。
借金をひとつにまとめられることから、「おまとめローン」といわれています。
おまとめローンの金利が低ければ、返済総額が減り返済の負担を減らすことができます。
カードローン|限度額の範囲内で借入れができるサービス
カードローンとは、銀行や消費者金融などの金融機関が提供するカードの限度額の範囲内で借入れができるサービスです。
ローン専用のカードや銀行のキャッシュカードを使って、契約時に決定した契約限度額内の範囲で必要な金額の借入れができます。
カードローンの場合には、保証人や不動産担保が要求されず、契約限度額の範囲内であれば何度でも利用可能です。
また、借入した金額の使い道が自由なこともカードローンの特徴です。
そのため借入上限金額が高いカードローンを、おまとめローンのように使うこともできます。
有担保ローン|担保提供により高額な借入れが可能になるサービス
有担保ローンとは、担保の提供により高額な借入れが可能になるサービスです。
担保として、土地や預金、証券などを提供します。
有担保ローンは無担保のローンに比べ、金利が低いのがメリットです。
ただし担保となるような資産がないと利用できないうえ、返済が滞ると担保を失ってしまうというリスクがあります。
ビジネスローン|事業の借金を対象としたローンサービス
ビジネスローンとは、事業者向けのローンサービスです。
事業資金が必要という場合にビジネスローンが利用されます。
ビジネスローンは、事業資金として貸し付けをおこなうため、事業計画書や決算書の準備が必要となり、借りるためのハードルが高いです。
おまとめローンのおすすめは?金融機関別の特徴を解説
一口におまとめローンといっても、各社によってそのサービス内容は異なります。
そこで、ここではおすすめやおまとめローンを利用する場合の金融機関別の特徴を解説します。
金融機関 | 概要 | 金利 | 契約限度額 |
---|---|---|---|
銀行 | 審査は厳しいが金利が低い傾向にある | 年率1.5%〜15.0%程度 | 500万〜1,000万円程度 |
消費者金融 | 金利は高いが審査には通過しやすい | 年率3.0%〜20.0%程度 | 300万〜800万円程度 |
全国労働金庫 | 一定の条件を満たせば低金利で一本化できる | 年率3.0%〜7.0%程度 | 300万〜1,000万円程度 |
銀行|審査は厳しいが金利が低い傾向にある
銀行のおまとめローンは、審査が厳しいですが金利が低い傾向にあります。
また、契約限度額も高額に設定されている傾向があり、複数の借入先があって借金が高額な場合でも対応できます。
加えて、消費者金融での借り入れやクレジットカードのショッピング利用など、おまとめできる内容が広いことも特徴のひとつです。
一方で、銀行のおまとめローンの審査には、数日から数週間かかるケースが一般的です。
そのため、すぐにおまとめローンを利用することはできません。
消費者金融|金利は高いが審査には通過しやすい
消費者金融のおまとめローンは、銀行のおまとめローンに比べ金利が高く、契約限度額も低い傾向がみられます。
その代わり、審査には通過しやすく、消費者金融によっては即日融資にも対応してもらえることがあります。
ただし、消費者金融のおまとめローンが利用できるのは、消費者金融からの借入れやクレジットカードのキャッシングに限られ、銀行系のカードローンやクレジットカードのショッピング利用などはまとめられません。
全国労働金庫|一定の条件を満たせば低金利で一本化できる
全国労働金庫(ろうきん)もおまとめローンを提供しています。
全国労働金庫は、銀行や消費者金融に比べて、低金利でおまとめローンが利用できるものの契約限度額は大きくありません。
そもそも全国労働金庫は、労働組合や生協といった会員がお互いを助け合うために資金を出し合って運営しているため、営利を目的とする団体ではないです。
ただし、契約限度額は低額であり、注意しなければなりません。
全国労働金庫は、全国13ヵ所に労働金庫ネットワークがあり、それぞれ取扱商品が異なります。
また、原則として自宅や勤務先が各労働金庫の事業所エリア内にある方でなければ申し込みができないため、最寄りの労働金庫に問い合わせる必要があります。
借金をまとめるローン選びのポイント
借金をまとめるローン選びのポイントは、以下の3つです。
- 金利・返済額
- 一本化できるローンの種類
- 返済方法
金利・返済額
借金をまとめるときには、今より低い金利のローンを選ぶようにしましょう。
金利が高いローンを選択してしまうと、毎月の負担が減ったとしても返済総額が増え、むしろ負担が増えてしまうおそれがあります。
一本化できるローンの種類
おまとめローンによっては、銀行カードローンがまとめられないなどの制限がある場合もあります。
おまとめローンを利用する際は、自分の借入れが一本化できるかの確認が必要です。
またカードローンなどで一本化するのであれば、借入限度額が十分か確認します。
限度額が低いと、自分の借入れを一本化できない可能性があるためです。
返済方法
借金を一本化する手段や商品を選ぶ際は、返済方法についても確認しておきたいところです。
たとえば銀行や貸金業者の店舗でないと返済ができない商品では、返済をするのに時間がかかり不便でしょう。
コンビニやATMなどでも返済が可能な商品であれば、返済が楽になります。
借金をまとめる(借金一本化をする)審査に通らない3つのケース
借金をまとめたいと思っても、審査に通らないことがあります。
審査に通らないケースとして、以下の3つが挙げられます。
- 安定した収入がない
- 借入先や借入額が多すぎる
- 信用情報に傷がついている
安定した収入がない
借金をまとめるには、新しく借入をしなければなりません。
借入をするからには、返済できる収入が必須です。
そのため、継続的に安定した収入がなければ、金融機関が借金の滞納をするかもしれないと判断して、おまとめローンの審査が通りません。
収入に比べ借入額が多すぎる
収入に比べて借入先や借入額が多すぎると、おまとめローンの審査が通らないことがあります。
金融機関は、各社独自の審査基準を設けており、借金の返済ができる範囲の借金額かどうか、判断します。
そのため、収入に対して借入れの総額が大きいと、返済できる見込みがないとしておまとめローンの審査も通りません。
信用情報に傷がついている
信用情報とは、信用情報機関に登録されている借金に関する個人の金融情報です。
この信用情報に過去借金で滞納した記録がある、現在も滞納しているなどの事故情報が記録されていると、信用情報に傷があることになります。
一般的に信用情報に傷があることを、ブラックリストに載っているといわれることもあります。
ブラックリストに載っている状態だと、返済してくれる信用がないと各金融機関は判断し、おまとめローンの審査に通らなくなります。
借金をまとめる際の手続き方法【おまとめローンを利用する場合】
おまとめローンを利用する場合の手続きの方法を紹介します。
基本的な手続きの流れ
おまとめローンを利用する場合の基本的な手続きの流れは、以下のとおりです。
- 必要な書類の用意
- ローンの申し込み
- 金融機関の審査
- ローンの契約
- おまとめローンで借り入れたお金で他社の借金の返済
- おまとめローンの返済
必要書類
おまとめローンを利用する場合に必要となる書類は、主に2種類あります。
1社から50万円を超える借入れを希望する場合や、他社を含めた借入総額が100万円を超える場合には、収入証明書の提出も必要です。
本人確認書類 | ・運転免許証(表・裏) ・マイナンバーカード(表面のみ) ・保険証(表・裏) ・パスポート |
---|---|
収入証明書 | ・源泉徴収票 ・給与明細書 ・市民税、県民税額決定通知書 ・所得証明書 ・確定申告書、青色申告書、収支内訳書 |
金融機関ごとに 必要となる書類の種類が異なる場合があります。
そのため、利用したい金融機関に問い合わせて必要書類を確認しましょう。
借金をまとめる(借金一本化の)相談はどこにすればよい?
借金一本化の相談はどこにすればよいか、わからない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、借金をまとめたい場合の相談先を紹介します。
商品の選び方がわからないなら銀行などへ相談してみる
おまとめローンを利用したいが、そもそもどの商品を選んでいいのか、選び方がわからない場合には、商品を提供する銀行などへ相談してみましょう。
ただし自社で提供している商品については、担当の方がよく見せようとして適切な説明がされない可能性があります。
自分にあった商品を選ぶには、何社か問い合わせてみて、いくつかの商品を客観的に比較してみるとよいです。
こうすることで、より自分にあった商品を選べるでしょう。
借金一本化をしても完済の見込みがないなら債務整理について弁護士に相談すべき
おまとめローンを利用して借金を一本化したいが審査に通らない場合や、借金を一本化しても完済の見込みがない場合もあります。
そのような場合には、債務整理について弁護士に相談しましょう。
債務整理とは相手との交渉や裁判所での手続きによって借金を減らしたり、借金の免除をしてもらったりする手段の総称です。
債務整理には、主に3つの種類があります。
任意整理 | 借入先と交渉して、利息カットや3~5年での返済を認めてもらう手続き ※自宅などの財産が処分されることはない |
---|---|
個人再生 | 裁判所を通して借金を1/5~1/10まで減額してもらう手続き ※自宅を残せる可能性がある |
自己破産 | 裁判所を通して借金をゼロにしてもらう手続き ※自宅を含め高価な財産は処分される |
以下、それぞれの種類についてみていきましょう。
本記事では、債務整理の概要を簡単に説明しています。
債務整理について、より詳しく知りたい場合は以下記事を参考にしてください。
【参考】債務整理とは?基本をわかりやすく解説 | ベンナビ債務整理
任意整理
任意整理とは、借入先と利息カットや3~5年での長期返済について交渉する方法です。
任意整理は借金の元金まで減らせるわけではありませんが、裁判所を通さないため手続きが比較的簡単というメリットがあります。
そのため債務整理をしたいと考えたときに、最初に検討されるのが任意整理です。
個人再生
個人再生とは裁判所を通して、借金を1/5~1/10まで減額してもらう手続きです。
後述する自己破産と違い、個人再生では住宅を処分されずにすむ可能性があるといったメリットがあります。
その反面、裁判所を通すことから手続きが複雑となり任意整理に比べ時間がかかるのが難点です。
個人再生の手続きをする場合、いくつかの要件を満たす必要もあります。
自己破産
自己破産とは裁判所を通して、税金など一部を除き借金をゼロにしてもらう手続きです。
借金問題で困っている方にとって最終手段ともいえる方法ですが、持ち家を含め高価な財産が処分されるなどのデメリットがあります。
借金をまとめる際によくある質問
ここからは、借金をまとめる際によくある質問を解説します。
借金の一本化は総量規制の対象になる?
総量規制とは貸金業者に対し、年収の1/3を超える貸付を禁止する賃金業法上のルールです。
もっとも、借金の一本化の場合には、以下の一定の条件をクリアすれば、総量規制の対象外となります。
- 一本化する借金が、貸金業者からの借入債務全般(銀行や個人間の借り入れは含まない)であること
- 一本化した後の金利が、借換え前の金利を上回らないこと
- 約定に基づいた返済方法によって、段階的に残高が減ること
- 一本化した後の月額負担額が、借換え前の月額負担額を上回らないこと
- 担保や保証に関する条件について、一本化した後の条件が一本化前の条件より厳しくならないこと
一部の借金だけまとめることもできる?
おまとめローンは借金を一本化することを目的とした商品ですが、一部の借金に限りまとめることも可能です。
借入れ件数が多く審査に通りそうにない場合は、まず一部だけまとめるといった方法もあります。
借金の一本化と借換えの違いは?
借金の一本化は、複数の借入先をひとつにまとめて、返済の管理を容易にし、返済の負担の軽減を目的におこないます。
一方で、借換えは、現在の借入れより低金利のローンに変更することで毎月の返済額や返済総額を減らすことを目的としています。
つまり、複数の借金をひとつにするのか、借金の負担を減らすことを目的とするのか、という点が大きな違いです。
借金の一本化と債務整理はどちらを選ぶべき?
借金の一本化と債務整理どちらが良いかは、人それぞれの事情や状況によって異なります。
おまとめローンで借金の一本化ができたとしても、完済までの目途が立たなければ、借金問題の解決にはなりません。
他方で、債務整理を選べば借金が減額・免除され返済が楽になるか不要になる反面、手続きに費用がかかったり、信用情報に傷がついたりとデメリットもあります。
そこで、自分にはどのような方法があっているのか、借金問題解決や債務整理の経験のある弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談すれば、根本的な問題解決のためのアドバイスや生活を立て直すためのサポートをしてもらうことができます。
さいごに|借金問題で困ったら弁護士へ相談を!
各金融機関の提供するおまとめローンなどの借金をまとめるサービスは、しっかり選び方のポイントを理解し、比較したうえで契約すると借金の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、そもそも毎月の返済が苦しい場合には、借金の減額や返済免除が必要です。
借金の減額や返済免除をしてもらうためには、債務整理手続をするため法的な知識が必要です。
また、そもそも今の状況だと借金をまとめるべきか、債務整理をすべきかわからないこともあると思います。
ベンナビ債務整理では、債務整理や借金問題の解決実績のある弁護士を多数掲載しています。
初回相談無料の法律事務所も掲載していますので、一度相談へ行ってみましょう。