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公正証書遺言の作成費用はどれくらい?計算方法や注意点を解説

弁護士監修記事
遺産相続
2025年03月27日
2025年03月27日
 公正証書遺言の作成費用はどれくらい?計算方法や注意点を解説
この記事を監修した弁護士
佐藤 光太弁護士 (ステラ綜合法律事務所(相続分野))
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将来の相続に備えて、公正証書遺言の作成を考えている方もいるでしょう。

しかし、自分で作成する場合に費用はいくらかかるのか、専門家へ依頼したほうがよいのかなど、わからないこともあるはずです。

本記事では、公正証書遺言の作成費用目安や計算方法、注意点などを解説します。

相続人同士の揉め事を防ぐには、不備のない公正証書遺言を作成することが大切です。

作成に不安があれば、弁護士などの専門家への依頼も検討しましょう。

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公正証書遺言の作成にかかる費用 | 自分で作成する場合

公正証書遺言の作成には、政令で定められた所定の手数料がかかります。

まずは、公正証書遺言を自分で作成する場合の費用について見ていきましょう。

公証人手数料がかかる

公正証書遺言の作成にかかる手数料のことを、公証人手数料といいます。

公証人手数料は相続財産の価格に応じて、以下の表のとおり変動します。

相続する財産の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 超過額5,000万円までごとに13,000円を43,000円に追加
3億円を超え10億円以下 超過額5,000万円までごとに11,000円を95,000円に追加
10億円を超える場合 超過額5,000万円までごとに8,000円を249,000円に追加

【参考】日本公証人連合会|Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?

公証人手数料の計算手順

公証人手数料は、公正証書1通ごとにかかる手数料ではありません。

相続人の人数に応じて、費用が加算されます。

ここからは、公証人手数料の計算手順について解説します。

1.相続人ごとの公証人手数料を求める

まずは、相続人ごとの公証人手数料を計算しましょう。

公証人手数料は、相続人の人数に応じて費用が加算されます。

たとえば、Aさんに300万円を、Bさんに600万円を相続させる公正証書遺言を作成する場合、Aさん分として11,000円、Bさん分として17,000円の手数料がかかります。

2.相続人ごとにかかる公証人手数料を合計

続いて、相続人ごとにかかる公証人手数料を合算しましょう。

先ほどの例で考えると、Aさん分として11,000円、Bさん分として17,000円の手数料が発生するので、11,000円+17,000円=28,000円の公証人手数料がかかることになります。

3.遺産総額が1億円以下の場合は11,000円を加算

遺産の総額が1億円以下の場合は、さらに手数料として11,000円が加算されることになります。

これを「遺言加算」といいます。

今回の例で考えると、遺産の総額は300万円+600万円=900万円なので、遺言加算の対象です。

よって、28,000円+11,000円=39,000円の公証人手数料がかかります。

公証人手数料の計算例

ここからは、さまざまな事例ごとの公証人手数料の計算例を紹介します。

2人の子どもへ2,500万円ずつ相続させる場合

2人の子どもへ2,500万円ずつ相続させる場合、子ども1人あたりの手数料は23,000円です。

また、遺産の総額が1億円以下になるため、遺言加算の対象になります。

よって、23,000円+23,000円+11,000円=57,000円の公証人手数料がかかります。

長男へ7,000万円、次男へ2,000万円相続させる場合

長男へ7,000万円相続させる場合の手数料は43,000円、次男へ2,000万円相続させる場合の手数料は23,000円です。

また、遺産の総額が1億円以下になるため、遺言加算の対象になります。

よって、43,000円+23,000円+11,000円=77,000円の公証人手数料がかかります。

配偶者へ1億2,500万円、子どもへ2,500万円相続させる場合

配偶者へ1億2500万円相続させる場合の手数料は43,000円、子どもへ2,500万円相続させる場合の手数料は23,000円です。

このケースでは遺産の総額が1億円を超えるため、遺言加算の対象ではありません。

よって、公証人手数料の合計は43,000円+25,000円=68,000円です。

そもそも公正証書遺言は自分で作成できるの?

公正証書遺言は、自分で作成することもできます。

ただし公正証書遺言を作成するには、戸籍などさまざまな書類が必要です。

また、法律のことを考えずに自己流で遺言書を作成してしまうと、後の相続トラブルにもつながります。

なるべく手間をかけず、トラブルを防ぐ公正証書遺言を作成したいなら、専門家への依頼を検討しましょう。

また、公正証書遺言を作成するには2名の証人が必要です。

専門家に作成を依頼すればそのまま証人になってもらえるため、手続きもスムーズに進められます。

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公正証書遺言の作成費用についての注意点

公正証書遺言を作成する際、必要なのは公証人手数料だけではありません。

ほかにもさまざまな費用がかかります。

ここからは、公正証書遺言の作成費用についての注意点を3つ紹介します。

遺言者が公証役場に赴けない場合は費用が加算される

遺言者が公証役場に行けない場合は、追加で費用がかかります。

たとえば、遺言者が病床に伏し、公証役場に行くのが難しいというケースでは、公証人が遺言者の自宅等に足を運んで公正証書を作成することになるでしょう。

この場合、病床加算として所定の公証人手数料に50%を加算した額を追加で支払わなければなりません。

また、公証人が公証役場以外で公正証書を作成する際は、公証人の交通費や日当も発生します。

日当は拘束時間によっても異なりますが、1日あたり1万円~2万円程度だと考えておきましょう。

証人の日当が必要な場合もある

公正証書遺言を作成するには、2名の証人の立会いも必要です。

弁護士や司法書士などが証人になる場合は、日当が発生します。

こちらも拘束時間によりますが、1万円前後の日当がかかるようです。

ただし、知人などが証人であれば、日当の支払いは不要です。

作成に必要な書類の取得費用に数千円がかかる

公正証書遺言を作成するにあたっては、さまざまな書類を集める必要があります。

具体的には、戸籍謄本や印鑑登録証明書、登記事項証明書などです。

これらの書類を集めるのには、数千円程度の費用がかかります。

戸籍や登記事項証明書の数が多い場合は、さらに費用がかかるでしょう。

公正証書遺言の取得にかかる費用

公正証書遺言が完成したら原本・正本・謄本が作成されます。

そのうち、遺言者へ交付されるのは正本と謄本です。

原本の作成にあたっては、4枚(横書きの場合は3枚)を超えるごとに1枚250円の手数料がかかります。

正本と謄本の交付には、1枚につき250円の手数料が必要です。

公正証書遺言の作成を専門家に依頼した場合にかかる費用

公正証書遺言は自身でも作成できますが、専門家へ依頼すればよりスムーズです。

弁護士や司法書士、行政書士といった専門家への依頼も検討しましょう。

ここからは、公正証書遺言の作成を専門家に依頼した場合にかかる費用の目安を紹介します。

専門家の種類 費用の目安
弁護士 15万円〜25万円程度
司法書士 10万円〜25万円程度
行政書士 10万円〜20万円程度

公正証書遺言の作成を弁護士に依頼する費用とメリット

公正証書遺言の作成を弁護士に依頼する場合、15万円~25万円の費用がかかります。

弁護士に依頼するメリットは、将来の紛争を予防する遺言内容を提案してくれることや、万が一紛争になった場合にも対応してもらえる点です。

特定の相続人だけに遺産を相続させるなど、遺言書の内容によっては相続人間でトラブルに発展する可能性があります。

相続問題が得意な弁護士であれば、遺言者の意向や相続人の関係性などを加味して、なるべく争いが起きない内容の遺言書を作成してくれるでしょう。

また、弁護士を遺言執行者に指定しておけば、トラブルが発生したときに対応してもらえます。

費用は高額になりますが、公正証書遺言の作成から作成後のケアまでしてもらえるので安心できるでしょう。

公正証書遺言の作成を司法書士に依頼する費用とメリット

公正証書遺言の作成を司法書士に依頼する場合、10万円~25万円の費用がかかります。

司法書士に依頼するメリットは、不動産の相続に関して専門的な知識を有していることや、弁護士に比べて費用を安く抑えられることです。

司法書士は不動産登記を得意としているため、不動産の相続に関する豊富な知識を持っています。

また、弁護士のように紛争の対応はできませんが、費用は安く抑えられます。

遺産に不動産が含まれており、紛争が起きる可能性が低いのであれば、司法書士への依頼を検討しましょう。

公正証書遺言の作成を行政書士に依頼する費用とメリット

公正証書遺言の作成を行政書士に依頼する場合、10万円~20万円の費用がかかります。

行政書士に依頼するメリットは、ほかの士業に比べて費用が安く、気軽に相談できる点です。

なるべく費用を抑えたいのであれば、行政書士へ依頼するとよいでしょう。

ただし、相続問題を専門にしている行政書士は少ないため、複雑な内容の遺言書の作成は難しいかもしれません。

また、相続登記や紛争にも対応していないので、遺産に不動産がある場合や相続人間の紛争が予想される場合は、弁護士や司法書士へ依頼しましょう。

さいごに|公正証書遺言の作成は弁護士に依頼がおすすめ

公正証書遺言の作成には、以下のような費用がかかります。

  • 公証人手数料(遺産の額、相続人の数によって異なる)
  • 遺言加算(遺産が1億円を超える場合)
  • 病床加算
  • 公証人や証人の日当、交通費
  • 戸籍などの書類の収集費用

公正証書遺言の作成手続きは、非常に複雑です。

自身で作成することも可能ですが、よりスムーズに手続きを進めたいなら弁護士への依頼がおすすめです。

弁護士なら、法的に有効な遺言書の作成はもちろん、後のトラブルを予測し、紛争を予防する遺言内容を提案してくれるでしょう。

作成時に必要な書類も集めてもらえるほか、証人も確保してくれるので、自身の手間を大幅に削減できるはずです。

また、万が一紛争に発展しても弁護士が代理人となって対応してくれるので、安心感があります。

後悔のない公正証書遺言を作成し、自身の意向に沿った相続を実現させるためにも、弁護士への依頼を検討しましょう。

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