後遺障害診断書とは?作成費用や書式の入手方法、等級認定のためのポイントを解説


交通事故によって後遺障害が残ったら、後遺障害認定を受けるために医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。
しかし、後遺障害診断書は通常の診断書とは異なるため、適切な認定を受けるにはポイントを抑えたうえで作成しなければなりません。
医師が作成していればなんでもOKというわけではないので注意が必要です。
そこで本記事では、後遺障害診断書の役割・入手方法・作成費用・等級認定のポイントなどをわかりやすく解説します。
適切な後遺障害等級の認定を受けてきちんと損害賠償を請求するために、ぜひ参考にしてください。
後遺障害診断書とは?最初に知っておきたい5つの基本情報
後遺障害診断書は、後遺障害等級の認定を受けるために欠かせないものです。
まずは、後遺障害診断書の基本について説明します。
後遺障害診断書ってどんな書類なの?
後遺障害診断書は、後遺障害認定を受けて後遺障害慰謝料を請求するための書類です。
交通事故が原因で後遺障害が残った場合は、加害者に後遺障害慰謝料を請求することができます。
しかし、後遺障害慰謝料は後遺障害があれば誰でも請求できるものではなく、後遺障害の程度などを考慮した認定を受ける必要があるのです。
後遺障害診断書は、この「後遺障害の認定」の際に使用されます。
なお、後遺障害診断書はフォーマットが決まっており、以下のような内容が記載されます。
- 患者の氏名、住所、生年月日、職業
- 受傷日時
- 症状固定日
- 入院期間、通院期間
- 傷病名
- 既存障害
- 自覚症状
- 各部位の後遺障害の内容
加えて、検査結果や他覚症状などについて、図や表を使って記載しなければなりません。
そのため、後遺障害診断書は通常の診断書に比べて非常に詳細な内容が求められます。
後遺障害診断書は誰が作成できるの?
後遺障害診断書が作成できるのは、医師資格を持った医師のみです。
そのため、接骨院や整骨院で後遺障害診断書を書いてもらうことはできません。
また、大きな事故に遭ってしまい複数の後遺障害がある場合、受診した科ごとに後遺障害診断書を作成してもらうことになります。
ただし、同じ症状に対して複数の医療機関に通院しなければならないケースもあります。
たとえば、総合病院で定期的な診察や検査を受け、近隣のクリニックで日常的なリハビリをおこなうような場合です。
この場合は、治療方針を立てている主治医に代表して作成してもらうのがよいでしょう。
後遺障害診断書はいつ作成されるの?
後遺障害診断書を作成してもらえるのは、症状固定のあとです。
症状固定とは、完治に至らず症状が残っているものの、これ以上治療を続けても改善しない状態のことです。
症状固定までにかかる期間は症状によって異なりますが、たとえばむちうちの場合は6ヵ月程度が目安となるでしょう。
なお、交通事故の損害賠償は、基本的に症状固定または完治の診断がされたあとでなければ請求できません。
後遺障害診断書の作成費用はどれくらい?
後遺障害診断書の作成費用は、医療機関によって異なります。
多くの場合は、1通あたり5,000円~1万円です。
しかし、1万円を超えることもあるため、事前に確認しておきましょう。
なお、後遺障害等級が認定されれば、後遺障害診断書の作成費用も相手方に請求することができます。
領収書は大切に保管しておきましょう。
後遺障害診断書の作成期間はどれくらい?
後遺障害診断書は、患者が書類を準備して医師に作成を依頼することになります。
後遺障害診断書を医師に預けてから受け取るまでは、1週間程度かかるのが通常です。
なかには1ヵ月程度かかる医療機関もあるため、受付などで確認しましょう。
急いでいる場合は、なるべく早く作成してもらいたいことを伝えてください。
後遺障害診断書を作成してもらう際の手順|3ステップ
ここからは、後遺障害診断書を作成してもらう際の手順について説明します。
基本的に後遺障害診断書は患者が準備して医師に渡す必要があるため、早めに準備しておきましょう。
1.後遺障害診断書の書式を入手する
後遺障害診断書の入手方法は、以下のいずれかです。
- 加害者側の任意保険会社または自賠責保険会社から郵送してもらう
- 保険会社のホームページから書式をダウンロードする
後遺障害診断書の書式は、保険会社の担当者に請求すれば送ってもらうことができます。
または、インターネットで「後遺障害診断書 書式」などと検索すればPDFファイルをダウンロード可能です。
医師に提出するために印刷しておきましょう。
2.医師に後遺障害診断書の作成を依頼する
書式を持って医療機関へ行き、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。
後遺障害診断書には、自覚症状を記載する欄があります。
そのため、自覚症状をきちんと伝えることが大切です。
書式だけを渡して任せるのではなく、診察時間をとってもらい、症状を詳細に伝えるとよいでしょう。
なお、後遺障害診断書の作成経験が豊富でない医師の場合、作成を一任するのは避けるのが賢明です。
後遺障害等級の認定審査は容易なものではありません。
適切な等級が認定されるためには、内容を詳細に記載する必要があります。
そのため、後遺障害認定を受けたい旨を医師に伝えることはもちろん、記載内容について弁護士などからアドバイスをもらっておくのがおすすめです。
3.記載内容に不備・不足がないか確認する
後遺障害診断書を作成してもらったら、必ず内容を確認しましょう。
症状固定日などの基本情報に間違いがないかや自覚症状の内容に不足がないかを確かめ、間違っていたら修正を依頼してください。
なお、後遺障害診断書においてよくある記載漏れは次のとおりです。
- 可動域制限がある部位の可動域がきちんと計測されていない
- 聴力障害が残ったが、聴力検査の結果が記されていない
- 骨折によって下肢などが短縮されたにもかかわらず記載されていない
- 骨折や脱臼で変形障害が残っているのに体幹骨の変形部分が記されていない
- 外貌醜状があるのに、部位や長さや形が書かれていない など
後遺障害診断書は、適切な後遺障害等級の認定を受けるために重要な役割を担います。
不備や間違いがあると、必要な認定が受けられず、十分な賠償が受けられない可能性があるでしょう。
記載内容に不安がある場合は、弁護士に診断書を確認してもらうのがおすすめです。
交通事故の後遺障害認定に精通している弁護士であれば、等級認定のために必要な検査がおこなわれているかどうかや、自覚症状が十分に認定機関に伝わるかどうか判断してくれます。
後遺障害診断書を受け取った際に特にチェックしておくべきポイント
後遺障害診断書を受け取ったら、必ず内容を確認してください。
全体的に不備がないかを確認するのはもちろんですが、なかでも入念にチェックするべきポイントについて説明します。
1.自覚症状が具体的に記載されているか
自覚症状の欄は、詳しく記載してもらうことが大切です。
検査ではわからない症状は、証拠として医師が認めていることが重要だからです。
たとえ症状があっても、自覚症状の欄に記載されていなければ、後遺障害として認定されません。
とくに、自覚症状が生活や仕事に与える影響を伝えることが大切です。
どの程度の症状なのか、症状が出る頻度や時間帯なども記載してもらいましょう。
たとえば、次のような記載が望ましいです。
- 腕にしびれが残り仕事におけるパソコン作業ができない
- ズキズキとする腰痛が残ったことで30分以上座り続けることができない
- 手に力が入らず、一人で着替えることができない など
2.他覚症状および検査結果が正確に記載されているか
他覚症状や検査結果の記載欄もきちんと確認しましょう。
後遺障害の種類によっては、自覚症状を裏付ける他覚症状が記載されてなければ、認定されないおそれがあります。
自覚症状との関連がわかる内容が記載されていれば安心です。
とくに、次のような内容は必ず記載してもらいましょう。
- 医師による触診や視診の結果
- 運動麻痺や感覚障害を調べる神経学的検査の結果
- レントゲン、CT、MRIなどの画像検査の結果
- 脳波検査の結果
- 心理テストなど精神機能検査の結果 など
たとえば、聴力障害が残ったにもかかわらず聴力測定の結果が記載されていなかったり、ひざなどに可動域制限が残ったのに可動域の記載がなかったりすると、後遺障害等級が認定されません。
「原因不明」などの記載がある場合も後遺障害等級が認定されないため、不要な記載がないかどうかも確認するべきです。
3.障害内容の増悪・緩解の見通しがか記載されているか
後遺障害の見通しについても記載されている必要があります。
後遺障害診断書は、このまま治療を続けても回復しないであろう障害が残ったことを証明するものです。
そのため「緩解の見込みなし」や「緩解は困難」などの記載が必要です。
回復・緩解・治癒・軽減など、今後の回復が見込まれるような内容が書かれていると後遺障害等級が認定されなくなるおそれがあります。
また、予後不明などの曖昧な状態であることを示唆するのもよくありません。
必ず「今後、治る見込みがないこと」が伝わるように記載してもらいましょう。
適切な後遺障害診断書を作成してもらうための3つのコツ
後遺障害診断書の作成は、書式を提出して医師に任せておけばよいわけではありません。
適切な後遺障害等級認定を受けるためには、さまざまなポイントやコツがあります。
医師に作成を依頼するときのコツを確認しておきましょう。
1.日常生活への影響も含めて具体的に症状を伝える
適切な後遺障害等級が認定されるには、けがが日常生活や仕事にどれほど影響しているかがポイントになります。
そのため、医師には症状を伝えるだけでなく、どんなときにどんな風にどれくらいの強さで痛みやしびれを感じるのか詳細に伝えましょう。
受傷したときからずっと続いている症状なのか、天気や時間によって症状が変わるのかによっても、受けるべき等級が異なる場合もあります。
また、症状が日常生活や仕事にどのように影響しているかを伝えることも大切です。
医師には患者の生活や仕事はわかりません。仮に、膝の後遺障害を負ったとしても、立ち仕事や重い荷物を運ぶ仕事なのか、パソコン仕事で座っていることが多いのかによって不便さは異なるでしょう。
なお、後遺障害診断書の作成には数週間後かかることもあるので、記載漏れが不安な場合はあらかじめメモにしておいて渡すなど工夫するのもおすすめです。
2.後遺障害診断書の記載内容について医師と話し合う
後遺障害診断書には、さまざまなことを記載する必要があります。
そのため、医師に全てを任せてしまうのはよくありません。
信頼できる医師だとしても、後遺障害診断書が認定におよぼす影響を熟知しているとは限りません。
理解できていない部分についてはきちんと質問し、何が書かれているのか把握しておきましょう。
そのうえで適切な診断書になっているかどうかわからないときは、弁護士に相談するのもおすすめです。
3.交通事故トラブルが得意な弁護士に相談・依頼する
後遺障害診断書については、弁護士に相談することを強くおすすめします。
後遺障害の等級認定は、損害賠償請求に大きくかかわるものです。
そのため、内容が適切かどうかについては医師よりも弁護士のほうが精通しているといえます。
交通事故に精通した弁護士なら、後遺障害診断書の内容が適切かどうかを確認してもらえるほか、修正箇所や修正内容についても適切に指示してもらえます。
また、後遺障害診断書について、医師とのやりとりを代行してもらうのもよいでしょう。
医師に修正を依頼するのは気が引けるという方はもちろん、やりとりの時間を確保するのが困難な方も、弁護士に依頼すれば全てのやり取りを任せることが可能です。
なお、弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定の手続きも任せられます。
手続きに必要な書類の準備もしてもらえるので、日常生活や仕事への復帰に集中できるでしょう。
さいごに|ベンナビ交通事故で後遺障害が得意な弁護士を探して相談しよう
後遺障害診断書は、適切な後遺障害等級認定を受けるために欠かせない重要な書類です。
不備や記載漏れがあると、正当な損害賠償が受けられなくなるおそれがあるため、医師に任せきりにせず、自身での確認や弁護士へ相談することが大切です。
後遺障害診断書に関することは、交通事故のについて詳しい弁護士に相談するのが一番です。
なお、交通事故問題に精通した弁護士を探すなら、ポータルサイト「ベンナビ交通事故」をぜひ活用してください。
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