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追突事故が物損事故になることもある!怪我人がいないときの手続きとポイントを解説

弁護士監修記事
交通事故
2025年04月07日
2025年04月07日
追突事故が物損事故になることもある!怪我人がいないときの手続きとポイントを解説
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 野条 健人弁護士 (かがりび綜合法律事務所)
地域に根差した法律事務所で、依頼者の声に寄り添った解決を目指す。遺言書の作成や遺産分割協議など相続トラブルについて幅広く対応している。
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  • 「物損のみの追突事故で相手方に請求できる損害額は?」
  • 「追突事故を物損事故として処理されてしまったけど大丈夫?」

追突事故に遭って物損事故として処理されてしまい、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

怪我人がいない場合、追突事故であっても物損事故として処理されます。

物損事故においては、車の修理費や買い替え費用などを相手に請求できますが、具体的などんな費用を請求できるのかわからない方も多いはずです。

そこで本記事では、物損事故として処理する際の手続きや請求できる費用項目について詳しく説明します。

なお、追突事故はケースによっては人身事故として処理したほうが良い場合もあります。

人身事故として処理したほうが受け取れる賠償額が増える可能性もあるため、物損事故・人身事故の違いを理解しておきましょう。

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追突事故でも怪我人がいなければ物損事故として扱われる

追突事故に遭った場合でも、怪我人がいなければ物損事故として扱われます。

交通事故が起こったときに、それが人身事故なのか物損事故なのかを決めるのは警察です。

被害者と加害者の話し合いによって決められるものではありません。

なお、人身事故と物損事故は、定義上は身体的被害の有無で判断されます。

しかし、追突事故の場合、事故直後には被害者が症状を自覚していないケースも少なくありません。

事故によって神経などが損傷していてもすぐに痛みが出ず、数日経ってから怪我をしていたことに気づくケースも多いです。

少しでも違和感がある場合は警察にきちんと伝えましょう。

事故後に人身事故か物損事故のどちらで処理されたのかは、交通事故証明書で確認できます。

交通事故証明書は、交通安全運転センターのホームページから取得申請が可能です。

追突事故を物損事故で処理した場合に請求できる主な費用項目

追突事故が物損事故として処理された場合、被害者はどのような費用を請求できるのでしょうか。

以下では、相手に請求できる主な費用を5つ紹介します。

1.車の修理費用|車を修理した場合に請求できる

追突されたことによって車が傷ついたり壊れたりした場合、原則として修理代は全額が損害賠償の対象となります。

一般的に修理代の賠償金額は、事故前の車の時価相当額が上限です。

時価相当額は、加害者が任意の自動車保険に加入していれば、相手側から提示されます。

しかし、調べ方にもいくつかの方法があるため、提示される金額が妥当とは限りません

時価相当額や実際に修理にかかるであろう費用は、自分で見積って提案するのもよいでしょう。

なお、車の装備にこだわっていた場合など、通常は必要にならない修理代に関しては損害賠償の対象外となることが多いです。

2.車の買替費用|車を買い替えた場合に請求できる

車が追突によって修理できないほどに損傷していた場合や、修理ができても車を買い替えたほうが安く済むときは、車の買替費用を相手に請求できます。

ただし、修理できたにもかかわらず買い替えた場合、修理代のほうが買い替え額よりも低かったときは、修理代の金額が損害賠償の対象となる点に注意が必要です。

修理代と買い替え費用は、いずれか価格が低いほうが適用されると考えてください。

3.車の評価損|車の価値が下がった場合に請求できる

交通事故に遭うと、中古車市場で評価が下がってしまう傾向にあります。

修理をして走行に問題がない状態であっても、買い手が敬遠するため評価額が下がるのです。

この中古車市場で下がってしまった分の価格のことを、「評価損」といいます。

被害者の車に評価損が生じたときは、下がった分の額を損害賠償として請求可能です。

ただし、評価損を損害賠償として請求するためには、交通事故によって評価損が生じたことを立証する必要があります。

立証のためには、日本自動車査定協会などに依頼をして事故前の評価額と事故後の評価額の両方を見積もり、査定書を発行してもらうなどで準備をしましょう。

4.代車費用|修理中に代車を利用した場合に請求できる

交通事故で車が使えなくなり、代車を借りなければならなかったときは、代車のレンタル料も加害者に請求することができます。

ただし、請求できるのは車を修理しているあいだや新車が納入されるまでにかかる代車費用のみです。

また、借りる代車は原則として事故車と同じグレードでなければなりません。

グレードの高い代車を借りると、代車費用の一部は損害賠償請求が認められない可能性が高くなるので注意しましょう。

なお、事故車が高級車であった場合も代車費用の一部が損害賠償の対象外になるおそれがあります。

なぜなら、同じグレードの代車を借りなくても生活ができると判断されるからです。

とくに、外車の場合は、代車費用の全額請求はほとんど認められません

5.休車損害|営業車を修理している場合などに請求できる

追突されたのがタクシーやトラックなど営業車であった場合、破損によって営業上の使用ができなくなるケースがあります。

この際は、休車中の損害分を賠償請求に計上することが可能です。

休車損害とは、交通事故に遭わなければ本来得られたはずの収入のことを指します。

修理が終わるまで営業ができなければ、収入は入りません。

そうすると、被害者の生活に影響が出てしまうため、損害分を加害者に請求できるのです。

ただし、休車損害を請求するためには、休車となった原因が交通事故であることを立証しなければいけません。

この際、収入が減った理由が事故ではなく別の原因であると相手が主張してくる可能性もあります。

立証が難しい場合は、弁護士に相談してサポートしてもらいましょう。

なお、休車損害として請求できるのは、事故に遭わなければ得られたはずの利益からガソリン代などの諸経費を引いた金額です。

また、会社に別の車がある場合など、代用車で営業できるときは、休車損害は請求できないので注意しましょう。

追突事故を物損事故として手続きする際の大まかな流れ|4ステップ

追突事故を物損事故として処理する際の手続きの流れは、以下のとおりです。

  1. すぐに警察へ通報する
  2. 事故相手の連絡先を確認する
  3. 自身が加入する任意保険会社に連絡する
  4. 損害額を確定し加害者との示談交渉を進める

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

1.すぐに警察へ通報する

まずは事故にあったらすぐに警察へ連絡しましょう。

警察への連絡は、人身事故の場合だけでなく物損事故の場合もしなければなりません。

また、加害者だけでなく被害者であっても、自動車の運転者には、交通事故の際には警察に連絡する義務があります。

これは道路交通法で定められており、警察に届け出なかった場合は3ヵ月以下の懲役か、5万円以下の罰金となる可能性があります。

たとえ小さな事故や、その場に相手がいない単独事故であっても届け出をしなければいけません。

怪我をしていないからから警察に連絡するまでもないと判断しないよう気をつけましょう。

また、軽い傷が付いた程度やボディがへこんでしまった程度であっても、当事者同士で話し合うだけで解決することはできません。

なお、警察への届け出をしなければ交通事故証明書が交付されず、損害賠償の請求手続きがスムーズにできなくなってしまいます。

賠償金や保険金が支払われない可能性もあるため、忘れずに警察に通報しましょう。

2.事故相手の連絡先を確認する

警察に連絡したあとは、加害者の連絡先を確認しておきましょう。

確認すべき情報は、以下のとおりです。

  • 氏名
  • 電話番号
  • 住所
  • 車のナンバー
  • 車の所有者
  • 自賠責保険や任意保険の連絡先 など

相手方の情報を確認する際は、免許証・車検証・保険証券などを提示してもらうとスムーズです。

突然の事故では気が動転してしまうかもしれませんが、相手の連絡先を知らないまま解散してしまえば賠償金請求が困難になります。

落ち着いて、相手の情報を確認することが大切です。

なお、警察は刑事上の問題を処理する役割を担っており、損害賠償などの民事的な問題には介入することができません。

そのため、警察が加害者の情報を確認していたとしても、被害者には教えてもらえない可能性があります。

自分で事故相手の連絡先を確認することを、忘れないようにしてください。

3.自身が加入する任意保険会社に連絡する

任意の自動車保険に加入しているなら、自身が加入する保険会社にも連絡しましょう。

修理代などの損害賠償は、基本的に加害者の任意保険会社から支払われます。

しかし、自分が加入する自動車保険会社からも補償を受けられる場合があるのです。

被害者が自身の保険会社から補償を受けられるかどうかや補償範囲は、契約内容によってさまざまです。

また、補償を受けると翌年以降の保険料が上がってしまうケースもあります。

事故状況を伝え、自分のケースは保険の適用の対象になるかどうか、今後の保険料がどうなるのかなどを確認しましょう。

補償を受けられるにもかかわらず、一定期間内に連絡をしなければ、保険が適用されない可能性もあります。

事故後は、できるだけ早いタイミングで保険会社に連絡するのがおすすめです。

なお、物損事故の場合は自賠責保険は適用されません。

そのため、自賠責保険に連絡する必要はありません。

4.損害額を確定し加害者との示談交渉を進める

物損事故で車が壊れて使えなくなったり、修理をしなければならなくなったりした場合、損害額を確定して相手に損害賠償を請求します。

まずは、自動車ディーラーや整備工場に買替費用や修理費の見積書をもらいます。

また、代車費用や休車損害がある場合は、それらを証明する領収書や資料を準備しましょう。

書類が準備できたら、相手の任意の保険会社宛てに郵送します。

相手方が弁護士を立てている場合は、弁護士宛てに送ることになるでしょう。

なお、相手方に見積書を提出する前に無断で修理を進めるのは避けてください。

修理費が高すぎると判断されたり、今回の事故による傷ではないといわれたりして、修理費の支払いを拒否されるリスクがあります。

損害額を確定したからといって、提示したものがそのまま請求できるわけではありません。

相手が納得しない場合は、交渉や調停によって解決を目指す必要があります。

交渉がなかなか進まない場合は、弁護士へ相談することも検討しましょう。

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事故直後に怪我が見当たらなくても病院を受診することが重要!

追突事故に遭ったあとは、怪我が見当たらなくても病院を受診することが重要です。

なぜなら、事故直後は症状がなくてもあとからむちうちなどの症状が出る可能性があるからです。

事故後に症状がなくても、症状が出てから病院に行けばよいと思う方もいるでしょう。

しかし、事故から時間が経ってから病院へ行くと、事故と怪我の因果関係が証明を疑われ、適切な損害賠償を受け取れない可能性があります。

そのため、事故後はすぐに病院を受診し、診断書を作成してもらってください。

必要に応じて人身事故へ切り替える手続きをおこなうことで、慰謝料などの請求も可能になります。

追突事故を物損事故で報告したあとに怪我が発覚した場合の対処法

物損事故として処理された場合でも、あとから怪我が発覚した場合は人身事故に切り替えることができます。

ここでは、事故後に怪我が発覚した場合の対処法を詳しく見ていきましょう。

1.できる限り早く警察に連絡して人身事故に切り替える

当初は物損事故として警察に報告していても、実際には怪我をしていた場合、あとから警察署へ行き、人身事故に切り替える手続きをおこないましょう。

ただし、何の資料もなくただ人身事故への切り替えを申し出ても、対応してもらうことはできません。

まずは医療機関を受診して、医師に診断書を発行してもらいましょう。

診断書・運転免許証・車検証・保険証券などを持って警察署に出向き、手続きをおこなってください。

切り替えが受理されると、改めて警察官が現場を捜査したり、聞き取りをおこなったりして、実況見分が実施されます。

きちんと状況が伝えられるよう、実況見分には立ち会うようにしてください。

なお、実況見分の内容は実況見分調書に記録されます。

実況見分調書は、加害者に損害賠償を請求する際の証拠としても機能するため、実況見分で事故の状況を正確に伝えることが大切です。

保険会社に対する人身事故への切り替えの流れ

警察に申し出るだけでは、人身事故として損害賠償請求をすることはできません。

保険会社への切り替え手続きも別途おこなう必要があります。

自賠責保険や任意保険において人身事故として損害賠償を請求する際には、人身事故の交通事故証明書が必要です。

人身事故の交通事故証明書は、自動車安全運転センターで取得できます。

警察での手続き後、人身事故への切り替えが受理されたら交通事故証明書を取り寄せましょう。

2.切り替えが難しい場合は保険会社に「人身事故証明書入手不能説明書」を提出する

あとから怪我が発覚しても、物損事故から人身事故への切り替えが難しいケースもあります。

とくに、交通事故の発生から時間が経っているときは切り替えが認められないことが多いです。

人身事故への切り替えが認められなければ、警察官による実況見分がおこなわれず、人身事故の交通事故証明書を取得することもできません。

その場合、保険会社へ人身事故証明書入手不能理由書を提出します。

交通事故証明書を入手できない合理的な理由があると判断されれば、請求が認められるでしょう。

なお、実況見分調書がない場合は、ドライブレコーダーの映像など証拠となる資料も必要不可欠です。

人身事故証明書入手不能理由書の入手と同時に、証拠の収集も進めるとよいでしょう。

さいごに|追突事故が物損事故になるかどうかは怪我人の有無で異なる

追突事故が物損事故として処理されるかどうかは、怪我人がいたかどうかで決まります。

物損事故であっても、さまざまな費用について相手に請求できますが、場合によっては人身事故として処理すべきケースもあります。

そのため、事故直後に怪我がなくても必ず病院を受診し、適切な対応をおこなうことが重要です。

人身事故への切り替え手続きや事故後の示談交渉に不安がある場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

弁護士はあなたに寄り添い、有利な条件での示談成立を目指して尽力してくれます。

なお、交通事故トラブルを得意とする弁護士を探すなら、ポータルサイト「ベンナビ交通事故」の活用がおすすめです。

相談したい内容や、オンライン相談・初回の面談相談無料・休日相談可能などの条件で弁護士を探せるので、ぜひご活用ください。

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