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物損事故の修理代が自腹になるケースとは?相手の提示額に納得できない場合は?

弁護士監修記事
交通事故
2025年04月09日
2025年04月09日
物損事故の修理代が自腹になるケースとは?相手の提示額に納得できない場合は?
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 野条 健人弁護士 (かがりび綜合法律事務所)
地域に根差した法律事務所で、依頼者の声に寄り添った解決を目指す。遺言書の作成や遺産分割協議など相続トラブルについて幅広く対応している。
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物損事故では、車や運転者の所持品の修理代・買い替え代などついて、被害者側が加害者側に対して損害賠償請求をおこなうのが通常です。

しかし、事故の過失割合によっては、被害者側が修理代や買い替え代を自腹で負担しなければならないケースもあります。

そこで本記事では、被害者が物損事故の修理代を自腹で負担しなければならないケースや、できるだけ修理代などの自己負担額を軽減するための対処法を解説します。

物損事故に巻き込まれたときに弁護士へ相談するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

物損事故の修理代を自腹で支払う前に知っておくべき基礎知識

物損事故の修理代を誰が負担するのかという点について、基本的なルールを解説します。

修理代は修理業者と保険会社との協議によって決定する

交通事故による車の修理代は、保険会社と修理業者の協議によって決まるのが通常です。

交通事故で車が損傷すると、車体は修理工場に運び込まれて修理代の見積もりがおこなわれます。

見積もり後は、保険会社と修理業者の間で協議がおこなわれ、最終的な修理代が決定されるのです。

しかし、保険会社は修理代を低くしようとするので、最終的な修理代は修理業者が提示した額よりも低くなるケースが多いです。

なお、修理代に納得できない場合は、その点についても示談交渉で争うことができます。

たとえば、修理代金を抑えるために鈑金処理が選択されていることが不満なら、パーツ交換などの修理方法への変更について交渉をしてみましょう。

修理代の自己負担分は過失割合に応じて変動する

「物損事故の被害者は、加害者に対して修理代を全額請求できる」というのは間違いです。

修理代などの賠償金の負担額は、物損事故の当事者それぞれの過失割合によって変動します。

たとえば、物損事故で修理代が総額50万円発生する事案において、物損事故の当事者の過失割合が「8対2」の場合、「加害者側は40万円」「被害者側は10万円」の割合で修理代を負担しなければいけません。

つまり、物損事故の被害にあったとしても、被害者側は10万円分は修理代を自腹で支払わなければいけないということです。

なお、被害者側の過失割合が0のいわゆる「もらい事故」の場合、修理代は全額加害者側が負担してくれるので、被害者本人が自腹で修理代を支払う必要はありません。

物損事故の修理代は自賠責保険の補償対象外

交通事故が起こったときには、自賠責保険や任意保険から保険金が支払われます。

自賠責保険は法律に基づいて加入が義務付けられている強制保険であるのに対して、任意保険はその名のとおり、加入が義務付けられているものではありません。

また、そもそも自賠責保険は交通事故によって生命・身体に損害を被った被害者を最低限補償する目的で定められた制度です。

そのため、自賠責保険は人身事故だけに適用され、物損事故には適用されません。

つまり、物損事故で修理代が発生したときには、自賠責保険ではなく任意保険の保険金をあてにするしかないのです。

加害者側が任意保険に加入していない場合には、加害者本人に支払ってもらうほか、加害者の財産・給与に対して強制執行をかける手段が考えられますが、それでも修理代を確保できない場合は被害者が自腹を切るしかないでしょう。

物損事故の修理代が自腹になりやすいケース

物損事故の被害にあったときには、本来は加害者側の保険会社から修理代などを賠償してもらえるはずです。

ところが、物損事故の状況次第では、被害者本人が自腹を強いられる可能性があります。

ここでは、物損事故の修理代が自腹になりやすいケースを具体的に紹介します。

自身に過失があり、任意保険に未加入の場合

物損事故について被害者側にも過失割合が認められる場合で、かつ被害者本人が任意保険に加入していないときには、修理代を被害者本人が自腹で支払わなければいけません。

たとえば、修理代が100万円で被害者に3割の過失割合が認められた場合は、30万円分は被害者が負担する必要があります。

この際、被害者が任意保険に加入していれば、保険によって修理代を賄うことができますが、保険に加入していない場合は自腹で支払うしかありません。

保険の上限額よりも修理代のほうが高い場合

物損事故について被害者側にも過失割合が認められる場合で、かつ被害者自身が任意保険に加入しているものの、修理代などが高額で自動車保険の上限額を超えるときには、被害者本人が修理代を自腹で支払わなければいけません。

任意保険の補償内容は、保険商品によってさまざまです。

補償額が無制限の保険商品もあれば、上限額が設定されているものもあります。

そのため、物損事故で生じた修理代の負担額が自動車保険の上限額を超過する場合は、被害者が自腹で修理代を支払う必要があるでしょう。

車両の時価よりも修理代のほうが高い場合

物損事故に巻き込まれた車両の時価よりも修理代のほうが高いときには、被害者本人が修理代を自腹で支払う必要があります。

なぜなら、物損事故の損害賠償額を決めるときには、以下2つのうち低いほうの金額が基準とされるからです。

  1. 実際にかかる修理費用
  2. 車両の時価

たとえば、年式が古い車両や走行距離が相当長い車両などの場合、自動車の時価は「ほぼ0円」となるケースもあります。

その場合、実際にどれだけ高額の修理代が発生したとしても、任意保険から支払われる保険金は「時価である0円」が上限になるので、修理費用を自動車保険で賄うことができません。

なお、車両の時価のほうが修理代よりも高いときには、自動車保険の上限額の範囲で収まる限りにおいて、修理代は保険金から全額支払われます。

相手が任意保険に未加入で支払い能力がない場合

物損事故の加害者が任意保険に加入しておらず、本人に支払い能力がない場合には、被害者自身が修理代を自腹で支払わなければならない可能性があります。

加害者が任意保険に加入していない以上、修理代は加害者本人に請求せざるを得ません。

加害者本人に十分な収入がある場合は、示談交渉や民事訴訟などの法的措置によって修理代を回収することは可能です。

しかし、加害者本人に資力がない場合、民事訴訟で債務名義を取得して強制執行をかけたとしても、差し押さえが空振りに終わってしまいます。

損害賠償請求権を行使しても回収できなければ泣き寝入りをせざるを得ません。

最終的には、被害者本人が物損事故の修理代を自腹で支払わなければならないでしょう。

物損事故の修理代を補償する保険の種類

物損事故の修理代を自腹で支払いたくないときには、保険金を頼るのが賢明です。

ここでは、物損事故の修理代を補償する保険商品の種類について解説します。

加害者側の対物賠償保険 | 被害者側の損害賠償金を支払う場合に利用

対物賠償保険(対物賠償責任保険)とは、交通事故で他人の財産に損害を与えたことで生じた損害賠償責任を補償する自動車保険のことです。

物損事故で被害を受けた場合、加害者が対物賠償責任保険に加入していれば、加害者側の任意保険会社から修理代を支払ってもらえます。

ただし、加害者が加入している対物賠償責任保険に限度額が設けられており、修理代が限度額を超過する場合には、対物賠償責任保険だけでは修理代は補償されません。

超過分については、加害者本人に対して直接損害賠償請求をしましょう。

自分の対物賠償保険 | 自分が加害者で相手に賠償金を支払う場合に利用

物損事故の状況次第では、被害者側にも一定の過失割合が認められる可能性があります。

被害者側に過失割合があるケースにおいて、加害者側にも損害が生じた場合には、加害者側の車両の修理にかかった費用などを一部負担しなければなりません。

被害者自身が対物賠償責任保険に加入しているのなら、被害者側の任意保険から加害者分の修理代を支払うことができます。

ただし、被害者が加入している対物賠償責任保険の上限額を超える修理代が発生したときには、超過額を自腹で支払う必要があるでしょう。

自分の車両保険 | 加害者が不明な場合や単独事故の場合に利用

車両保険とは、交通事故で自分の車両が壊れたり、落書き・いたずら・盗難・当て逃げなどの被害にあったりしたときに、保険会社が修繕費を補償してくれる保険のことです。

たとえば、以下のようなケースで保険金から修理代が捻出されるので自腹を回避できます。

  • 物損事故の加害者が加入の対物賠償責任保険だけでは修理額を賄えなかった場合
  • 当て逃げされて損害賠償請求をする加害者の身元が不明な場合
  • 単独事故を起こした場合

加害者(自分)の対物超過補償特約 | 時価額を超えた補償を可能とする保険

対物超過補償特約(対物超過特約/対物超過修理費用特約)とは、対物賠償責任保険が適用される交通事故において、相手方の車両の時価額を超過する修理代が発生したときに、任意保険から保険金が支払われる保険特約のことです。

対物賠償責任保険で補償される修理代は、相手方の車両の時価額が上限とされます。

つまり、物損事故によって相手方の車両に時価額を超過する修理代が生じたときには、対物賠償責任保険では修理代全額が補償されません。

しかし、これでは被害者が加害者本人に対して時価額を超過する修理代を支払うように直接交渉する必要があるうえ、加害者に経済力がなければ被害者が自腹で超過分の修理代を支払わなければいけません。

その点、相手方が自動車保険に対物超過補償特約を付帯させていれば、車両の時価額を超える修理代が発生したとしても、相手方の保険金で賄ってもらえるでしょう。

ただし、任意保険会社ごとに対物超過補償特約の上限額などの諸条件が異なるので注意が必要です。

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物損事故の修理代は保険利用と自腹のどちらにすべき?検討する際のポイント

物損事故で生じた損害に対する修理代は、各種保険サービスで補償してもらうことが可能です。

ただし、物損事故の状況次第では、自動車保険を利用するのでなく、自腹で修理代を支払った方が賢明なケースも少なくありません。

そこで、ここからは物損事故の修理代を自腹で負担するべきか任意保険で賄ったほうがよいのかを判断するときのポイントを解説します。

前提として自分が被害者なら修理代は相手へ請求する

前提として物損事故の被害者は、加害者に修理代などについて損害賠償請求できます。

そして、たいていの物損事故では、加害者が加入している対物賠償責任保険や対物超過修理費用特約から修理代などが支払われるのが一般的です。

そのため、大規模な事故や相手方に相当の問題がない限りは、修理代などを自腹で支払うことはないと思ってよいでしょう。

保険料の値上がり分と修理代を比較して、負担が少ない方を選ぶ

物損事故の修理代について、保険を使うべきか、自腹で支払うべきか迷った場合は、翌年以降の保険料の値上がり分と修理代を比較することが大切です。

自動車保険に修理代を補償してもらえば、自腹での負担は回避できます。

しかし、自動車保険を利用すると、翌年度以降の保険料負担が増える点に注意が必要です。

物損事故の場合、保険料は最低でも数万円程度増額する可能性があるでしょう。

そのため、修理代よりも保険料の増額分が少ない場合、自動車保険で賄うのではなく、自腹を選択したほうが、中長期的には金銭負担を減らすことができるのです。

なお、保険料の計算方法・金額は任意保険会社・保険商品ごとに異なります。

また、近い将来車を買い替えたり、他の任意保険会社に乗り換えたりする予定があるのかどうかもポイントになるでしょう。

自動車保険を利用したほうが得なのか、自腹で修理代を支払ったほうがよいのか、保険会社の担当者にシミュレーションしてもらうことをおすすめします。

相手方への補償が高額になった場合は自腹でなく保険を使うべき

物損事故で自動車などに大きな損傷が生じた結果、修理代が高額になったときには、自腹ではなく自動車保険を使ったほうがよいでしょう。

修理代が数万円程度の軽微な物損事故なら、保険料の上昇額以内に収まる可能性が高いです。

しかし、修理代が数十万円以上に及ぶ深刻な物損事故の場合には、素直に自動車保険を使ったほうが家計への負担は軽く済むでしょう。

物損事故の状況や実際の修理代、家計の収支バランス、保険会社の試算結果などを総合的に考慮したうえで、自腹で払うべきか任意保険を使うべきかを判断してください。

相手側の提示した賠償金額に納得できない場合の対処法

物損事故に巻き込まれると、加害者側の保険会社から修理項目・修理代などの諸条件が提示されます。

加害者側が提示してきた示談条件に不満がないのなら、和解契約書にサインをして修理代を支払ってもらいましょう。

一方、修理代などの損害賠償額や慰謝料額に不満があるときには、希望通りの金額を支払ってもらうための対応をとる必要があります。

ここでは、物損事故の相手方が提示した修理代などに納得できないときの対処法を解説します。

時効の前に示談交渉で合意をする(妥協案も検討する)

修理代などの諸条件に不満があるときには、相手方との示談交渉をおこなってください。

示談交渉とは、物損事故などの民事紛争について当事者間の話し合いによって解決を目指すことです。

とくに、物損事故の場合は修理代について争点となるケースが多いです。

たとえば、修理代について加害者側が不当に低い金額を提示してきたり、不満がある修理方法を選択していたりする場合には、納得できる修理代を支払うように相手方に請求できます。

ただし、物損事故トラブルでは、加害者側が簡単に被害者側の主張を受け入れてくれるとは限りません。

早期の合意形成を目指すなら、修理代の引き下げや分割払いなどで妥協することも大切です。

なお、物損事故の損害賠償請求権には「被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」という消滅時効期間が定められている点に注意が必要です。

この期間内に修理代の賠償請求について何かしらの対処をおこなわなければ、消滅時効が原因で損害賠償請求権を行使できなくなります。

相手方が対物超過補償特約に加入していないか確認する

相手方から提示された修理代や賠償金額に納得できないときは、相手方が加入している自動車保険の内容を確認してください。

たとえば、高額の修理代金が発生するほどの事故でも、相手方が対物超過修理費用特約を付帯させていれば、対物賠償責任保険を超過する修理代も支払ってもらえる可能性が生じます。

ただし、被害者側には相手方に対物超過修理費用特約を使わせる法的権利があるわけではありません。

つまり、相手方が対物超過修理費用特約を任意で使用しない限り、高額の修理代を保険金から受け取ることはできないということです。

このようなケースでは、対物超過修理費用特約を使うメリットを相手方に示しながら慎重に示談交渉を進める必要があるでしょう。

ADRを利用する

相手方との話し合いで修理代などの諸条件について合意に至らない場合には、ADR機関の利用を検討してください。

ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、私人間の民事紛争の解決を目指す「裁判外紛争解決手続き」のことです。

民事訴訟では判決による解決を実現できるものの、裁判手続きを進めるには相当な時間や労力を強いられます。

そのため、交通事故トラブルの早期解決を希望する人にとって、必ずしも民事裁判は適しているとはいえません。

そこで、ADR機関の仲裁・斡旋などを利用すれば、裁判手続きよりも短い期間で当事者間の合意形成を期待できます。

交通事故トラブルに特化したADR機関としては、以下のものが挙げられます。

これらの機関に連絡をすれば、弁護士や専門の担当員が当事者の間に入り、双方の主張を整理しながら合意形成をサポートしてくれます。

もちろん、無理に自分の意見を曲げる必要はありませんが、交通事故実務に詳しい専門家や専門員がサポートをしてくれるので、現実的な条件での和解を目指しやすいでしょう。

なお、ADR機関によって手続きの流れ・申し込み方法は異なるので、ADRの利用を検討している人は各機関まで直接問い合わせをしてください。

調停を申し立てる

調停とは、民事訴訟のように「判決」で紛争解決を目指すのではなく、簡易裁判所において当事者間の合意形成を促す手続きのことです。

簡易裁判所の裁判官と一般市民から選出された調停員が当事者の間に入り、意見や主張を整理しながら妥協点を探ったり、合意形成をサポートしてくれたりします。

調停は、民事訴訟よりも簡易簡便な手続きで利用可能です。

また、民事訴訟よりも低額で手続きを利用できる点もメリットといえるでしょう。

なお、調停手続きで合意形成に至らなかったとしても、裁判所が「調停に代わる決定」を下して、当事者から2週間以内に異議申し立てがなされたかったときには、調停が成立したと扱われます。

ただし、当事者間のみの示談交渉やADR機関における仲裁・斡旋に比べると、調停期日への出頭を強いられるなど、手続き面での決まりごとが多い点に注意が必要です。

「物損事故トラブルをできるだけ早期に解決したいが、裁判所の関与があったほうが安心できる」という人は、簡易裁判所の調停手続きの利用を検討してください。

訴訟を提起する

示談交渉やADR、調停をおこなっても当事者間で合意形成に至らない場合には、民事訴訟を提起する方法しか残されていません。

民事訴訟とは、裁判官が当事者の主張を聴取したり、証拠調べをしたりすることによって、判決という形で解決を目指す裁判手続きのことです。

たとえば、物損事故の被害者が加害者に対して修理代の支払いを求めて民事訴訟を提起した場合、認容判決が下されると、不法行為に基づく損害賠償請求権が確定します。

敗訴した加害者側が判決で定められた賠償額を支払わないときには、強制執行手続きによって加害者本人の財産・給与などを差し押さえることができます。

民事訴訟を利用すれば、物損事故トラブルは必ず決着に至ります。

ただし、民事訴訟を進めるには、訴状や証拠書類を用意するなどの準備や口頭弁論期日への対応などが必要です。

法律に詳しくない素人だけで民事訴訟を乗り切るのは簡単ではないので、必ず弁護士に相談・依頼をしてください。

請求額が60万円以下なら少額訴訟も使える

物損事故トラブルの請求額が60万円以下の場合には、通常の裁判手続きではなく「少額訴訟」を利用できます。

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める事件について特別に認められる簡易・簡便な訴訟手続きのことです。

原則1回の期日で審理を終えて判決が下されるので、短期間で裁判所による解決を期待できます。

比較的低額の修理代をめぐる物損事故トラブルの場合、当事者間の示談交渉がスムーズに進まないのなら、ADRや調停ではなく少額訴訟手続きを利用したほうが効率的な可能性もあるでしょう。

相手方の提示する過失割合が納得できない場合は客観的な証拠を収集する

相手方の提示する過失割合に納得できない場合は、客観的な証拠を集めることが非常に重要です。

物損事故の過失割合は当事者が負担する賠償額を左右するため、話し合いでなかなか合意に至らないケースも少なくありません。

そのため、訴訟にまで発展するケースも多く、その場合はドライブレコーダーや事故現場の写真など、客観的な証拠が求められます。

過失割合で争いになったときに備えて、事前に証拠を収集しておくとよいでしょう。

弁護士に相談・依頼する

物損事故の相手方が提示した修理代などの諸条件に納得できないときには、弁護士に相談・依頼をすることを強くおすすめします。

交通事故トラブルを得意とする弁護士に依頼すると、以下のようなメリットを得られます。

  • 相反する主張をする相手方との間で冷静に話し合いを進めてくれる
  • 過失割合や修理代など、こちら側の主張を根拠付ける証拠を収集してくれる
  • 相手方が対物超過修理費用特約を付帯させているかを確認してくれる
  • 民事訴訟や強制執行などの法的措置をほとんど全て代理してくれる

なお、弁護士に依頼する際の費用について不安を抱える人も少なくはないでしょう。

実際、物損事故においては相手方に慰謝料を請求できず、弁護士に依頼をすると費用倒れになるリスクがある点に注意が必要です。

とはいえ、無料相談に対応している法律事務所であれば、費用負担なしで弁護士の意見を聴くことができます。

弁護士に依頼をしたときに費用倒れになるかも事前に教えてくれるでしょう。

もちろん、一度相談したからといって必ず依頼しなければならないということはないので、まずは一度弁護士へ相談してみてください。

ベンナビ交通事故では、交通事故トラブルを得意とする弁護士を多数紹介しているので、この機会にぜひ活用してください。

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交通事故の被害者でも、過剰請求となるような修理代は認められないので注意する

物損事故に巻き込まれたからといって、加害者に対して何でも請求できるというわけではありません。

物損事故の被害者が加害者に対して請求できるのは、物損事故との因果関係が認められる費用だけです。

過剰請求は当然認められませんし、相手方に無理矢理支払いを迫るような示談交渉をすると、被害者側が刑事責任を問われるリスクが生じます。

物損事故の被害にあって腹が立つのは当然ですが、あくまでも冷静に示談交渉を進めるべきでしょう。

物損事故における修理代の自腹に関するよくある質問

さいごに、物損事故の修理代が自腹になるか不安を抱えている人からよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。

社用車での物損事故も修理代は自腹になる?

従業員が仕事中に物損事故を起こしたときには、修理代の一部は自腹で支払わなければいけないものの、会社側が賠償責任を負担してくれる可能性が高いと考えられます。

これは、業務中の物損事故については、会社側にも「使用者責任」という責任が生じるからです。

使用者責任とは、簡単に説明すると「従業員が業務遂行のために使用していた車で事故を起こした場合、その従業員を雇っている会社にも責任がある」という考え方です。

ただし、使用者責任があるからといって、損害額の全額を会社が負担しなければならないわけではありません。

また、会社が従業員に対して損害賠償をおこなうことは制限されない点にも注意が必要です。

全額とはいかないものの、従業員が修理代の一部を自腹で支払わなければならない可能性はゼロではないでしょう。

保険適用による保険料の増額分は相手に請求できる?

自分が契約している任意保険を使うと、翌年度以降から保険料が増額されてしまいます。

そのため、物損事故の被害にあったときには、保険料の増額分も相手方に請求したいと考える人もいるでしょう。

しかし、任意保険を使用したときの保険料増額分は損害賠償項目に計上できないというのが実務上の運用です。

保険料の増額分が気になる人は、任意保険を使用して保険料が増額したケースと保険未使用で修理代を自腹負担したケースを比較してみましょう。

どちらが家計への影響を抑えられるかを事前にシミュレーションし、より金銭負担が少ない選択肢を選ぶことが大切です。

さいごに|物損事故を起こしたときは弁護士に相談を!

物損事故を起こしたときや物損事故に巻き込まれたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をしてください。

物損事故には自賠責保険が適用されない以上、当事者自身が加入している任意保険を利用するか、当事者本人が自腹負担をするかについて、できるだけ早いタイミングで判断が必要です。

ベンナビ交通事故では、物損事故トラブルなどを得意とする弁護士を多数掲載しています。

法律事務所の所在地、具体的な相談内容、初回相談無料などのサービス面から弁護士を検索できるので、ぜひご活用ください。

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編集部
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