10対0の事故なら代車費用を請求できる!条件や揉めないためのポイントを解説


- 「過失割合が10対0の事故は、代車費用を全額請求できる?」
- 「過失割合が10対0の場合、代車代はどうなる?」
過失割合が10対0の事故に遭って代車が必要なとき、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
過失割合が10対0の事故であれば、全額の代車費用を加害者に請求することができますが、いくつかの条件を満たす必要があります。
適切に対処しなければ、代車費用に関して揉める可能性もあるため、ポイントを押さえておくとよいでしょう。
本記事では、加害者側と揉めることなく確実に代車費用を全額請求するために、気をつけるべきことを紹介します。
10対0の交通事故なら原則として代車費用の全額を請求できる!
交通事故の被害に遭った際、車を修理しているあいだや買い替えで新しい車を待っているあいだ、代車を使わなければならないこともあるでしょう。
過失割合10対0の交通事故の場合、発生した全ての損害について加害者側に賠償請求できるのが通常です。
そのため、原則として代車費用も全額を請求することができます。
なお、被害者にも過失がついた場合は、相手方の過失分に応じた代車費用しか請求できません。
たとえば、過失割合が9対1で代車費用の合計が50,000円だとすると、50,000円から10%を差し引いた45,000円を請求することになります。
ほかにも代車費用を請求するには、以下の条件を満たす必要があることを覚えておきましょう。
- 代車を実際に使用した
- 有料の代車を借りて費用を支払った
- 代車の費用が適切な金額である
- 代車を使わなければならない状況であった
- 代車を使用した期間が適切である
10対0の交通事故における代車費用の取り扱いで揉めやすいケース
10対0の交通事故だったとしても、代車費用の支払いに関して揉めてしまうことがあります。
以下では、なかでも揉めやすいケースを紹介します。なるべく揉めないように対策を講じておきましょう。
1.新車に買い替える場合
全損ではないにもかかわらず、新車に買い替えるケースでは代車費用の全額支払いを認めてもらえないことがあります。
修理をすればまた自動車を使えるような場合、かつ修理費のほうが安く済みそうな場合は、買い替えまでの代車費用の全額支払いを認めてもらうのは困難でしょう。
人気車種の新車に買い替える場合、納車まで数ヵ月かかることも少なくありません。
そのあいだに代車を使い費用を支払っていたとしても、数週間分の支払いしか認められないことがあります。
人気車種の新車でなければ、通常は数週間で納車されるからです。
新車に買い替えたい場合は、修理費などを見積もって買い換えたほうが安価で済むことを証明したり、人気車種を選ぶなら妥当な理由を伝えて交渉したりしなければなりません。
2.修理までに時間がかかっている場合
修理までに時間がかかっている場合も、代車費用の取り扱いで揉めやすくなります。
代車費用の全額支払いが認められる期間は、2週間~1ヵ月であることが多く、それ以上になると支払いを受けられなくなったり、返還を求められたりします。
とくに修理に時間がかかりやすいのは、過失割合で揉めている場合です。
過失割合で揉めていて損害賠償請求ができるかどうかわからない状況では、修理工場にとってはあとから修理費用をきちんと支払ってもらえるかわかりません。
そのため、修理が開始されないということが起こるのです。
過失割合で揉めていても、被害者が事前に修理代を支払えば修理ははじまります。
修理がはじまらないまま代車を借りていると、あっというまに2週間~1ヵ月以上が経ってしまい、全額を支払ってもらえないということが起こり得るので注意しましょう。
ただし、過失割合が決まっていない状態で費用を立て替えるのは、必ずしも良いとは限りません。
過失割合が決まるまでは修理も待ったほうがよいケースもあるので、事前に弁護士へ相談するのがおすすめです。
3.事故車両と代車のグレードが見合わない場合
事故に遭った車両よりも代車のほうがグレードが高い場合、代車費用を全額支払ってもらうのは難しいでしょう。
代車費用を全額請求するためには、原則としてもともと乗っていた車と同じグレード以下の車を代車として利用する必要があります。
ただし、被害者が乗っていた自動車が外車などの高級車であった場合は、同じグレードの代車を使用することも基本的には認められません。
もともと乗っていた車のグレートが高い場合は、低いグレートの代車を選ぶ必要があるでしょう。
10対0の交通事故における代車費用で揉めないための3つのポイント
過失割合が10対0の交通事故に遭い、被害を被っているにもかかわらず代車費用で揉めるのは、被害者にとって非常にストレスになるでしょう。
相手と揉めてしまわないように、被害者ができる3つのポイントを紹介します。
1.保険会社に代車の利用に関する承諾を得ておく
代車を使わなければならなくなったら、事前に加害者側の保険会社に連絡しておくのが一番です。
代車のグレードや使用期間など、代車費用が支払われる条件について話し合いをしておきましょう。
承諾を得ずに代車を使用してあとにから費用を請求すると、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
万が一、代車費用の全額が支払われなければ、一部を自己負担しなければいけません。
2.代車の利用が正当であることの証拠を用意する
代車費用について加害者側の保険会社とトラブルにならないよう、または揉めたときに妥当性を主張することができるように、代車を使わなければ仕事や生活ができないことを客観的に証明できる証拠を確保しておきましょう。
とくに、代車を使用する必要性と代車の種類や使用期間の相当性が伝わる資料を用意するのが大切です。
万が一、交渉で代車費用の支払いが認められない場合でも、証拠があれば弁護士に依頼して示談交渉をしてもらったり、民事訴訟において裁判官に判断してもらったりすることができます。
なお、代車利用の正当性を証明する証拠となるのは、次のような資料です。
- 家族が保有している他の自動車の有無
- 仕事内容がわかる雇用契約書
- 最寄り駅までの距離を示す資料
- 通院先の医療機関までの地図
- 自動車の具体的な利用方法
- 修理の入庫日や完了日がわかる資料 など
これらを用いて、客観的に代車の必要性を証明できれば、費用の全額請求も認められるでしょう。
3.交通事故トラブルが得意な弁護士に相談・依頼する
代車費用で揉めないためには、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
交通事故トラブルの解決を得意とする弁護士であれば、代車が必要である証拠を収集してくれたり、証拠を持って交渉にあたってくれたりと、代車費用を全額受け取れるようにサポートしてくれます。
とくに、交通事故でけがをしてしまって通院しなければならない状況では、加害者側の保険会社と交渉するのはたいへんでしょう。
また、過失割合10対0の事故であるにもかかわらず、相手側が請求を認めないような状況は精神的にも負担がかかります。
弁護士に相談・依頼して、交渉や手続きを代理してもらうとよいでしょう。
なお、過失割合によっては被害者側の保険会社が示談を代行してくれるケースがあります。
しかし、過失割合10対0の事故の場合は、被害者側の保険会社は示談交渉ができません。
過失割合が10対0の場合は、迷わず交通事故に精通した弁護士へ相談してください。
ベンナビでは、交通事故の事案を得意とする弁護士を多数掲載しています。
これまでの実績から、代車費用を全額受け取れるようにサポートしてくれるので、まずは一度相談してみるとよいでしょう。
10対0の事故なのに加害者側が代車費用を支払ってくれない場合の対処法
過失割合が10対0の事故に遭い、代車が必要であるにもかかわらず加害者側が代車費用を支払ってくれなければ、どうすればよいのでしょうか。
以下では、代車費用を支払ってもらえないときの対処法を紹介します。
1.自身が加入する任意保険の代車特約を利用する
加害者側の保険会社に代車の利用を打診しても認められない場合、自身が加入している任意保険会社に連絡をして、車両保険に代車費用特約がついているかを確認しましょう。
代車費用特約をつけていれば、条件によっては自己負担なしで代車費用の補償を受けられる可能性があります。
条件や内容は加入している保険会社によりますが、30日間を上限に日額7,000円程度までは支払われるのが一般的です。
なお、代車費用特約は、レンタカー費用特約や事故故障時代車費用特約という名前で提供されている場合もあります。
特約が付帯しているかわからない場合は、直接問い合わせて状況を伝えてみるとよいでしょう。
2.訴訟などで請求する
加害者側の保険会社が支払いを認めなくても、裁判などの法的な手段を取ることによって支払いが認められるケースがあります。
そもそも、保険会社が代車費用の支払いを拒否している理由は、次のようなものであることがほとんどです。
- 代車を使用する必要性があると考えられない
- 代車グレードや種類が相応でない
- 代車の使用期間が妥当でない
これらの要件を満たしていることを証明できれば、代車費用は全額支払ってもらえます。
交渉でも認めてもらえない場合は、弁護士に依頼して訴訟などで争うことも検討しましょう。
10対0の交通事故の代車費用に関してよくある質問
ここからは、過失割合が10対0の交通事故で代車を借りる際の費用について、よくある質問と回答を紹介します。
Q.代車の保険料やガソリン代も請求できる?
通常、代車費用として保険料やガソリン代は認められません。
ガソリン代や保険料は、事故で自動車が損傷を受けなかったとしても、自動車で移動する際には必ずかかる費用です。
そのため、代車を利用する人が自己負担しなければなりません。
その点、代車を自分で選べる場合は、できるだけ燃費がよいものを選ぶのがよいでしょう。
Q.レンタカーを利用する場合も費用を請求できる?
代車としてレンタカーを借りた場合でも、レンタカー代を代車費用として請求可能です。
この場合、まずは被害者がレンタカー会社に料金を支払い、あとから加害者側に損害賠償請求をするという流れになります。
ただし、相手側の任意保険会社がレンタカー会社に直接費用を支払うケースも少なくありません。
支払い方法などを保険会社に確認してから代車を借りるとよいでしょう。
さいごに|代車費用などの損害賠償に関する悩み・不安は弁護士に相談を!
過失割合10対0の事故の場合、適切に条件を満たせば代車費用を全額請求することができます。
しかし、代車費用の請求に必要な証拠を集めたり、有利に交渉を進めたりするためには、法的な知識も必要です。
代車費用などの損害賠償に関して悩みがあるなら、交通事故トラブルに精通した弁護士に相談しましょう。
弁護士が適切に対応すれば、被害者自身で交渉するよりもスムーズに解決できるうえ、最大限の補償を受けられる可能性が高くなります。
交通事故における代車費用などの悩みは、法律事務所の無料相談などを利用して早めに専門家に相談しましょう。