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法テラスでは任意整理の費用がどのくらい安くなる?利用条件や注意点も解説

弁護士監修記事
債務整理
2025年07月30日
2025年07月30日
法テラスでは任意整理の費用がどのくらい安くなる?利用条件や注意点も解説
この記事を監修した弁護士
山口 海弁護士 (しおかぜ法律事務所)
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任意整理を検討している方の中には、「弁護士費用が高くて手続きに踏み出せない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

借金を減額したくても弁護士費用の工面が難しい場合、法テラスの利用が有力な選択肢となります。

法テラスとは、経済的に余裕のない人でも法的トラブルを解決できるように支援する公的機関のことです。

一定の条件を満たせば通常の法律事務所に依頼するよりも安く任意整理をおこなうことができます。

本記事では、法テラスを利用した任意整理にかかる費用の目安や、利用できる条件、申し込みの流れ、利用時の注意点までを詳しく解説します。

「費用面がネックで任意整理に踏み切れない」という方は、ぜひ参考にしてください。

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法テラスで任意整理を依頼した場合の弁護士費用はどのくらい?

法テラスを通して任意整理を依頼した場合の費用相場は、以下のとおりです。

債権者数 相談料 着手金 実費 合計
1社 0円 33,000円 10,000円 43,000円
2社 0円 49,500円 15,000円 64,500円
3社 0円 66,000円 20,000円 86,000円

法テラスに任意整理を依頼すると、借入先が複数ある場合でも、弁護士費用を1社あたり2万円〜3万円程度に抑えられます。

一方で、法テラスを利用せずに自分で弁護士を探して直接任意整理を依頼した場合の費用は、借入先1社あたり5万円〜10万円ほどです。

弁護士費用の内訳 費用
相談料 0円~10,000円程度
着手金 1社につき 0~50,000円程度
基本報酬 1社につき 20,000円~50,000円程度
減額報酬 借金のうち減額した金額の約10%~20%

実際にかかる費用は法律事務所によって異なりますが、法テラスに依頼するよりもはるかに費用が高額になるといえます。

法テラスで任意整理を依頼すれば、弁護士費用の立替払い・分割返済も可能

法テラスでは、民事法律扶助制度の一環として、弁護士費用を立て替えもおこなっています。

弁護士費用の立替制度を利用した場合は、任意整理にかかった弁護士費用を毎月5,000円〜10,000円程度の分割払いで返済していくことになり、一括で支払う必要はありません。

さらに、支払いが困難になった場合には、一時的に支払いを猶予してもらえる制度も用意されています。

まとまった資金を用意できず弁護士に依頼できない方にとって、法テラスの立替制度は大きな助けとなるはずです。

生活保護受給者は、返済が免除される可能性がある

法テラスの民事扶助法律制度を利用した場合、原則として立て替えてもらった弁護士費用は後日分割で返済しなくてはいけません。

ただし、任意整理をしたあとに生活保護を受給することとなった場合は、以後の返済が免除される可能性があります。

免除の可否は法テラスによる審査に基づいて決定されるため、申請時には生活保護受給証明書や収支状況を示す資料などが求められます。

任意整理後に生活保護を受給することとなった場合は、法テラスや担当弁護士に問い合わせて手続きや必要書類を確認しておきましょう。

法テラスで弁護士に任意整理を依頼できる条件

法テラスの民事法律扶助制度を利用して任意整理を進めるには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 収入が一定基準以下であること
  • 資産が一定基準以下であること

それぞれの基準について、詳しく見ていきましょう。

収入が一定基準以下であること

法テラスを通じて弁護士に任意整理を依頼するには、収入が一定基準以下であることが条件です。

基準額は世帯人数や居住地によって異なり、東京都特別区などの大都市の場合は以下のように定められています。

家族人数 収入基準
1人 200,000円
2人 276,100円
3人 299,200円
4人 328,900円

※2025年5月時点

収入は、給与だけでなく賞与や仕送りなども含めて総合的に判断されるため、申請時には源泉徴収票や給与明細などの収入証明書類の提出が必要です。

また、家賃や住宅ローンの支払いがある場合はその分も一定限度まで加算できます。

資産が一定基準以下であること

法テラスで任意整理を依頼するには、収入だけでなく保有する資産が一定基準を下回っている必要もあります。

資産とは、現金や預貯金、株式、保険の解約返戻金、不動産などを含み、これらの合計額が基準を超えていると民事法律扶助制度の対象になりません。

資産についても、収入と同じように世帯の人数によって以下のように基準が異なります。

家族人数 資産基準
1人 180万円以下
2人 250万円以下
3人 270万円以下
4人 300万円以下

※2025年5月時点

なお、資産については居住地がどこであっても上記の基準となります。

法テラスを利用する際は、資産額を証明するために預金通帳や保険証券などの書類を提出する必要があります。

虚偽の申告をすると利用が認められないため、正確に資産状況を報告することが重要です。

法テラスを利用し弁護士に任意整理を依頼する流れ

法テラスを利用して弁護士に任意整理を依頼する場合は、以下の2つの方法が考えられます。

  • 法テラスに弁護士を紹介してもらう
  • 法テラスと契約している弁護士を自分で探す

「法テラスに弁護士を紹介してもらう」方法だと、自分で担当弁護士を選べず、任意整理の対応実績が乏しい弁護士にあたる可能性もあります。

また、対応方針や話しやすさなど、手続きを進めるうえで重要な点についても事前に確認ができないなどのデメリットもあります。

そのため、ここでは「法テラスと契約している弁護士を自分で探す」場合の手続きの進め方を紹介します。

1.法テラスと契約している弁護士を探して相談を申し込む

まずは、自分で法テラスと契約している弁護士を探し、相談を申し込むことからスタートします。

法テラスと契約しているかどうかは法律事務所のホームページなどから確認できるほか、「ベンナビ債務整理」などのポータルサイトを利用して条件を絞り込めば簡単に見つけられます。

任意整理は、弁護士と二人三脚で進める手続きなので、自分の希望に合うパートナーを選ぶことが重要です。

弁護士を選ぶ際は、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

  • 親身になって相談に乗ってくれるか
  • 費用体系が明瞭かつ相場に合っているか
  • 任意整理の対応実績が豊富か
  • 任意整理だけでなくほかの選択肢も提案してくれるか
  • 任意整理のデメリットやリスクについて詳しく説明してくれるか

相談予約の際は、収入や資産状況を証明できる資料や借金の明細などを手元に準備しておくスムーズです。

借金の状況によっては、任意整理が本当に最適か、自己破産や個人再生の方がよいのかなどを総合的に判断してもらえることもあるでしょう。

ここで方針が固まれば、次のステップに進みます。

2.弁護士を通じて法テラスの「民事法律扶助」を申し込む

相談の結果、任意整理を進める方針となった場合は、担当弁護士が法テラスの「民事法律扶助」の申込手続きを代行してくれます。

申込時には、収入や資産に関する書類を提出し、法テラスによる審査を受けましょう。

収入や資産の基準を満たしていれば、審査によって法律扶助制度の利用が認められます。

なお、この段階では、弁護士費用の見積もりや毎月の返済可能額なども確認しておき、不明な点は遠慮せず相談しましょう。

審査は2週間ほどかかるケースが多いため、少しでも早めの行動が重要です。

3.法テラス・弁護士と三者間で委任契約を結ぶ

民事法律扶助制度の利用が認められたら、法テラス・弁護士・依頼者の三者間で正式に委任契約を結びます。

契約の内容としては、依頼者から弁護士に任意整理を依頼し、その費用を法テラスに一括で立て替えてもらい、依頼者は法テラスに対して分割で返済していくというものです。

委任契約書には、弁護士費用の総額、法テラスが立て替える金額、依頼者が返済すべき月額などが記載されており、これに署名・捺印することで契約が成立します。

この契約によって、弁護士は依頼者を代理して貸金業者との交渉に着手できるようになり、任意整理の本格的な準備が整います。

4.任意整理の開始

委任契約が締結されると、いよいよ任意整理の手続きが始まります。

まず、弁護士は貸金業者やカード会社などの債権者に対して受任通知を送付し、その時点で督促や取り立ては全てストップします。

以後、弁護士が代理人として交渉をおこない、将来利息のカットや分割返済条件の変更などを求めていきます。

なお、交渉は1社ずつおこなわれ、返済条件がまとまったら和解契約書を取り交わして、その内容に基づいて返済がスタートします。

任意整理の交渉開始から和解までに要する期間は、通常2ヵ月~3ヵ月程度で、その期間は債権者への返済はストップされるため、安心して生活の再建を図れるはずです。

法テラスを利用した場合、法テラスへの弁護士費用の分割払いと、各債権者への分割返済の二重の返済が生じますが、弁護士が家計に無理のないようスケジュールを組んでくれるので安心してください。

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法テラスで弁護士に任意整理を依頼する際の必要書類

法テラスを利用して弁護士に任意整理を依頼するためには、以下の書類が必要です。

取得に時間がかかるものもあるので、早めに準備しておきましょう。

書類 詳細
本人及び同居の家族人数を確認するための資料 ・本籍、筆頭者、続柄、世帯全員の記載がある住民票
・申込みから3ヵ月以内に発行されたもの
収入を確認するための資料 ・給与明細及び賞与明細、源泉徴収票など
・自営業者は確定申告書の写しや、課税証明書
・給与明細は直近2ヵ月分、その他の書類は直近のもの
資産を確認するための資料 ・固定資産評価証明書や不動産全部登記事項証明書
勝訴の見込みや事件内容を確認するための資料 ・債務一覧表
返済に使用する口座の確認のための資料 ・自動払込利用申込書兼預金口座振替依頼書の写し
・通帳やインターネットバンキングの画面の写し

必要書類は依頼者の収入状況などによっても異なるため、法テラスや弁護士に相談した際に確認するのがおすすめです。

法テラスを利用して任意整理をおこなう注意点・デメリット

法テラスを利用して任意整理をすると、法律事務所に直接任意整理を依頼するよりも費用を抑えられるというメリットがあります。

一方で、以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。

  • 審査に時間がかかる場合がある
  • 選択できる弁護士が限られる

それぞれについて詳しく解説します。

審査に時間がかかる場合がある

民事法律扶助制度の審査には、2週間~4週間ほどの時間がかかります。

審査が完了するまでは任意整理の手続きは進めてもらえず、債権者からの督促を止める受任通知の発送などもできません。

そのため、すでに滞納が続いていて督促に悩んでいる人は、法テラスを利用せずにすぐに弁護士に依頼したほうが良い場合もあるでしょう。

選択できる弁護士が限られる

法テラスを利用して任意整理を依頼する場合、弁護士は「法テラスと契約している法律事務所」の中から選ぶ必要があります。

そのため、知名度の高い事務所や実績豊富な弁護士に依頼したくても、法テラスに登録していなければ対象外となることを覚えておきましょう。

地方では契約弁護士の数が少ないため、選択肢がほとんどない可能性もあります。

また、法テラスと契約しているからといって債務整理実績が豊富かどうかは限らず、交渉力や対応の丁寧さが希望に合わず、納得できない結果となるおそれもあるでしょう。

任意整理は担当弁護士との相性も重要なので、事前に無料相談を活用し、信頼できるかどうかを慎重に見極めなければなりません。

さいごに | 注意点も把握して法テラスを利用するか検討しよう

本記事では、法テラスに任意整理を依頼した場合にかかる費用や、法テラス利用時の注意点などについて詳しく解説しました。

法テラスを利用すると、法律事務所に直接任意整理を依頼するよりも費用を抑えられる一方で、審査に時間がかかったり、依頼できる弁護士が限られたりなどの注意点もあります。

デメリットと費用面を考慮したうえで、法テラスを利用するか直接弁護士に依頼するか、自分の希望通りに手続きが進められる選択肢をとるようにしましょう。

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