離婚したいと思ったらすること6つ|離婚前にやってはいけないことも解説
- 「夫と離婚したいけど、何から始めればいいの?」
- 「でも相手に非があるわけではないし、離婚話を進めるのは大変そう」
このように離婚を考えているものの、どうやって離婚手続きを進めればいいのかわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
法定離婚事由がない場合でも、相手の合意があれば離婚は可能です。
しかし、滞りなく離婚手続きをするには、事前にしっかり準備する必要があります。
そこで本記事では、離婚したいと思ったらすることを6つ解説します。
なるべく揉めずに離婚するためにも、感情的になってはいけません。
離婚前に気をつけるべきポイントもご紹介するので、参考にしてみてください。
離婚したいと思ったらすること6つ
結婚生活を終わらせるには、お金のことや子どものこと、さまざまな問題を解決しなければなりません。
決めることが多く、混乱してしまう方もいるでしょう。
ここからは、離婚したいと思ったらすることを6つ解説します。
ポイントを整理して、ひとつずつ着実に進めていきましょう。
1.離婚したい理由をまとめておく
離婚したいと思ったら、まず離婚したい理由をまとめておきましょう。
いきなり裁判手続きをするケースはまれなので、必ずしも法定離婚事由に該当する離婚理由である必要はありません。
しかし、離婚理由をまとめておいた方が、配偶者と話し合う際に相手にも冷静に説明しやすいはずです。
具体的には、以下のような内容をノートに書き出しておきましょう。
- 離婚したいと思ったきっかけ、具体的な出来事
- 離婚したい理由
- いつ頃から離婚を考え始めたのか など。
ご自身の考えを整理することで、相手を納得させる説明ができるはずです。
また、話すことを決めておくことで感情的な言い争いを避けられるかもしれません。
なお、当事者間での話し合いで決着せずに調停や裁判になった場合に備え、法定離婚事由があるかどうかも考えておく必要があります。
法定離婚事由としては、具体的に以下のようなものが当てはまります。
- 不貞行為
- 生活費を払わない、正当な理由もなく別居した
- 夫と3年以上連絡が取れず、生死が不明
- 夫が強度の精神病
- DVやモラハラ
法定離婚事由に当てはまる明確な離婚理由がある場合は、その点を中心に相手に伝えるとよいでしょう。
【関連記事】離婚事由とは|裁判で離婚を成立させるのに必要な法定離婚事由を解説
2.相手に離婚原因がある場合は証拠を集めておく
離婚したいと思ったときにすべきこと2つ目は、相手に離婚原因がある場合は証拠を集めておくことです。
話し合いでも裁判でも、証拠があれば離婚話を有利に進められます。
相手に不貞行為やDV、モラハラなど離婚原因の理由があるなら、その具体的な証拠を集めておきましょう。
たとえば、以下のようなものが証拠になり得ます。
【不貞行為の証拠になるもの】
- 不倫相手とホテルに出入りしている写真
- 肉体関係が推測されるLINEのやりとり
- ラブホテルやクレジットカードの領収書
【DV、モラハラの証拠となるもの】
- 医師の診断書
- けがの様子がわかる写真
- 被害を受けている最中の録音データ
- 日記
- 警察への相談記録
証拠があれば、離婚だけでなく慰謝料も請求できる可能性があります。
少しでも有利に解決するためにも、具体的な証拠を集めておきましょう。
【関連記事】【弁護士監修】浮気の証拠になるもの15選!自分で集めるときの注意点も解説
3.相手に請求できるお金について検討しておく
離婚したいと思ったときにすべきこと3つ目は、相手に請求できるお金を確認しておくことです。
離婚時には、以下のような費用を相手に請求できる可能性があります。
- 婚姻費用
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
具体的に何をどのくらい請求できるのかは、弁護士に相談して計算してもらうのがおすすめです。
金額の目安がわかれば、今後の生活の見通しも立てやすいでしょう。
以下では、離婚時に請求できる可能性がある費用について、簡単に解説します。
婚姻費用|別居期間中の生活費を請求できる制度
婚姻費用とは、別居中の生活費として相手から受け取れる費用のことで、収入が高い方が、収入が低い方の生活を維持するために支払います。
なお、具体的な金額は、家庭裁判所作成の婚姻費用算定表に基づいて計算されます。
配偶者とご自身の収入、子どもの年齢や人数によって金額は変動するので、算定表を確認して目安の額を計算してみましょう。
【関連記事】
婚姻費用の自動計算機 - 婚姻費用いくら請求できる?|ベンナビ離婚
別居中の婚姻費用をもらうには?収入が少ない方のための完全ガイド
財産分与|婚姻期間中に夫婦が一緒に築いた財産を分け合う制度
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が一緒に築いた財産を分け合う制度のことです。
基本的には、夫婦で半分ずつ分けることになり、たとえば結婚後に購入した不動産や株式、保険、ローンなどが対象となります。
結婚生活が長期間に及ぶ場合、財産分与の対象となる財産は多岐にわたるので、きちんとリストアップしておくことが大切です。
【関連記事】
財産分与の正しい割合|離婚前に知っておく財産分与ルール
財産分与の自動計算機 - 財産分与いくら受け取れる?|ベンナビ離婚
慰謝料|相手から受けた精神的・肉体的苦痛に対する賠償金
慰謝料とは、相手から受けた精神的・肉体的苦痛に対する賠償金です。
相手に不貞行為やDV、モラハラなどの法定離婚事由がある場合、慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。
ただし、慰謝料の金額は離婚事由や個別のケースによって異なります。
どんな証拠を集めるべきか、どのくらいの慰謝料を請求できるのかは、弁護士に相談するのがおすすめです。
【関連記事】
慰謝料請求とは?離婚の慰謝料相場と請求方法をわかりやすく解説
不倫慰謝料の自動計算機 - 慰謝料いくら請求できる?|ベンナビ離婚
養育費 | 子ども生活や教育に必要な費用
養育費とは、子どもの生活や教育に必要な費用のことです。
離婚後、ご自身が親権者となって子どもを育てる場合は、相手から養育費の支払いを受けることができます。
支払い期間は子どもが社会的に自立するまでで、費用は婚姻費用と同様、算定表に基づいて計算されるのが一般的です。
子どもの進学状況や病気の有無などのよって金額が変わる可能性もあるので、今後どのくらいの費用がかかるのか、事前に計算して相手に説明できるようにしておきましょう。
【関連記事】
養育費獲得の完全ガイド|増額や支払いを続けてもらう知識
養育費の自動計算機 - 養育費いくら請求できる?|ベンナビ離婚
4.子どものことを考えておく
離婚したいと思ったとき、夫婦に未成年の子どもがいる場合は、離婚後の親権はどちらが持つのか、面会交流はどのように実施するのかなどを考えておくことも大切です。
以下では親権と面会交流について、詳しく見ていきましょう。
親権|子どもが成人するまで育てる親の義務や権利
親権とは、子どもが成人するまで育てる親の義務・権利のことです。
親権は、夫婦の話し合い、もしくは調停や裁判で決められます。
裁判手続きの場合、子どもがまだ小さいなら、親権者は母親になるケースが多いです。
しかし、子どもが15歳以上であれば、子どもの意思も親権を決める判断材料になります。
離婚後、子どもが安心して暮らすにはどうしたらよいのか、「子の福祉」を最優先に考えて親権者を決めるようにしましょう。
【関連記事】親権はどうやって決まる?子供の親権者を決める流れと知っておくべき基礎知識
面会交流|離婚・別居後に子どもと定期的に交流すること
面会交流とは、離婚・別居後に子どもと元配偶者が定期的に交流する手段のことです。
離婚した配偶者に、子どもを会わせたくないという方もいるかもしれません。
しかし、面会交流は子どもが健やかに成長するためにおこなわれるものです。
子の利益を考えても、可能な限り実施したほうが望ましいでしょう。
どのくらいの頻度でどのように実施するのか、明確な決まりはありません。
夫婦で話し合い、お互いが納得できるルールを決めましょう。
【関連記事】面会交流とは?取り決め方や面会交流の方法、相談窓口などを解説
5.離婚後の生活で困らないよう準備しておく
離婚したいと思ったときにすべきこと5つ目は、離婚後の生活で困らないように準備しておくことです。
離婚後は、ご自身の収入で生活していくことになります。
そのため、専業主婦であれば仕事を探す必要がありますし、住居や子どもの預け先なども確保しなければなりません。
離婚してから準備しても、間に合わない可能性があります。
いつ離婚してもよいように、早めに行動しておきましょう。
6.シングルマザーの場合は利用できる手当・減免を確認しておく
離婚したいと思ったとき、シングルマザーの場合は利用できる手当・減免制度を確認しておくことも大切です。
子どもを連れて離婚するなら、さまざまな公的支援を受けられる可能性があります。
たとえば、児童手当や児童扶養手当、ひとり親の医療費助成などです。
ほかにも、ひとり親控除や国民年金の免除、保育料の免除や減免といった減免制度も利用できるかもしれません。
制度の利用には条件があるので、詳しくは自治体へ相談してみましょう。
【関連記事】母子家庭(シングルマザー)が使える17の手当・支援制度|金額や条件も解説
離婚問題を得意とする弁護士に相談する
離婚を考えているなら、離婚問題を得意とする弁護士への相談がおすすめです。
離婚をする際は、お金や子どものことなど、さまざまな取り決めをしなければなりません。
これらについて夫婦でひとつずつ話し合って決めるのは骨が折れますし、感情的になり話し合いが進まない可能性もあります。
その点、弁護士に依頼すれば、配偶者との交渉や裁判手続きも全て任せられます。
法律の知識や経験に基づいて手続きを進めてくれるので、あなたの正当な利益も確保できるはずです。
ひとりでは戦えないと思うなら、早めに弁護士へ相談しましょう。
離婚したいとき離婚前にやってはいけないこと
早く離婚したいからといって、焦りは禁物です。
ここからは、なるべく穏便に離婚手続きを進めるために、離婚前にやってはいけないことを解説します。
離婚の準備が十分でないのに配偶者に離婚したいと伝えてしまう
離婚の準備が十分でないのに、配偶者に離婚したいと伝えるのは避けましょう。
離婚の意志が伝わることで、相手に離婚の準備期間を与えてしまうことになります。
相手もあなたと同様、少しでも有利に離婚したいと考えるはずです。
時間を与えることで、不倫の証拠や共有財産を隠される可能性もあります。
準備が不十分なうちは、あなたの気持ちや手の内は明かさないほうがよいでしょう。
証拠をあつめずに相手が浮気やDVをしたと主張をする
証拠を集めずに、相手が浮気やDVをしたと主張するのは避けましょう。
感情的に被害を訴えても、証拠がなければ相手に否定されます。
そしてあなたに勘づかれたとわかれば、証拠を隠されるかもしれません。
裁判になった場合でも、浮気やDVを立証するには証拠が必要です。
ご自身が損をしないためにも、離婚話をするなら言い逃れできない証拠を集めてから話し合いを進めるようにしましょう。
夫婦で協力した財産を勝手に隠したり処分したりしてしまう
離婚をする前に、夫婦で協力して築いた財産を勝手に隠したり処分したりしてはいけません。
婚姻期間中に築いた財産は、夫婦の共有財産です。
同意なく隠したり処分したりする行為は、財産隠しに該当します。
そして相手が弁護士に依頼していれば、23条照会や裁判上の調査嘱託などで隠した財産を明らかにすることも可能です。
財産を隠しても、いずれバレてしまう可能性が高いです。
バレてしまえば、相手や裁判官からの印象を損ねることになるので、絶対にやめましょう。
自分が不利になる行動をしてしまう
自分が不利になる行動はしないように気をつけましょう。
たとえば、相手を攻撃する発言や子どもを置いての別居、不貞行為などです。
これらの行動によって相手から慰謝料請求される可能性もありますし、親権を取るのも難しくなるかもしれません。
どうせ離婚するからといって何をしてもよいわけではないので、言動にはくれぐれも気をつけましょう。
相手に非がないけれど離婚したい!離婚は認められる?
夫が不倫やモラハラをしたわけではないけれど、離婚したいという方もいるでしょう。
相手に非がない場合も、離婚は認められるのでしょうか。
以下で詳しく解説します。
相手の合意さえあれば離婚は可能
相手に非がなくても、相手の合意さえあれば離婚は可能です。
そもそも法定離婚事由がなければ離婚できないという決まりはありません。
性格が合わない、日常の些細な不満が積み重なったなど、離婚したいと思う理由はさまざまです。
どんな理由であれ、相手と協議をして合意を得られれば離婚はできるので、裁判手続きをする前にまずは相手に離婚の意思を伝え、きちんと話し合いましょう。
裁判になった場合は認められるのは難しい
相手に非がない場合、裁判で離婚を認めてもらうのは難しいかもしれません。
基本的に裁判で離婚が認められるのは、法定離婚事由がある場合です。
もっとも、明確な理由がなくとも裁判官が離婚に向けた話し合いを主導してくれることもあります。
別居している期間が長ければ離婚が認められる可能性はある
法定離婚事由がなくても、別居期間が長ければ離婚が認められるかもしれません。
長期間の別居は法定離婚事由のひとつ、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があるからです。
婚姻期間にもよりますが、3年~5年ほどの別居期間があれば、離婚を認めてもらいやすいといえるでしょう。
相手に離婚を切り出すタイミングはいつがいい?
離婚を切り出すタイミングは、ご自身が置かれている状況によっても変わります。
相手からDVを受けている、子どもが虐待されているなどの状況であれば、すぐにでも別居を開始しましょう。
まだ離婚への準備が整っていなくても、ご自身や子どもの安全を最優先に考えるべきです。
一方、緊急性がないのであれば、準備を整えたあとで離婚を切り出すのが望ましいでしょう。
証拠の確保や経済的な基盤づくりをおこない、落ち着いた話し合いができる状態で離婚を申し出るほうが、冷静な話し合いができるはずです。
さいごに|離婚問題で不安があれば弁護士に相談を!
夫と離婚したいと思ったら、以下の6つの準備を進めましょう。
- 調停や裁判でも説明できる程度に離婚したい理由を明確にまとめておく
- 相手に離婚原因がある場合は証拠を集めておく
- 相手に請求できるお金について検討しておく
- 子どものことを考えておく
- 離婚後の生活で困らないよう準備しておく
- シングルマザーの場合は利用できる手当・減免を確認しておく
一方、準備が整っていないのに勢いで離婚を切り出したり、証拠がないまま相手の不倫やDVを責めたりなどの行為は避けましょう。
相手に警戒され、共有財産や必要な証拠を隠される可能性があります。
ご自身が不利にならないためにも、離婚の準備は慎重に進めてください。
また、相手と直接話したくない、裁判手続きがわからないという場合は、弁護士への相談がおすすめです。
離婚では、婚姻費用や財産分与、子どもの親権、面会交流など、複雑な法律問題も出てきます。
当事者だけでは、解決に時間と手間がかかるかもしれません。
弁護士に依頼すれば、法律面をしっかりカバーしつつ、あなたに有利な解決ができるよう手を尽くしてくれるはずです。
