法テラスで相続放棄をする費用|法テラスを使わない場合の費用比較も解説
「法テラスを利用すれば相続放棄の費用を抑えられると聞いたけれど、どのくらい安くなるの?」
このような疑問を抱えていませんか?
確かに、法テラスを利用すれば費用を抑えられる場合が多いです。
ただし、法テラスの利用には収入や資産の条件がある、担当弁護士を自由に選べないなどの注意点もあります。
本記事では、法テラスを利用した場合に発生する費用相場、利用するための条件、弁護士や司法書士の対応範囲の違いなどを解説します。
相談するベストなタイミングや、相談前に準備しておくべきことなども詳しく紹介していますので、相続放棄の手続きを安心して進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
- 法テラスで相続放棄を依頼する場合の費用はどのくらい?
- 弁護士に相続放棄手続きを依頼した場合の費用が高くなるケースは?
- 法テラスで相続放棄を依頼するための条件とは?
- 法テラスで相続放棄を依頼するメリット
- 法テラスで相続放棄を依頼するデメリット・注意点
- 相続放棄の手続きは自分でできる?弁護士に任せたほうがよい場合は?
- 【弁護士と司法書士】相続放棄の手続きを依頼したときにできることの違い
- 相続放棄を依頼する専門家の選び方
- 相続放棄について専門家へ相談するにあたり準備すべきこと
- 相続放棄の専門家に依頼するべきタイミングとは?
- 相続放棄の費用についてよくある質問
- さいごに|相続放棄を法テラスで依頼するか否かは慎重に検討を!
法テラスで相続放棄を依頼する場合の費用はどのくらい?
法テラスを経由して弁護士に相続放棄を依頼する場合の費用相場は、4万円~6万円程度です。
以下のように、「着手金」(弁護士に依頼する際にかかる初期費用)や「実費」(事案処理にあたって実際にかかる郵送費・交通費・裁判費用など)が発生しますが、「報酬金」は原則として発生しません。
| 着手金 | 33,000円~44,000円 |
| 報酬金 | 原則無し ※原則としてなしとする。ただし、事案が複雑困難な場合は、離婚・認知等請求事件に準ずる。 |
| 実費 | 5,000円~20,000円 |
| 合計 | 40,000円~60,000円程度 |
法テラスを利用することで費用を抑えられるのは、「民事法律扶助制度」を利用できるからです。
民事法律扶助制度とは、経済的に余裕のない方でも法的な救済を受けられるよう支援することを目的とした制度をいいます。
通常、料金体系は事務所ごとに自由に設定可能です。
しかし、法テラスを経由した場合の弁護士や司法書士への報酬は、民事法律扶助制度に基づく報酬基準の範囲内で決定されます。
そのため、事務所に直接依頼した場合よりも費用を抑えられるのです。
法テラスを使わずに相続放棄をする場合の費用とどのくらいの差がある?
法テラスを利用せずに相続放棄の手続きをおこなう場合、誰に依頼するかによってかかる費用は大きく変わります。
以下では、相続放棄にかかる費用の目安を依頼先ごとに見てみましょう。
| 手続きをする主体 | 費用 |
| 自分でする場合 | 数千円程度 |
| 法テラス経由で弁護士に依頼する場合 | 4万円~6万円程度 ※実費込み |
| 弁護士に直接依頼する場合 | 10万円~15万円程度+実費 |
| 司法書士に直接依頼する場合 | 3万円~5万円程度+実費 |
最も費用負担を軽減できるのは、手続きを自分だけでする場合です。
以下の表の「①必要書類の取得費用」と「②家庭裁判所に支払う手数料」のみ負担すればよいので、費用を数千円程度に抑えられます。
| 費用項目 | 内容 | 費用 |
| ①必要書類の取得費用 | 被相続人の住民票除票・戸籍謄本、申述人(相続放棄をする人)の戸籍謄本など | 住民票除票・戸籍の附票:300円/1通 戸籍謄本:450円/1通 除籍謄本:450円~750円/1通 改製原戸籍謄本:750円/1通 |
| ②家庭裁判所に支払う手数料 | 収入印紙(裁判所への手数料) | 800円/人 |
| 郵便切手(裁判所とのやり取り用) | 400円~500円/人 |
ただし、自分だけで手続きをおこなうと書類不備や手続き漏れのリスクがあります。
費用を抑えるか、確実性を重視して専門家に依頼するかを比較して、自分に合った方法を選びましょう。
弁護士に相続放棄手続きを依頼した場合の費用が高くなるケースは?
相続放棄を弁護士に依頼する際の費用相場は、10万円~15万円程度です。
しかし、状況によっては追加費用が発生するケースがあります。
主なケースは、以下の5つです。
- 相続財産の調査も依頼する場合
- 相続放棄の期限が迫っている場合
- 相続放棄の期限が過ぎている場合
- 相続人全員が相続放棄をしている場合
- 相続人間でトラブルが発生している場合
以下、それぞれのケースや追加費用の目安について解説します。
相続財産調査も依頼する場合
相続放棄の際、弁護士に財産調査も依頼する場合は追加で費用が発生します。
相続財産調査とは、被相続人が残した財産や借金の内容を調べる作業です。
金融機関への照会、不動産登記簿や税務記録の確認などが含まれます。
被相続人の総遺産額が不明な場合には、相続財産調査を含めて依頼することで、予期せぬ負債を抱えるリスクを減らせるでしょう。
相続財産調査も依頼する場合は、3万円~5万円程度の追加費用がかかります。
ただし、借金が多い・複数の不動産や非上場株式があるといったケースでは、調査に時間を要するので、より多くの費用が発生する可能性が高いです。
相続放棄の期限が迫っている場合
相続放棄は、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
期限が差し迫った状態で依頼すると、弁護士は短期間で書類を準備する必要があるため、割増料金が発生するケースが多いです。
費用を抑えるためには、余裕をもって依頼するのがポイントです。
相続放棄の期限が過ぎている場合
相続放棄の期限を過ぎても、特別な事情があれば、家庭裁判所に「上申書」を提出することで、例外的に期限後の相続放棄が認められる可能性があります。
ただし、上申書の作成費用として追加で2万円~4万円程度の費用がかかるでしょう。
また、上申書には「やむを得ず期限を過ぎた理由」を具体的に記載しなければならず、必ず認められるわけではありません
その際に必要となる抗告状の作成を依頼すると、1万円~5万円程度の追加費用が発生します。
相続人全員が相続放棄をしている場合
相続人全員が相続放棄をすると、相続財産を管理する「相続財産清算人」の選任が必要です。
相続財産清算人とは、相続人がいない相続財産を、最終的に国庫へ帰属させる役割を担う人物をいいます。
相続財産清算人を選任するためには、家庭裁判所へ選任を申し立てなければなりません。
その際、「申立費用」のほかに「専門家報酬」や「予納金」の支払いが必要です。
| 費用項目 | 目安 | 内容 |
| 申立費用 | 数千円 | ・収入印紙:800円 ・郵便切手:1,000円~2000円程度(裁判所により異なる) ・官報公告料:約5,075円 |
| 専門家報酬 | 1万円~5万円/月 | 弁護士や司法書士など専門家が清算人に選任される場合の報酬(手間や手続きの量により変動) |
| 予納金 | 20万円~100万円 | 清算人の報酬や財産管理費用の一部を事前に支払う費用(財産の種類や評価額により変動) |
相続人間でトラブルが発生している場合
相続放棄を希望する相続人がいるが、ほかの相続人が相続放棄に反対してしまうケースも少なくありません。
とくに、遺産の中に借金や不動産が含まれている場合は、注意が必要です。
ある相続人が相続放棄を選択することでほかの相続人に借金の返済負担が生じるおそれがあるため、トラブルが発生しやすくなります。
このようなトラブルを避けるためには、事前に弁護士へ相談することが有効です。
弁護士からは、トラブルを未然に防ぐための具体的な方法をアドバイスしてもらえます。
状況によっては、弁護士が間に入ることで相続人同士の誤解や衝突を防げるでしょう。
ただし、弁護士に追加で業務を依頼することになるので、追加報酬が発生します。
法テラスで相続放棄を依頼するための条件とは?
法テラスの民事法律扶助制度は、誰でも利用できるわけではありません。
利用にあたっては一定の条件があります。
条件を大きく分けると、「収入・資産に関わる条件」と、「そのほかの条件」の2つに整理できます。
ここでは、それぞれの条件について詳しく解説します。
収入・資産に関わる条件
法テラスを利用するには、家族の人数ごとに定められた「収入」と「資産」の基準を満たす必要があります。
具体的な基準は、以下のとおりです。
| 家族の人数 | 収入要件 | 資産要件 |
| 1人 | 20万200円(18万2,000円) | 180万円以下 |
| 2人 | 27万6,100円(25万1,000円) | 250万円以下 |
| 3人 | 29万9,200円(27万2,000円) | 270万円以下 |
| 4人 | 32万8,900円(29万9,000円) | 300万円以下 |
| 5人目以降 | 1名増えるごとに3万3,000円(3万円)加算 | 300万円以下 |
※()内は東京都特別区や大阪市などの地域以外の場合の基準
なお、収入要件は、収入(手取りの平均月収、賞与も含む)や資産(現金・預貯金及び不動産や有価証券の額)の合計が基準以下である必要があります。
また、資産要件は預貯金・不動産・株式などを含めた資産の合計が基準以下である必要がある点に注意しましょう。
たとえば、1人暮らしで月収が18万円、貯金が150万円であれば、収入要件と資産要件ともに満たします。
そのほかの条件
法テラスを利用するには、収入・資産に関わる条件のほか、以下の条件を満たしていなければなりません。
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
相続放棄の申立てをしても問題が解決する見込みが低い場合には、利用できません。 - 民事法律扶助の趣旨に適すること
制度利用が正当な目的に沿っている必要があります。報復的感情を満たす目的や宣伝目的であれば、利用できません。
法テラスで相続放棄を依頼するメリット
法テラスを利用することによるメリットは、主に以下のとおりです。
- 相続放棄を依頼する弁護士費用を抑えられる
- 弁護士費用を5,000円~10,000円/月の分割払いにできる
- 生活保護受給者は返済を猶予・免除してもらえる
以下で、それぞれのメリットを詳しく解説します。
相続放棄を依頼する弁護士費用を抑えられる
法テラス利用時の弁護士費用は、一般的な相場よりも低く設定されています。
通常、相続放棄を弁護士に依頼すると10万円~15万円程度かかりますが、法テラスを通して依頼すれば費用を4万円~6万円程度に抑えることが可能です。
弁護士費用を5,000円~10,000円/月の分割払いにできる
法テラスを利用すれば、弁護士費用を一時的に立て替えてもらえます。
立替費用は、利用の2ヵ月後から月々5,000円~10,000円の分割払いで返済する仕組みです。
返済期間は原則3年以内ですが、事情に応じて延長が認められるケースもあります。
返済に利息が付かないため、過度な負担を抱える心配もありません。
生活保護受給者は返済を猶予・免除してもらえる
生活保護を受給している人が法テラスを利用する場合、相続放棄の手続きが終わるまで立替費用の支払いが猶予されます。
相続放棄には数ヵ月かかることもありますが、その間の返済を気にせず手続きを進めることが可能です。
また、手続き完了後も生活保護を受け続けている場合には、立替費用の返済が免除される場合があります。
免除を受けるためには、以下の書類を法テラスに提出し、審査を受けなければなりません。
- 償還免除申請書
- 生活保護受給証明書(申請前3ヵ月以内に発行されたもの)
なお、免除申請は必ず認められるわけではありません。
それでも、経済的に厳しい状況にある人にとって、費用の返済が猶予・免除される仕組みがあることは安心材料となるでしょう。
法テラスで相続放棄を依頼するデメリット・注意点
法テラスの利用にあたってはいくつかのデメリットや注意点もあります。
代表的なものは以下のとおりです。
- 相談・依頼する弁護士を選べない
- 審査に時間がかかり相続放棄の期限に間に合わなくなる可能性がある
以下、それぞれのデメリットを詳しく解説します。
相談・依頼する弁護士を選べない
法テラスに相談すると、法テラスに登録している弁護士の中から、地域や案件の状況に応じて担当弁護士が割り当てられます。
そのため、必ずしも相続放棄の経験が豊富な弁護士が担当になるとは限りません。
また、「話しにくい」「相性が合わない」と感じる弁護士が選ばれることもあるでしょう。
ミスマッチを防ぐためには、自分で相談したい弁護士を選んで法律事務所に直接依頼する必要があります。
持ち込み方式ではある程度選べるが選択肢は限られる
法テラスには「持ち込み方式」という仕組みがあります。
これは、利用者が自分で法テラスと契約している弁護士を探し、その弁護士を通じて法テラスの制度を利用する方法です。
インターネットで探す、知人から紹介を受けるなどして、気になる弁護士が法テラスと提携しているか確認すれば、希望する弁護士に依頼できます。
しかし、持ち込み方式を利用できるのは「法テラスと提携している弁護士」に限られます。
気になる弁護士が提携していなければ、法テラスを経由せずに直接依頼しなければなりません。
審査に時間がかかり相続放棄の期限に間に合わなくなる可能性がある
法テラスの民事法律扶助制度を利用するには、審査を受けなければなりません。
審査には通常2週間程度を要しますが、書類に不備があれば1ヵ月以上かかるケースもあります。
そして、相続放棄の申述期限は「相続があったことを知ってから3ヵ月以内」です。
もし審査が長引けば、相続放棄の申述期限に間に合わなくなるおそれがあります。
「申述期限が迫っている」「早急に相続放棄手続きを進めたい」という状況であれば、法テラスの利用は避け、相続分野を得意とする弁護士に直接依頼するほうが確実でしょう。
相続放棄の手続きは自分でできる?弁護士に任せたほうがよい場合は?
相続放棄の手続きは、必ずしも弁護士に依頼しなければならないわけではありません。
しかし、手続きには期限があるうえ、書類の不備や判断の誤りがあると「放棄が認められない」という大きなリスクにつながります。
そのため、確実に相続放棄の手続きをおこないたい場合は、弁護士に依頼するのが安心です。
ここでは、自分で手続きを進めてもリスクが少ないケースと、弁護士に依頼したほうがよいケースを整理して解説します。
相続放棄の手続きを自分だけでおこなっても問題ないと考えられるケース
主に以下のようなケースであれば、自分で相続放棄の手続きをしても問題ないと考えられます。
【不動産などの複雑な財産がない場合】
相続財産に不動産が含まれていなければ、相続登記が不要です。必要書類も比較的シンプルなので、自分だけでも手続きをおこないやすいでしょう。
【必要書類を集める時間が確保できる場合】
戸籍や住民票などの必要書類の収集には、一定の手間と時間がかかります。時間的に余裕があれば、手続きを自力で進めやすいでしょう。
【相続放棄の期限が十分にある場合】
相続放棄の申述期限は、原則として「相続開始から3ヵ月以内」です。期限まで時間があれば余裕をもって必要書類を準備できるので、自力で対応しやすいです。
【明らかな債務超過の場合】
相続するマイナスの財産(借金など)がプラスの財産(預貯金など)より明らかに多い場合は、相続財産調査をわざわざ専門家に依頼する必要はありません。
【相続人同士の関係が良好な場合】
関係者全員が相続放棄に同意しているならトラブルが生じにくいので、自分で対応しても紛争リスクが少ないです。
相続放棄の手続きを弁護士に任せた方がよいケース
一方で、主に以下のようなケースでは、相続放棄の手続きを弁護士に任せるのがよいでしょう。
【手続きに不安がある】
相続放棄の手続きを自分だけで進めると、書類の不備や対応の誤りが生じかねません。裁判所からの相続放棄照会書に誤答すると不利益を受けるおそれもあります。弁護士であれば手続きを代行してくれるので、確実に手続きをおこなえます。
【書類収集や裁判所対応に時間がとれない】
仕事や家庭の事情で時間に余裕がないと、必要書類の収集や裁判所への対応が後回しになり、相続放棄の申述期限を過ぎてしまうリスクがあります。弁護士に依頼すれば、手続きを遅滞なく進めてくれます。
【手続き期限が迫っている】
相続放棄の期限が迫っている場合には、弁護士に依頼して手続きを迅速に進めてもらう必要があるでしょう。また、死亡から3ヵ月以上経ってから被相続人の死亡を知った場合などは、弁護士に依頼して、家庭裁判所に上申書を提出して期限の延長を申請してもらうべきです。
【相続放棄すべきか迷っている】
不動産といった資産評価が難しい財産が遺産に含まれる場合や、遺産の合計額が不明な場合は、相続放棄をすべきか判断が難しいです。この場合には、弁護士に相談して相続財産調査を丁寧におこなってもらい、適切な判断をしてもらうのがよいでしょう。
【相続人同士のトラブルを避けたい】
親族の関係が悪い場合や相続人間で意見が食い違っている場合は、トラブルが生じやすいです。弁護士に話し合いに入ってもらうことで、トラブルを避けやすくなります。
【弁護士と司法書士】相続放棄の手続きを依頼したときにできることの違い
相続放棄は、依頼する専門家によって対応できる範囲が異なります。
依頼したい内容に応じて、最適な専門家に依頼しましょう。
以下、弁護士と司法書士が対応できる業務範囲を比較しました。
| 弁護士 | 司法書士 | |
| 相続人調査/相続財産調査 | 〇 | 〇 |
| 相続人間のトラブル解決 | 〇 | × |
| 遺産分割調停・審判の代理 | 〇 | × |
| 相続放棄の代理 | 〇 | △ ※書類作成まで |
| 相続登記 | △ | 〇 |
ここから、弁護士と司法書士の対応範囲の違いや、どちらに依頼するかの判断基準について詳しく解説します。
弁護士ができること・弁護士にまかせた方がよいケース
弁護士は法律の専門家で、相続に関するあらゆる手続きやトラブルに対応可能です。
具体的には、相続人や相続財産の調査、遺産分割協議の交渉、調停・審判の代理、相続放棄の申立代理、さらには訴訟対応まで、幅広くカバーします。
裁判所から届く相続放棄照会書の回答も含め、依頼者に代わって全ての手続きを進められる点が最大の強みです。
弁護士にまかせたほうがよいのは、以下のようなケースです。
- 相続財産に不動産や債務が多く、財産調査が複雑で自分では把握しきれないとき
- ほかの相続人との関係が悪く、トラブルが発生する可能性が高いとき
- 相続放棄すべきか迷っており、具体的なアドバイスが欲しいとき
- 家庭裁判所への申立てや照会書への回答を一任したいとき
ただし、司法書士よりも費用が高額になる傾向があります。
司法書士ができること・司法書士にまかせたほうがよいケース
司法書士は、法的書類関連の専門家です。
主に相続人や相続財産の調査、住民票や戸籍の収集、相続放棄申述書や遺産分割協議書の作成、相続登記などを得意とします。
司法書士にまかせたほうがよいのは、以下のようなケースです。
- 必要書類の作成や収集のみを依頼したいとき
- ほかの相続人とのトラブルが発生する可能性が低いとき
- 相続財産に不動産が含まれており、登記手続きも同時に任せたいとき
- 専門家に依頼したいが、弁護士費用の支払いが負担に感じるとき
ただし、司法書士は相続人間のトラブル解決や簡易裁判所以外での訴訟代理業務はおこなえません。
相続放棄を依頼する専門家の選び方
相続放棄を弁護士や司法書士のいずれに相談する場合でも、自分に合った専門家を選ぶことが重要です。
選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。
- 実績
過去にどれくらい相続放棄の案件を担当してきたか確認しておくと、経験の豊富さがわかります。 - 口コミや評判
インターネットのレビューや利用者の体験談を参考にすると、客観的な評価を確認できます。ただし、口コミが不正に操作されているおそれもあるので、複数の情報を見比べましょう。 - 費用の明確さ
ホームページや相談時に、料金体系についてきちんと確認しておきましょう。後になって予想外の費用が発生するリスクを回避できます。 - コミュニケーションのしやすさ
専門用語をわかりやすく説明してくれるか、質問に丁寧に答えてくれるかも重要です。信頼できる専門家であれば、相談者の不安や疑問を解消しながら進められます。
相続放棄について専門家へ相談するにあたり準備すべきこと
相続放棄の相談をスムーズに進めるためには、あらかじめ必要な情報や資料を整理しておくことが大切です。
ここでは、弁護士や司法書士などの専門家へ相談する前に「最低限そろえておきたいもの」「用意しておくと相談がよりスムーズになるもの」をまとめました。
【 必ず準備しておきたいもの】
- 相続が発生した日(死亡日)がわかるもの
- 被相続人(亡くなった方)の基本情報(住所・生年月日・本籍地など)
【できれば準備しておきたいもの(あると相談が非常にスムーズ)】
- 借金や財産に関する資料・情報
- 相続人がほかに誰がいるかの情報
- 督促状や裁判所から届いた書類
- 被相続人の住んでいた場所・郵便物
また、相談の前になぜ相続放棄をしたいのかや、相続放棄によってどんな状況を目指したいのかを決めておくことも大切です。
「借金を相続したくない」「疎遠な親戚と一緒に遺産分割協議をするのは嫌」など、相続放棄の理由によっても弁護士の対応が変わる可能性があるので、希望を明確にしておきましょう。
相続放棄の専門家に依頼するべきタイミングとは?
相続放棄を検討しているのであれば、依頼のタイミングは早ければ早いほどよいでしょう。
相続放棄の申述には「被相続人の死亡から3ヵ月以内」という期限があるので、スピード感を持って手続きを進めなければなりません。
しかし、戸籍謄本の収集や遺産の調査といった手続きには、予想以上に時間がかかってしまう場合もあります。
また、相続放棄を選択すべきか判断するにあたっては、遺産を正確に調査する必要があります。
不動産や非上場株式などの評価が難しい財産が含まれる場合は、専門的な調査が不可欠です。
一連の手続きを余裕を持って進めるためにも、できるだけ早めに専門家に相談しましょう。
相続放棄の費用についてよくある質問
以下、相続放棄にかかる費用についてよくある質問をまとめました。
同じような悩みをお持ちの方は、ここで疑問を解消してください。
兄弟姉妹でまとめて相続放棄を依頼すると費用はどうなる?
兄弟姉妹でまとめて相続放棄を依頼すると、複数人分の書類収集の作業をまとめておこなえるので、個別に依頼するより費用が割安になるケースが多いです。
そのほか、「相続人間のトラブルを回避しやすい」「提出する書類の数を減らせる」といったメリットもあります。
相続放棄の費用は誰が払うの?
相続放棄にかかる費用は、基本的に相続放棄を申述する相続人が負担します。
ただし、費用の負担者に関するルールはありません。
複数の相続人で手続きをおこなう場合は、費用を共同で負担したり、遺産を承継する相続人がまとめて支払ったりもできます。
とくに、不動産や事業などの遺産を特定の相続人が引き継ぎ、ほかの相続人が相続放棄をするケースでは、遺産を承継する相続人が相続放棄にかかる費用を負担することも少なくありません。
相続放棄の経緯や相続人の事情を踏まえ、誰が費用を負担するかを相続人間で事前に話し合って決めておきましょう。
さいごに|相続放棄を法テラスで依頼するか否かは慎重に検討を!
本記事では、相続放棄を法テラスで依頼する場合の費用相場や、専門家に依頼すべきケースについてわかりやすく解説しました。
相続放棄は自分で進めることも可能ですが、手続きが複雑で期限もあるため、不安がある場合は専門家に相談すると安心です。
法テラスを利用すると、事務所で直接依頼するより費用を抑えられる場合が多く、経済的な負担を軽減できる点が大きなメリットです。
一方で、利用するには収入や資産の要件がある、担当弁護士を自由に選べないといった制約もあります。
そのため、法テラスを利用するかどうかは、状況を踏まえて慎重に判断しましょう。
なお、相続分野に強い弁護士を探す場合は、「ベンナビ相続」の利用がおすすめです。
ベンナビ相続では、相続放棄を得意とする弁護士を地域別に検索できるほか、弁護士の経歴や実績、事務所の料金体系も確認できます。
効率的に弁護士を見つけたい方は、ぜひご活用ください。
