面会交流を拒絶できる正当な理由とは?拒絶し続けるリスクも解説
- 「元配偶者と子どもを、会わせたくない」
- 「子どもが面会交流を嫌がっている」
このように、離婚原因や元配偶者と子どもとの関係性など、さまざまな理由から面会交流を拒絶したい方もいるでしょう。
面会交流は離れて暮らす親の権利でもあり、子どもの健やかな成長に必要なものです。
正当な理由があれば拒否することも可能ですが、拒否し続けることによって生じるリスクもあります。
そこで本記事では、面会交流を拒絶する方法やそのリスクなどについて解説します。
今後の親子関係を考え直すきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
面会交流は正当な理由がない限り拒絶できない
原則面会交流は、正当な理由がない限り拒絶できません。
面会交流は、子どもの健やかな成長のためにおこなうものです。
離れて暮らす親と子どもが定期的に会うことで、子どもは親からの愛情を感じられますし、親子の絆を維持することにもつながります。
また、離婚して離れて暮らすことになっても、元配偶者は子どもにとっての親であることに変わりはありません。
そのため、特段の事情がなければ、原則面会交流を拒否することはできないのです。
面会交流は親同士の感情ではなく、子の福祉を最優先に考えて取り決めをするべきことだということを覚えておきましょう。
面会交流を拒絶できる正当な理由7つ
面会交流は原則として拒否できないものの、正当な理由がある場合はその限りではありません。
ではどのような理由が必要なのでしょうか。
ここからは、面会交流を拒絶できる正当な理由を7つ解説します。
年齢が一定以上の子どもが面会交流を拒絶している
1つ目は、年齢が一定以上の子どもが面会交流を拒絶している場合です。
面会交流は子どもの意思が重要視されるため、子ども自身が嫌がっているなら面会交流を拒絶できるかもしれません。
ただし、子どもが同居親に気を遣っている場合や、同居親に別居親の悪口を吹き込まれていることも考えられます。
面会交流の拒否が子どもの本心なのかどうかは、子どもの年齢によっても判断が異なるといえるでしょう。
中学生以上の子どもが面会交流を拒絶しているなら正当な理由として尊重されやすい
一般的に、中学生以上の子どもが面会交流を拒絶しているなら、子どもの意思が尊重される傾向にあります。
面会交流を拒否する正当な理由になるといえるでしょう。
ただし、子どもの成長度合いによっても判断は異なります。
幼い子どもでも、周りに左右されず自分の意思をしっかり伝えられる状況であれば、面会交流を拒否する理由になるかもしれません。
相手が子どもを連れ去るかもしれない
2つ目は、相手が子どもを連れ去るかもしれない場合です。
連れ去り行為は、子どもに大きな精神的ダメージを与えます。生活環境も変わり、子どもが混乱するおそれもあるでしょう。
そして、もし子どもを連れ去られてしまったら取り戻すのは非常に困難です。
取り戻すには裁判手続きが必要になるため、連れ去りのリスクがあるなら面会交流を拒否できるといえるでしょう。
相手が子どもを虐待する可能性がある
3つ目は、相手が子どもを虐待する可能性がある場合です。
同居時に元配偶者の虐待があったのなら、面会交流の場でも虐待の危険性があります。
むしろ、子どもは別居親と会うことに、恐怖心を抱いているかもしれません。
虐待の危険性がある面会交流は、子の利益にはなりません。
そのため、面会交流を拒絶する正当な理由になるといえるでしょう。
配偶者や子どもが相手からDV・モラハラを受けていた
4つ目は、配偶者や子どもが相手からDV・モラハラを受けていた場合です。
同居時に相手からDVやモラハラを受けていたなら、虐待と同様に、子どもは相手に対して恐怖心を抱いていることでしょう。
また、子どもが直接的な被害を受けていなくても、親のDVやモラハラの様子を目の当たりにしたことで、心の傷を負っていることも考えられます。
別居親との面会交流によって子どもにさらなるダメージを与える可能性もあるので、面会交流を拒絶できる可能性が高いでしょう。
両親が感情的に激しく対立している
5つ目は、両親が感情的に激しく対立している場合です。
単に両親が対立しているだけでは、面会交流を拒否する理由にはなりません。
ただし、面会交流をおこなうことで、子どもが双方の親の板挟みになり苦しむ可能性があるなら、面会交流を拒否できるかもしれません。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 双方の親が子どもに対して相手の悪口や批判的な言葉を聞かせているケース
- 親同士の不仲を察知し、子ども自身がどちらの立場に立てばよいのかわからないケース
このように、別居親との交流が原因で子どもが混乱し、不安定になるおそれがあるなら、面会交流を拒絶できるかもしれません。
面会交流が子どもの養育に悪影響を与えると想定される
6つ目は、面会交流が子どもの養育に悪影響を与えると想定される場合です。
たとえば、面会交流の場で、別居親が同居親の悪口を言ったり、子どもがけがをしてしまう危険性の高い場所に連れて行ったり、許可なく第三者を立ち合わせたりする行為などが考えられます。
これらの行為は、子どもの心身の発達に悪影響を与える可能性があり、面会交流を拒絶できる理由になるといえるでしょう。
相手が面会交流のルールを守らない
7つ目は、相手が面会交流のルールを守らない場合です。
別居親が事前の取り決めを守らないなら、面会交流を拒絶できる可能性があります。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 事前に取り決めた面会交流の頻度や場所を守らない
- 断りもなく子どもに高価なプレゼントをする
- 同居親の許可なく、祖父母にも会わせる
どのようなルール違反があったのか、それが子どもにどんな影響を与えたのか、具体的に証明することで、面会交流を拒絶できるかもしれません。
再婚は基本的に面会交流を拒絶する正当な理由にならない
離婚後に再婚した場合、元配偶者と子どもの面会交流を拒絶したいと考える方もいるでしょう。
しかし、たとえ再婚したとしても、面会交流を拒絶する理由にはなりません。
そもそも面会交流は、子の福祉と利益のためにおこなわれるものです。
別居親からの愛情を感じる場でもあるため、再婚を理由に制限できるものではありません。
子どもが再婚相手と養子縁組しても面会交流を拒絶する理由にはならない
子どもが再婚相手と養子縁組をしても、面会交流を拒絶する理由にはなりません。
子どもが再婚相手と養子縁組した場合、再婚相手は戸籍上の親となり、子どもの第一次的な扶養義務を負います。
しかし、別居親と子どもが実の親子であることに変わりありません。
再婚しても別居親は引き続き子どもと面会交流をする権利を有するため、面会交流を拒絶する理由にはならないのです。
子どもへの影響次第では面会交流を拒絶する理由と認められる場合もある
子どもが再婚相手と養子縁組をした場合でも面会交流は拒否できませんが、子どもへの影響次第では、面会交流を拒否する理由と認められる場合もあります。
具体的には、以下のような状況に当てはまる場合は面会交流を拒否できるでしょう。
- 再婚後の環境変化が大きく、面会交流によって子どもの精神が不安定になる可能性がある
- 子どもと再婚相手の関係性が良好である
- 子どもと再婚相手が関係性を構築している最中で、面会交流によって子どもが混乱する恐れがある
再婚という環境変化が子どもに及ぼす影響を考え、子どもの福祉に反すると判断された場合は、面会交流を拒絶する理由になるといえるでしょう。
面会交流を拒絶する正当な理由とは言えない主な例
面会交流を拒絶する理由として、正当とはいえないものには以下が挙げられます。
- 元配偶者が養育費を払っていない
- 元配偶者と関わりたくない
- 再婚相手が面会交流をしないで欲しいと言っている
- 面会交流後に子どもが不機嫌になる
面会交流を実施するかどうかは、子どもの利益や福祉を最優先に考えて決めるべきです。
同居親の感情や再婚相手の意思は、関係ありません。
たとえ相手が養育費を払っていなくても、ご自身が再婚しても、子どもが別居親と会いたいと思っているなら面会交流を実施すべきだといえるでしょう。
正当な理由なしに面会交流を拒絶し続けるとどうなる?
では、正当な理由なしに面会交流を拒絶し続けるとどうなるのでしょうか。
ここからは、面会交流の拒否によって生じるリスクを、解説します。
相手との話し合いに応じなければ調停を申し立てられる
元配偶者との話し合いに応じなければ、相手から面会交流調停を申し立てられるリスクがあります。
面会交流調停は、家庭裁判所を通した手続きです。当事者の間に調停委員が入り、面会交流の取り決めをすることになります。
調停では、面会交流を拒否したい正当な理由を、書面や証拠を持って主張しなければなりません。
そして、期日は平日の日中に開かれるため、ご自身で対応するなら仕事との調整も必要です。
調停手続きに移行したくないなら、当事者での話し合いは避けて通れません。
話し合いが難しければ、弁護士への依頼も検討しましょう。
履行勧告・履行命令を受ける
家庭裁判所の調停や審判で決まった面会交流の取り決めを守らない場合、履行勧告・履行命令を受けるリスクがあります。
履行勧告・履行命令とは、家庭裁判所が約束を守らない者に対して発する警告のことです。
法的な強制力はありませんが、裁判所から正式な通知が届くことで、心理的な負担を感じるかもしれません。
そのため、正当な理由なく面会交流を拒絶するのは、避けたほうがよいでしょう。
間接強制によって制裁金を支払わなくてはならなくなる
面会交流を拒絶すると、間接強制を申し立てられるリスクがあります。
間接強制とは、調停や審判で決まった取り決めを守らない者に対して、制裁金(間接強制金)を支払うよう命じる裁判所の手続きのことです。
具体的な金額は事案によって異なりますが、面会交流を守らないごとに間接強制金が課される可能性があります。同居親の経済的な負担も大きいといえるでしょう。
ただし、間接強制は必ずしも申立てが認められるとは限りません。
申立てが認められるのは、面会交流の条件(日時・頻度・引渡し方法・実施できなかったときの代替案など)が明確に定められている場合のみです。
慰謝料を請求される可能性がある
面会交流の拒絶が続くと、相手から慰謝料を請求されるリスクがあります。
一度の拒絶で、慰謝料請求されることはありません。ただし、裁判所が悪質性が高いと判断すれば、数十万円程度の慰謝料の支払いを命じられるかもしれません。
たとえば、調停や審判で決まった面会交流の条件を守らず、裁判所からの履行勧告や履行命令にも応じずに拒否しているなどのケースは、悪質だといえるでしょう。
親権者変更が申し立てられる可能性がある
面会交流の拒絶が続くと、別居親から親権者変更を申し立てられるリスクがあります。
実際、面会交流の拒絶や同居親としての不適切な言動が理由で、親権者の変更を認めた審判例もあります。
一度決まった親権者を変更するハードルは、非常に高いものです。
しかし、もし裁判所が変更を認めた場合、今後子どもと一緒に生活できなくなります。
理由なく面会交流を拒絶するとこれまでの生活を奪われるリスクがあるので、注意が必要です。
子どもに悪い影響を与える
面会交流ができない状態が続けば、子どもに悪い影響を与えるリスクがあります。
面会交流は、子どもが別居親からの愛情を受けられる貴重な機会です。
子どもは別居親に会いたがっているのに、同居親の感情で面会交流を拒絶してしまっては、子どもの利益に反します。
子どもの健全な成長のためにも、面会交流は子どもの意思を尊重しておこなうようにしましょう。
面会交流を拒絶するための方法は?
面会交流の拒絶には、さまざまなリスクがあります。
それでもどうしても元配偶者に子どもを会わせたくない場合は、どうしたらよいのでしょうか。
ここからは、面会交流を拒絶するための方法について、解説します。
相手と話し合う
面会交流を拒絶したいなら、まずは相手と話し合いをおこないましょう。
子どもが嫌がっているなら、なぜ嫌がっているのか具体的な理由を伝えることが重要です。
そして、完全に面会交流を止めるのではなく、子どもの状態が落ち着いたら再開するという姿勢を伝えれば、相手の理解を得られるかもしれません。
相手に何も伝えずに面会交流を拒絶してしまうと、相手からの心象が悪くなります。
さらなる揉め事に発展する可能性もあるので、まずはきちんと話し合うようにしましょう。
面会交流調停を申し立てる
話し合いで決着がつかなければ、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てましょう。
面会交流調停では面会交流の条件を決めるだけでなく、すでに決まった条件を見直すこともできます。
調停委員が当事者の間に入ることで、冷静な話し合いができるはずです。
また場合によっては、家庭裁判所の調査官が子どもとの面談や、生活状況を確認するために家庭訪問をおこなうこともあります。
調停では当事者の意見と第三者の目によって、面会交流について改めて検討することになります。
面会交流を拒絶したいなら、子の福祉に反する正当な理由を用意して調停に臨むようにしましょう。
面会交流を拒絶したいとき弁護士に相談・依頼するメリット
面会交流の拒絶したいけれど、どうすればよいかわからない、相手と話したくないという方もいるでしょう。
そんなときは、弁護士への依頼がおすすめです。
ここからは、面会交流を拒絶したいときに弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
面会交流を拒絶できる正当な理由と認められるか判断してもらえる
1つ目のメリットは、面会交流を拒絶できる正当な理由と認められるかを、判断してもらえることです。
弁護士に相談すれば過去の事例を参考に、面会交流を拒絶したい理由が正当かどうかを判断してもらえます。
理由を裏付ける法的根拠があれば、安心できるといえるでしょう。
相手と冷静に交渉をすすめられる
2つ目のメリットは、相手と冷静に交渉を進められることです。
当事者での話し合いだと感情的になり、結論が出ない可能性があります。また、相手と直接話したくないという方もいるかもしれません。
その点、弁護士に依頼すれば当事者の間に入り、お互いの意見をすり合わせてくれます。
直接話さずに済むので、冷静に手続きを進められるはずです。
調停や審判で有利になる可能性が高まる
3つ目のメリットは、調停や審判が有利になる可能性が高まることです。
面会交流について、当事者間での話し合いがまとまらなければ、調停や審判へと移行する可能性があります。
調停や審判では、主張書面や証拠など、さまざまな書面を提出しなければなりません。
法律の知識も必要なので、ご自身で対応するより弁護士へ依頼したほうがスムーズだといえます。
面会交流の拒絶についてよくある質問
さいごに、面会交流の拒絶についてよくある質問を3つ紹介します。
面会交流を拒絶して親権者変更となった判例はある?
福岡家庭裁判所平成26年12月4日の審判では、面会交流を拒絶した結果、親権者の変更が認められています。
本件は、離れて暮らす父親と子どもの面会交流が途絶え、父親が親権者変更を申し立てた事例です。
父と子の関係は良好だったにも関わらず、交替監護終了後に子が父との面会を強く拒むようになり、面会が実現しない状態が続きました。その背景には、母が子の前で父への否定的な感情を隠さず、父との面会に罪悪感を抱かせる言動を重ねたことが影響したと判断されています。
本来、子の健全な成長には両親との継続的な交流が重要で、特段の事情がない限り面会は実施されるべきです。
しかし、母は面会実現に必要な配慮を欠き、親権者指定の前提が崩れたとされました。
そのため、本裁判では父に親権、母に監護権を持たせ、双方が協力して子を育てる体制へ変更する必要性が認められたのです。
本件は、親権者だった母親の子の利益を顧みない身勝手な行動によって、親権者変更が認められた事例です。
このように正当な理由なく面会交流を拒否し続ければ、親権者が変更される可能性があるといえるでしょう。
面会交流を拒絶したら養育費も支払われなくなる?
面会交流を拒絶したからといって、養育費が支払われなくなることはありません。
養育費は、子どもの生活を守るための費用です。別居親には養育費を支払う義務があります。
面会交流が実施されないからといって養育費を払わなくてよい理由にはならず、裁判でもそのような主張は認められません。
ただし、面会交流が途絶えると、養育費を支払いたくないという心理になる別居親もいるかもしれません。
子どもの生活や利益を守るためにも、感情的な理由での面会交流の拒否は避けた方がよいでしょう。
共同親権が導入されたら面会交流はどうなる?
2026年4月1日に、民法改正により共同親権が導入される予定となっています。
共同親権が導入されると、父母の両名で子どもを監護することが可能になります。
とはいえ、基本的には一方の親が主で子どもを監護するケースが多いため、ただちに面会交流の回数や頻度が改善されるわけではないでしょう。
ただし、離婚後に共同親権を選択すると、祖父母などの親族も面会交流の申立てができるようになるなどの変更点もあります。
すぐに大幅な変化があるわけではありませんが、今後面会交流に対する世間の考え方が変わる可能性があるといえるでしょう。
【関連記事】離婚後の共同親権制度とは?4つの基本ポイントと親権者変更の手続きについて解説
さいごに|面会交流の拒絶については弁護士に相談を!
面会交流を拒絶するには、以下のような正当な理由が必要です。
- 年齢が一定以上の子どもが面会交流を拒絶している
- 中学生以上の子どもが面会交流を拒絶しているなら正当な理由として尊重されやすい
- 相手が子どもを連れ去るかもしれない
- 相手が子どもを虐待する可能性がある
- 配偶者や子どもが相手からDV・モラハラを受けていた
- 両親が感情的に激しく対立している
- 面会交流が子どもの養育に悪影響を与えると想定される
- 相手が面会交流のルールを守らない
正当な理由なく面会交流を拒否し続けると、以下のようなリスクもあります。
- 相手との話し合いに応じなければ調停を申し立てられる
- 履行勧告・履行命令を受ける
- 間接強制によって制裁金を支払わなくてはならなくなる
- 慰謝料を請求される可能性がある
- 親権者変更が申し立てられる可能性がある
- 子どもに悪い影響を与える
元配偶者と子どもとの面会交流に悩んでいるなら、弁護士へ相談しましょう。
弁護士なら、面会交流拒否の理由が正当かどうかを判断してくれます。相手との話し合いや調停手続きも任せられるので、有利な解決を目指せるかもしれません。
自己判断で面会交流を拒否しては、子どもの利益を損なう可能性があります。子どもの利益と子どもとの生活を守るためにも、早めに弁護士へ相談しましょう。
