離婚届に「証人」は必要?どうしても見つからないときの対処法などを解説
離婚届を提出しようとしたとき、多くの人が最初につまずくのが「証人欄を誰に頼めばいいのか?」という点です。
協議離婚の場合、夫婦双方が合意していれば離婚は比較的スムーズに進みますが、離婚届の証人欄をどうすればいいのか悩んでしまう人も少なくありません。
親や友人に頼むのが一般的とはいえ、事情が複雑で頼みにくかったり、関係性の問題で証人をお願いできなかったりするケースもあります。
本記事では、離婚届に証人が必要な理由や証人の条件、どうしても見つからないときの対処法まで、理解しやすいように詳しく解説します。
離婚届の証人は必要か?協議離婚の場合は必要になる
協議離婚において、離婚届には当事者双方の署名に加えて、成年の証人2名の署名・記載が必要です(民法第739条2項)。
これには、離婚は身分に関わる重要な法律行為であり、夫婦双方が自らの意思で合意していることを第三者として証明・確認するためという趣旨があります。
そのため、証人欄に署名がない場合、離婚届は受理されません。
なお、調停離婚・裁判離婚など、協議離婚以外の形式においては、証人による署名は不要です。
離婚届の証人になるための条件と課される義務
ここでは、離婚届の証人になるための条件と、離婚届の証人に課される義務について詳しく解説します。
証人の条件|成人していれば誰でもなれる
離婚届の証人になる条件は、「成人していること」のみです。
家族、親戚、友人、職場の同僚など、夫婦との関係性に制限はありません。
日本国籍である必要もないため、在留外国人や外国籍の知人でも証人になることは可能です。
証人の義務|双方の離婚意思を確認する必要がある
証人には、夫婦双方が本当に離婚に同意しているかを確認する義務があります。
離婚届に証人として署名することは、単なる形式的な作業ではなく、第三者として当事者の意思を見届ける役割があることを覚えておきましょう。
とはいえ、意思の確認といっても、専門的な調査や法的な判断を求められるわけではなく、「話を聞いて、本人の意思で離婚するのだと確かめる」程度で問題ありません。
また、署名したことで法的責任を負ったり、離婚後のトラブルに巻き込まれたりすることも通常はないので安心してください。
ただし、実際は意思確認をしていないのに確認したと装うなど、虚偽の署名をすることは望ましくありません。
実際、夫婦一方の意思を確認しただけで離婚届に記名した証人が、配偶者から損害賠償請求を受けた判例もあります。
そのため、証人を依頼する際には「離婚に合意していることを確認してほしい」という趣旨をきちんと伝えると、お互いに安心して手続きが進められるでしょう。
離婚届の証人を用意できない場合の2つの対処法
協議離婚には証人2名が必要ですが、家庭や人間関係の事情により、どうしても証人を用意できないケースは珍しくありません。
とくに、離婚がデリケートな状況で進んでいる場合、親や友人に相談しづらいこともあるでしょう。
そんなときは、以下の2つの対処法を検討しましょう。
- 証人代行サービスを利用する
- 離婚調停などで離婚の成立を目指す
それぞれの対処法について、詳しく解説します。
1.証人代行サービスを利用する
身近にどうしても頼める人がいない場合は、「証人代行サービス」を利用する方法があります。
証人代行サービスとは、行政書士事務所や専門業者が有料で証人欄への署名を代行してくれるサービスです。
証人代行を依頼すると、指定された住所宛てに離婚届を郵送し、署名して返送してもらえるので、対面の必要がなく、周囲に知られずに手続きを進められるメリットがあります。
ただし、費用が数千円~数万円ほどかかる点や、サービスの質にばらつきがある点には注意が必要です。
口コミや実績を確認して、信頼できる業者を選びましょう。
2.離婚調停などで離婚の成立を目指す
どうしても証人が確保できず協議離婚が難しい場合は、家庭裁判所の「離婚調停」を利用する方法があります。
調停離婚では、家庭裁判所が夫婦の話し合いを仲介し、合意に至れば調停調書が作成され、それが離婚成立の証明となるため、離婚届の証人は不要です。
調停は第三者である調停委員が間に入るため、感情的な対立が強い夫婦でも冷静に話し合いを進めやすい利点があります。
また、DVやモラハラなどで相手と直接会うことが難しい場合でも、別室調停など配慮が可能です。
ただし、調停には数ヵ月かかることが一般的で、協議離婚より時間と労力は大きくなります。
それでも「証人が用意できない」「連絡を取るのが困難」といった状況では、確実に離婚を成立させるための現実的な選択肢となるでしょう。
離婚届の証人に関して知っておくべき2つの注意点
協議離婚では証人2名の署名が必須ですが、記入方法や扱い方には注意すべきポイントがあります。
ここでは、証人欄を記入してもらう際の2つの注意点を整理し、トラブルなく提出できるように丁寧に解説します。
1.自分で書いてはいけない
証人欄は必ず証人にあたる第三者本人が記入しなければならず、離婚の当事者が代わりに書いてはいけません。
証人の趣旨は、「離婚が当事者の自由な意思に基づいておこなわれているかを確認した第三者が署名する」という点にあります。
そのため、当事者が勝手に署名すると本来の役割を果たせず、離婚届が受理されない可能性があるでしょう。
さらに、場合によっては私文書偽造罪として3ヵ月以上5年以下の拘禁刑が課せられるリスクもあります。
離婚届は重要な公的書類なので、「証人欄は必ず第三者本人に書いてもらう」という基本ルールを徹底することが大切です。
2.代筆してはいけない
証人欄は証人本人が自署する必要があるため、「証人本人の意思を得たから代筆して持参する」という方法も認められていません。
たとえ証人が了承していたとしても、当事者や他者が代筆すれば、本人が離婚意思を確認したという証明にならず、書類としての効力が失われます。
証人が遠方に住んでいる場合でも、離婚届を郵送して署名してもらうなど、必ず本人が記入できる方法を検討しましょう。
さいごに|協議離婚の場合は絶対に証人に署名してもらおう!
本記事では、離婚届の証人が必要な理由や、証人を用意できない場合の対処法などについて詳しく解説しました。
協議離婚では、離婚届に「証人2名の署名」が必須で、これがなければ役所では受理されません。
証人は成人であれば誰でもなることができ、家族に限らず友人や同僚など身近な人へ依頼できます。
ただし、証人には夫婦が本当に離婚に合意しているかを確認する義務があるため、証人本人が自署しなければならず、離婚の当事者による代筆は認められていません。
証人探しに悩む人は多いですが、協議離婚を成立させるためには必ず必要な手続きです。
どうしても身近に頼める人がいない場合は、証人代行サービスを利用したり、離婚調停へ切り替える方法を検討しましょう。
迷ったまま手続きを進めるのではなく、必要に応じてプロの力を借りることで、安心して新生活へのスタートを切れるはずです。
