【初犯】遺失物等横領罪の処分はどうなる?軽い処分にするための3つのポイントを解説
財布やスマートフォンなどを拾ったのに交番に届けなかった場合、「遺失物等横領罪」にあたるおそれがあります。
初めてのことであっても、警察に呼ばれたり、事情聴取を受けたりすると、「前科がつくのでは」「どんな処分になるのか」と不安を感じる人は多いでしょう。
結論からいえば、初犯で反省の態度が見られれば、微罪処分や不起訴処分となる可能性が十分にあります。
ただし、被害者への対応や示談の有無によっては、罰金刑などの重い処分が下される場合もあります。
刑罰をなるべく軽減したければ、適切な対応が欠かせません。
本記事では、初犯の遺失物等横領罪で考えられる主な処分や処分が決まるまでの流れ、そして軽い処分を受けるためのポイントを解説します。
また、弁護士に相談するメリットも紹介するので、今後の対応を考えるうえでの参考にしてください。
初犯の遺失物等横領罪で考えられる主な処分
初犯の遺失物等横領罪で考えられる主な処分は、以下のとおりです。
- 微罪処分
- 不起訴処分
- 執行猶予
- 実刑
ここから、考えられる処分の種類を順に見ていきましょう。
あわせて、未成年の場合の取り扱いについても説明します。
1.微罪処分|警察に厳重注意を受けて終わる処分のこと
微罪処分とは、警察が軽微な犯罪と判断した場合に、事件を検察に送らず警察の判断で終了させる処分です。
拾った物を返還している、被害者が許しているなど、悪質性が低いケースで選択されやすい手続きで、警察署で厳重注意を受けて釈放されるため、逮捕・勾留を受けず、前科もつきません。
警察庁のデータによると、遺失物等横領罪で検挙された事件が微罪処分となる割合は、「約46%」です。
| 区分 | 件数 |
|---|---|
| 検挙数 | 8,929件 |
| 微罪処分 | 4,087件 |
| 微罪処分の割合 | 約46% |
【参考】令和5年の犯罪|警察庁
【関連記事】微罪処分なら即座に釈放|微罪になる犯罪や判決の基準を解説
2.不起訴処分|検察が起訴をしないと判断する処分のこと
不起訴処分とは、検察官が「裁判にかける必要はない」と判断する処分です。
初犯で反省している、被害者へ謝罪・弁償ができているといったケースで選択されやすく、不起訴処分となれば裁判は開かれないので、前科もつきません。
遺失物等横領罪の容疑で検察に送致された事件が不起訴処分となる割合は、「約86%」です。
| 区分 | 件数 |
|---|---|
| 起訴+不起訴の総数 | 4,477件 |
| 不起訴処分 | 3,852件 |
| 不起訴処分の割合 | 約86% |
【参考】2023年|検察統計
【関連記事】不起訴とはどういう意味?不起訴処分の理由と似ている用語との違いなどを解説
3.執行猶予|裁判の判決で刑の実施を猶予する処分のこと
執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予できる制度です。
執行猶予の期間は、1年〜5年の範囲内で決まります。
執行猶予が付けば、有罪判決を受けても刑務所に入らず、通常通りの生活を続けることが可能です。
その後、定められた期間を問題なく過ごせば、刑の言い渡しの効力は消滅し、刑罰を受ける必要がなくなります。
遺失物等横領罪で執行猶予が選択される割合を示したデータはありません。
とはいえ、遺失物等横領罪は罰金刑で終わる例が中心であるため、そもそも執行猶予が選択される場面は多くないと考えられます。
【関連記事】執行猶予制度を分かりやすく解説!認められる条件や獲得するためにできること
4.実刑|裁判の判決で罰金刑や拘禁刑を実施する処分のこと
実刑とは、裁判で言い渡された罰金刑や拘禁刑が実際に執行される処分です。
遺失物等横領罪の法定刑は、「1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金・科料」です。
この範囲内で、事件の悪質性や容疑者の反省状況を踏まえて刑罰が決まります。
とはいえ、初犯の遺失物等横領罪であれば、「罰金刑」で終わるケースがほとんどです。
罰金額は事案に応じて決められますが、相場は5万円〜10万円程度です。
ただし、以下の事情が見られる場合には、悪質な事件として扱われ、拘禁刑の実刑を受ける可能性が高まります。
- 被害額が高額
- 反省が見られない
- 同様の行為を繰り返している
- 余罪が複数ある
遺失物等横領罪で起訴された場合には、略式命令請求と公判請求のどちらかが選択されます。
略式命令請求となる割合が「約57%」、公判請求となる割合が「約43%」です。
| 区分 | 件数 |
|---|---|
| 起訴件数 | 625件 |
| 略式命令請求(罰金刑または科料) | 359件 |
| 公判請求(拘禁刑、罰金刑または科料) | 266件 |
略式命令請求は書面審理のみで処理され、「罰金刑または科料」が科されるため、拘禁刑とはなりません。
一方、公判請求の場合は法廷で審理がおこなわれ、「拘禁刑・罰金刑・科料」のいずれかが選択されます。
実刑判決に関する正確な統計はありませんが、比較的軽微で悪質性が低いという遺失物等横領罪の特徴を踏まえると、多くの事案で「罰金刑または科料」が選ばれていると考えられます。
【関連記事】実刑とは?懲役や執行猶予との違い・実刑判決を回避する方法を紹介
遺失物等横領罪の初犯をした人が未成年者だった場合の処分
少年法では、20歳未満の未成年を「少年」と定めています。
少年が刑罰法令に触れる行為をした場合、その事件は「少年事件」として扱われます。
少年事件では、刑事訴訟法に加えて少年法が適用されるため、成人とは異なる特別な手続きが取られます。
その代表的な手続きが「全件送致主義」です。
全件送致主義とは、少年が罪を犯したと判断された場合、全ての事件を家庭裁判所に送る制度です。
通常の刑事事件では、軽い事件であれば微罪処分となり、検察に送致されない場合があります。
しかし、少年事件では、家庭裁判所が少年の性格や生活環境などを詳しく調べ、更生に適した処分を決める必要があるため、どんな事件でも必ず家庭裁判所に送致されます。
その後、家庭裁判所は以下の中から適切な処分を選びます。
- 保護処分
- 検察官送致
- 知事または児童相談所長送致
少年事件での手続きや逮捕後の流れについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もご参考ください。
【関連記事】
未成年が逮捕されたら|その後の流れや措置・示談や家族に出来ること|ベンナビ刑事事件
少年事件で逮捕された後の流れは?年齢による違いや弁護士選びのポイント も解説|ベンナビ刑事事件
初犯の遺失物横領をした場合の流れ|処分の内容はわかる?
遺失物等横領罪の容疑であれば、逮捕されず在宅捜査となるケースが多いです。
しかし、悪質性があれば逮捕・勾留される可能性もあります。
以下では、遺失物横領をした場合の手続きの流れを、逮捕・勾留された場合とそうでない場合に分けて説明します。
1.逮捕・勾留されている場合|逮捕から最長で23日後
遺失物等横領罪で逮捕されると、まずおこなわれるのが警察での取調べです。
その後、逮捕から48時間以内に事件は検察へ送致され、検察官はさらに24時間以内に勾留請求をするか判断します。
検察官の勾留請求後、裁判官が勾留を認めると最長10日間の勾留が始まり、必要に応じて追加で最大10日間延長されます。
つまり、逮捕から起訴・不起訴が決まるまでの期間は最長で23日間です。
この間に、検察官が起訴・不起訴を判断します。
2.逮捕・勾留されていない場合|処分がわかる時期は未定
逮捕されない場合は、「在宅事件」として処理されます。
在宅事件では、警察や検察からの呼び出しで出頭し、必要な取調べを受けながら手続きが進みます。
その後、警察が事件を検察へ送致し、検察官が起訴・不起訴を判断するのです。
遺失物等横領罪は、在宅事件として処理されることが多いといわれています。
在宅事件では、普段通りの生活を送りながら手続きに応じることが可能です。
しかし、身柄拘束の期間制限がないため、処分が決まるまでの期間には個人差があります。
数ヵ月で済む場合もあれば、半年以上かかることもあるでしょう。
初犯の遺失物等横領罪でできる限り軽い処分にするポイント
遺失物等横領罪の初犯であっても、状況次第で逮捕や起訴に発展するおそれがあります。
できる限り軽い処分にするには、以下の対応が有効です。
- 被害者に遺失物を返還する
- 十分謝罪して示談交渉をおこなう
- 刑事事件が得意な弁護士に相談する
ここでは、それぞれの対応について詳しく解説します。
1.被害者に遺失物を返還する
まず重要なのは、拾った物を速やかに返すことです。
遺失物等横領罪は、落とし物を自分の物として扱ったと判断されることで成立します。
そのため、速やかに遺失物を返還すれば被害が回復されたものと評価され、処分が軽くなる傾向があります。
財布やスマートフォンを拾ったときは、中身を抜き取らず、手を加えずに警察へ届けましょう。
もし誤って自宅に持ち帰ってしまった場合でも、早めに返還すれば心証悪化を避けられます。
2.十分謝罪して示談交渉をおこなう
次に重要なのが、誠意を示した謝罪と示談です。
示談とは、加害者と被害者が話し合いで解決する合意です。
遺失物等横領罪の場合は、拾った物を返すだけでなく、精神的な負担に対する慰謝料や解決金を支払うことで示談が成立することもあります。
示談が成立すると、被害届を取り下げてもらえたり、検察官が起訴を見送ってもらえたりする可能性が高いです。
ただし、加害者本人が直接連絡を取ると、被害者が不安を感じる場合もあり、感情的なもつれにつながるおそれがあります。
通常は、弁護士以外には被害者の連絡先は開示されません。
そのため、示談交渉は必ず弁護士を介して進めるようにしましょう。
【関連記事】弁護士に示談交渉を任せたい!依頼の流れ・費用・注意点をわかりやすく解説
3.刑事事件が得意な弁護士に相談する
遺失物横領をおこなってしまった場合は、刑事事件が得意な弁護士への相談も欠かせません。
遺失物等横領罪は軽微な犯罪に分類されますが、前科がつくと就職・資格・留学に影響する可能性があります。
万が一逮捕・勾留されると最大で23日間身柄を拘束され、その間は家族や学校、職場と連絡が取れません。
弁護士は、警察や検察とのやり取りを代わりに進めたり、被害者との示談をまとめたりして、逮捕・勾留を避けるための手続きを丁寧に進めてくれます。
また、反省の姿勢や被害者との和解状況を適切に捜査機関に伝えて、処分が軽減するよう働きかけることも可能です。
初犯の遺失物等横領罪を弁護士に相談・依頼するメリット
刑事事件を得意とする弁護士に相談・依頼すれば、前章の「3.刑事事件が得意な弁護士に相談する」に記載した内容のほかに、以下のメリットも得られます。
- どの犯罪が成立しているか判断してもらえる
- 余罪の有無などをもとに見通しを教えてもらえる
- 軽い処分を獲得するためのサポートを受けられる
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
1.どの犯罪が成立しているか判断してもらえる
遺失物等横領罪と似た犯罪として挙げられるのが、「窃盗罪」です。
どちらも他人の物を奪う点で共通しますが、被害者がその物を現に占有していたかどうかが異なります。
- 遺失物等横領罪:落ちていた財布や放置された自転車など、持ち主の占有を離れた物を横領した場合
- 窃盗罪:人が現に身につけている財布など、持ち主が管理・所持している物を盗んだ場合
窃盗罪と判断されると、遺失物横領よりも処分内容が重くなるケースがほとんどです。
その点、弁護士に相談すれば、どちらの犯罪が成立するのかを正確に整理してくれます。
【関連記事】窃盗罪に該当する行為と罰則|窃盗事件で弁護士に相談すべき4つの理由
2.余罪の有無などをもとに見通しを教えてもらえる
遺失物等横領罪の起訴率は低めですが、余罪が複数ある場合や被害額が高額な場合には、逮捕・起訴へ進みやすくなる点に注意が必要です。
たとえば、複数の落とし物を持ち帰っていたり、窃盗罪に該当する行為が混ざっていたりすると、悪質と判断され、逮捕・起訴されやすくなります。
弁護士に依頼すれば、以下の事情を踏まえて、今後の見通しやリスクを具体的に説明してくれます。
- 捜査状況
- 余罪の有無
- 被害者との関係性
また、早めに弁護士に相談しておけば、不当な身柄拘束を防いだり、不起訴に向けた方針を整えたりできます。
3.軽い処分を獲得するためのサポートを受けられる
弁護士は、微罪処分・不起訴処分・罰金刑の回避を目指してさまざまな弁護活動をおこないます。
逮捕されている場合、本人は被害者へ連絡できません。
在宅事件であっても、加害者が直接謝罪や交渉を試みると、相手の感情を刺激して話がこじれるおそれがあります。
そのため、示談交渉は弁護士が間に入って進めるのが安全で確実です。
その点、弁護士が代理人として示談を進めれば、穏やかに話をまとめやすくなるので、早期解決につながるでしょう。
示談が成立すれば、不起訴となる可能性も高まります。
また、弁護士は取調べでの受け答えや捜査機関とのやり取りについてアドバイスするなど、前科を避けるために必要な手続き全般をサポートしてくれます。
さいごに|横領事件が得意な弁護士は「ベンナビ刑事事件」で探せる!
本記事では、初犯の遺失物等横領罪で考えられる処分内容や、処分を軽くするためのポイントについて解説しました。
初犯であれば、微罪処分や不起訴処分で終わるケースが多く、起訴されても罰金刑で済むことが一般的です。
ただし、被害額が大きい場合や反省の態度が見られない場合、示談が成立していない場合などは、拘禁刑が科される可能性もあります。
処分を軽減するためには、拾った物の返還や誠実な謝罪に加え、弁護士に依頼して示談の成立や不起訴に向けた弁護活動を進めてもらうことが重要です。
とくに横領事件を得意とする弁護士であれば、身柄拘束の回避から示談交渉まで、状況に合わせて最適な対応を提案してくれます。
横領事件を得意とする弁護士を探すにあたっては、「ベンナビ刑事事件」の利用が便利です。
ベンナビ刑事事件を利用すれば、地域と相談内容を入力するだけで、横領事件を得意とする弁護士をお住まいの地域から簡単に探せます。
不安を抱えたままにせず、できるだけ早めに弁護士へ相談して、安心して対応を進めましょう。
