養育費を払わなくてよい場合とは?再婚や収入状況で減額・免除できるケースも解説
- 「元配偶者が再婚したら、もう養育費は払わなくていいの?」
- 「収入が減ったけれど、減額や免除は認められるのだろうか…」
養育費は原則として支払い義務がありますが、全てのケースで一生払い続けなければならないわけではありません。
再婚や収入状況の変化、子どもの生活環境の変化などによっては、減額や免除が認められる場合もあります。
ただし、自己判断で支払いを止めてしまうと、あとから一括請求や強制執行を受けるリスクもあるため注意が必要です。
本記事では、養育費を払わなくてよい(または減額・免除される)可能性がある具体的なケースを、法的な考え方とあわせてわかりやすく解説します。
「自分の場合はどうなるのか?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
養育費を払わなくてよい場合とは?支払いを打ち切ることができる場合は?
原則として非監護親には養育費の支払い義務が課されていますが、以下のような事実が存在するときには、例外的に養育費を払わなくてもよい場合があります。
- 養育費を払わなくてよい旨について父母間で合意した場合
- 合意した養育費の支払い期間が満了した場合
- 子どもが経済的・社会的に自立した場合
- 未払い分の養育費について消滅時効が完成した場合
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
養育費を払わなくてよい旨について父母間で合意した場合
離婚をするときには、父母間で養育費についての取り決めをするのが一般的です。
その際には、養育費を0円にする、つまり、養育費を払わないし受け取らないという旨の合意をすることも可能です。
そのため、離婚時に養育費を払わないことで合意に至った場合には、そもそも養育費を支払う必要はありません。
ただし、養育費に関する取り決めは父母間での合意に基づきます。
仮に養育費を払わないと父母間で同意をしたとしても、子どもから直接扶養料を請求された場合には、扶養料を支払わなければいけません。
合意した養育費の支払い期間が満了した場合
父母間で養育費について取り決めをする場合には、養育費の金額、支払い日、支払い方法、支払い期間が決められるのが一般的です。
たとえば、「毎月○万円、月末に預貯金口座に振り込み、高校を卒業するまで」などという取り決めがなされます。
支払い期間については、以下のような形で定められるのが一般的です。
- 高校卒業まで
- 大学卒業まで
- 18歳の誕生日まで
- 原則18歳まで、大学進学した場合には卒業まで
そして、養育費を支払う期間が満了した場合には、それ以降、養育費を払わなくてよくなります。
子どもが経済的・社会的に自立した場合
養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまでの生活費や教育費などの支えになるものです。
そのため、取り決め当初は父母間の養育費の支払い条件について「子どもが大学を卒業するまで」と定めていたとしても、子どもが高校を卒業して就職をした場合などは経済的に自立した状態になったといえるので、養育費を支払わなくてもよくなることがあります。
未払い分の養育費について消滅時効が完成した場合
養育費の未払い分について消滅時効が完成したときには、消滅時効完成分の養育費は払わなくてよい場合があります。
養育費の請求権の消滅時効は、養育費の支払日から5年です。
また、何らかの事情によって養育費を請求できる事実を知らなかったとしても、権利行使ができる時点から10年で消滅時効が完成します。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
引用元:民法|e-Gov法令検索
ただし、消滅時効期間が完成していたとしても、適切な方法で時効の援用手続きをおこなわなければ、養育費の支払い義務はなくなりません。
そのため、未払いの養育費について消滅時効完成を主張する場合には、念のために一度は弁護士まで相談してください。
養育費の減額・免除が認められる可能性がある場合
養育費についての取り決めがなされた場合でも、その後の事実関係次第では、養育費の減額や免除が認められる可能性があります。
ここでは、養育費の減額や免除が認められる可能性があるケースとして、以下5つを紹介します。
- 離婚時から自分の収入が大幅に減った場合
- 離婚時から相手方の収入が大幅に増えた場合
- 自分と再婚相手との間に子どもが生まれた場合
- 自分が再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合
- 子どもが相手方の再婚相手と養子縁組をした場合
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
離婚時から自分の収入が大幅に減った場合
離婚後に自分の収入が大幅に減少した場合、養育費の減額や免除が認められる可能性があります。
養育費は子どものためのものであるのは大前提ですが、やむを得ない理由によって支払う側の経済力がなくなった場合、それでも養育費の支払いを強要するのは現実的に不可能だからです。
たとえば、経営難で勤務先の企業が倒産して無職になった場合、病気や怪我が原因で仕事ができずに収入が絶たれてしまった場合、リストラされて職を失った場合などが挙げられます。
ただし、このような事情で養育費の減額・免除が認められる場合でも、ずっと養育費を払わなくてよいわけではありません。
たとえば、養育費が減額・免除されるとしても、再就職先が決まるまで、職場に復帰するまでなどの形で期間が限定されるのが一般的です。
また、離婚後にギャンブルなどで借金を抱えて家計が苦しくなった場合や、浪費などが原因で養育費を払うのが難しくなった場合などでは、養育費の減額や免除が認められる可能性は極めて低いでしょう。
離婚時から相手方の収入が大幅に増えた場合
離婚後に相手方の収入が大幅に増えた場合、養育費の減額や免除が認められる可能性があります。
そもそも、養育費の金額は、自分と相手方の収入バランスによって決められるのが一般的です。
そのため、相手方の収入が大幅に増加して養育費を決めたときの収入バランスから変化が生じたときには、こちら側の養育費負担が免除・軽減される可能性があるでしょう。
自分と再婚相手との間に子どもが生まれた場合
離婚後に自分が再婚をして、再婚相手との間に子どもが生まれた場合、養育費が減額・免除される可能性があります。
というのも、元配偶者との間の子どもと再婚相手との間の子どもに対する扶養義務は同等のものと考えられているからです。
再婚相手との間に子どもが生まれた場合、今後の扶養義務の量が増えるので、結果として、養育費は一定程度減額されることが多いです。
自分が再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合
離婚後に再婚をして、再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合も、再婚相手との間で子どもが生まれた場合と同じように、養育費が減額・免除される可能性があります。
なぜなら、養子縁組をすると、養親として養子に対する扶養義務を負うことになるからです。
養子縁組をしなくても連れ子が幼いなどの事情があれば減額が認められることも
再婚相手の子どもと養子縁組をしなくても、特別な事情がある場合には、養育費の減額や免除が認められる可能性があります。
たとえば、連れ子が幼くて再婚相手が育児のために家にいなければならず収入を得るのが難しい場合や、再婚相手側が十分な養育費を受け取ることができない事情がある場合には、現実的にはあなたの収入で連れ子の面倒をみなければいけません。
このようなケースでは、事実上扶養義務を負っている状態と評価できるので、養育費の減額などの配慮を期待できるでしょう。
子どもが相手方の再婚相手と養子縁組をした場合
元配偶者が再婚をして、その再婚相手が自分の子どもと養子縁組をした場合、養育費が減額・免除される可能性があります。
というのも、再婚相手との養子縁組によって、子どもの扶養義務は第一次的に養親である再婚相手が負い、実親は第二次的な扶養義務者と扱われるからです。
そのため、養親に十分な収入があるケースでは、養育費の減額だけではなく、免除される可能性も出てきます。
ただし、養親側の収入が低くて十分な養育費が確保されないなどの事情がある場合には、実親の扶養義務が重視され、養育費が一切減額されない可能性もあるので注意が必要です。
養育費の打ち切り・減額・免除を実現する方法・流れ
養育費の打ち切りや減額、免除を求めるときの流れについて解説します。
- 相手と話し合い養育費の打ち切り・減額・免除を認めてもらう
- 話し合いで合意できない場合は調停を申し立てる
- 調停が不成立の場合は審判にて算定・決定される
それぞれの手続きについて、詳しく見ていきましょう。
相手と話し合い養育費の打ち切り・減額・免除を認めてもらう
養育費の減額や免除などを希望する場合、まずは元配偶者との間で話し合いの機会を設けます。
双方協議のうえで養育費の減額・免除などについて合意形成に至った場合には、当初の取り決め通りに養育費を払わなくてよくなります。
なお、養育費の減額や免除について合意形成に至ったときには、公正証書の形式で文書化しておくとよいでしょう。
話し合いで合意できない場合は調停を申し立てる
養育費の減額や打ち切りなどについて話し合いがまとまらないときには、家庭裁判所の調停手続きを利用します。
養育費減額調停とは、離婚時に取り決めた養育費について、収入の減少や扶養家族の増加などの事情変更を理由に、家庭裁判所で減額や打ち切りなどについて話し合う法的手続きのことです。
家庭裁判所の裁判官や調停委員が間に入り、当事者双方からの意見聴取、提出された証拠の精査などを経て、双方が合意できるようにサポートをしてくれます。
養育費減額調停によって養育費の減額などについて合意に至った場合には調停が成立し、調停調書が作成されます。
調停が不成立の場合は審判にて算定・決定される
養育費減額調停を経ても当事者間で合意形成に至らず調停不成立に終わったときには、自動的に養育費減額審判手続きに移行します。
養育費減額審判では、調停で提出された証拠や当事者の主張、調停委員による調査結果などをもとに、裁判所が養育費の減額を認めるかどうか、認めるとしていくらまで減額するのかなどについて判断を下します。
審判には確定判決と同じ効力があります。
審判の結果に納得できないときには、2週間以内に限り不服申立てが可能です。
養育費の減額・免除について弁護士に相談・依頼するメリット
毎月の養育費負担が重すぎる、再婚などによって離婚後の状況が変化したので今までどおりに養育費を払うのは難しいという場合には、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
というのも、養育費トラブルへの対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下3つのメリットを得られるからです。
- 負担するべき養育費の適正額を算出してくれる
- 相手方との交渉を代理してくれる
- 調停や審判手続きへの対応を期待できる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
1.負担するべき養育費の適正額を算出してくれる
養育費の減額や打ち切りなどを求めるには、離婚後の事情変更を示す証拠を用意したり、なぜ減額・免除するべきなのかを適切に主張したりしなければいけません。
弁護士に相談・依頼をすれば、現在の状況を前提とすれば養育費がいくらになるのかを適正に算出してくれるので、減額や免除の交渉や調停がスムーズに進みやすくなるでしょう。
2.相手方との交渉を代理してくれる
弁護士に依頼をすれば、代理人として、養育費の減額や免除についての交渉を対応してくれます。
ですから、元配偶者と直接やり取りせずに、養育費の減額・免除に向けた交渉や手続きを進めやすくなります。
3.調停や審判への対応を期待できる
養育費の減額や免除についての話し合いがうまく進まなかったときには、家庭裁判所の調停・審判手続きを利用せざるを得ません。
弁護士に相談・依頼をすれば、調停・審判手続きへのサポートを期待できるので、現在の生活実態に応じた養育費の金額まで引き下げや免除を期待できるでしょう。
養育費を払わなくてよい場合についてよくある質問
さいごに、養育費を払わなくてよい場合についてよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
相手(受け取る側)の方が高収入である場合も養育費を支払う義務はある?
養育費は親同士の収入差だけで決まるものではなく、あくまで子どもの生活を支えるためのお金という位置づけです。
そのため、たとえ受け取る側の方が高収入であっても、原則として養育費の支払い義務が直ちに消えるわけではありません。
家庭裁判所が公表している養育費算定表でも、双方の年収や子どもの人数・年齢を基準に算定されるため、「相手の方が稼いでいる=支払わなくてよい」とはならないのが実情です。
ただし、収入差が大きく、子どもの生活費が十分に賄われていると判断される場合には、減額が認められる可能性はあります。
具体的には、次のような事情があれば、養育費の見直しが検討されるケースもあります。
- 受け取る側が高収入で、子どもの生活水準が支払う側よりも明らかに高い
- 支払う側の収入が大きく減少し、従前の金額を維持するのが困難
- 子どもが私立学校に通うなど、実際の養育費負担の内訳が大きく変わった
養育費を払わない場合は面会交流もできなくなる?
子どもを監護している親からすると、「養育費を払わないなら子どもには会わせない」「養育費を払っていないくせに子どもには会いたいなんて図々しい」などという気持ちになるのは当然です。
しかし、法的には養育費と面会交流はあくまでも別問題です。
相手方が養育費を払っていないからといって、それを理由に面会交流を拒否することはできません。
たとえば、離婚のタイミングで面会交流について一定の取り決めをしたのなら、仮に養育費の未払いトラブルが生じたとしても、取り決めどおりに面会交流は実施する必要があります。
さいごに|養育費の支払いでトラブルになる前に弁護士へ相談を!
養育費の支払いが難しい、養育費の金額を変更したいなどという場合には、養育費トラブルが顕在化する前に、弁護士へ相談・依頼するのがおすすめです。
養育費などの夫婦間トラブルへの対応が得意な弁護士の力を借りれば、相手方との間で協議や調停をおこない、法的に適切な手段で養育費の減額や免除などを求められるでしょう。
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