借金の整理は弁護士に相談を|借金問題の解決に向けた弁護士のサービスを紹介


借金が積み重なり、返済が困難となった場合には、速やかに弁護士に相談するのが得策です。
弁護士に相談すれば、依頼者の状況に合わせて、適切な債務整理手続きを提案してくれます。
さらに正式に依頼をすれば、その後の手続きをすべて弁護士が代行し、スムーズに借金の負担を軽減できる可能性があります。
もし借金を返せずに困っている方がいれば、なるべく早く弁護士までご相談ください。
今回は、借金問題を弁護士に相談すべき理由・債務整理に関する弁護士のサービス内容・弁護士と司法書士の違い・弁護士費用などを解説します。
借金問題解決を弁護士に依頼するのがおすすめな理由
借金返済の負担が重い場合、弁護士に依頼することで問題が改善するケースがあります。
借金問題を弁護士に依頼するメリットとしては、以下の各点が挙げられます。
債務整理によって借金の負担を軽減できる
弁護士は、借金の負担を軽減できる「債務整理」を取り扱っています。
債務整理とは、債権者との交渉や裁判所の手続きによって、債務の負担を軽減することを言います。
弁護士になら、債務整理の手続き選択から実際の対応までを一括して依頼することが可能です。
債務整理を通じて借金の減額・免除を実現することで、重い返済負担が解消し、生活に余裕が生まれる可能性があります。
月々の借金返済が難しくなってきた方は、一度弁護士に相談してみるのがお勧めです。
債権者からの取り立てを止めることができる
弁護士が債務整理の依頼を受けた場合、その直後に債権者に対して受任通知を発送します。
受任通知を受け取った貸金業者は、原則として、債務者に対して直接取り立てを行うことが禁止されます(貸金業法21条1項9号)。
債権者からの過酷な取り立てに悩んでいる方は、弁護士への依頼をきっかけとして取り立てをストップさせ、生活の平穏を取り戻すことができます。
守秘義務により依頼者の秘密が守られる
弁護士は職務上の秘密保持義務を負っており(弁護士法23条)、債務整理に関する相談内容を、正当な理由なく第三者に漏らすことはありません。
借金に苦しんでいることは、完全にプライベートな事柄ですし、他人に相談するのは恥ずかしいと思う方もいるでしょう。
弁護士は法律問題の専門家として、多数の債務整理に関する相談を受け付けていますし、依頼者に無断で相談内容を家族や友人に打ち明けることもありません。
そのため、借金に関する相談先としては、弁護士は適任と言えるでしょう。
借金問題の解決に向けた弁護士のサービス内容
借金問題の解決に向けて、弁護士は主に以下のサービスを提供しています。
それ以外にも、債務者の状況に応じて柔軟に対応してくれるケースが多いので、要望があれば随時弁護士にお伝えください。
状況に合わせた債務整理手続きの提案
後で紹介するように、債務整理には主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
効果的に債務整理を行うためには、債務者の状況に合った手続きを選択することが大切です。
弁護士に相談すれば、債務者の状況を客観的に分析したうえで、より効果の高い債務整理の進め方について提案を受けられるでしょう。
債権者に対する受任通知の発送・窓口対応
前述のとおり、弁護士は債務整理を受任した直後、債権者に対して受任通知を発送します。
受任通知の到着後、貸金業者からの取り立てはストップします。
また、受任通知の到着以降、債権者からの連絡はすべて弁護士宛に行われます。
弁護士に窓口対応を一任することで、債務者はストレスを軽減しながら、自身の生活の再建に集中できるようになるでしょう。
任意整理の交渉代理
債務整理の一類型である「任意整理」を行う場合、債権者との間で、その後の返済条件等を交渉する必要があります。
弁護士には、任意整理の交渉代理を依頼することが可能です。
弁護士を通じて交渉を行うことで、債権者を建設的に説得でき、任意整理の合意がまとまる可能性が高まります。
任意整理に関しては任意整理とは?メリット・デメリット・相談先・弁護士に相談する際の流れをご覧ください。
個人再生・自己破産の代理人申立て
任意整理と並ぶ債務整理手続きである「個人再生」と「自己破産」は、いずれも裁判所において手続きが行われます。
個人再生や自己破産の手続きは煩雑であり、債務者本人だけで対応するのは非常に大変です。
弁護士は、個人再生や自己破産を代理人として申し立てることができる、唯一の資格職です。
弁護士を代理人として申立てを行えば、個人再生や自己破産の手続きをスムーズに進めることができます。
自己破産の手続きに関しては自己破産手続きの流れとは?適切な相談先についても紹介!をご覧ください。
債務整理の弁護士費用の目安
債務整理を弁護士に依頼する場合、弁護士費用を支払う必要があります。
ここでは弁護士費用の一般的な項目と金額相場※を紹介します。
※2004年3月31日まで適用されていた、「日本弁護士連合会報酬等基準(以下:旧報酬基準)を参考としています。 あくまでも目安となりますので、具体的な弁護士費用の金額は、個々の弁護士にご確認ください。 |
相談料
相談料は、正式な依頼を行う前の段階で、弁護士の法律相談を利用した場合に発生します。
旧報酬基準では、相談料は30分ごとに5,000円から1万円の範囲内とされていますが、実際には無料で法律相談を受け付けている弁護士も多いようです。
相談料がかかるかどうかは、事前に電話などで弁護士に問い合わせてみましょう。
着手金
着手金は、債務整理について正式に依頼した段階で発生します。
旧報酬基準では、個人の債務整理の着手金は20万円以上とされています。
実際の着手金額は、資産・負債の額や債権者の数、事件処理に要する執務量などに応じて決定されるケースが多いです。
報酬金
報酬金は、債務整理によって債務の減額等が実現した場合に発生します。
旧報酬基準では、債務整理の報酬金は、以下の表の方法で算定されます。
免責額 |
報酬金額 |
300万円以下 |
免責額の16% |
300万円超3,000万円以下 |
免責額の10%+18万円 |
3,000万円超3億円以下 |
免責額の6%+138万円 |
3億円超 |
免責額の4%+738万円 |
弁護士によっては、着手金を高めにして報酬金を抑えているケースや、反対に着手金を抑えて報酬金を高めに設定しているケースもあります。
いずれにしても、報酬金の具体的な計算方法については正式な依頼前に弁護士へご確認ください。
実費・日当
債務整理の対応に関して支出が発生した場合、依頼者は弁護士に対して実費を支払う必要があります。
実費の例としては、郵便料金や個人再生・自己破産の申立て費用などが挙げられます。
また、弁護士が裁判所へ足を運ぶなどの出張を行う場合、日当が発生するのが一般的です。
旧報酬基準では、半日出張の日当が3~5万円、1日出張の日当が5~10万円とされています。
借金問題への対応、弁護士と認定司法書士の違いは?
借金問題に関する相談は、弁護士のほかにも「認定司法書士」が受け付けています。
認定司法書士とは、「簡裁訴訟代理等関係業務」に関して、法務大臣指定の研修課程を修了した司法書士のことです。
弁護士と認定司法書士では、取り扱うことのできる業務の範囲に差があります。
依頼費用は弁護士よりも認定司法書士の方が安い傾向にありますが、依頼したい業務の内容や費用などを総合的に考慮して、弁護士・認定司法書士のどちらに依頼するのかを決めてください。
弁護士は債務整理全般に対応可能
弁護士は、法律事件に関する事務を無制限に取り扱えます。
したがって、債務整理に関しても、あらゆる事項に対応することが可能です。
特に債権額の制限なく債務整理を取り扱える点と、個人再生・自己破産を申し立てる際の代理人に就任できる点は、弁護士の大きな特徴となります。
認定司法書士には業務範囲の制限あり
債務整理に関する認定司法書士の業務範囲は、弁護士に比べると、以下の点で狭く限定されています。
1社当たりの債権額が140万円以下の場合のみ相談対応可
認定司法書士は、1社当たりの債権額が140万円以下の事案についてのみ、債務整理の相談を受けることができます。
反対に、1社当たりの債権額が140万円を超えていると、認定司法書士が法律相談を受けることは認められません。
なお債権の総額が140万円を超えていたとしても、1社当たりの債権額が140万円以下であれば、認定司法書士も債務整理を受任することが可能です。
例えば、「A社に100万円、B社に50万円を借金しており、総額150万円分の任意整理を行う」という場合は、依頼できます。
個人再生・自己破産の代理権なし|書類作成のみ対応可
前述のとおり、個人再生および自己破産の代理人となることができるのは、弁護士のみです。
認定司法書士は、個人再生および自己破産を代理人として申し立てることができません。
個人再生および自己破産について、認定司法書士には裁判所に提出する書類作成のサポートのみが認められています。
実際の書類提出や、裁判所で行われる手続きへの対応等は、債務者本人が行わなければなりません。
なお任意整理の場合は、1社当たりの債権額が140万円以下である場合に限り、認定司法書士も代理人に就任することができます。
弁護士費用と司法書士費用、どちらが安い?
司法書士は弁護士よりも依頼費用が安いというのは、多くの方が共通して持っているイメージかと思います。
全体としては、たしかに弁護士費用よりも、司法書士費用の方が安い傾向にあるようです。
しかし、依頼費用の体系は個々の弁護士・司法書士が自由に決めているため、「司法書士費用は弁護士費用よりも安い」と一概に言うことはできません。
費用の見積もりについては、初回相談等の際に提示を受けられますので、複数の弁護士・司法書士から見積もりを取得することをお勧めします。
また当然ながら、依頼費用が安ければよいというわけではなく、提供するサービスの内容や質の方が重要です。
すでに解説した弁護士と司法書士の業務範囲の違いや、個々の弁護士・司法書士の人柄・資質などに注目して、信頼できる専門家にご依頼ください。
3つの債務整理手続きの概要を紹介|任意整理・個人再生・自己破産
個人が負担する債務を軽減する債務整理手続きには、主に任意整理・個人再生・自己破産の3つがあります。
債務者の状況に合った手続きを選択することで、効果的に債務負担を軽減することができるので、弁護士などにアドバイスを求めましょう。
3つの債務整理手続きについて、それぞれの概要を紹介します。
任意整理とは?
任意整理とは、債権者と直接交渉を行い、合意に基づいて返済スケジュールの変更や債務の減額を行う手続きです。
任意整理の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<任意整理のメリット>
- 裁判所を通さず、簡易的な手続きによって債務負担を軽減できる
- 債務者の財産が処分されない
- 対象とする債務を選べる(保証人のいる債務を除外すれば、保証人に迷惑をかけずに済む)
- 家族に知られにくい など
<任意整理のデメリット>
- 元本の減額が認められることが少なく、債務負担の軽減効果が小さい
- 債権者が同意しなければ成立しない
- 債権者が多数の場合、個別に交渉するのが大変
- 信用情報機関に事故情報が登録される(5年程度) など
簡易・柔軟な手続きにより債務負担を軽減できる反面、元本の減額が認められにくいため、任意整理による債務負担の軽減効果は限定的となっています。
したがって任意整理は、債務総額が比較的少なく収入も安定していて、生活上の影響を最小限に抑えたい方に向いている手続きと言えるでしょう。
個人再生とは?
個人再生とは、民事再生法に基づいて再生計画を決議し、計画内容に従って返済スケジュールの変更や債務の減額を行う裁判所の手続きです。
個人再生の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<個人再生のメリット>
- 元本の減額が認められるため、債務負担の軽減効果が比較的大きい
- 一部の債権者が反対していても、すべての債務を一括して減額できる可能性がある
- 住宅ローンが残っていても、自宅の土地、建物を処分せずに残しておける場合がある など
<個人再生のデメリット>
- 安定した収入がなければ利用できない
- 担保権付の財産は原則として処分される(自宅の土地、建物については例外あり)
- 最低弁済額がある(少なくとも100万円以上、債務総額によって変化)
- 信用情報機関に事故情報が登録される(5~10年程度) など
住宅ローンが残った自宅の土地・建物を手元に残しつつ、大幅な債務減額を実現したい場合は、個人再生が第一の選択肢となります。
その一方で最低弁済額が設定されているため、個人再生を利用する実益があるのは、債務総額が一定水準以上の方に限られます。
安定した収入があることも要件になっているため、無職やアルバイトなどの方では利用が難しい点に注意が必要です。
自己破産とは?
自己破産とは、債務者財産を換価・処分して債権者に配当し、弁済を受けられなかった債務の全額を免責する裁判所の手続きです。
自己破産の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<自己破産のメリット>
- 債務全額が免責される
- 収入がなくても利用できる など
<自己破産のデメリット>
- 自由財産を除き、債務者の財産が処分される
- 一部の職業について資格制限が発生する
- 信用情報機関に事故情報が登録される(5~10年程度) など
債務全額の免責という、すべての債務整理手続きの中で最も強力な効果を得られる反面、財産が処分されてしまう点がネックとなります。
その一方で、収入の有無や多少にかかわらず利用できる点は、自己破産の大きな特徴です。
安定した収入がなく借金を返せる目処が立たない方や、手元に価値のある財産がほとんどない方にとっては、自己破産が最適な選択肢となるケースが多いでしょう。
まとめ
借金の重い返済負担に困ったら、弁護士に相談するのが状況改善の近道です。
弁護士に相談すれば、受任通知の発送により債権者からの取り立てをストップさせたうえで、債務整理による借金の負担軽減をサポートしてもらえます。
弁護士の人柄・資質・弁護士費用などは、個々の弁護士によって千差万別です。
債務整理に関する無料法律相談を実施している弁護士も多いので、信頼できる弁護士を見極めるため、複数の弁護士に相談してみるとよいでしょう。
借金返済が困難になってしまった場合は、一人で悩み続けずに、速やかに弁護士までご相談ください。