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相続における「単純承認」とは?うっかり相続してしまう3つのケースに要注意

弁護士監修記事
遺産相続 相続手続き
2026年03月30日
相続における「単純承認」とは?うっかり相続してしまう3つのケースに要注意
この記事を監修した弁護士
杉本 真樹弁護士 (杉本法律事務所)
解決への道筋は一つではありませんので、いくつか選択肢をご提案し、それぞれのメリット・デメリットをしっかりとご説明した上で、一緒に最良の選択肢を考えるように心がけております。
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相続が発生した場合、相続人は以下の3つの中から相続手続きを選択することになります。

  • 単純承認:相続財産を全て引き継ぐ手続き
  • 限定承認:財産の範囲内で債務を引き継ぐ手続き
  • 相続放棄:財産も債務も一切引き継がない手続き

このうち単純承認はもっとも基本であり、多くの人が選択している手続きとなっています。

本記事では、これから相続をする相続人の方に向けて、この単純承認について詳しく説明します。

単純承認の基本ルール、法定単純承認に該当するケース、単純承認を選択する際のポイントなどを確認しましょう。

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単純承認とは?「相続する」というと通常は単純承認を指す

単純承認とは、被相続人の相続財産を全て引き継ぐ手続きのことです。

通常「相続する」というと、この単純承認を指すことが多いでしょう。

また、この単純承認には、以下のように3つのパターンが考えられます。

  • 遺言による相続
  • 協議による相続
  • 法定相続分による相続

一般的には遺言に従ったり、相続人同士で話し合ったりして、相続手続きを進めることが多いでしょう。

民法で定められている法定単純承認に該当する3つのケース

民法では、単純承認として判断される行為がいくつか規定されています。

  • 財産の一部または全部を処分した場合
  • 限定承認または相続放棄をしなかった場合
  • 相続放棄後に財産を隠匿したり私的に消費したりした場合

ここでは、民法で定められている法定単純承認に該当するケースについて紹介します。

1.財産の一部または全部を処分した場合

被相続人の相続財産を処分した場合は、法定単純承認となります(民法第921条1号)。

(法定単純承認)
第九百二十一条
(中略)
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

処分行為に該当するかどうかは事案ごとに異なりますが、通常以下の行為は処分として扱われます。

  • 故人名義の土地や建物を売却した
  • 故人の銀行口座からお金をおろした
  • ほかの相続人と遺産分割協議をおこなった など

これらの行為は客観的に「相続する意思がある」と判断されるため、法定単純承認となってしまいます。

2.限定承認または相続放棄をしなかった場合

限定承認や相続放棄をしなかった場合も、法定単純承認となります(民法第921条2号)。

(法定単純承認)
第九百二十一条
(中略)
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

限定承認や相続放棄の期限は「相続発生を知ったときから3ヵ月」となっています(民法第915条)。

そのため、この期間中に限定承認や相続放棄の手続きをおこなわなければ自動的に単純承認になります。

3.相続放棄後に財産を隠匿したり私的に消費したりした場合

限定承認・相続放棄のあとでも、相続財産を隠匿・消費すれば単純承認になります(民法第921条3号)。

(法定単純承認)
第九百二十一条
(中略)
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

限定承認や相続放棄をしたあとでも、背信的行為をおこなってしまうと単純承認として扱われるでしょう。

なお、この場合はほかの相続人や債権者に訴訟を提起され、限定承認・相続放棄の有効性を争うことになります。

相続手続きで単純承認を選択する場合の3つのポイント

相続で単純承認を選択する際のポイントは以下のとおりです。

  • 特別な手続きをする必要はない
  • 事前に相続財産の調査をしておく
  • 相続したい財産がある場合に選択する

ここでは、相続手続きで単純承認を選択する場合の3つのポイントについて説明します。

1.特別な手続きをする必要はない

相続で単純承認を選択するにあたって、特別な手続きは必要ありません

自筆証書遺言などがある場合は裁判所で検認が必要になりますが、基本的には裁判所での手続きは不要です。

相続発生を知ったときから何もしなければ、そのまま単純承認として手続きが進んでいくことになるでしょう。

2.事前に相続財産の調査をしておく

単純承認を選択する際は、事前に被相続人の相続財産を調査することをおすすめします。

プラスの財産の例 ・現金
・預貯金
・株式・債権
・不動産(土地・建物) など
マイナスの財産の例 ・借金
・滞納税金
・滞納保険料
・損害賠償金
・連帯保証契約 など

上記のような財産の有無や価値を調査することで、単純承認をするべきか判断できるようになります。

最初から「相続しよう」などと決め込まずに、まずは相続財産の調査から始めるほうがよいでしょう。

3.相続したい財産がある場合に選択する

相続財産調査の結果、相続したい財産がある場合は単純承認を選択しましょう。

ただし、一般的に以下のようなケースでは相続放棄をするほうがおすすめとされています。

【単純承認よりも相続放棄を選んだほうがよいケース】

  • 明らかに債務が資産を上回っている場合
  • 資産と債務の両方が明確にはわからない場合
  • 価値のない不動産(土地・建物)が残されている場合 など

最終的には個々人の判断にはなりますが、相続するかどうかは慎重に判断するほうがよいでしょう。

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【補足】限定承認や相続放棄とは?単純承認との違いを知ろう

相続手続きには、限定承認や相続放棄といった種類もあります。

  • 限定承認:財産の範囲内で債務を相続する手続きのこと
  • 相続放棄:財産も債務も一切相続しない手続きのこと

ここでは、限定承認や相続放棄についても正しく理解しておきましょう。

1.限定承認|財産の範囲内で債務を相続する手続きのこと

限定承認とは、財産の範囲内で債務を引き継ぐ相続手続きのことです。

言い換えると、債務が著しく多かった場合でも、財産を上回る債務を引き継ぐ必要はなくなります。

一般的に、限定承認は財産と債務などが明確にわからないときに選択されることが多くなっています。

なお、相続人が単独で限定承認をおこなうことはできず、相続人全員で手続きを進める必要があります。

限定承認については以下のページで詳しく解説しているため、もし興味があるなら確認してみましょう。

【関連記事】限定承認とは?メリット・デメリットや手続きの流れを詳しく解説

2.相続放棄|財産も債務も一切相続しない手続きのこと

相続放棄とは、被相続人の財産も債務も一切引き継がない手続きのことです。

一般的に、相続財産の債務が多い場合や、価値のない財産が多い場合に選択されます。

また、ほかの相続人と不仲な場合や、ほかの相続人に財産を集中させたい場合などでも選択されます。

相続放棄については以下のページで詳しく解説しているため、興味がある場合は確認してみましょう。

【関連記事】相続放棄とは?手続きの流れや期限、必要な書類を解説

さいごに|基本的には「単純承認=相続する」という理解で問題ない!

単純承認とは相続手続きの一種であり、一般的にいう「相続する」とほぼ同じ意味となっています。

そのため、限定承認や相続放棄をしないなら、「単純承認」について深く考える必要はないでしょう。

なお、相続は身近な法律トラブルですが、慣れていない方にとっては負担が大きい手続きといえます。

もし相続が発生した場合には、早い段階で相続問題が得意な弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

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