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生前贈与110万円で節税できる暦年贈与とは?注意点や失敗しないやり方も解説

弁護士監修記事
遺産相続 生前贈与
2026年04月30日
生前贈与110万円で節税できる暦年贈与とは?注意点や失敗しないやり方も解説
この記事を監修した弁護士
熊本 健人弁護士 (磯野・熊本法律事務所)
当事務所では、裁判や書面送付などの対応方法を詳しくご提案いたします。法律相談にお悩みの方は、ぜひご相談ください。
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  • 「年間110万円までの生前贈与を続けることで、節税になる暦年贈与とはどういうもの?」
  • 「110万円までの生前贈与なら、贈与税がかからないというのは本当?」

贈与税や相続税を節約する目的で、年間110万円までの贈与や暦年贈与を検討されている方は少なくありません。

しかし仕組みや注意点、正しいやり方を知らないと、節税に失敗してしまいます。

そのため興味があるものの、年間110万円までの生前贈与や暦年贈与に手を出せていない方も多いでしょう。

本記事では、生前贈与110万円で節税ができる暦年贈与の概要や仕組み、注意点、失敗しないやり方、よく比較される相続時精算課税との違いや使い分けをまとめて解説します。

多くの方が使える節税の方法があるのに、実践できないのは損です。

本記事を読めば正しいやり方で暦年贈与を実践し、節税を実現できます。

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目次

生前贈与110万円の継続で節税できる暦年贈与とは

暦年贈与とは贈与額が年間110万円までなら贈与税がかからない仕組みを活用し、生前贈与を続けることで相続税の節約を実現する方法です。

贈与税の基礎控除額110万円/年は、受贈者(贈与される人)ごとに適用されます。

たとえば、父親が3人の子どもに毎年110万円ずつ贈与した場合、年間で330万円の財産を贈与税の負担なく子どもへ移転できます。

これを仮に10年間続ければ、330万円×10年間=3,300万円を非課税で次世代に渡せるのです。

その分だけ贈与者の相続財産が少なくなるため、将来発生する相続税の負担を軽減できます。

複数人から贈与を受けた場合は合計額が110万円までなら贈与税がかからない

複数の贈与者から財産を受け取った場合、受贈者ごとに年間110万円の基礎控除が適用されます。

1年間に何人から財産を譲り受けても、合計額が110万円までなら贈与税は非課税になるということです。

たとえば父親・母親や祖父母からそれぞれ贈与を受けても、合計額が110万円以下なら問題ありません。

一方で、合計額が110万円を超えると、超えた金額に対して贈与税が発生します。

たとえば父母それぞれから100万円ずつ受け取ると、年間200万円の贈与を受けたことになり、基礎控除額を超える90万円に対して9万円の贈与税がかかります。(90万円×税率10%=9万円)

複数人への生前贈与でも受贈者1人あたり合計110万円までなら贈与税がかからない

ひとりの贈与者が複数の受贈者に財産を譲り渡す場合、受贈者ごとに年間110万円の基礎控除が適用されます。

子どもや孫が複数いる場合、家族全体では年間何百万円という金額を非課税で贈与することも可能です。

たとえば、父が4人の子どもに年間110万円ずつ贈与しても贈与税はかかりません。

暦年贈与のメリット

暦年贈与を適切に活用すれば、いくつかのメリットがあります。

以下、どのようなメリットがあるか見ていきましょう。

相続税の節税につながる

暦年贈与を長期的に続けることで、将来発生する相続税の負担を軽減できます。

相続税は、死亡時点で所有していた財産の総額に対して課税される税金です。

暦年贈与を利用して生前に少しずつ財産を移しておけば、相続時の財産が減り、その分相続税が少なくなります。

たとえば、現在の財産が5,000万円で、相続税の基礎控除額が4,200万円のケースを考えてみましょう。

このままでは5,000万円-4,200万円=800万円に対して相続税がかかりますが、子どもふたりに年間100万円ずつ4年にわたって贈与すれば、合計800万円(100万円×2人×4年)を贈与税の負担なく移転できます。

その結果、相続財産が基礎控除額以内に収まるため相続税はかかりません。

受贈者の数が多いほど1年ごとに移転可能な金額が大きくなるため、より短期間で相続対策を実現できます。

自分の意志でいろいろな人に財産を残せる

暦年贈与は、贈与する相手を自由に選べます。

相続では法定相続人※に財産が渡る順番や割合が法律で決まっていますが、贈与にはそのようなルールがありません。

子どもはもちろん、孫や内縁のパートナー、お世話になった友人・知人など、自分が財産を託したいと思う相手に贈与できます。

※法定相続人とは
民法上「相続できる人」として定められている親族のこと。
配偶者、子どもや孫などの直系卑属、父母や祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹など一定の順位に従って法定相続人になる。

暦年贈与には、年齢制限もありません。

よく比較される相続時精算課税では「60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子ども・孫へ」という条件があります。

一方で暦年贈与なら、60歳未満の親が子どもに贈与したり、18歳未満の孫が受け取ったりしても成立するのです。

暦年贈与の注意点

暦年贈与にはいくつかの注意点があり、適切におこなわないと損をしてしまうことがあります。

以下、暦年贈与をする際に気を付けるべき注意点を見ていきましょう。

「定期贈与」とみなされると高額の税金が発生してしまう

「定期贈与」とは1つの贈与契約に基づき、定期的に支払いを繰り返す贈与のことです。

たとえば「1,000万円を贈与する」という1つの贈与契約を結び、この契約を履行するため毎年100万円ずつ10年にわたって贈与します。

この方法は一見すると、年間の贈与額が110万円以下なので暦年贈与にもみえるでしょう。

しかし実際には、実質的に100万円×10回=1,000万円を贈与する1つの契約と税務署に判断される可能性があるのです。

結果的に1,000万円-贈与税の非課税枠(110万円/年)=890万円に対して贈与税がかかることになります。

暦年贈与のつもりだったのに、高額な税金が発生してしまうことが考えられるわけです。

定期贈与とみなされないためには、毎年贈与契約を結ぶなどの対策をおこないます。

「名義預金」とみなされると相続税が課される

名義預金とは口座の名義と、その口座を実質的に管理している方が別々の預金です。

名義預金は名義が別にあるだけで、実際にその財産を所有しているのは口座の管理者と考えられます。

そのため暦年贈与でお金を振り込んだ先が名義預金とみなされると、それが相続財産と判断され相続税が課される可能性があるわけです。

よくあるケースとして、両親や祖父母が子どもや孫の名義で口座をつくり、子ども・孫には知らせないままお金を貯めている例が挙げられます。

この例では、口座の名義は子どもや孫でも、実際にお金を管理しているのは親や祖父母です。

このような預金は、子ども・孫の名義を借りているだけと判断され、法律上は親や祖父母の財産として相続税の対象とされる可能性があります。

名義預金とみなされないためには、口座の名義人に預金を管理させるなどの対策が必要です。

法定相続人に贈与するなら7年の「持ち戻し期間」に注意する

暦年贈与は贈与税が非課税でも、贈与者の死亡時に相続税の対象になることがあります。

被相続人が死亡する前の一定期間内におこなった法定相続人への贈与については、「生前贈与加算」として相続税の課税対象とされるためです。

これまで、生前贈与加算の対象になるのは、死亡前3年以内におこなわれた贈与でした。

しかし令和5年度の税制改正によって、令和6年1月1日以降の贈与から対象期間が段階的に延長され、最終的には死亡前7年以内へと拡大されます。

完全に7年ルールが適用されるのは、令和13年1月1日以降に発生した相続です。

また令和5年度の税制改正では、相続開始前の4年~7年以内の贈与分は、総額100万円まで相続財産から控除されるルールも追加されました。

たとえば、父が法定相続人である子どもに対して毎年100万円ずつ贈与していたケースを考えてみましょう。

父が令和13年以降に死亡した場合、死亡前7年間におこなわれた贈与の合計額(100万円×7年=700万円)から100万円を差し引いた額(600万円)が相続財産として加算されます。

贈与額を毎年基礎控除内に収めても、相続税の計算では相続財産として扱われる可能性がある点に注意しましょう。

そのため、法定相続人に対して暦年贈与をおこなう場合は、始めるタイミングや期間を含めた長期的な計画が必要です。

特に高齢になってから始めるときは、生前贈与加算の影響を踏まえたうえで検討するようにしましょう。

生前贈与は暦年贈与のほかに「相続時精算課税」が選べる

生前贈与には、暦年贈与のほかにも「相続時精算課税」という選択肢があります。

相続時精算課税は暦年課税とは大きく仕組みが異なるため、どちらの方法で生前贈与をするか決める前に制度の内容を理解しておく必要があります。

以下、相続時精算課税の特徴を詳しく見ていきましょう。

相続時精算課税なら累計2,500万円まで贈与税がかからない

相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子ども・孫への贈与が累計2,500万円までなら、贈与税が非課税になる制度です。

相続時精算課税を利用すれば、暦年贈与の年間110万円という枠を大きく超える金額を、贈与税の負担なく一度に移転できます。

暦年贈与では毎年少しずつ財産を渡す必要がありますが、相続時精算課税では必要なタイミングでまとまった資金を贈与できる点が大きな特徴です。

たとえば、子どもの住宅購入資金として2,000万円を贈与する場合で考えてみましょう。

暦年贈与なら2,000万円贈与するのに早くても19年程かかりますが、相続時精算課税なら一括で贈与しても贈与税がかかりません。

ただし、その名称とおり、相続時精算課税で移転した財産は、贈与者が亡くなったときに相続財産に加算され、相続税の課税対象になる点に注意が必要です。

つまり、贈与の際には非課税でも、相続の際には税金がかかる可能性があるということです。

累計2,500万円を超えた部分は一律20%で課税される

相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者から受け取った贈与のうち、累計2,500万円を超えた部分に対して一律20%の贈与税がかかります。

たとえば、特別控除2,500万円を使い切ったあとに追加で300万円贈与した場合、追加の300万円に対して60万円(300万円×20%)課税されます。

暦年贈与では、金額が大きくなるほど税率も上がる累進課税方式が採用されており、最高税率は55%です。

一方で、相続時精算課税は贈与額がいくら増えても税率は一律20%と決まっているため、高額な贈与をする場合でも税負担を予測しやすく、ケースによっては暦年贈与より有利になります。

また、相続時精算課税でいったん納めた贈与税は、贈与者が亡くなった際に計算する相続税から差し引かれ、すでに支払った贈与税が相続税額よりも多ければ、差額が還付されます。

相続時精算課税でも年間110万円までなら贈与税がかからない

令和6年1月1日以降の贈与から、相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が新設されました。

これは特別控除額とは別に用意されており、累計2,500万の非課税枠にも含まれません。

また相続時精算課税における年間110万円の基礎控除は、暦年贈与とも扱いが異なる点は注意が必要です。

前述のとおり暦年贈与では、被相続人が亡くなる前の7年間に贈与された分は相続財産として加算され、相続税の課税対象になります。

一方で相続時精算課税では贈与がおこなわれた時期に関係なく、年間110万円までの贈与は相続財産として加算されないのです。

この改正により相続時精算課税が以前より使いやすくなっており、活用される方が増えるでしょう。

暦年贈与と相続時精算課税のどちらを選ぶべき?違いは?

暦年贈与と相続時精算課税は、どちらかひとつしか選べません。

何も手続きをしなければ暦年贈与となり、相続時精算課税を使う際は事前の手続きが必要です。

相続時精算課税を選ぶと、暦年贈与には戻れません。

それでは、暦年贈与と相続時精算課税はどちらを選ぶべきでしょうか。

以下の表でまとめたように、両者はルールが大きく違っています。

項目 暦年贈与 相続時精算課税
贈与者 誰でも可 60歳以上の父母・祖父母
受贈者 誰でも可 18歳以上の子ども・孫
基礎控除 年間110万円 年間110万円
特別控除 なし 累計2,500万円
超過分の税率 10〜55%(累進課税) 一律20%
申告 110万円超で必要 110万円超で必要
(初回は選択届出書も提出)
相続財産への加算 死亡前7年分を加算
(相続開始前4~7年に贈与された分の総額から100万円分は控除可能)
全額加算
(ただし年間110万円以下は除外)
変更・取消し いつでも可 選択後は取消し不可
小規模宅地等の特例の適用 不可

どちらの制度が適しているかは、贈与する財産の金額やタイミング、当事者の年齢などによって変わってきます。

ここからは、それぞれの制度を選ぶべき具体的なケースを見ていきましょう。

暦年贈与を選ぶべきケース

以下いずれかにあてはまるケースでは、暦年贈与を検討するとよいでしょう。

ケース 理由
時間をかけて複数人に贈与したい 子どもや孫、子どもの配偶者など、複数人に毎年110万円ずつ贈与すれば相続財産を着実に減らせる
子どもの配偶者に贈与したい 法定相続人ではないため、死亡前7年以内の贈与でも相続財産に加算されない
小規模宅地等の特例を利用したい 相続時精算課税を選ぶと、小規模宅地等の特例は使えない
手続きの手間を減らしたい 事前の届出が不要で、110万円以下なら申告も不要

暦年贈与のメリットは、事前の届出が不要で贈与を始めるハードルが低い点です。

特に、子どもの配偶者など法定相続人以外※への贈与は、死亡前7年以内の贈与でも原則として相続財産に加算されないため、相続財産を確実に減らしたい場合に効果的です。

また、長期間にわたってコツコツ贈与を続けることで、相続税の節税効果を積み上げられます。

※原則として孫も法定相続人ではありません。

そのため子どもの配偶者と同様に、贈与したい場合は暦年贈与が適している可能性があります。

ただし孫の親(自分の子ども)が亡くなった場合、孫が代襲相続にて法定相続人になるので注意ください。

相続時精算課税を選ぶべきケース

以下のいずれかに当てはまる場合は、相続時精算課税を検討するとよいでしょう。

ケース 理由
短期間でまとまった金額を贈与したい 一度に2,500万円まで非課税で贈与できる
将来値上がりする財産を贈与したい 贈与時の価額で相続財産に加算されるため、値上がり前の価額で相続財産に加算できる
現在値下がりしている財産を贈与したい 自社株や不動産などの評価額が下がっているタイミングで贈与すれば節税効果が高い
収益不動産を贈与したい 贈与後の家賃収入は受贈者のものになり、相続財産の増加を防げる
贈与者が高齢で時間に余裕がない 暦年贈与は死亡前7年分が相続財産に加算されるため、高齢者には相続時精算課税の方が有利
そもそも相続税がかからない 相続財産が基礎控除以下なら、相続時の加算を気にせず高額の贈与ができる

 

相続時精算課税は、一度に大きな財産を移転したい場合や、将来的に値上がりする可能性のある資産を早めに渡したい場合などに向いています。

一方で、いったん相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者からの贈与については暦年贈与に戻せず、将来の相続税にも影響します。

そのため、全体の資産状況や相続の見込みを踏まえたうえで利用を検討する必要があるでしょう。

贈与者が異なるなら併用も可能

贈与される側が同じでも、贈与者が異なるのであれば暦年贈与と相続時精算課税の併用も可能です。

たとえば、以下のように生前贈与の方法を分けることもできます。

  • 祖父・父:値上がり前の不動産を引き継がせたいため、相続時精算課税を選択
  • 祖母・母:預金をこつこつ移転させたいため、暦年贈与を選択

このようにそれぞれのメリットを活かして選ぶのもひとつの手です。

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暦年贈与の失敗しないやり方

税務署に定期贈与や名義預金とみなされないようにして、暦年贈与を成功させるには適切な手順で進める必要があります。

以下、暦年贈与がどうすれば失敗しないか見ていきましょう。

生前贈与をするたびに贈与契約書を作成する

定期贈与にて最初から多額の贈与をするつもりだったとみなされないようにするため、生前贈与をするたびに贈与契約書を作成します。

生前贈与ごとに贈与契約書を作成することで、「その年だけの贈与(定期贈与でない)」と証明しやすくなるわけです。

また贈与契約書が作成されていれば、贈与者・受贈者の合意によって贈与がおこなわれたことの証明にもなります。

これによって名義預金とみなされることも予防できるのです。

贈与契約書の作り方・書くべき事項

贈与契約書に決まった書式はありませんが、第三者にも贈与の内容が明確に伝わるよう、以下の項目を記載しましょう。

  • いつ贈与するのか(契約締結日)
  • 誰が贈与するのか(贈与者の住所・氏名)
  • 誰に贈与するのか(受贈者の住所・氏名)
  • 何を贈与するのか(財産の内容・金額)
  • どのように贈与するのか(方法)

契約書は2通用意し、当事者がそれぞれ1通ずつ保管します。

署名は自筆し、実印で押印すると契約書の信頼性が高まります。

贈与契約書の詳しい作り方やテンプレートについては、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】すぐ使える雛形付き|贈与契約書の書き方・注意点をわかりやすく解説

銀行振込で記録が残るようにする

金銭を贈与する場合は、手渡しではなく銀行振込を利用しましょう。

銀行振込にすることで、贈与がおこなわれた日時や金額、送金元などが通帳に記録されるため、客観的な証拠として残ります。

贈与契約書だけでは「本当に契約書どおりの金額が渡されたのか」と疑われる余地が残りますが、振込記録があれば契約書との整合性が取れます。

税務調査が入った際も、契約書と振込記録をセットで提示できれば、贈与の事実を証明しやすいでしょう。

さらに、給料の振込口座や家賃の引き落とし口座など、受贈者が実際に使用している口座に贈与することが推奨されます。

贈与された財産が実際に使われることで、「間違いなく贈与された」とみなされやすくなるためです。

受贈者が贈与の事実や内容を把握している状態にする

税務署に名義預金と疑われないため、受贈者に贈与の事実や内容を説明し、「贈与を受けた」という認識をもたせましょう。

特に注意が必要なのは、親や祖父母が子どもや孫名義の口座へ相手に何も知らせず入金しているケースです。

子どもや孫自身が贈与の事実を認識していなければ、税務署から名義預金と判断され、贈与者(両親・祖父母)の財産とみなされる可能性があります。

名義預金と判断された場合、親や祖父母が亡くなった際に相続税の課税対象になってしまうのです。

振込先の銀行口座は必ず受贈者自身で管理する

振込先の銀行口座は、受贈者本人が自由に管理・使用できる状態にしておく必要があります。

通帳やキャッシュカード、銀行印などを贈与者が管理していると、実質的に贈与者の財産であるとして、名義預金とみなされるリスクがあります。

たとえば、子どもが無駄遣いしないようにと親が通帳を管理しているケースがありますが、これでは子どもが自由に使えない状態であり、名義預金であると判断されかねません。

そのため暦年贈与をするなら、通帳やキャッシュカードなどを受贈者に引き渡し、受贈者本人に管理させるようにしましょう。

受贈者の口座開設時には、贈与者とは異なる印鑑を使用することも重要です。

贈与金額や時期を変えることで定期贈与とみなされづらくなる

同じ相手に暦年贈与を繰り返す予定があるなら、贈与の金額や時期は、毎年変えましょう。

同じ受贈者に対して毎年同じ金額・同じ時期に贈与していると、定期贈与であると認識され、累計額に対して贈与税が課税されるおそれがあるためです。

たとえば、1年目は1月に110万円、2年目は12月に90万円、3年目は5月に100万円というように、贈与のタイミングと金額に変化をつけましょう。

これで、定期贈与とみなされるリスクを下げられます。

110万円を少しだけ超える金額の贈与を毎年繰り返す方法もある

毎年110万円をわずかに上回る金額を贈与し、少額の贈与税を申告・納税する方法もあります。

たとえば115万円を贈与した場合、基礎控除110万円を差し引いた5万円に対して贈与税5,000円が課税されます。

この方法のメリットは、税務署に対してまとまった金額を贈与するつもりはないことを示せる点です。

贈与税の申告書を毎年提出することで、贈与の事実が公的に記録され、定期贈与とみなされるリスクを軽減できます。

さいごに|暦年贈与を有効に活用しよう!

暦年贈与は、年間110万円までの贈与であれば贈与税が発生しない制度です。

長期的に活用すれば相続財産を着実に減らせるため、相続税対策として有効な手段といえます。

ただし、定期贈与や名義預金とみなされると、贈与が否認されたり相続税の課税対象になったりするリスクがあります。

また、相続開始前の一定期間に法定相続人へ贈与された分は、相続財産に加算され相続税の課税対象になる点も注意が必要です。

生前贈与で失敗しないためには、贈与のたびに契約書を作成し、そして、受贈者本人が振込先の銀行口座を管理できる状態にしておくなどの工夫が求められます。

制度を正しく理解し、計画的な生前贈与で将来の相続税負担を軽減しましょう。

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