家を共有名義のままで離婚すると後悔する理由とは?対処法までわかりやすく解説
離婚を考える際、夫婦で一緒に購入したマイホームの取り扱いに頭を悩ませるケースは多いです。
とくに家の名義が夫婦の共有名義になっていると、「離婚後にトラブルにならないか」「相手と関わり続けなければならないのか」といった不安は尽きないでしょう。
家は高価な財産で、生活の基盤そのものです。だからこそ曖昧なままにせず、離婚のタイミングで権利関係をきちんと整理しておく必要があります。
本記事では、家を共有名義のままにしておくと後悔する理由や、共有名義を解消する方法、発生する費用などを解説します。
あわせて、住宅ローンが共有名義になっている際の注意点もまとめました。離婚後の生活を安心して送るための参考にしてください。
家を共有名義のままで離婚すると後悔する理由7つ
離婚時に家の名義変更をせず、共有名義のままにしておくと後悔する理由は、以下のとおりです。
- 離婚しても相手と連絡を取り合わなくてはならない
- 処分や活用がしづらくなる
- 維持費や税金の負担割合で揉めやすい
- 相手が共有持分を勝手に第三者へ売却する可能性がある
- 相手が住宅ローンを滞納する可能性がある
- 訴訟に発展するリスクがある
- 相続が発生したら権利関係が複雑化してしまう
ここから、それぞれの理由を詳しく解説します。
1.離婚しても相手と連絡を取り合わなくてはならない
離婚後に共有名義の家を残すと、元配偶者との関係を完全に断つのが難しくなります。
家の維持管理には、所有者同士の話し合いが必要だからです。
たとえば、毎年届く固定資産税の納税通知や、台風で屋根が壊れた際の修繕相談など、事務的な連絡が必要な場面は多々あります。
離婚の理由によっては「二度と顔も見たくない」「声も聞きたくない」というケースもあるでしょう。
しかし、家が共有名義である以上、無視は許されません。
新しい人生を歩み始めているのに、家の用事で元パートナーと連絡を取り続けなければならない状況は、想像以上に大きな精神的ストレスとなるはずです。
2.処分や活用がしづらくなる
共有名義のままだと、民法の規定により「自分のものであるはずなのに、自由に使えない」という制限がかかります。
共有名義の持ち家について、自分だけで判断できるのは「壊れた箇所の現状復帰(保存行為)」程度です。その他の行為には、他方の同意が必要です。
| 行為の種類 | 具体例 | 必要な同意 |
| 変更行為 | 家の売却、大規模なリフォーム、解体 | 共有者全員の同意 |
| 管理行為 | 家の賃貸、賃貸借契約の解除 | 持分の過半数の同意 |
| 保存行為 | 雨漏りの修理など、壊れた箇所の修繕 | 各自が単独で可能 |
たとえば、自分が家を売却したいと願っても、元配偶者が反対すれば売却できません。
そのため、相手の同意がない限り、資産としての価値があっても塩漬け状態になってしまうリスクがあります。
3.維持費や税金の負担割合で揉めやすい
不動産を所有していると、以下のような税金や維持費が継続的に発生します。
- 固定資産税・都市計画税
- マンションの管理費・修繕積立金
- 火災保険・地震保険料
これらの費用は、実際に家に住んでいるかに関わらず、名義人である以上は支払い義務が生じます。
ここで問題となるのが、税金の通知書は代表者一人に届く点です。
そのため、もし家に住んでいない側に通知が届いた場合、「もう住んでいないから払いたくない」と支払いを拒否されたり、通知を無視されたりするかもしれません。
相手が支払わない場合、滞納による差し押さえを防ぐため、自分が全額を立て替えざるを得なくなることもあります。
4.相手が共有持分を勝手に第三者へ売却する可能性がある
家を売却するには共有者全員の同意が必要ですが、自分が持つ持分割合だけであれば相手の同意なしに売却できます。
そのため、もし元配偶者がお金に困った場合、自分の持分だけを第三者に売ってしまうかもしれません。
そうなると、見ず知らずの他人と家の持分を共有することになります。
また、持分を買い取った業者は、利益を確保するためにシビアな交渉を持ちかけてくることが多いです。
「持分に見合う家賃を払ってほしい」「家全体を売却して現金を分けよう」といった提案だけでなく、「あなたの持分を安く売ってほしい」と執拗に迫られるかもしれません。
見ず知らずの業者と権利交渉をするのは、多大な精神的ストレスとなるでしょう。
5.相手が住宅ローンを滞納する可能性がある
住宅ローンが残っていて、夫婦でペアローンを組んでいた、またはどちらかが連帯保証人になっていた場合、離婚後も相手の返済義務を負わされることがあります。
相手の経済状況が悪化し、ローンの支払いが滞ると、金融機関はもう一方の連帯保証人に返済を求めます。
「離婚したから関係ない」という言い分は銀行には通用しません。
滞納が続くと、銀行から一括返済を求める督促状が届き、それでも支払えなければ家は差し押さえられます。
最終的には競売にかけられ、相場よりも安い価格で強制的に売却されてしまいます。
家を失ったうえに、返しきれなかった借金の返済義務だけが残るという事態にもなりかねません。
6.訴訟に発展するリスクがある
共有名義の解消に向けた話し合いがまとまらない場合、元配偶者や、持分を買い取った第三者が「共有物分割請求訴訟」を提起する可能性があります。
本訴訟の結果、最終的に裁判所が以下いずれかの判決を下します。
- 現物分割:土地を物理的に分ける
- 代償分割:一人が家を取得し、相手に代償金を支払う
- 換価分割:競売で家を売り、現金を分ける
家に住み続けたくても、相手に支払う代償金が用意できなければ、裁判所から換価分割と命じられるおそれが高くなります。
訴訟になれば弁護士費用や時間がかかるだけでなく、結果的に家を手放すことになるリスクが高いのです。
7.相続が発生したら権利関係が複雑化してしまう
共有名義のまま年月が経つと、相続が発生した際にさらに状況が悪化します。
元配偶者が亡くなると、持分は元配偶者の新しい家族(再婚相手やその子どもなど)に相続されます。
たとえば、元夫が再婚して亡くなった場合、家の権利は「元妻(元配偶者)」や「元夫の再婚相手」、「元夫と再婚相手の子ども」などと共有します。
まったく面識のない人たちと家を共有することになり、話し合いを円滑に進めるのは難しいでしょう。
このように、相続人がどんどん増え続けることで、権利関係が複雑になってしまいます。
自分たちの代だけでなく、将来の子どもや孫にまで面倒なトラブルを残すことになります。
離婚の際に家の共有名義状態を解消する方法
離婚後も共有名義のままにしておくリスクを避けるためにも、離婚成立の前後で速やかに共有状態を解消しておきましょう。
主な解消方法は、以下の3つです。
- 離婚後も家に住む側の単独名義に変更する
- 家を売却して利益が出たら分配する
- 自分の持分を第三者に売却して問題を回避する(ただし、問題が多い)
それぞれの方法について、手順と注意点を詳しく解説します。
離婚後も家に住む側の単独名義に変更する
どちらか一方が住み続けたい場合は、財産分与を原因として、家に住む人の単独名義に変更します。
この方法は代償分割と呼ばれます。
たとえば、夫が出て行き妻が住み続ける場合、夫が持っている持分を妻に移転します。これで家は完全に妻のものになります。
【メリット】
- 生活環境が変わらない
- 住み慣れた家にそのまま住み続けられるため、子どもの転校などを避けられます。
- 贈与税がかからない
- 離婚に伴う財産分与であれば、原則として贈与税は非課税です。
- 不動産を自由に管理できる
- 自分の意思だけでリフォームや売却が可能です。
【デメリット・注意点】
- 相手に代償金を支払う必要がある
- 財産分与の公平性を保つため、家をもらう側は相手の持分相当額(代償金)を現金などで支払う必要があります。(例:家の価値4,000万円で夫の持分2,000万円分をもらうなら、妻は夫に2,000万円を渡す)
- 名義変更のコストがかかる
- 家をもらう側に「登録免許税」、家を譲る側に「譲渡所得税」がかかる場合があります。
- 住宅ローン残債がある場合は銀行の承諾が必須
- 勝手な名義変更は契約違反となり、一括返済を求められるリスクがあります。単独名義にする側の収入で再審査がおこなわれるため、収入が低い場合は「親族に借りて完済すること」や「ローンの借り換え」などの対策が必要です。
家を売却して利益が出たら分配する
離婚後にふたりとも家に住む予定がなく、きっちりと資産を清算したい場合は、家を売却して現金を分ける方法が最適です。
この方法は換価分割といいます。
夫婦の合意のもとで不動産全体を売却し、諸経費を引いた手取り金額を持分割合に応じて分配します。
【メリット】
- 後腐れなく資産を清算できる
- 共有関係を完全に解消し現金化することで、わだかまりを残さず離婚できます。
- 公平に分配できる
- 現金であれば、1円単位まできっちりと持分割合に応じて分けられます。
- 税金特例が使える
- 居住用財産の売却なら、譲渡所得税の3,000万円特別控除が利用できる可能性があります。
【デメリット・注意点】
- 住居を失う
- 引越し先の確保や費用の準備が必要になります。
- オーバーローンの場合は売却が困難
- ローンが残っている場合、売却代金で返済できるかが問題となります。とくに、売却しても借金が残る場合、不足分を自己資金で補填できない限り、売却が銀行に認められない可能性があります。
自分の持分を第三者に売却して問題を回避する方法もあるが問題が多い
「相手との話し合いが進まない」「相手が家を売ることに同意してくれない」という状況であれば、自分の持分だけを不動産業者などの第三者に売る方法があります。
法律上は、自分の持分だけであれば他の共有者の同意なしに売却可能です。
【メリット】
- 相手の同意が不要
- 元配偶者と顔を合わせることなく、自分だけの判断で手続きを進められます。
- 早期に現金化できる
- 買い手が見つかれば、すぐに共有関係から離脱できます。
【デメリット・注意点】
- 価格が安くなる(買い叩かれる)
- 自由に使えない持分だけの売買なので、通常の市場価格より大幅に安くなります。
- 相手とのトラブルが悪化する
- 持分を買い取った業者は、利益確保のために元配偶者にシビアな交渉(家賃請求など)を始めるので、元配偶者の生活を脅かすリスクがあります。あくまで最終手段と考えましょう。
財産分与で家の名義変更をするときにかかる費用とは?
離婚時の財産分与に伴い家の名義を変更する場合、主に税金と必要書類の発行手数料が発生します。
意外と高額になることもあるため、事前にどれくらいのお金が必要か把握しておきましょう。
名義変更のために税金がかかる
名義変更の際に発生する主な税金は、以下の2種類です。
- 登録免許税:
- 家の名義変更手続きのために必ず発生する税金です。「 固定資産評価額 × 2.0%」で計算します。
- 譲渡所得税:
- 家の譲渡により利益が発生した場合に発生する税金です。家を買った時よりも時価が大幅に上がっている場合に発生しやすいです。譲渡所得は「譲渡収入金額 - (取得費+譲渡費用)」で計算し、税率は諸雪菅が5年超で約20.315%、5年以下で約39.63%です。
ただし、マイホームを譲渡する場合は、利益から最高3,000万円までを差し引ける特例(3,000万円特別控除)があります。
必要書類の発行手数料がかかる
名義変更の手続きには、役所や法務局で発行してもらう書類が複数必要です。書類を取得するには、1通ごとに数百円の発行手数料がかかります。
主な必要書類と手数料の目安は、以下のとおりです。
| 書類名 | 手数料の目安 |
| 登記事項証明書 | 490円〜600円 |
| 住民票の写し | 200円〜300円 |
| 固定資産評価証明書 | 200円〜400円 |
| 印鑑登録証明書 | 200円〜300円 |
| 戸籍謄本 | 450円 |
離婚時に家のローンが共有名義であると問題になることがある
家の名義変更と同様に、住宅ローンの名義についても慎重な対応が求められます。
夫婦で収入を合算してローンを組んでいる場合、お互いが連帯保証人や連帯債務者になっています。
離婚をしたからといって、関係は自動的に解消されません。
もしローンの共有名義を放置してしまうと、元配偶者が支払いを滞納した際に、金融機関から連帯保証人であるもう一方の配偶者に対して、残りのローンを支払うよう請求されるおそれがあります。
なお、住宅ローンを組む際、家には金融機関の「抵当権」が設定されています。抵当権とは、返済が滞った場合に金融機関が家を強制的に売却し、売却代金から貸付金を回収できる権利です。
つまり、相手の滞納が続けば、金融機関は抵当権を実行して家を競売にかけます。その結果、家を強制的に退去させられる可能性があるのです。
安心して生活するためにも、家の名義だけでなく、ローンの共有状態も解消しておきましょう。
離婚前にローンの共有名義を解消する方法
ローンの共有状態を解消する主な方法は、以下の4つです。
| 方法 | 内容 | 注意点 |
| 一括返済 | 預貯金や家の売却資金で、残りのローンを全額返済する。 | まとまった資金の準備が必要。 |
| 借り換え | 家に住む人が単独名義で新しいローンを組み、そのお金で元のローンを完済する。 | 新たな審査に通る必要があり、収入が低いと利用できない。 |
| 契約者の変更 | 金融機関に相談し、現在のローンのまま名義人をひとりに変更する。 | 金融機関が承諾しないケースが多い。 |
| 任意売却 | ローンが残っていても、金融機関の許可を得て家を売却する。 | 完済できない場合、借金の返済が続く。 |
このように、どの方法を選ぶにしても注意点があります。状況を踏まえ、適切な方法を選択しましょう。
さいごに|共有名義の家があるときの離婚については弁護士に相談を!
本記事では、家を共有名義のままにしておくと後悔する理由や、共有名義を解消する方法などをわかりやすく解説しました。
離婚をする際に、家の名義を共有のまま放置するのは控えるべきです。今は良くても、将来的に相手と連絡が取れなくなったり、住宅ローンの支払いが滞ったりして、取り返しのつかないトラブルに発展するリスクが高いからです。
共有名義を解消するには、相手との交渉や金融機関とのやり取り、法的な手続きが必要です。これらを当事者だけで進めるのは難しく、感情的な対立も招きかねません。
共有名義の解消について不安がある場合は、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士であれば、代理人として相手や銀行と交渉し、将来を見据えた解決策を提案してくれます。
弁護士を探す際に役立つのが、離婚問題に強い弁護士を探せるポータルサイト「ベンナビ離婚」です。不動産トラブルや財産分与の実績が豊富な弁護士を、地域や条件から簡単に検索できます。
安心できる新生活をスタートさせるために、早めに相談しましょう。
