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相続財産調査の必要性と方法|被相続人の遺産を正しく把握するための手順とポイント

弁護士監修記事
遺産相続
2023年12月14日
2023年12月14日
相続財産調査の必要性と方法|被相続人の遺産を正しく把握するための手順とポイント
この記事を監修した弁護士
山村 真登弁護士 (山村忠夫法律事務所)
上質かつ満足度の高いリーガルサービスを幅広いお客様に提供する目的のもと設立。税理士や司法書士、公認会計士、不動産業者などの専門士業と連携し、いかなる相続問題に対しても迅速、柔軟かつ、専門的に対応可能。
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相続が発生したことで、どのような遺産があるのか調査をするタイミングがあるでしょう。

しかし、具体的にどのように調査を進めるべきかわからない方も多いかもしれません。

そこで本記事では、遺産調査の進め方を解説します。

これから相続に向けて動き出す方は、今回の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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目次

相続財産調査とは?被相続人の全ての遺産を調べる手続き

相続財産調査は、亡くなった方(被相続人)が所有していた資産の全体像を把握するための手続きです。

この調査は、被相続人のプラスの財産だけでなく、債務や借金などのマイナスの負債も含めて、遺産を正確に評価し、査定することを目的としています。

相続財産調査の流れ|遺産の調査・評価をする4ステップ

ここでは、相続財産調査の流れを4ステップに分けて解説します。

1.相続財産の範囲について正しく知る

相続財産調査を始める前に、まず遺品の中でどの財産が相続財産として対象になるのかを明確に把握しましょう。

調査を進めるにあたって、何を探し出すべきなのかを把握していなければ、効果的な調査が難しいものです。

相続財産となるのは、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 不動産(土地や建物)
  • 預貯金や金融資産
  • 株式や債券などの有価証券
  • 貴金属や宝石、美術品などの貴重品
  • 車やバイクなどの動産
  • 債務や借金

注意が必要なのは、プラスの財産だけでなく、借金や債務などのマイナスの負債もできる限り正確に洗い出すことです。

遺産を調査をきちんとおこなうことで、この後に行うことになる遺産分割の協議もスムーズに進めることができます。

現代では、デジタル遺産も重要なポイントとなっています。

物的な遺産だけでなく、オンラインアカウントやデジタルデータの遺産についても確認を怠らないようにしましょう。

2.被相続人の遺産の手がかりを探す

次のステップでは、被相続人の遺産に関する手がかりを見つけていくことが重要です。

これは、遺産の所在地を突き止めるための情報収集作業を指します。

たとえば、銀行口座に預金がある場合でも、その情報が知られていなければ、遺産分割協議からもれて解約されないままになってしまう可能性もあります。

通帳やキャッシュカードなどの手がかりを見つけ、預金口座等の財産の存在を突き止めるように努めましょう。

主な手がかりは、以下のとおりです。

  • 預貯金
    • 通帳、キャッシュカード
    • 携帯電話等のアプリ、ブラウザの履歴、ブックマーク等
  • 不動産
    • 固定資産税の納税通知書
    • 登記済権利証(登記識別情報)
    • 登記簿謄本
    • 売買契約書
  • 有価証券その他金融資産
    • 株券
    • 取引報告書
    • 配当金の支払通知書
    • 株主総会招集通知書
    • 口座開設時の案内書
    • 株式発行会社の事業報告書
    • 携帯電話等のアプリ、ブラウザの履歴、ブックマーク等
  • 負債
    • 請求書
    • 督促状
    • 不動産の登記簿謄本(抵当権の存在など)
    • ローンカード(カードローン用カード)

3.相続財産の調査と評価をおこなう

このステップは、遺産の内容と価値を詳細に調査し、適切に評価する重要な段階です。

以下のポイントに留意しながら進めましょう。

  • 財産の評価:相続財産は預貯金、不動産、有価証券など多岐にわたります。それぞれの財産を正確に評価し、遺産の総額を把握しなければなりません。また、相続税の計算にも影響するため、正確な評価が求められます(なお、相続税を計算する上での不動産や株式の評価額は、遺産分割で採用される実勢価格とは異なる点に注意が必要です)。
  • 専門家の協力:複雑な資産や法的な側面がある場合、専門家の助言を受けることが重要です。弁護士や税理士などの専門家と協力し、正確な評価と法的手続きを確保しましょう。
  • 遺品整理:調査と同時に遺品整理も進めることで、財産の誤解や見落としを防げます。整理された状態で評価をおこない、遺産の実態を正確に把握します。
  • 相続人の合意形成:評価結果や調査結果は、全ての相続人が納得する形で進める必要があります。円滑な意思決定を促進し、不明瞭な点や異論を解消するためのコミュニケーションを大切にしましょう。

この段階を丁寧に進めることで、遺産の正確な評価がおこなわれ、遺産分割や相続税申告の際にスムーズな手続きが可能です。

4.遺産が確定したら財産目録を作る

相続財産調査が終了し、遺産の整理と評価が完了したら、次のステップとして財産目録の作成が必要です。

目録は、相続財産に関する情報を整理し、相続税申告や遺産分割の際に有用な書類となります。

以下のポイントに留意して、財産目録を作成しましょう。

  • 正確な情報:預貯金、不動産、有価証券など、財産の種類と詳細な情報を明確に示すことが重要です。
  • 評価額の根拠:各財産の評価額については、その根拠を記入または添付するよう心掛けましょう。将来の手続きや申告時に評価額の正当性を示すために役立ちます。
  • テンプレートの活用:財産目録のフォーマットには厳密な規定はありませんが、裁判所のホームページからテンプレートや記載例を入手できます。これを利用して財産目録を作成する際のガイドとして活用しましょう。

【参考】家事審判・家事調停の申立て等(五十音順)|裁判所

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相続財産別の調査方法|代表的な8種類の遺産の調べ方

ここでは、相続財産別の調査方法を8種類に分けて解説します。

1.現金|財布、タンス、金庫、貸金庫などを調べる

現金は、財産の中でも最も直接的な形態です。

財布やタンス、金庫、貸金庫などに現金が隠されている可能性があります。

調査の際には、以下の点を参考にしてください。

  • 財布:財布の中を詳しく調べ、現金が入っているか確認します。隠し場所やポケットも念入りにチェックしましょう。
  • タンス・金庫:タンスや金庫の中を一つずつ開けて中身を確認します。小銭から大きな額まで、さまざまな場所に現金が隠されていることがあります。
  • 貸金庫:貸金庫を使用していた場合、貸金庫内に現金や貴重品が保管されている可能性があります。貸金庫の契約書や鍵を探し、貸金庫を開けて中身を確認します。通常は預貯金口座を有している金融機関で有していることが多いでしょう。

2.預貯金|金融機関に取引残高報告書を請求する

預貯金は相続財産の重要な要素のひとつです。

被相続人の預貯金の調査を開始する際には、以下の手順を参考に進めましょう。

  • 金融機関の特定:まず、被相続人がどの金融機関を利用していたかを特定します。通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物、携帯電話のアプリや履歴などを調べ、取引があった可能性が高い金融機関をリストアップします。取引の記録がない口座や紛失した口座も見落とさずに確認しましょう。
  • 残高証明書の発行依頼:特定した金融機関に対して、被相続人の預貯金の残高証明書を発行するよう依頼します。事前に金融機関に電話で必要な書類を確認するとよいでしょう。
  • 通帳の記帳:該当する口座が見つかった場合は、通帳の記帳内容も確認します。通帳の記録を見ることで、被相続人が亡くなる前に取引をおこなっていた相手や取引内容を把握できます。たとえば、貸金庫の使用料が通帳から引き落とされている場合、貸金庫内に遺品が残っている可能性が高いでしょう。また、特定の支払い記録がある場合は、それに関連する内容も確認しましょう。

各金融機関の公式Webサイトでは、預貯金の相続手続きについての詳細を確認することができます。

以下のURLから、詳細情報をそれぞれ参照してください。

3.不動産|固定資産税課税明細書などを確認する

相続財産としての不動産を調査する際には、以下の手順を考えてみましょう。

まずは、固定資産税課税明細書の確認をします。

通常、不動産を所有している場合、固定資産税の納付書が送付されます。

この納付書には固定資産税課税明細書が含まれており、不動産の所有状況や詳細が書かれています。

被相続人の名義で届いた書類が手元にある場合、不動産の情報を理解するのに役立ちます。

ただし、見つからない場合もあるかも知れませんし、納付すべき税額が生じない場合や共有不動産の場合、納付書が送付されていない場合もあり得ます。

このような場合、被相続人名義の固定資産評価証明書を取得することで、所有している不動産の情報を確認できます。

この証明書は、非課税の不動産も含めて所有不動産を網羅的に示しており、所有する不動産の特定や共同所有の場合の情報収集に役立つでしょう。

固定資産評価証明書の取得は、不動産が所在する市区町村の役場窓口で申請できます。

なお、必要に応じて郵送での取得も可能です。

これらの方法を通じて、不動産の所有状況や詳細な情報を把握できます。

最終的には不動産の登記簿謄本を取得して最新の権利関係を確認するようにしましょう。

4.上場株式|証券会社やほふりに問い合わせする

相続財産には、上場株式も含まれることがあります

ここでは、上場株式の調査方法と、その所有を確認する手続きについて説明しましょう。

上場株式の調査方法については、以下の手順があります。

  • 証券会社への問い合わせ:被相続人が証券会社を通じて株式を保有している場合、その証券会社に問い合わせて株式の情報を確認できます。所定の手続きを踏み、株式の保有状況や詳細な情報を取得しましょう。
  • ほふりへの問い合わせ:上場株式に関しては「ほふり」(証券保管振替機構)に照会することで、開設されている証券会社や信託銀行の情報を取得することができます。

以下、いくつかのサービスURLを紹介します。

5.自動車|車検証や自動車保険証券を確認する

自動車も相続財産として重要な要素となります。

以下に、自動車の調査方法と関連する重要なポイントを紹介します。

  • 購入時の書類:注文書や請求書、預金通帳の引き落とし記録、領収書などの書類を確認することで、自動車の所有状況や購入時の詳細を把握できます。
  • 自動車検査証(車検証):自動車の存在が確認できた場合、車検証は貴重な情報源です。車内に保管されていることが多いでしょう。車検証には所有者の情報や初度登録年月日、車の型式などが記載されています。
  • 自動車税納税証明書:自動車所有者は自動車税を納付する際に証明書が送付されます。この証明書から所有者情報や納税額などが確認できます。
  • 自動車の保険証券:通常、自動車所有者は保険に加入しています。保険証券には所有者情報や保険の内容が記載されており、必要に応じて解約や名義変更を進めることになります。

また、調査対象となる自動車だけでなく、ほかの親族が使用している自動車にも被相続人名義のものがないか確認することが大切です。

6.貴金属・宝飾品・芸術品|自宅や金庫を調べる

貴金属、宝飾品、そして芸術品は、以下に記載した調査方法が重要です。

  • 貴金属の調査:貴金属は価値のある財産となるので、自宅内の金庫や化粧台などを注意深く調査しましょう。また、貴金属が貸金庫に保管されている可能性も考えられます。その場合は、貸金庫の開錠手配をおこなうことが重要です。貴金属の評価については、遺品整理業者や各種買取業者の専門知識を活用しましょう。
  • 芸術品の調査:芸術品(骨董品や絵画など)も価値のある財産です。まず、作品に落款(判子)や署名がないか確認しましょう。また、美術年鑑などの資料を利用して作品の作者を特定し、可能な限り評価額を調査するようにしましょう。

貴金属や芸術品は専門家の鑑定・査定を受けることで、大まかな価値を把握できます。

7.借金|信用情報機関へ情報開示請求をおこなう

遺産相続においては、被相続人が残していた債務も考慮しなければなりません。

借金の存在や詳細を把握するために、信用情報機関への情報開示請求が有用です。

各金融業者や銀行などの多くは信用情報機関に登録しており、個人の借入や返済履歴、クレジットカード利用履歴などの情報を提供しています。

以下に、信用情報機関への情報開示請求の手順を解説します。

【信用情報機関への情報開示請求の手順】
  1. 信用情報機関の選定:主要な信用情報機関としてCIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社日本信用情報機構)、全銀協(一般社団法人全国銀行協会、全国銀行個人信用情報センター)が挙げられます。
  2. 情報開示請求の提出:信用情報機関の公式Webサイトから、情報開示請求の手続きをおこないます。遺族であれば、相続人としても情報開示請求が可能です。
  3. 必要な情報の提供:被相続人との関係がわかる戸籍謄本やや身分証明書などを提供することで、借入や返済履歴などの情報を取得できます。

以下は、主要な信用情報機関の公式Webサイトです。

8.保証債務|保証契約に関する契約書を調べる

保証債務とは、他人が債務不履行(たとえば、借金の滞納など)をした際に、代わりにその債務を弁済する義務を指します。

被相続人が他人の債務を保証している場合、その保証債務は相続の対象になることがあります。

被相続人が保証債務を負っているかどうかを調査するためには、以下の方法が考えられます。

  • 契約書の調査:連帯保証債務は保証契約によって発生します。自宅や事業所にある契約書類を調べ、連帯保証契約が存在するか確認しましょう。特に事業経営者の場合、事業関連の債務を保証していることが多いため、事業に関する契約書を注意深く調査することが重要です。
  • 関係者への確認:被相続人と交流のあった人や、事業に関わっていた人に対して確認することで発覚することもあるでしょう。
  • データの調査:被相続人が使用していたPCやスマートフォンのデータ、メールなどを調査することで、保証契約に関連する情報を見つけられる可能性があります。

保証債務は性質上、被相続人の債務として扱われるため、その存在や詳細を正確に把握することは重要です。

特に大きな保証債務がある場合、相続人が経済的困難に陥る可能性もあるため、早急に調査し対処する必要があります。

相続財産調査を依頼することができる専門家

遺産相続において、相続財産の調査は重要なステップです。

財産調査は自身でおこなうことも可能ですが、時間的な制約や専門知識の不足から、専門家に依頼するのをおすすめします。

以下では、相続財産調査を依頼できる専門家について詳しく説明します。

弁護士|弁護士会照会で詳しく調査がおこなえる

弁護士は、相続に関する法的なアドバイスやトラブル解決をおこなう専門家です。

相続人間の争いや財産調査、遺産分割に関する法的手続きなど、幅広い相続関連の問題に対処します。

弁護士は法律に関する豊富な知識と経験をもっており、争いがある場合でも調停や裁判を通じて解決することが可能です。

特に、相続に関する法的なアドバイスやトラブル解決が必要な場合には、弁護士への相談が有効でしょう。

相続財産調査で弁護士を探すならベンナビ相続!

弁護士選びに際しては、相続に関する専門知識や経験が豊富な事務所を選ぶことが重要です。

相続に特化した弁護士を見つけるために、「ベンナビ相続」の活用をおすすめします。

ベンナビ相続は、全国の弁護士の中から相続放棄に強い弁護士を探すことができるポータルサイトです。

自分の地域や予算に合わせて、条件を絞って検索できます。

手間をかけず期限内に手続きを進めるためにも、ぜひベンナビ相続を活用してみてください。

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司法書士|不動産の登記手続きまで依頼できる

司法書士は、不動産の登記手続きに特化した専門家です。

相続財産に不動産が含まれる場合、不動産の登記実務をおこなうために司法書士に相談するとよいでしょう。

なお、書類の作成や手続きを担当しますが、法的なアドバイスやトラブル解決には限定的な役割しか果たせません

行政書士|各種調査と書類作成の依頼ができる

行政書士は、書類作成や官公庁への手続きを担当する専門家です。

相続財産調査や遺産分割に必要な書類の作成を依頼できます。

ただし、行政書士は弁護士と異なり、法的なアドバイスやトラブル解決には携わることができません

税理士|相続税申告書の作成も依頼できる

税理士は、相続税申告書の作成や税金に関するアドバイスを提供します。

相続財産には相続税がかかる場合があり、適切な税務対策をおこなうために税理士の協力を得ることが重要です。

税理士は、相続税申告書の作成から税金の最適化まで幅広いサポートをおこないます。

相続財産の調査方法に関するよくある質問

ここでは、相続財産の調査方法に関する質問を紹介します。

Q.被相続人の預貯金を一括で調べられるか?

相続における財産調査には、一括で全ての預貯金を調べる仕組みは存在しません。

相続財産の調査は地道な作業が必要であり、専門家の助言を受けつつ進めることが重要です。

たとえば、預貯金に関しては、まずは通帳、キャッシュカード、携帯電話等のアプリ、ブラウザの履歴、ブックマークなどを確認してみましょう。

そのほか、最寄りの銀行に問い合わせてみるのもひとつの方法でしょう。

また、故人が勤務していた場所や住んでいた地域の銀行に問い合わせるのも効果的です。

さらに、故人の自宅や遺品から、銀行名が書かれたカレンダーやタオルなどの手がかりを探し出し、調査の対象とすることもできます。

Q.資産より負債が多い場合はどうすればいい?

相続財産の中で債務が資産を上回る場合、相続人が負担しなければなりません

そのため、こうした状況で取れる手段が2つあります。

まず、「相続放棄」があります。

相続人の権利を放棄することで、遺産は受け取りませんが、被相続人の債務については責任を負わずに済みます。

家庭裁判所に申し立てることで相続放棄が可能です。

もうひとつは「限定承認」です。

相続人が債務を負担する際に、相続財産の範囲内でのみ責任を負う制度となります。

遺産と債務の額が不明な場合に有効で、遺産の額が大きい場合にプラスの財産を承継できます。

選択できるのは、相続人が知ったときから3ヵ月以内です。

期限を過ぎると自動的に相続承認され、遺産と債務を受け継ぐことになるため注意しましょう。

Q.専門家に依頼した場合の費用はどれくらい?

相続財産の調査を専門家に依頼する場合の費用はさまざまですが、一般的な相場は次のとおりです。

  • 弁護士:10万円~30万円
  • 行政書士:数万円~
  • 司法書士:10万円~30万円

専門家の費用は、事務所の料金体系や業務の複雑さに応じて異なります。

弁護士、行政書士、司法書士のいずれかが高額とか安価という一概にはいえません。

見かけ上は弁護士の費用が高いように感じられるかもしれませんが、実際には専門家にバラバラに依頼するよりも総合的なサポートを提供できるため、費用対効果は高いこともあります。

費用について考慮する際には、相続財産の調査だけでなく、相続手続き全体を通じてどの範囲までサポートを受けられるかを確認し、総合的に検討することが大切です。

さいごに|相続財産調査は迅速・正確におこなうのが重要!

相続財産の調査は、遺産分割や債務処理などの重要な手続きを円滑に進めるために欠かせないステップです。

遺産の全容を把握し、債務や資産のバランスを理解することで、遺産分割や債務処理においてスムーズに進めることができます。

また、専門家の支援を受けることで、複雑な手続きを安心して進められるでしょう。

本記事を参考に、遺産相続に関する調査を確実に進めてください。

正確な情報を基に、遺産分割や債務処理などの選択肢を検討し、円満な相続手続きを進めていくことをおすすめします。

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