遺言書無効の申し立てが認められるケース10つと方法をわかりやすく解説
- 「遺言書の無効を申し立てたいが認められるだろうか。」
- 「遺言書の無効を申し立てるにはどうすればいいか。」
遺言書に不審な点があり、無効の申し立てをしたいと考えていませんか。
被相続人が亡くなっており本人の意思を直接確認できないことから、遺言書を無効にするのは簡単ではありません。
専門家でなければ、不審な遺言書を無効にできるか不安になるのは当然です。
本記事では遺言書無効の申し立てが認められるケース、遺言書の無効を申し立てる手順、遺言書の無効確認訴訟が難しいと言われる理由、弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
遺言書無効の申し立てを認めさせるには、関連する相続の知識を正しく習得しておきたいところです。
本記事を読めば必要な知識を把握し、適切な手順で遺言書無効の申し立てを進められるようになります。
遺言書無効の申し立てが認められるケース10選
遺言書が要件を満たしていなかったり、不備があったりして無効の申し立てが認められるケースは少なくありません。
ここでは、なかでも代表的なケースを10個見ていきましょう。
1.遺言執筆時に遺言者が十分な判断能力を有していなかった
遺言書作成時に、遺言者が遺言能力を有していない場合には遺言書は無効と扱われます。
第九百六十三条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
引用元:民法|e-Gov法令検索
遺言能力とは、遺言内容や遺言の法律効果を理解できるだけの意思能力のことです。
たとえば、一般的に15歳未満の者は遺言能力を有さないと考えられているため、親権者の同意なく単独で遺言書を作成することはできません。
(遺言能力)
第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
引用元:民法|e-Gov法令検索
また、遺言者が高齢だったり、認知症などを患っていたりするケースでも、遺言能力の有無が問題になる可能性があります。
2.「自筆証書遺言」で書き方に不備や不足があった
自筆証書遺言とは、民法で規定されたルールに従って遺言者本人が自筆して作成する遺言方式のことです。
自筆証書遺言については、民法上、厳格なルールが定められています。
自筆証書遺言は、以下の条件を満たす必要があります。
- 遺言者本人が全文を手書きしていること(財産目録は自筆しなくてもよい)
- 遺言書の作成日時が正確に手書きされていること
- 遺言書に戸籍上の氏名が手書きされていること
- 遺言書に印鑑が押されていること
- 遺言書の内容を加除修正している場合には、変更箇所に押印をし、変更を加えた旨を記載していること
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
引用元:民法|e-Gov法令検索
たとえば作成時から遺言者が死亡するまでに相当な期間が空いたせいで印鑑が消えてしまっている場合や、遺言書全体がパソコンで記載されていた場合、音声を録音して遺言書代わりにしていた場合などは、自筆証書遺言の要件を満たさず無効と扱われます。
3.「公正証書遺言」の証人が欠格者であった
公正証書遺言とは、遺言者本人と証人2名以上の立ち会いのもと、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授して、公証人が文章にまとめる遺言方式のことです。
公正証書遺言は公証役場にて所定の手続きをする必要があるうえに、費用もかかります。
自筆証書遺言より負担が大きい方式ですが、公務員である公証人が作成するため無効になる不安がなく信頼性が高いなどメリットも多いです。
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
2 前項の公正証書は、公証人法(明治四十一年法律第五十三号)の定めるところにより作成するものとする。
3 第一項第一号の証人については、公証人法第三十条に規定する証人とみなして、同法の規定(同法第三十五条第三項の規定を除く。)を適用する。
引用元:民法|e-Gov法令検索
公正証書遺言の作成時に、よく問題になるのは証人の要件です。
証人は、誰でもよいというわけではありません。
以下にあげる方は、公正証書遺言の証人としては欠格者とされます。
- 未成年者
- 推定相続人(法定相続人)
- 受遺者※遺言によって財産を受け取る個人・法人
- 推定相続人・受遺者の配偶者及び直系血族(親、子ども、孫など)
- 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人
(証人及び立会人の欠格事由)
第九百七十四条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
引用元:民法|e-Gov法令検索
証人が欠格者であった場合、その公正証書遺言は無効となってしまいます。
4.より新しい日付の遺言書がみつかった
手元にある遺言書よりも日付が新しい遺言書が見つかった場合、その新しい日付の遺言書が有効に成立している限り、古い日付の遺言書は無効と扱われます。
遺言者はいつでも遺言の全部または一部を撤回でき、複数の遺言書が存在する場合は、より日付が新しい遺言書が有効とされるためです。
(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
引用元:民法|e-Gov法令検索
5.内容が不明確だった
遺言書の内容から、誰にどの財産を譲るかはっきりと読み取ることができない場合には、遺言書が無効になる可能性が高いです。
たとえば複数人の子どもが法定相続人だった場合、遺言書に「預金は子どもに」という文言しか記載されていなかったときには、どの金融機関の預貯金をどのような割合で子どもが相続するのかがわかりません。
ただし、さまざまな事情から被相続人の考えを想定できる場合は、裁判でも遺言が有効とみなされるケースはあります。
6.第三者に強要・偽装されていた(取り消し)
遺言者が第三者による強要・詐欺を受けて遺言書を作成した場合には、遺言者の意思表示に瑕疵が存在すると考えられます。
遺言書は遺言者の自由な意思で作成されなくてはなりません。
第三者による強要・詐欺によって作成された遺言書は取り消しの対象です。
(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
引用元:民法|e-Gov法令検索
たとえば、遺言者に対して嘘の情報を提供して「自分に全財産を譲る」といった内容の遺言書を作成するように仕向けたなどのケースや、暴力などをちらつかせながら自分に有利な遺言書を作成させたケースなどが挙げられます。
7.重要な事実を誤認した状態で作成されていた
遺言書作成時に遺言者が、遺産相続に大きな影響を与える事実を誤って認識していた場合、遺言書が無効とされる可能性があります。
その遺言書は、遺言者の真意によって作成されたとは言えないためです。
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
引用元:民法|e-Gov法令検索
たとえば売却済の有価証券を相続財産としていたり、亡くなっている方に対して相続させるとしていたりといったケースです。
8.公序良俗に反するような内容だった
遺言書の内容が公序良俗に違反する場合には無効になります。
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
引用元:民法|e-Gov法令検索
本来、遺言者は自由に自分の財産を誰に譲るかを決めることができます。
しかし、たとえば不倫相手との関係維持のために「⚪︎⚪︎(不倫相手)に全財産を譲る」などという遺言書は、一般的な社会常識に反するのは明らかです。
このような遺言書が残されていた場合には、公序良俗違反を理由に遺言書は無効とされる可能性があります。
9.2人以上が共同で作成した
2人以上が協力して作成した同一の遺言書は「共同遺言」と呼ばれ、民法では無効とされます。
共同遺言では遺言者の真意に基づく意思表示ができない可能性があるためです。
(共同遺言の禁止)
第九百七十五条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
引用元:民法|e-Gov法令検索
10.遺言者以外が自筆証書遺言を代筆していた
自筆証書遺言は、遺言者本人が全文などを自筆しなければ有効にはなりません。
たとえば、病気や高齢が原因で自筆できない遺言者本人に代わって、その子どもが遺言書を代筆したようなケースでも、自筆証書遺言の要件を満たしていない以上、遺言書は無効と扱われます。
ただし、例外的に、病気などが原因で死亡の危急に迫った状況では、証人3人以上の立ち会いがあれば、そのうちの1人に遺言の趣旨を口授する方法で遺言書を作成できます。
いわゆる一般危急時遺言と呼ばれるものです。
この場合には、口授を受けた証人がこれを筆記して、遺言者及びほかの証人に読み聞かせや閲覧をさせることで筆記内容が正確であると承認してもらったあと、署名・押印をしなければいけません。
(死亡の危急に迫った者の遺言)
第九百七十六条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
引用元:民法|e-Gov法令検索
遺言書の無効を申し立てる流れ
遺言書を無効にしたいときは、どのような手続きをすればよいでしょうか。
以下、流れをひとつずつ見ていきましょう。
1.まずはほかの相続人と話し合い解決を目指す
遺言書が無効の可能性がある場合、まずは相続人全員で相続について話し合う機会を設けましょう。
遺言書が存在しても、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる内容で遺産分割ができるためです。
ほかの相続人との話し合いで解決すれば、裁判所での手間と時間がかかる手続きが不要になり負担も少なくてすみます。
2.話し合いで合意できなければ遺言無効確認調停を申し立てる
相続人間の話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所の遺言無効確認調停を申し立てて、遺言書の有効性について争います。
遺言無効確認調停とは、家庭裁判所の調停委員会を介して遺言書の有効・無効についての合意形成を目指す手続きのことです。
調停では原則として、各相続人が個別に調停委員に意見を述べることになり、遺産分割協議よりも冷静に話し合いを進められます。
遺言無効確認調停で合意形成に至った場合には調停調書が作成されて、合意内容にしたがって遺言書の有効性が決まります。
これに対して、調停が不成立に終わった場合には、遺言無効確認訴訟に移行して裁判所の判決での決着を目指します。
遺言無効確認調停の申し立て費用
遺言無効確認調停を申し立てるには、被相続人1人につき1,200円分の収入印紙が必要です。
また、予納郵便(切手代)の負担も発生します。
予納郵便代は家庭裁判所によって異なるので、管轄の家庭裁判所まで直接お問い合わせください。
弁護士に依頼する場合は、以下のような費用がかかります。
- 相談料:5,000円~10,000円/時※初回の面談相談を無料とする弁護士も多い
- 着手金(初期費用):数十万円程度※調停によって得た利益が大きいほど高くなる※交渉から弁護士に相談・依頼した場合は10~30万円程度追加
- 成功報酬:調停によって得た利益の10~20%程度
このほか弁護士が出張した際にかかる日当や実費なども発生します。
弁護士費用は法律事務所によって異なるので、詳細は見積もりをとって確認ください。
弁護士に依頼する場合は、以下のような費用がかかります。
- 相談料:5,000円~10,000円/時※初回の面談相談を無料とする弁護士も多い
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- 成功報酬:調停によって得た利益の10~20%程度
このほか弁護士が出張した際にかかる日当や実費なども発生します。
弁護士費用は法律事務所によって異なるので、詳細は見積もりをとって確認ください。
3.調停で解決できなければ遺言無効確認訴訟を提起する
遺言無効確認調停が不成立に終わった場合には、遺言無効確認訴訟で最終的な解決を目指します。
訴訟では相続人などが原告・被告に別れてそれぞれ主張・立証をおこない、その内容にもとづき裁判官が判決を下すのです。
裁判官の判決がでたら、原告・被告共にその内容に従うことになります。
なお判決に不服がある場合は、上級裁判所に控訴・上告することも可能です。
なかなか決着がつかない場合、解決まで数年を超える時間がかかることも少なくありません。
遺言無効確認訴訟の提起にかかる費用
遺言無効確認訴訟を提起する場合、訴額に応じた収入印紙代(訴訟手数料)と予納郵便代の納付が必要です。
遺言無効確認訴訟の訴額は、遺言書が無効になったときに原告が得ることができる経済的利益の金額を意味します。
訴額ごとの収入印紙代については、東京地方裁判所の以下早見表を参考にしてください。
弁護士に依頼する場合は、以下のような費用がかかります。
- 相談料:5,000円~10,000円/時※初回の面談相談を無料とする弁護士も多い
- 着手金(初期費用):数十万円程度※訴訟によって得た利益が大きいほど高くなる※調停から弁護士に相談・依頼した場合は10~30万円程度追加
- 成功報酬:訴訟によって得た利益の10~20%程度
このほか弁護士が出張した際にかかる日当や実費なども発生します。
弁護士費用は法律事務所によって異なるので、詳細は見積もりをとって確認ください。
遺言書の無効確認訴訟が難しいと言われる理由
訴訟で遺言書の無効を主張するのは難しいとよく言われます。
適切に主張・立証をしなければ、失敗してしまう可能性が高く、専門家のサポートなしで進めるのは難しいでしょう。
そのため弁護士に相談・依頼することが強く推奨されます。
ここでは、遺言書の無効確認訴訟が難しいと言われる理由を見ていきましょう。
公正証書遺言は信頼性が高いと想定されるため
公正証書遺言の場合は信頼性が高く、特に無効とするのは難しいと考えられます。
公正証書遺言は公証役場において、法律の専門家である公証人が手続きに関与して作成され、不備が発覚する可能性は極めて低いです。
さらに2人の証人も確認していることから、「遺言者の意志が正しく反映されているだろう」と信頼されやすく覆すのは困難と言えます。
自筆証書遺言は「二段の推定」が及ぶため
自筆証書遺言は「二段の推定」が及ぶことから、無効と立証するのが難しいと言われます。
二段の推定とは、民事訴訟法の考え方(以下)です。
二段の推定
- 遺言書に遺言者本人の実印が押されているということは、本人の意思にもとづいて押印されたものと考えられる(1段目の推定)
- 本人の意思にもとづき押印されたということは、遺言が正しく成立していると考えられる(2段目の推定)
自筆証書遺言を無効とする場合、この二段の推定を崩さなくてはならないことが多いです。
そのため、遺言が無効とみなされるための証拠収集や立証が難しくなります。
遺言能力がないことの証明はハードルが高いため
遺言作成時に、遺言能力がなかったことを証明するのはハードルが高いです。
仮に被相続人が認知症であったとしても、その事実だけで「遺言能力がなかった」とはみなされません。
遺言能力の有無は、以下にあげるような事情を考慮して個別に判断されます。
- 遺言書を作成した時点で、被相続人が精神的な障害や認知症を患っていたか
- 精神的な障害・認知症を患っていたなら、その程度はどのくらいか(軽度か、遺言書を作成できるほどでないか)
- なぜ遺言書を作成したか
- 遺言の内容が合理的と言えるか
- 遺言の内容は複雑か
被相続人が認知症を患っていてもそれが軽度で、遺言内容が複雑でなく合理性もあれば、遺言書が有効と判断される可能性が十分にあります。
たとえば長年連れ添った妻に全財産を譲るといった内容の遺言書なら、合理性があるとみなされやすいうえに内容もシンプルです。
ほかの事情にもよりますが、この場合は被相続人が軽度の認知症であったとしても、遺言書が有効とみなされる可能性があります。
遺言能力がないことを示し遺言書を無効にするには、単に被相続人が認知症であったことを示すだけでは足りないわけです。
遺言書を無効と主張するには、被相続人が認知症だったというだけでなく、その他の事情も考慮して主張・立証しなくてはなりません。
その時点では遺言作成時の被相続人がどのような様子だったか、立証できるような証拠の収集も難しくなります。
遺言書無効の申し立てが認められた解決事例・判例
ここからは、遺言書無効の申し立てが認められた解決事例を、ベンナビ遺産相続に登録された弁護士によるものを中心に紹介します。
ベンナビ遺産相続は、遺言書の有効性などの遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士を紹介する法律系総合ポータルサイトです。
24時間無料でご希望条件の法律事務所を検索できるので、遺言書関連で少しでも不安や疑問がある人は、この機会にぜひご活用ください。
【参考】ベンナビ相続
偽造が判明し遺言書無効の申し立てが認められた事例
本件は、被相続人が死亡して、3人の子どもが相続人(長男、次男、長女)になった事案です。
生前、被相続人が「遺産は子どもたちで仲良く分けるように」と口にしていたにもかかわらず、相続が発生すると、「次男に全ての財産を譲る」という遺言書が見つかりました。
弁護士が調査したところ、遺言書作成当時、被相続人が病院に入院しており遺言書を作成できる状況ではなかったこと、遺言書の筆跡が被相続人のものではなく次男の妻のものに酷似していることが判明しました。
そこで、次男を相手に遺言無効確認訴訟を申し立てた結果、次男が遺言書を偽造した事実を認め遺言が無効であることが確定しました。
本件はこのあと遺産分割調停が申し立てられ、相続人が等分で遺産を分け合うことが決定しています。
【参考】遺言書に「一人が全てを相続する」と書かれており、遺言の無効を主張した事例|ベンナビ相続
被相続人の真意か疑われる遺言書が無効と認められた事例
本件は、被相続人が死亡したあと、「長男に遺産の全てを相続させる」という内容の遺言書が発見された事案です。
生前、長男と父親は仲が悪かったため、このような遺言書が残されていることを疑問に思った長女が、遺言書の有効性を確かめるために弁護士に相談をしました。
そして、弁護士が遺言書作成当時の状況を調査したところ、遺言書が作成されたときに被相続人が認知症の診断を下されていたことが発覚。
そのため、遺言書が無効であることを前提に遺産分割手続きが進められて、法定相続分どおりに遺産分割協議がまとまりました。
【参考】兄が無理矢理作らせた遺言書が無効であることを証明した|ベンナビ相続
口授の要件を満たしていないとして公正証書遺言が無効とされた判例
本件は、公正証書遺言無効の申し立てが認められた事案です。
公正証書遺言を作成するには、遺言者が公証人に遺言内容を口述する必要があります。
しかし、本件の遺言者はすでにパーキンソン病の診断を受けており、自分で口述ができない状況でした。
そこで、公証人が公正証書用紙にあらかじめ清書した原稿を提示して、項目ごとにその内容でよいかを遺言者に確認する方法を実施しました。
遺言者は各項目に対して「ハー」「ハイ」という返事のみをし、返答以外の発言は一切ありませんでした。
このような事実関係を踏まえて、裁判所は、本件の方法は遺言者の真意を確認する方法としては不適切であり、公正証書遺言の口授要件を満たしておらず、遺言書は無効であるとの判決を下しました。
【参考】東京地判平成11年9月16日
遺言書の無効を主張したいときは弁護士に相談・依頼すべき理由
遺言書無効の申し立てをしたいときには、弁護士に相談・依頼することが強く推奨されます。
遺言書の無効を立証するための手続きは、高い専門性と戦略が求められるためです。
弁護士なしで手続きをすすめると、裁判手続きで適切に主張・立証ができず求める判決にならない可能性が高まります。
どのような証拠が有効かや、手元にある証拠で十分かの判断は、専門家でなければ難しいでしょう。
また自分自身で、相手方と直接交渉するのはたいへんなストレスが溜まるものです。
弁護士であれば、遺言書の無効を立証できる有効な証拠を収集できます。
そのうえで遺言書が無効と適切に主張・立証することも可能です。
依頼人の希望があれば、相手方との交渉を代行してもらうこともできます。
さいごに|遺言書無効の申し立てについては弁護士に相談を!
遺言書に少しでも無効の疑いがある場合は、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
弁護士は遺言書無効を立証する証拠を収集して適切な措置をとってくれるので、早期に遺言書が無効であるとの合意・判断が引き出されて、公平・公正な遺産分割を実現しやすくなるでしょう。
ベンナビ相続では、遺言書の有効性トラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
法律事務所の所在地、具体的な相談内容、初回の相談料無料などのサービス面から24時間無料で専門家を検索できるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士までお問い合わせください。
