不倫の慰謝料請求を無視したら何が起こる?4つのリスクや強制執行までの流れ
不倫の慰謝料請求を無視したら、相手の怒りを買って交渉の余地がなくなったり、相手が職場や自宅に押しかけて不倫がバレたりするおそれがあります。
また、裁判を起こされれば、給与や預貯金を差し押さえられるリスクもあります。
「お金がないから払えない」「無視したい」という気持ちもあるでしょう。ただ、無視すればするほど相手の態度が頑なになり、穏便な解決が難しくなる可能性がある点には注意が必要です。
本記事では、慰謝料請求を無視した場合に起こり得るリスクや、請求から強制執行までの流れについて解説します。
自分が今どの段階にいるのか、そしてここからどう動けばいいのかを判断するために、ぜひ最後まで参考にしてください。
不倫の慰謝料請求を無視したら起こり得る4つのリスク
不倫の慰謝料請求を無視し続けた場合に想定されるリスクは、以下の4つです。
- 相手の怒りを買って交渉の余地がなくなる
- 相手が職場や自宅に押しかけて不倫がバレるおそれがある
- 裁判に発展しやすくなる
- 不誠実な対応として慰謝料が増額される可能性がある
それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
相手の怒りを買って交渉の余地がなくなる
相手からの連絡を無視し続けると、怒りを買って交渉が難しくなる可能性があります。
不倫の被害者は、すでに大きな精神的ダメージを受けています。
そこで無視という不誠実な対応をすれば、「絶対に許さない」「痛い目に遭わさないと気が済まない」という気持ちはより強くなるでしょう。
結果として、相手が弁護士に依頼し、徹底的に法的手続きを進める原因になりかねません。
裁判になったあとも和解に応じてもらえず、解決までに数年かかるケースも考えられます。
早い段階で誠実に対応していれば、数十万円単位の減額ができたケースでも、放置することで減額に応じてくれなくなる可能性があります。
「慰謝料を払えないから無視する」は、支払い額をさらに増やす行動だと認識しておいてください。
相手が職場や自宅に押しかけて不倫がバレるおそれがある
連絡が取れない状況が続くと、痺れを切らした被害者が直接職場や自宅に押しかけてくるおそれがあります。
職場や自宅への押しかけは、住居侵入罪や名誉毀損罪などに問われる可能性がある行為のため、相手にもリスクがあります。
しかし、請求を無視されて冷静さを失った被害者が、実際に職場や自宅に押しかける可能性は否定できません。
自宅に突然訪問されれば、同居する家族に不倫の事実がバレますし、職場に電話や訪問があれば、上司や同僚にも知られてしまうでしょう。
このように社会的信用を失わないためには、無視せず誠実に対応することが重要です。
自分で対応するのが難しい場合でも、無視をせず弁護士を窓口にするなど、適切に対応しましょう。
裁判に発展しやすくなる
不倫慰謝料の請求を無視し続けると、示談で解決する意思がないとみなされ、相手が裁判を起こす可能性が高まります。
慰謝料の請求は、示談交渉からスタートするのが一般的です。
しかし、請求される側が交渉のテーブルにつかなければ、相手は法的な強制力をもつ裁判に進むしかありません。
裁判になれば、弁護士費用や裁判所への出廷など、金銭的・時間的・精神的な負担が一気に跳ね上がります。
公の場で争う以上、周囲に発覚するリスクも格段に高くなるでしょう。
そのため、不倫慰謝料トラブルを穏便に解決したいなら、無視をせず話し合いでの解決を目指すのが賢明です。
不誠実な対応として慰謝料が増額される可能性がある
請求を無視し続けると、慰謝料の増額事由になることがあります。
裁判では、不倫発覚後の対応も慰謝料の算定に影響するためです。
たとえば、謝罪の有無や反省の態度は、裁判官の心証を左右する要素です。
長期にわたる無視や逃亡は「著しく不誠実」と評価され、相場よりも高い慰謝料を命じられるおそれがあります。
さらに、慰謝料に加えて、遅延損害金や相手の弁護士費用の一部が請求されることも忘れてはいけません。
たとえば、慰謝料が200万円のケースで、不法行為日から3年にわたって無視し続けた場合、合わせて30万円〜40万円程度が上乗せされる可能性があります。
| ・遅延損害金:200万円×3%×3年=18万円(不法行為日から発生) ・相手の弁護士費用:200万円×10%=20万円(認容額の約10%が目安) *裁判では、認容額の1割前後を弁護士費用相当損害として認める運用がみられることがあります。 |
なお、遅延損害金の法定利率は、2020年4月以降に起きた不倫なら年3%、2020年3月以前に起きた不倫の場合は旧民法の年5%が適用されます。
不倫の慰謝料請求を無視し続けるとどうなる?請求から強制執行までの流れ
慰謝料請求を放置すると、「内容証明→訴訟→判決→差し押さえ」の順で法的手続きが一方的に進みます。
| 手続きの内容 | 届く書類 | バレるリスク |
| 内容証明郵便による請求 | 内容証明郵便 (自宅に届く) |
家族にバレる可能性あり |
| 民事訴訟の提起 | 訴状・呼出状 (送達先の事情によっては、自宅以外に送達が試みられる可能性もある) |
家族・勤務先にバレる可能性あり |
| 判決の確定 | 判決書 (自宅に届く) |
家族にバレる可能性あり |
| 強制執行 (差し押さえ) |
差押命令 (自宅・勤務先に届く) |
家族にバレる可能性があり、給与が差し押さえられると、少なくとも勤務先には差押えの事実を把握されます |
ここでのポイントは、請求された側が無視をしていても、相手側が一方的に手続きを進められることです。
そのため、手続きが途中で止まることはなく、無視を続ければ最終的に財産を強制的に回収されるおそれもあります。
以下では、具体的にどのように手続きが進行するのか、順を追って見てみましょう。
1. 内容証明郵便などで慰謝料を請求される
不倫慰謝料を請求される場合、まずはじめに相手方またはその代理人弁護士からの内容証明郵便が届きます。
内容証明郵便は、「誰が・誰に・いつ・どのような内容を送ったか」を郵便局が公的に記録してくれるサービスです。
そのため、請求の事実が客観的記録として残り、無視を続けるのは不利になりやすいといえます。
内容証明による慰謝料請求には、通常1週間〜2週間程度の支払い期限や回答期限が設けられていますが、突然よくわからない書類が届いたことで焦る方も多いでしょう。
しかし、この段階で弁護士に相談すれば、減額に応じてもらえたり、裁判を回避できたりする可能性は十分にあります。
【関連記事】【例文付き】内容証明郵便とは?効力・書き方・出し方をわかりやすく解説
2. 裁判所から訴状と呼出状が届く
内容証明が届いたあとも無視を続けていると、相手方は訴訟を起こす可能性が高いです。
相手が裁判所に訴訟を提起すると、裁判所から訴状と期日呼出状が届きます。
訴状と期日呼出状は特別送達という特殊な方法で送付され、原則として本人もしくは家族に直接手渡されます。
訴状を家族が受け取った場合、説明を求められ、不倫を打ち明けざるを得なくなる可能性が高いでしょう。
また、すでに長期間無視をしている場合、この時点で自力での交渉は非常に難しくなっていると考えてください。
なお、訴状が届いた場合、指定された期日までに答弁書を裁判所に提出しなければなりません。
3. 欠席裁判となり相手の請求通りの判決が出る
呼出状に記載されていた期日に出廷せず、答弁書も提出しなかった場合、欠席裁判となって相手の請求通りの判決が出る可能性が高いです。
民事訴訟では、被告が出廷も答弁書の提出もしなければ、原告の主張を全て認めるのが原則であるためです。
仮に相手が相場より高い慰謝料を請求していたとしても、相手の請求が確定してしまえば減額の余地はありません。
また、確定判決は法的な強制力を持つため、交渉で覆すことは不可能です。
なお、判決の送達を受けた日から2週間以内であれば、第一審より上級の裁判所への控訴が可能です。
しかし、ここまで無視をし続けた背景がある以上、判決が覆る可能性は低いでしょう。
4. 財産や給与の強制執行(差し押さえ)が実施される
確定した判決に従わず支払いを拒み続けると、相手が裁判所に強制執行を申し立てます。
申立後、裁判所は勤務先や金融機関に差押命令を送付します。
給与を差し押さえる場合は、勤務先の経理担当者が手続きをおこなうため、不倫トラブルの事実が職場にバレてしまうでしょう。
また、差し押さえの対象となるのは、社会保険料や税金を控除した手取り給料の4分の1までです。手取りが44万円を超える場合は、手取りから33万円を引いた金額が差し押さえられます。
全額が差し押さえられるわけではないにしても、完済するまで毎月天引きが続くため生活が厳しくなる可能性もあるでしょう。
そのほか、預貯金口座が差し押さえられたときは、残高がいきなりゼロになることもあり得ます。家賃やローンの引き落としができなくなり、生活そのものが破綻するリスクもあるでしょう。
なお、申立てのタイミングは相手次第です。
そのため、判決確定後の支払い期日を過ぎたらいつ差し押さえをされてもおかしくないと考えてください。
不倫慰謝料を請求されたときにまずやるべきこと
慰謝料の請求書が届いたとき、まずやるべきことは以下の2つです。
| やること | 具体的な行動 | ポイント |
| 内容確認 | 請求書面を読み、金額・期限・根拠を把握する | 支払い義務の有無を確認する |
| 弁護士相談 | 不倫慰謝料問題が得意な弁護士に相談する | 減額・分割交渉はプロに任せるのが安全 |
とくに確認すべきなのは、自分に本当に支払い義務があるかどうかです。
肉体関係がなかった場合や、相手が既婚者だと知らず、そのことに過失がないときは、そもそも慰謝料を払う必要がないこともあります。
また、減額交渉や分割払いの提案は、弁護士に任せるのが安全です。
初回無料で相談できる事務所も多いため、まずは気軽に相談してみましょう。
不倫で訴えられたときの対処法や裁判の流れについては、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】不倫で訴えられたときの対処法|裁判の流れや慰謝料を減額・回避できるケースも解説
不倫慰謝料の支払いを拒否できるケース
相手からの慰謝料請求には、必ずしも相手の要求する金額で素直に応じる必要はありません。
要件を満たしていなければ、以下のように支払いを拒否できるケースもあるためです。
| 拒否できる可能性があるケース | 具体例 |
| 肉体関係がない | 食事・デート・メッセージのみの関係 |
| 相手が既婚者だと知らず、過失もない | マッチングアプリで独身と偽られていた |
| 不倫開始時に夫婦関係が破綻していた | 長期間の別居・離婚調停中 |
| 不倫の相手方がすでに十分な慰謝料を支払っている | 不倫慰謝料の全額を不倫の相手方が支払っており、そのまま支払うと二重取りになる |
| 時効が成立している | 不倫発覚から3年、不倫から20年が経過している |
ただし、拒否できるかどうかを判断するには、証拠や事情を細かく確認する必要があります。
自己判断せず、弁護士に相談するのがおすすめです。
不倫の慰謝料請求を無視した人が弁護士に依頼するメリット
すでに不倫慰謝料の請求を無視してしまっている状況でも、弁護士に依頼すれば被害の拡大を食い止められます。
「もう手遅れかも」と思っている方でも、まだ間に合うかもしれません。
弁護士に依頼した場合、以下のようなメリットがあります。
- 相手との交渉や裁判対応を一任できる
- 適正な金額に減額できる可能性が高まる
- 家族にバレないよう進められる
「相手と直接話したくない」「責められるのが怖い」という方は多いでしょう。
しかし、依頼後は、相手との連絡を全て弁護士が代行してくれるため、あなた自身が相手方と連絡を撮る必要はありません。
また、弁護士は過去の判例や慰謝料の相場を熟知しています。
請求額が不当に高ければ減額交渉、一括での支払いが難しい場合は分割払いを提案してもらうことも可能です。
さらに、弁護士が代理人につけば、相手方や裁判所からの書面が弁護士事務所宛てに届くようになります。
不倫に関する書類が自宅に届く心配がなくなるため、家族にバレるリスクを下げられるでしょう。
不倫の慰謝料請求の無視に関するよくある質問
不倫の慰謝料請求の無視に関して、よくある質問をまとめました。
慰謝料請求を無視してそのまま逃げ切ることは可能ですか?
相手が本気で法的手続きを進めた場合、逃げ切ることは実質的に不可能です。
引越しや転職をして逃げようとしても、弁護士会照会や住民票を通じて現住所や勤務先は合法的に特定されます。
住所を変えただけでは追跡を振り切れません。
相手が「面倒だからもういい」と諦める可能性はゼロではありませんが、相手に弁護士がついている場合は徹底的に追及されると考えてください。
内容証明に心当たりがない場合はどうすればいいですか?
身に覚えがない内容証明が届いた場合でも、絶対に無視してはいけません。
内容証明を放置すると相手に「認めた」と受け取られ、裁判に発展するおそれがあるからです。
まずは文面を確認し、誰が・何を根拠に・いくら請求しているのかを正確に把握してください。
記載内容のうち事実と異なる部分があれば、どこが事実でどこが違うのかを書き出して整理しておきましょう。
弁護士に相談する際の重要な判断材料になります。
注意したいのは、自己判断で相手に直接連絡を取らないことです。
感情的なやり取りに発展したり、不利な発言をしてしまったりするリスクがあります。
弁護士に相談してから対応方針を決めるのが安全です。
慰謝料請求を無視していましたが今からでも間に合いますか?
判決が確定する前であれば、挽回の余地はあります。そのため、無視を続けるより、今すぐ動くほうが確実に状況は良くなるでしょう。
「もう手遅れかも」と諦めてさらに放置を続けることが、実は一番危険な選択です。
無視した期間が長いほど不利になる可能性は高いですが、行動を起こせばそれ以上に状況が悪化することはありません。
裁判の呼出状が届いている段階でも、期日までに答弁書を提出すれば法廷で減額交渉や和解に持ち込める可能性があります。
欠席して相手の言い値で判決が出るよりも、はるかにましでしょう。
ただし、段階が進むほど選択肢は減っていきます。1日でも早く弁護士に相談し、現状の把握と対応を任せるのがおすすめです。
慰謝料が支払えない場合はどうすればいいですか?
慰謝料が支払えない場合は、弁護士を通じて対処する必要があります。
支払えないからといって請求を無視するのは、状況を悪化させるだけなのでやめましょう。
とくに、最初の請求額は相場より高いことが一般的です。法的根拠に基づいて交渉すれば、適正価格まで減額できる可能性があります。
また、一括での支払いが難しければ、分割払いの提案も有効です。
月々いくらであれば支払えるかを明確にし、合意のうえで示談書を作成すれば、無理のない形で解決できます。
もうひとつ検討できるのが求償権の行使です。慰謝料を全額支払ったあと、不倫相手に対して本来相手が負担すべき分を請求できます。
なお、支払うお金がなくても、消費者金融やカードローンで穴埋めするのはやめましょう。
借金を抱えた結果、生活がさらに苦しくなるリスクがあります。まずは弁護士に相談し、減額と分割払いで対応するのが現実的です。
慰謝料を請求されたものの、お金がなくて支払えない方が取るべき対処法については、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】慰謝料請求されたけれど「お金がない」と困っている人が取るべき正しい対処法
さいごに|慰謝料請求の無視は危険!手遅れになる前に弁護士へ無料相談を
慰謝料請求を無視し続けると、「裁判→判決→給与差し押さえ」と、状況は一方的に悪化していきます。
また、職場や家族に不倫が発覚するリスクは、放置するほど高くなると思っておきましょう。
早い段階で弁護士に相談すれば、減額交渉や分割払いで穏便に解決できる可能性は十分にあります。
「弁護士に相談したら怒られるんじゃないか」と不安に思う方もいるかもしれませんが、弁護士は依頼者の味方です。
無視してしまった経緯も含めて、冷静に最善の対処法を一緒に考えてくれるでしょう。
最近は、初回無料で相談できる法律事務所も多いため、相談のハードルはそれほど高くありません。電話やLINEで相談できる事務所もあります。
「どうすればいいかわからない」という状態が一番つらいはずです。
まずは無料相談で、今の自分にどんな選択肢があるのか確認してみてください。それだけでも気持ちが楽になるはずです。
