離婚の公正証書は作成すべき理由とは?作成しないリスクや作成手順も解説
「離婚の公正証書は本当に必要なの?」「作らなくても問題ないのでは?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、相手に対して養育費や慰謝料などの取り決めを確実に守らせたい場合、公正証書の作成は非常に重要です。
作成しておかないと、支払いが滞った際に強制的な回収ができず、あとからトラブルに発展するリスクがあります。
そこで本記事では、離婚時に公正証書を作成すべき理由をはじめ、作成しない場合のリスクや具体的な作成手順まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
離婚後のトラブルを未然に防ぐためにも、ぜひ参考にしてください。
離婚の公正証書を作成すべき4つの理由
離婚後のトラブルを防ぐためにも、公正証書の作成は強く推奨されます。
ここでは、なぜ離婚時に公正証書を作成すべきなのかを、具体的に解説します。
約束通り金銭が支払われないときは速やかに相手の財産を差し押さえられる
離婚時に公正証書を作成しておくべき理由の一つは、金銭の未払いが発生した際に、迅速に差し押さえの手続きへ進める点です。
養育費や慰謝料について「強制執行認諾文言」を付した公正証書を作成しておけば、相手が約束通り支払わなかった場合でも、裁判を起こすことなく、すぐに強制執行の手続きが可能となります。
通常、未払いが発生すると、調停や訴訟などの手続きを経る必要があり、時間や精神的な負担が大きくなりがちです。
しかし、公正証書があれば、給与や預金口座といった相手の財産に対して、直接差し押さえをおこなえます。
特に養育費は長期間にわたる支払いとなるため、「途中で支払われなくなるのでは」と不安を感じる方も多いはずです。
公正証書は、こうした不安を軽減し、取り決めを確実に履行させるための有効な手段といえます。
離婚後のトラブルを予防できる
離婚協議書を公正証書化すべき理由として、離婚後のトラブルを予防できる点も見逃せません。
離婚後のトラブルの多くは、「言った・言わない」「そんな約束はしていない」といった認識のズレから生じます。
その点、公正証書は公証人が関与して作成される公的な書面であり、当事者双方の合意内容が明確に文章化されます。
そのため、あとから内容を巡って争いになる可能性を大きく下げられます。
養育費の金額や支払期限、支払方法、面会交流のルールなどを具体的に記載しておけば、不要な対立を防ぐ効果が期待できるでしょう。
相手に心理的なプレッシャーをかけられる
公正証書に強制執行認諾文言を付しておけば、未払い時に直ちに強制執行を申し立てることができるためを持つため、相手に対して一定の心理的プレッシャーを与える効果もあります。
口約束や私文書の場合、「支払わなくても何とかなる」と軽く考えられてしまうリスクがありますが、公正証書はそうはいきません。
未払いがあればすぐに強制執行される可能性があるとわかっていれば、相手も安易に約束を破りにくくなるでしょう。
公正証書を作成すること自体が、「この約束は軽いものではない」というメッセージとなり、支払いを継続させる抑止力として機能してくれるはずです。
書面の紛失・改ざんを予防できる
離婚協議書を自分たちで作成した場合、原本を紛失したり、内容を書き換えられたりするリスクがないとはいえません。
一方、公正証書は原本が公証役場で厳重に保管されるため、紛失や改ざんの心配がほとんどありません。
当事者には正本や謄本が交付され、万が一それらを失くしても再発行が可能です。
長期間にわたる養育費の取り決めでは、数年後に書面が必要になる場面も考えられます。
その際に「書類が見つからない」「相手が内容を否定してくる」といった事態を防げる点は、大きな安心材料となるでしょう。
離婚の公正証書は絶対に必要?作成しない場合に考えられるリスクは?
離婚の公正証書は法律上、必ず作成しなければならないものではありません。
しかし、作成しないという選択には、離婚後に深刻な不利益を被るリスクが潜んでいます。
ここでは、公正証書を作成しなかった場合に現実的に起こり得るリスクを具体的に解説します。
養育費などが支払われないのに泣き寝入りしてしまう
公正証書を作成していない場合、養育費や慰謝料が支払われなくなっても、すぐに強制的な回収手段を取れません。
相手が支払いを止め、直接支払いを促しても対応してくれない場合は、まずは調停や訴訟を起こし、段階的に未払い分の回収を目指す必要があります。
これらの段階を踏むには時間も費用もかかり、精神的な負担も非常に大きくなります。
結果として、「これ以上争いたくない」「手続きが大変だから」と諦めてしまい、泣き寝入りしてしまう人も少なくありません。
公正証書がないことで、本来受け取れるはずのお金を事実上失ってしまうリスクがある点は、軽視できない問題です。
あとから離婚時の合意内容をくつがえされてしまう
離婚時にどれだけ丁寧に話し合って合意していても、その内容を証拠として残していなければ、あとから相手に主張を覆される可能性があります。
たとえば、養育費の支払いについて「当時とは状況が変わったからもう支払えない」などと言われてしまうと、相手に支払いを継続してもらうことは容易ではありません。
公正証書を作成していないことで、せっかく合意した条件が事実上なかったことにされ、不利な立場に追い込まれてしまうリスクがあるのです。
離婚協議書の内容で争いになる
公正証書ではなく、当事者間で作成した離婚協議書だけの場合、その記載内容が不十分だったり、表現が曖昧だったりすると、解釈を巡って争いになる可能性があります。
結果として、協議書の内容を巡って調停や訴訟に発展し、時間と労力を再び費やすことになりかねません。
その点、公正証書を作成していれば、公証人が内容を確認したうえで作成されるため、このような解釈のズレや書面の信用性を巡る争いを未然に防ぎやすくなります。
離婚の公正証書を作成するデメリットとは?
離婚の公正証書には多くのメリットがある一方で、作成にあたって知っておくべきデメリットも存在します。
ここでは、離婚の公正証書を作成する際に感じやすい代表的なデメリットについて整理します。
公正証書化にはお金がかかる
離婚の公正証書を作成する際には、公証役場に支払う手数料が発生します。
手数料は、養育費や慰謝料、財産分与などの取り決め金額をもとに以下のように算定されます。
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円超100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円超3億円以下 | 49,000円+超過額5,000万円までごとに15,000円 |
| 3億円超10億円以下 | 109,000円+超過額5,000万円までごとに13,000円 |
| 10億円超 | 29万1,000円+超過額5,000万円までごとに9,000円 |
「離婚後の生活費が不安なのに、さらに出費が増えるのはつらい」と感じる人も少なくありません。
ただし、この費用は一度きりの支出であり、将来的な未払いトラブルや裁判費用を考えると、結果的に負担を抑えられる可能性もあります。
支払いが滞った場合の精神的・経済的損失と比較し、長期的な視点で考えることが重要です。
夫婦同席のうえで手続きをしなくてはならない
公正証書の作成原則として、夫婦双方が公証役場に出向き、内容を確認したうえで署名・押印をおこなう必要があります。
すでに関係が悪化している場合、相手と顔を合わせること自体が大きなストレスになることもあるでしょう。
また、仕事や育児の都合で日程調整が難しいと感じる人もいます。
ただし、委任状を利用すれば代理人による手続きが認められるケースもあり、必ずしも直接対面しなければならないとは限りません。
同席が難しい場合は、弁護士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
離婚の公正証書を作成する必要がないケースとは?
離婚の公正証書は多くの場面で有効ですが、全ての離婚において必須というわけではありません。
たとえば、夫婦間に未成年の子どもがおらず、養育費の取り決めが不要な場合や、慰謝料・財産分与といった金銭のやり取り自体が発生しないケースでは、公正証書を作成するメリットは少ないでしょう。
また、離婚時に慰謝料や養育費などの支払いがすでに完了しており、継続的な金銭支払いが存在しない場合も、公正証書の必要性は低くなります。
ただし、これらはあくまで一般論であり、将来の状況が変わることを予測することは困難です。
公正証書を作成しない選択が本当に自分にとって安全かどうかは、取り決め内容や相手との関係性を踏まえて慎重に判断することが重要です。
離婚の公正証書を作成する流れ
離婚の公正証書は、思いつきで即日作れるものではなく、いくつかの段階を踏んで進めます。
まずは、夫婦間で離婚条件について合意形成をおこないましょう。
養育費の金額や支払期間、支払方法、慰謝料や財産分与の有無などをできるだけ具体的に話し合うことが重要です。
次に、その合意内容をもとに公正証書の原案を作成し、公証役場へ事前相談をおこないます。
内容確認が終わると、公証人が正式な文案を作成し、指定された日時に手続き当日を迎えます。
当日は当事者双方または代理人が内容を確認し、署名・押印をして完了です。
事前準備を丁寧におこなうほど、当日の手続きはスムーズに進みます。
あらかじめ流れを把握しておくことで、「何から始めればいいのか分からない」といった不安を減らせるでしょう。
2025年10月からはリモート作成もできるようになった
従来、離婚の公正証書は夫婦双方が公証役場へ出向く必要があり、日程調整や対面そのものが大きな負担になるケースもありました。
しかし、2025年10月以降は制度の見直しにより、一定の要件を満たせばオンラインによるリモート作成が可能になっています。
これにより、遠方に住んでいる場合や、相手と直接顔を合わせることに強い抵抗がある場合でも、公正証書を作成しやすくなりました。
オンライン手続きでは、事前の書類提出や本人確認をおこなったうえで、ビデオ通話を通じて内容と意思の確認が進められます。
全てのケースで利用できるわけではありませんが、育児や仕事で時間が取れない人にとっては大きなメリットです。
制度の詳細や利用可否は公証役場ごとに異なるため、早めに確認しておくことが大切です。
離婚の公正証書を作成するべきタイミングは?
離婚の公正証書は作成すべきかどうかだけでなく、いつ作るかも非常に重要です。
タイミングを誤ると、せっかく合意した条件が守られなくなったり、公正証書の作成自体が難しくなったりするおそれがあります。
ここでは、後悔しないために押さえておきたいタイミングの考え方を解説します。
離婚届提出と離婚の公正証書作成はどちらが先?
原則として、離婚の公正証書は離婚届を提出する前に作成するのが望ましいとされています。
離婚が成立したあとは、相手が公正証書の作成に協力しなくなる可能性が高まるためです。
離婚前であれば、離婚に応じること自体が交渉材料となり、養育費や慰謝料などの条件についても話し合いが進みやすい傾向があります。
一方、先に離婚届を提出してしまうと、相手が「もう離婚は成立しているのだから作る必要はない」と態度を変え、公正証書の作成を拒否するケースも少なくありません。
特に養育費のように長期間の支払いが必要な取り決めは、離婚前に法的拘束力のある形で残しておくことが重要です。
どうしても離婚届を先に出す必要がある場合でも、少なくとも公正証書の内容について合意が固まってから提出することを検討しましょう。
相手が離婚の公正証書作成を拒否することも考えられる
離婚協議中は比較的話し合いに応じていた相手でも、状況が変われば公正証書の作成を嫌がることがあります。
公正証書には強制執行の効力があるため、「縛られたくない」「そこまで重い約束はしたくない」と感じ、拒否されるケースは珍しくありません。
こうしたリスクを踏まえると、相手の気持ちが比較的落ち着いている段階、かつ離婚条件をまとめている最中に話を進めることが現実的です。
拒否された場合でも、なぜ公正証書が必要なのかを冷静に説明し、双方にとってトラブル回避になる点を伝えれば、作成に応じてくれることもあるでしょう。
それでも合意が難しい場合は、弁護士を介して交渉することで、感情的な対立を避けつつ現実的な落としどころを探るのがおすすめです。
離婚の公正証書は自分で作成できる?弁護士に依頼したほうがよい?
離婚の公正証書は、必ずしも弁護士に依頼しなければ作成できないわけではありません。
夫婦間で離婚条件について合意ができていれば、その内容をまとめ、公証役場とやりとりをおこなうことで自分たちだけで作成することも可能です。
費用を抑えたい場合や、条件がシンプルなケースでは、自分で進める選択肢も現実的といえます。
ただし、公正証書は一度作成すると簡単に修正できず、記載内容に不備があると、強制執行ができなかったり、想定した効力が発揮されなかったりといったリスクがあります。
そのため、条件が複雑な場合や、相手との関係が悪化している場合は、専門家を介したほうがスムーズに進むことが多いでしょう。
費用とのバランスを考えつつ、「後悔しない形で離婚条件に関する合意を残せるか」を基準に判断することが重要です。
さいごに|離婚の公正証書作成については弁護士に相談を!
本記事では、離婚時に公正証書を作成すべき理由や、公正証書に盛り込むべき内容などについて詳しく解説しました。
離婚の公正証書は、離婚後の生活を安定させるための重要な土台となる書面です。
養育費や慰謝料、財産分与といった取り決めは、内容や書き方ひとつで将来の安心度が大きく変わります。
「公正証書を作れば安心」と思っていても、記載内容が不十分であれば、いざというときに十分な効力を発揮できないおそれもあります。
そのため、公正証書を作成するか迷っている段階から、専門家の視点を取り入れることが重要です。
弁護士に相談すれば、自分の状況に本当に公正証書が必要なのか、どのような内容を盛り込むべきかを整理してもらえます。
また、相手との交渉や公証役場とのやりとりを任せられるため、精神的な負担を大きく減らすことも可能です。
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まずは無料相談を活用し、少しでも有利な条件での離婚を目指しましょう。
