妊娠中に離婚したい!離婚するリスクや親権の扱い、別居がおすすめの理由を詳しく解説
- 「妊娠中に離婚したいけれど、本当に今決断していいのだろうか…」
- 「お腹の子どもへの影響や、親権・生活のことが不安…」
このように悩んでいませんか?
妊娠中の離婚は、精神的・経済的な負担が大きくなるだけでなく、親権や養育費、出生後の手続きなど、通常の離婚とは異なる注意点も多くあります。
そのため、十分な知識がないまま判断してしまうと、あとから後悔してしまうケースも少なくありません。
そこで本記事では、妊娠中に離婚を検討する際に知っておきたいリスクや注意点を整理したうえで、親権の扱いや生活面への影響、さらに別居という選択肢についてもわかりやすく解説します。
最後まで読むことで、自分と子どもにとってよりよい判断をするためのヒントが見えてくるはずです。
そもそも妊娠中に離婚はできる?
離婚をするタイミングに法的な制限はありません。
そのため、妻が妊娠中でも離婚は可能です。
また、離婚には協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類に分類されますが、いずれの方法でも夫婦間の子どもの有無や妻側が妊娠しているかどうかは問われません。
ただし、妊娠中の離婚にはさまざまな注意点があるので、通常よりも戦略的に離婚手続きを進める必要があります。
妊娠中に離婚するデメリット|離婚がおすすめできない理由
妊娠中であっても離婚は可能ですが、いくつかのデメリットがある点は見逃せません。
ここからは、妊娠中に離婚するデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
1.離婚手続きに伴う負担が大きい
妊娠中の妻にとって、離婚手続きを進めるのは相当な負担です。
たとえば、離婚手続きは夫婦間の協議によってスタートしますが、妊娠中に夫と離婚話をするのは、それだけで相当なストレスになるはずです。
特に、夫側のDVや不倫、悪意の遺棄などが離婚原因の場合には、話題にするのもはばかられるようなトピックについても交渉を強いられるので、厳しい精神状態におちいりかねないでしょう。
また、協議段階で離婚が成立しないと、離婚調停・離婚裁判といった家庭裁判所の手続きを利用して離婚成立を目指さなければいけません。
しかし、調停や訴訟に対応するには、期日に出席をしたり証拠を用意したりする必要があるため、身体的な負担も発生します。
このように、離婚手続きはただでさえ精神的・肉体的なストレス要因になるので、妊娠中の妻だけで離婚手続きを進めるのは相当ハードルが高いと考えられます。
2.離婚後の生活に苦労する可能性がある
妊娠中に離婚をすると、離婚後の生活に苦労する可能性が高いです。
なぜなら、出産後数年は育児に時間も体力も使う必要があるので、フルタイムで仕事をして十分な収入を得るのは難しいのが実情だからです。
育児に対する理解が広まっているとはいえ、乳児・幼児がいるシングルマザーに十分な配慮をしてくれる雇用先が見つかる確証はありません。
離婚をすると、自分だけで住む場所も収入も用意する必要があります。
しかし、妊娠中に離婚をすると、自分だけで出産を迎えたり乳児を育てたりしなければいけないので、経済的に困窮するリスクに晒されるでしょう。
3.子どもの戸籍は夫側に入る可能性が高い
妊娠中に離婚手続きを進めると、生まれてきた子どもの戸籍が問題になる可能性があります。
まず、妊娠中に離婚が成立しても、離婚成立日から300日以内に生まれた子どもは、出生前に母が再婚していない限り、血縁関係の有無にかかわらず、元夫との間の子ども(嫡出子)と推定されます。
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
引用元:民法|e-Gov法令検索
そして、妊娠中に離婚が成立しても、嫡出子の推定が及ぶ子どもの氏は、「離婚の際における父母の氏」を称することになります。
(子の氏)
第七百九十条 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
引用元:民法|e-Gov法令検索
たとえば、結婚をするときに妻が嫁入りをした場合には、「離婚の際における父母の氏」は夫側の苗字です。
つまり、結婚する際に妻が夫の苗字を名乗るようになり、離婚によって旧姓に戻っていたとしても、離婚後に生まれた嫡出子の苗字は夫側の氏になってしまうということです。
そのため、妊娠中に離婚をすると、子どもが生まれたタイミング次第では、母親と子どもの苗字が異なってしまうと考えられます。
そして、さらに注意が必要なのは、子どもの戸籍は氏によって決まるという点です。
第十八条
② 前項の場合を除く外、父の氏を称する子は、父の戸籍に入り、母の氏を称する子は、母の戸籍に入る。
引用元:戸籍法|e-Gov法令検索
つまり、妊娠中に離婚が成立し、離婚後に生まれた嫡出子は、父親である元夫側の戸籍に入るケースが多いということです。
母親と子どもの氏・戸籍を同じにするには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てたあとに市区町村役場で入籍手続きをおこなわなければいけません。
なお、離婚が成立してから300日以上が経過して生まれた場合には嫡出推定は及ばないので、非嫡出子は母親の氏を名乗り、母親の戸籍に入るのが一般的です。
また、離婚成立後300日以内に嫡出子が生まれた場合でも、離婚時の父母の氏が母親のものであるならば、子どもの氏・戸籍は母親のものになります。
妊娠中に離婚を考えたときに別居を選ぶべき3つのメリット
妊娠中に離婚をすること自体は可能ですが、妊娠をした状態で離婚手続きを進めるとさまざまなデメリットを被る点に注意をしなければいけません。
しかし、妊娠中であったとしても、婚姻関係を継続するのが難しいと感じた以上、何かしらの策を講じなければ、ストレスを抱えて出産に悪影響が生じる危険性が高まります。
そのため、妊娠中に離婚を考えたときには、いきなり離婚を選択するのではなく、別居期間を設けることを検討してください。
ここでは、妊娠中に離婚を検討したときに別居をするメリットを3つ紹介します。
1.配偶者と物理的に距離を取れる
別居をすれば、配偶者と物理的に距離ができるので、さまざまなリスクを回避できます。
たとえば、DVが原因で離婚を考えているなら、パートナーと別居することによって身の安全を守りやすくなるはずです。
また、別居によって離婚をめぐるストレスから一時的に解放されるので、安定した環境で出産に向けた準備もしやすくなるでしょう。
2.別居中に婚姻費用を請求できる
自分で仕事をしていない場合や、十分な預貯金がない場合など、経済的な理由から別居を躊躇してしまう人も少なくありません。
しかし、仮に別居をしたとしても、原則として離婚が成立するまでは、相手方に対し婚姻費用を請求することができます。
(婚姻費用の分担)
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
引用元:民法|e-Gov法令検索
婚姻費用とは、夫婦が通常の社会生活を維持するために必要な費用のことです。
衣食住の費用、出産費用、医療費、子どもの養育費や教育費などが幅広く含まれます。
夫婦が別居をしている場合でも、法律上の婚姻関係にある限り、収入の多いほうは少ないほうに対して婚姻費用を支払わなければいけません。
ただし、正当な理由がなく別居を開始した場合などでは、一方的に同居を打ち切った側に問題があると考えられるので、婚姻費用を受け取れないおそれもあります。
そのため、別居期間中の生活費などを相手方に負担してもらいたい場合には、パートナーと別居について話し合いをしておくことを強くおすすめします。
【関連記事】婚姻費用とは?ケース別の相場・計算方法や請求方法も解説
3.子どもの認知の問題が生じにくい
妊娠中に離婚手続きを進め、離婚が成立してから子どもが生まれた場合、離婚成立日から300日以内に子どもが生まれたときには、子どもについて嫡出推定が及びます。
ここで注意を要するのが、嫡出推定が及び子どもについては、元夫側が嫡出否認を主張する可能性があるという点です。
元夫側の嫡出否認の主張が認められると、元夫が法的な父親ではないということになるため、元夫から養育費を受け取れなくなったり、相続手続きにおいて子どもが相続分や遺留分などを主張できなくなってしまいます。
ただし、嫡出否認の訴えについては、元夫が子どもの出生を知ったときから3年以内という形で出訴期間に制限が設けられています。
つまり、妊娠中に離婚を考えたとしても、いきなり離婚をするのではなく、別居期間を設けてその期間中に出産を迎えれば、嫡出否認を主張される可能性を低減することができます。
妊娠中にどうしても離婚したくなった人が理解するべき4つのポイント
妊娠中に離婚手続きを進めることにはさまざまなデメリットがありますが、状況次第では、妊娠中でもどうしても離婚をしたいという人も少なくはないでしょう。
ここでは、妊娠中に離婚手続きを進める際に把握するべき4つのポイントを紹介します。
1.離婚条件について明確に決めておく
妊娠中に離婚話を進めるなら、できるだけ早いタイミングでの離婚成立を目指すべきでしょう。
なぜなら、離婚手続きが長期化すると、調停や裁判手続きに対応せざるを得なくなり、出産などに悪影響が生じかねないからです。
できるだけ早く離婚するには、協議段階での離婚成立を目指す必要がありますが、その際には、離婚条件についての希望内容を事前に整理しておくのがおすすめです。
こちら側の離婚条件がはっきりとしていれば、協議のときの論点が明確になるので、話し合いがスムーズに進む可能性が高まるでしょう。
たとえば、離婚時に決めるべき離婚条件として以下のものが挙げられます。
- 婚姻費用
- 養育費
- 面会交流
- 親権
- 慰謝料
- 財産分与
2.離婚後の生活費や公的支援を把握する
妊娠中に離婚手続きを進めるときには、離婚成立後にどのように生活費を工面するのかを決めておきましょう。
その際には、シングルマザーが利用できる公的支援制度を把握するのがおすすめです。
特に、子どもが幼い時期は育児に時間・労力を奪われてしまうので、公的支援制度を使えば家計の助けになるでしょう。
シングルマザーが押さえておくべき公的支援制度として、以下のものが挙げられます。
- 児童扶養手当
- 児童手当
- 児童育成手当
- 特別児童扶養手当・障害児福祉手当
- ひとり親家庭等医療費助成制度
- 子ども医療費助成制度
- 自立支援教育訓練給付金
- 高等職業訓練促進給付金
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金
- ひとり親家庭住宅手当
- 生活保護 など
3.離婚後に仕事・育児を両立させる目途を立てる
離婚をすると、生活費は自分で工面しなければいけません。
特に、妊娠中に離婚をする場合には、出産や子育て時期に備えるために、お金や住む場所を確保する必要があります。
しかし、仕事や住居は数日で簡単に見つかるものではありません。
離婚が成立したタイミングで安定した環境を手に入れるには、離婚手続きを進めながら数ヵ月程度の時間をかけて仕事と育児を両立するための方法を準備するべきでしょう。
たとえば、自分だけで子育てをしながらフルタイムで仕事をするのが難しいなら、両親を頼れるかどうかも検討してください。
4.早い段階から離婚問題が得意な弁護士に相談する
妊娠中に離婚を考えているなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
なぜなら、離婚問題への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下のメリットを得られるからです。
- 妊娠中に離婚をするべき状況か、一度は別居期間を設けて出産後に離婚手続きを進めるべきかを判断してくれる
- 離婚手続きを進めるにあたって準備するべき事項や確保すべき証拠を整理してくれる
- 配偶者との離婚協議を代理してくれる
- 弁護士に依頼したほうが協議が成立する可能性が高まるので、離婚手続きの早期終結を期待できる
- 離婚調停や離婚裁判に発展したときには、裁判所関係の手続きをすべて任せることができる
- 慰謝料や養育費、親権、婚姻費用などについて、有利な離婚条件での解決を期待しやすくなる
- シングルマザー向けの公的支援制度などを紹介してくれる
- 離婚成立後の生活基盤の確保方法について現実的な解決策を提案してくれる など
妊娠中の離婚手続きは、通常の夫婦の離婚トラブルよりも考慮するべき事項が多いです。
また、将来的に出産を控えている状況で離婚問題に直面した結果、さまざまな不安に苛まれて心身の健康を損なうケースも少なくありません。
その点、離婚問題が得意な弁護士は、相談者・依頼者に寄り添ってさまざまなサポートをしてくれます。
ひとりで思い悩みつづけてもあなた自身の負担になるだけなので、妊娠中に離婚を考えているなら、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士に助けを求めてください。
さいごに|離婚問題が得意な弁護士を探すなら「ベンナビ離婚」がおすすめ
妊娠中に離婚を考えなければいけない事態におちいったときには、すぐに離婚問題が得意な弁護士への相談を検討してください。
弁護士に相談・依頼をすれば、現在の生活環境や出産時期、抱えている離婚トラブルの内容などを総合的に考慮して、相談者・依頼者にとって最適な選択肢を提案してくれます。
また、弁護士に依頼をすれば、配偶者との協議や裁判手続きなどをすべて任せることができるので、自分の体や子どものことを最優先に考えながら、離婚手続きを進めることができるでしょう。
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