自己破産手続きの流れとは?適切な相談先についても紹介!
深刻な借金トラブルを抱えている方の中には、自己破産手続きを検討している方もいるでしょう。
自己破産を申し立てれば、最終的に借金の悩みから解放されます。
しかし一方で、自己破産手続きの内容や注意点は、一般の方にはあまり知られていません。
適切に自己破産を申し立てるためにも、手続きの流れや作成する書類、注意点などについて把握しておく必要があります。
本記事では、自己破産手続きの流れや注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも自己破産とは?
自己破産とは、借金の返済を免除してもらうよう裁判所に申し立てる手続きです。
現在の財産の清算と引き換えに借金が免除されるため、借金の返済に困っている方にとっては有力な救済手段といえます。
ただし、借金を連帯保証してもらっている場合には、自己破産を機に連帯保証人への請求がおこなわれてしまいます。
家族などが連帯保証人になっている場合には、迷惑がかかる可能性があるので注意が必要です。
実際に破産申立てをおこなうかどうかは、弁護士に相談したうえで決めましょう。
同時廃止事件と管財事件
自己破産には、同時廃止事件と管財事件の2種類があります。
同時廃止事件とは、破産手続きが開始されると同時に破産手続きを終了(廃止)させる手続きのことです。
債務者が換金する価値のある資産を保有していない場合、同時廃止事件へ進みます。
一方、管財事件とは、破産手続きにおいて破産管財人が選任され、破産者の財産を管理し、債権者への配当をおこなう手続きのことです。
債務者が換金する価値のある資産を保有している場合、管財事件に進むことになります。
自己破産のメリットとデメリット
自己破産にはメリットがある反面、デメリットもあります。
メリット・デメリットを比較したうえで、自己破産を申し立てるべきかどうかを適切に判断しましょう。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは、以下の通りです。
- 借金全額が免除される
- 債権者からの催促がとまる
到底返せないほどの借金を負っている方にとっては、自己破産が有力な解決策となります。
また、督促によって精神的なストレスを感じている方は、自己破産を申し立てればストレスから解放されます。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットは、以下の通りです。
- 財産を処分されてしまう
- 一定期間クレジットカードが作れなくなる
- 一定期間ローンが組めなくなる
- 連帯保証人に対する請求がおこなわれてしまう
- 自己破産したことが官報に掲載される
- 引っ越し・長期の旅行には裁判所の許可が必要になる
車や家などの資産は手放さざるを得ず、現金や預貯金も一定額以上の部分は処分されてしまいます。
また、家族・知り合いが連帯保証人になっている場合は、迷惑がかかってしまうので注意が必要です。
連帯保証人については連帯保証人と保証人の違いは?リスクや辞められるかどうかも解説をご覧ください。
ほかにも、自己破産の手続き中は特定の職業・資格が制限されます。
影響がある職業・資格の一例は次のとおりです。
- 弁護士
- 行政書士
- 司法書士
- 公認会計士
- 宅地建物取引士
- 税理士
- 警備員 など
自己破産手続きの流れ
適切に自己破産の手続きを進めるために、大まかな流れを把握しておきましょう。
基本的な自己破産手続きの流れは次のとおりです。
- まずは弁護士に相談する
- 債権調査や申立書の作成
- 破産・免責手続きの申し立て
- 破産手続き開始の決定
- 管財人面談・債権者集会・免責審尋
- 裁判所が免責許可を決定
①まずは弁護士に相談する
自己破産の申し立ては個人でも可能ですが、専門的な法律の知識と手続きが必要になるため、まずは弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すれば、依頼者の代理人として、自己破産手続きを適切に進めてもらえます。
また、弁護士は依頼者の債務状況や希望を踏まえて、自己破産以外の債務整理や借金解決方法を提案してくれることもあります。
自己破産すべきかどうか迷っている方も、一度弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士に相談する際は、借金の金額だけでなく、預貯金・不動産・車など財産の内容や金額も整理しておきましょう。
債務整理の方針について、具体的なアドバイスを受けることができます。
ほかにも、契約中の保険の解約返戻金や退職金の見込額などについても、金額を極力把握しておいてください。
実際に弁護士へ相談するときは、債務や資産を全て正直に伝える必要があります。
債務や資産について嘘をつくことは「免責不許可事由」に該当し、破産手続きが無効になりかねないためです。
正式に依頼・契約したあと、弁護士が債権者に受任通知を発送し、裁判所に自己破産を申し立てます。
②債権調査や申立書の作成
債務者から依頼を受けた弁護士は、債権調査をおこないます。
債権調査とは、依頼者が負っている債務(借入など)の内容を把握するため、債権者に対して債権の届出を求める手続きです。
自己破産を申し立てる際には債権者リストを提出する必要があるため、申立てに先立って債権調査をおこないます。
債権調査の結果を踏まえて、申立書その他の必要書類を作成し、破産申立ての準備を整えます。
③破産・免責手続きの申立て
申立書その他の必要書類の準備が完了したら、裁判所へ破産・免責手続きの申立てをおこないます。
弁護士に依頼している場合、依頼者を代理して申立てをおこなってもらえるため、自ら手続きをする必要はありません。
破産・免責手続きの申立てをすると、裁判所が申立人への質問によって申立て内容を確認する「破産審尋」がおこなわれます。
この破産審尋も弁護士が代理で話し合うため、依頼者本人が参加する必要はありません。
④破産手続き開始の決定
破産審尋が終わり、裁判所が破産の要件を満たしていると判断すれば、正式に破産手続きの開始を決定します。
申立てから開始決定までは2週間程度かかることが多いですが、緊急性が高い場合は即日または数日程度で開始決定がおこなわれることもあります。
⑤管財人面談・債権者集会・免責審尋
破産手続きの開始後、債務者は管財人面談・債権者集会・免責審尋への出席を求められます。
破産手続きが開始してまもなく、破産管財人との面談がおこなわれます。場所は破産管財人の事務所とされるのが一般的です。
管財人面談では、破産管財人が債務者に対して財産・債務・免責不許可事由などに関する質問をし、破産手続きの進め方を決めるための参考とします。
その後、破産管財人は破産者本人の代わりに財産を管理し、処分したうえで金銭を債権者に配当します。
財産の処分や配当については、債権者集会において破産管財人が債権者に説明します。
個人破産の場合、債権者集会と同日に免責審尋がおこなわれるのが一般的です。
免責審尋では、裁判所が債務者に対して質問をし、免責不許可事由の存否や裁量免責の可否を判断するための参考とします。
⑥裁判所が免責許可を決定
免責審尋のあと、1週間ほどで裁判所が免責を決定します。
免責許可決定は官報に掲載され、掲載後2週間以内に債権者の不服申立てがなければ、債務の免責が確定します。
免責許可決定が確定すると、職業などに関する債務者の資格制限は解除されます。
自己破産手続きにかかる費用
自己破産手続きにかかる費用は、主に弁護士費用と裁判所に納付する申立て費用の2つがあります。
弁護士費用は30万円から100万円程度で、財産・債務の状況などによって金額が変わります。
裁判所に納付する申立て費用は、財産がほとんどないケースでは数万円程度、ある程度財産を所有しているケースでは20数万円程度とされるのが一般的です。
まとまった費用が必要になることから、自己破産手続きに踏み切れない方は少なくありません。
しかし、適切に自己破産手続きを進めることで債権者への返済をストップし、そこから費用を分割で捻出できるケースがあります。
これらの費用の支払いについても、弁護士に依頼する際に相談しましょう。
自己破産の相談は自己破産の無料相談窓口|弁護士費用や生活の影響も解説をご覧ください。
自己破産手続きにかかる期間はどれくらい?
自己破産手続きにかかる期間は状況によって異なりますが、最短でも5ヵ月ほど、長期にわたる場合は1年ほどで完了します。
具体的には、自己破産の手続きの種類によって期間が変わります。
- 同時廃止:5~7ヵ月程度
- 管財事件:8ヵ月〜1年程度
財産がほとんどない場合は同時廃止、ある程度の財産が存在する場合は管財事件となることが多いです。
一般的には、財産や債権者の数が少なければ期間が短く済む一方で、多ければ期間も長くなる傾向にあります。
自己破産手続き中にしてはいけないこと
自己破産の手続きをしている間は、次の行為が禁止されています。
- 財産隠し
- 財産の処分
- クレジットカードの現金化
- 正当な理由がない一部の債権者に対する返済
- 正当な理由がない財産の減少・債務の拡大
- 正当な理由がない追加の借金
- 虚偽の資料の提出
- 財産に関連する書類の偽造
- 裁判所・管財人に対する虚偽の説明 など
自己破産は現状の財産を処分したうえで債権者に配当し、残った債務を免除する手続きです。
したがって、所有している財産や負担している債務の内容は、正直に申告しなければなりません。
所有している家・車の名義を変更したり、預貯金の口座を隠したりすることは「財産隠し」と見なされ、債権者を害する行為となるため禁止されています。
債権者に返済できる金額が減少することに繋がるため、財産を他人へ売却・譲渡などによって処分することも禁止です。
また、弁済期が来ていない債務を弁済するなど、一部の債権者を優遇する行為も、債権者平等の原則に反するため禁止されています。
そのほか、虚偽の資料の提出や書類の偽造、虚偽の説明など、破産手続きを妨害するような行為もしてはなりません。
まとめ
自己破産の手続きはさまざまな書類を作成する必要があり、完了するまでに長い時間がかかります。
個人でも裁判所に自己破産を申し立てることはできますが、専門的な知識が必要になり手間と時間がかかるため、弁護士に相談・依頼をする方が無難です。
弁護士に依頼すれば、借金の負担を軽減するための適切な方法を提案してもらえます。
また、実際に自己破産を申し立てる際には、手続きの大部分を代行してもらえます。
現在、借金を返済できず困っている方は、自分に合った弁護士を探し、相談・依頼してみてください。