任意整理のデメリットとは?クレジットカードや賃貸への影響を解説
- 「任意整理をすると、クレジットカードが使えなくなる?」
- 「賃貸住宅を借りられなくなったり、家族にバレたりしないか心配」
借金の返済負担を軽減する方法として任意整理を検討していても、生活への影響が気になり、手続きに踏み切れない方もいるでしょう。
任意整理には、将来利息のカットや毎月の返済額の見直しを目指せる一方、信用情報に登録され、一定期間クレジットカードやローンの利用が難しくなるなどのデメリットがあります。
本記事では、任意整理の主なデメリットをわかりやすく解説します。
クレジットカードや賃貸契約、住宅・自動車ローンなどへの影響や、任意整理を検討する際の注意点も紹介するので、手続きをするべきか迷っている方は参考にしてください。
任意整理によって生じる主なデメリット
任意整理をおこなうと、信用情報への影響を中心に以下のようなデメリットが生じます。
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- 対象のクレジットカードなどは強制解約される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.信用情報機関に事故情報が登録される
任意整理をすると、信用情報に事故情報が登録されるため、一定期間はクレジットカードやローンなどの利用が難しくなります。
いわゆる「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。
信用情報に事故情報が登録されている間は、主に以下のような影響が考えられます。
- 新しいクレジットカードを作りにくくなる
- カードローンやキャッシングなどの新規借入れが難しくなる
- 住宅ローンや自動車ローンなどの審査に通りにくくなる
- スマートフォン端末などの分割払いを利用できない場合がある
ただし、事故情報は永久に残るわけではありません。
登録される情報や期間は信用情報機関・契約内容などによって異なりますが、任意整理後の返済を完了してから一定期間が経過すれば、原則として該当する情報は削除されます。
なお、「任意整理をしてから一律5年間」と考えるのは適切ではありません。
信用情報機関によって登録される情報や保有期間の考え方が異なるため、信用情報への影響がいつまで続くかは個別に確認する必要があります。
また、登録情報が削除されたからといって、必ずクレジットカードやローンの審査に通るわけではありません。
審査では収入や勤務状況、各社独自の審査基準なども考慮されます。
【関連記事】ブラックリストとは?消し方はある?載る理由とデメリット・確認方法を解説
2.対象のクレジットカードなどは強制解約される
任意整理の対象にしたクレジットカードは、原則として利用できなくなります。
弁護士や司法書士からカード会社へ受任通知が送付されると利用が停止され、その後、契約も解約となるのが一般的です。
また、任意整理の対象から外したクレジットカードでも、必ず使い続けられるとは限りません。
カード会社では、契約中にも利用状況や信用情報を確認する「途上与信」をおこなうことがあります。
その際に信用情報上の問題が確認されれば、任意整理の対象にしていないカードでも、利用限度額の引き下げや利用停止、契約更新の見送りなどにつながる可能性があります。
そのため、任意整理後は、クレジットカードが利用できなくなる場合に備えて、デビットカードや現金など別の決済手段を用意しておくとよいでしょう。
さらに、銀行からの借入れを任意整理の対象にする場合は、預金口座への影響にも注意が必要です。
たとえば、カードローンなどの借入れがある銀行に受任通知が届くと、その銀行の口座が一時的に凍結され、預金と借入金が相殺されることがあります。
給与の振込先や公共料金の引き落とし口座として利用している場合、日常生活に支障が出る可能性もあるでしょう。
銀行からの借入れを任意整理する場合は、受任通知を送る前に弁護士・司法書士へ相談し、必要に応じて給与の振込先や各種引き落とし先を別の銀行口座へ変更しておくのが賢明です。
【関連記事】債務整理でクレジットカードは使えなくなる?いつまで使えないかや代替手段も解説
信用情報機関に登録されて生じる日常生活への影響
信用情報機関への事故情報登録は、クレジットカードだけでなく、ローンや分割払い、賃貸契約など日常生活のさまざまな場面に影響します。
具体的には、①新規クレジットカードの発行、②住宅・自動車ローン、③スマホの分割払い、④賃貸住宅の入居審査の4つが対象です。
ここから、それぞれの影響と対処法を順番に確認していきましょう。
1.新規のクレジットカードを作りにくくなる
任意整理によって信用情報に事故情報が登録されている間は、新しいクレジットカードの審査に通りにくくなります。
カード会社は新規申込みの際に信用情報を確認するため、事故情報が登録されていると、返済能力や信用力の観点から審査で不利になる可能性が高いためです。
クレジットカードが使えない期間は、銀行口座の残高から即時に引き落とされるデビットカードや、事前にチャージして利用するプリペイドカードなどで代用できます。
家族が契約者となる家族カードも選択肢ですが、発行の可否はカード会社の審査や規約によります。
なお、信用情報から事故情報が削除された後は、再びクレジットカードへ申し込めます。
ただし、情報が消えれば必ず審査に通るわけではなく、収入や勤務状況などを含めて各カード会社が総合的に判断します。
2.各種ローンの審査に通りにくくなる
信用情報に事故情報が登録されている期間は、住宅ローンや自動車ローン、カードローンなど、新たなローンの審査にも通りにくくなります。
金融機関はローン審査の際に信用情報を確認するため、任意整理後に新たな借入れをすることは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
一方、すでに返済中の住宅ローンや自動車ローンについては、任意整理の対象から外すことで返済を継続できる場合があります。
ただし、契約内容や返済状況などによって扱いが異なるため、残したいローンがある場合は、任意整理を始める前に弁護士や司法書士へ相談しましょう。
【関連記事】債務整理後に住宅ローンは組める?審査が通るまでの期間と準備のポイントを解説
3.スマートフォンなどの分割契約が難しくなる
任意整理後は、スマートフォンやタブレットなどの端末を分割払いで購入することも難しくなる可能性があります。
端末代金の分割払いは「個別信用購入あっせん」などの信用取引にあたり、申込み時には審査がおこなわれます。
信用情報に事故情報が登録されていれば、分割払いの審査で不利になる可能性があるでしょう。
ただし、任意整理をしたからといって、現在利用しているスマートフォンの通信契約まで直ちに解約されるわけではありません。
通信料金を問題なく支払っているのであれば、基本的にはそのまま回線を利用できます。
事故情報が残っている期間に端末を買い替える場合は、端末代金を一括で支払う、比較的安価な中古端末を購入するといった方法を検討するとよいでしょう。
【関連記事】任意整理をしてもスマホは使える?利用継続の条件、新規購入の可否についても解説
4.賃貸住宅の入居審査に通りにくくなる可能性がある
任意整理をしても、賃貸住宅を一切契約できなくなるわけではありません。
ただし、物件の契約時に利用する家賃保証会社によっては、入居審査に影響する可能性があります。
とくに注意したいのが、クレジットカード会社などと関係のある「信販系」の家賃保証会社です。
信販系の保証会社では信用情報を審査に利用する場合があり、事故情報が登録されていると審査に通りにくくなることがあります。
一方、信用情報機関の情報を利用しない独立系の家賃保証会社であれば、任意整理の事故情報だけを理由に審査で不利になるとは限りません。
収入や家賃の支払い能力など、各社の基準に基づいて審査されます。
また、現在住んでいる賃貸住宅についても、任意整理をしたことだけを理由に退去を求められるものではありません。
家賃を滞納せず、契約上の義務を守っていれば、基本的にはこれまでどおり住み続けられます。
任意整理をおこなう際の制度上の制約や留意点
任意整理には、信用情報への影響以外にも、手続きの性質上知っておきたい制約があります。
具体的には、①元本が減らないこと、②完済まで返済が続くこと、③債権者が交渉に応じない可能性があることの3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.原則として借金の元本は減額されない
任意整理では、債権者との交渉によって将来利息や遅延損害金のカットなどを目指しますが、借金の元本そのものは原則として減額されません。
借金を大幅に減額できる可能性がある個人再生や、支払義務の免除を目指す自己破産とは異なり、任意整理では基本的に元本を返済していく必要があります。
そのため、借金額が大きく、利息をカットしても返済を続けるのが難しい場合には、任意整理が適していない場合も少なくありません。
ただし、過去に利息制限法の上限を超える利息を支払っていた場合は、引き直し計算によって借金が減額されたり、過払い金が発生していたりするケースもあります。
任意整理を選択できるかどうかを判断するには、最低限、利息をカットしたあとの借金を、おおむね3~5年程度で返済できるかがひとつの目安となります。
個人再生や自己破産を含め、ほかの債務整理についても比較したい方は、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】債務整理とは?基本をわかりやすく解説
2.和解成立後も借金の返済を続ける必要がある
任意整理は、手続きをすれば借金がなくなる制度ではありません。
債権者との和解が成立したあとは、新たに決めた返済条件にしたがって支払いを再開し、完済を目指します。
一般的には、将来利息などをカットし、3~5年程度の分割払いで返済していく形が多くなります。
注意したいのは、和解後に返済を滞納した場合です。
和解契約では「2回分以上滞納した場合」などを条件に期限の利益を失う旨が定められることがあり、その場合は残額を一括請求されたり、遅延損害金が発生したりする可能性があります。
そのため、任意整理では「毎月いくらなら無理なく払い続けられるか」を事前に確認することが重要です。
弁護士や司法書士に相談する際は、収入や生活費、ほかの支出も正確に伝え、継続可能な返済計画を検討しましょう。
3.債権者が任意整理に応じないことがある
任意整理は、裁判所を介さずに債権者と個別に交渉して返済条件を見直す手続きです。
そのため、個人再生や自己破産とは異なり、債権者に交渉や和解を強制することはできません。
債権者の方針や取引状況によっては、将来利息のカットに応じてもらえなかったり、希望する分割回数での和解が難しかったりする場合があります。
とくに取引期間が短い場合などは、厳しい条件を提示されるケースもあります。
また、専門的な知識がない状態で債権者と直接交渉するのは容易ではありません。
任意整理を検討している場合は、債務整理の経験が豊富な弁護士や司法書士へ相談し、債権者ごとの対応傾向も踏まえて、任意整理で解決できる見込みがあるかを確認するとよいでしょう。
任意整理のデメリットに関するよくある誤解
任意整理をすると「その後の生活に大きな支障が出る」「人生が終わってしまう」と不安に感じる方もいるでしょう。
しかし、任意整理による影響は限定的で、これまでと変わらず続けられることも少なくありません。
とくにインターネット上では、任意整理と自己破産などが混同され、実際よりも影響が大きいかのような情報が見られることもあります。
必要以上に不安を抱えないためにも、任意整理で「できなくなること」と「変わらずできること」を正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、任意整理についてよくある3つの誤解を取り上げ、実際の生活への影響を解説します。
1.家族のクレジットカードやローンには影響しない
任意整理によって信用情報に事故情報が登録されるのは、原則として手続きをした本人のみです。
家族だからという理由だけで、配偶者や子どもの信用情報に任意整理の情報が登録されることはありません。
そのため、家族が自分の名義でクレジットカードを作ったり、住宅ローンや自動車ローンを申し込んだりすることは可能です。
ただし、任意整理をした本人が家族のローンの連帯保証人になる場合などは、本人の信用情報が審査されるため、審査に通りにくくなる可能性があります。
また、家族が任意整理した借金の保証人・連帯保証人になっている場合は、債権者から家族へ請求が及ぶ可能性があるため注意が必要です。
2.任意整理をしても官報や戸籍などには記載されない
任意整理をしても、その事実が官報に掲載されたり、戸籍や住民票に記載されたりすることはありません。
任意整理は裁判所を介さず、債権者と直接交渉して返済条件を見直す手続きです。
そのため、自己破産や個人再生のような官報への掲載もなく、任意整理をしたことが公的な記録から会社や知人に知られる可能性は基本的にありません。
3.就職や転職が制限されることはない
任意整理をしたことを理由に、特定の職業に就けなくなったり、転職そのものが制限されたりすることはありません。
そのため、現在の仕事を続けながら返済することはもちろん、新しい会社への就職・転職を目指すことも可能です。
また、一般的な採用活動において、応募先の企業が本人の同意なく任意整理の事実を信用情報から確認できるわけではありません。
さいごに|弁護士に相談して自分のデメリットを確認しよう
任意整理のデメリットは、正しく理解して対策すれば、過度に恐れる必要はありません。
ここまで解説してきた内容を踏まえても、実際にどのデメリットが生じるかは、借入先の数や金額によって変わってきます。
弁護士や司法書士に相談すれば、整理対象を選ぶ判断や交渉の進め方など、自分の状況に合った対策を事前に確認できます。
「まずは自分のケースでどうなるか知りたい」という方は、無料相談や借金減額シミュレーターを活用してみてください。
