ネットに顔を晒されたときの対処法|顔写真を削除する3つの方法
インターネットに自分の顔が晒されていると気づいたとき、削除できるのか、今後の生活がどうなってしまうのかなど不安に思う方もいるでしょう。
個人を特定できる写真を本人の許可なくインターネット上に投稿する行為は、肖像権侵害などにあたるため損害賠償や画像の削除を求めることができます。
また、投稿内容がリベンジポルノなどに該当する場合は、警察に相談し被害届・告訴状を出すことで逮捕してもらい、刑事責任を追及できる可能性もあります。
この記事では、インターネットに顔を晒されたときの対処法、削除する方法、訴える方法などについて紹介します。
ネットに顔を晒されたときの対処法
インターネットに顔を晒された場合、慌てずに適切な対応をおこなえば被害を最小限に抑えることが可能です。
ここでは、インターネットに晒された場合の主な対応について紹介します。
スクリーンショットなどで証拠を確保する
インターネットに顔が晒されたと判明した場合、まずは権利侵害を受けている証拠を確保します。
削除依頼や投稿者の特定、損害賠償請求など、全ての対応に証拠が求められます。
証拠を確保する際は、投稿された顔写真だけではなく、以下の情報も同じ画面に含めて、スクリーンショットやプリントアウトして保管しておきましょう。
- 投稿日時
- 投稿者のアカウント名
- 投稿者のID
- 投稿内容
- URL(全て)
- サイト名
晒された顔写真や投稿の削除依頼をおこなう
証拠を確保したあとは、削除依頼を出します。
削除依頼には、サイト管理者に直接依頼する方法、送信防止措置による削除申請、裁判所を通じておこなう仮処分命令などいくつか種類があります。
サイト管理者への直接の依頼は自力でもできますが、送信防止措置や仮処分命令などの場合は一定の法的知識が必要になるでしょう。
Twitterの削除依頼についてはTwitterの書き込みやアカウントを削除依頼するには?削除依頼の方法を解説もご覧ください。
ネットに顔を晒した相手を訴える
許可を出していない写真や動画をインターネットに晒された場合、投稿者に対して損害賠償を請求したり、謝罪文の掲載を求めたりすることができます。
訴えるときには加害者の氏名や住所が必要になるため、投稿者を特定できていない場合は損害賠償請求の前に発信者情報開示請求をおこなう必要があります。
発信者情報開示請求手続きは大きく、サイト管理者やプロバイダに直接依頼する「任意開示」と、裁判所を利用する「裁判手続き」の2種類に分けることができます。
発信者情報開示請求について詳しくは発信者情報開示請求とは|投稿者特定の手続き・注意点・弁護士費用などを解説をご覧ください。
ネットで晒された顔写真を削除する3つの方法
インターネットで晒された顔写真を削除するには、いくつかの方法があります。ここでは、具体的な削除方法を3つ紹介します。
1.サイトの削除依頼フォームから削除依頼を申請する
SNSや匿名掲示板などに儲けられている専用の削除依頼フォームから削除依頼を出す方法です。
入力フォームに必要事項を記入するだけでよく、難しい書類を作成する必要がないため、自分で申請することが可能です。
ただし、削除に応じるかどうかはサイト管理者に委ねられているため、無視されて対応してもらえなかったり、拒否の理由を説明してもらえなかったりする場合があります。
2.プロバイダ責任制限法のガイドラインを利用して削除依頼する
問い合わせや削除フォームが利用できない場合は、プロバイダ責任制限法のガイドラインを利用して削除依頼するのもひとつの方法です。
プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会の「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」に必要事項を記入し、サイト管理者へ郵送またはメールで送付します。
依頼書には、侵害された権利や理由について記載しなければいけないため、インターネット上の肖像権侵害や名誉毀損などに関する法的な知識が求められます。
サイト管理者は投稿者へ削除の可否を確認し、7日以内に投稿者から返信が来なければ削除されるのが一般的な流れとなっています。
3.弁護士に削除依頼をお願いする
インターネット上に公開された画像や動画の削除対応を、弁護士に一任するのもひとつの方法です。
弁護士であれば、匿名掲示板やSNSなどに合わせた適切な対応をしてくれるため、最短での削除が期待できます。
特に弁護士専用の窓口を設けているWebサイトなどでは、 迅速な解決が望める可能性が高いです。
交渉や書面のやり取りも対応してくれるので、精神的にも身体的にも負担を軽減できるでしょう。
ネットに他人の顔を晒すのは何罪?罰則と損害賠償額の相場
SNSに写真や動画を気軽に投稿できるようになり、悪意なく他人の顔写真を投稿してしまう人もいますが、このような行為は次のような不法行為・犯罪行為に該当する可能性があります。
肖像権侵害
肖像権は、容貌を正当な理由もなく撮影されたり、公表されたりしない権利です。
誰かわかるように撮影された写真や動画を本人の許可なく匿名掲示板やSNSなどに投稿した場合、肖像権侵害に該当する可能性があります。
肖像権は法律上明文化されていないため、無断で顔写真を投稿されただけでは、刑事責任を追及することはできません。
しかし、憲法第13条を根拠に、民事責任を追及することはできます。被害状況などにもよりますが、肖像権の侵害に対する損害賠償金額は10万〜50万円が相場となります。
名誉毀損
顔写真と一緒に、社会的な評価を下げるような具体的な事実を書き込みされた場合、内容の真偽にかかわらず名誉毀損に該当する可能性があります。
たとえば「○○は会社のお金を100万円横領していた」「○○は上司と実は不倫をしていて慰謝料を請求されている」などの書き込みは該当する可能性があるでしょう。
名誉棄損に該当する場合の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金となっています。
損害賠償を請求した場合、被害の程度によりますが10万〜50万円が相場です。
侮辱罪
顔写真と一緒に「ブス」「モンスターみたいな顔をしている」など、具体的な事実や根拠を示さずに他人を誹謗中傷した場合、侮辱罪に該当する可能性があります。
侮辱罪は名誉棄損罪と違い、具体的な事実を摘示する必要がありません。そのため、主観的な悪口だけでも侮辱罪が成立します。
侮辱罪に該当した場合の刑事罰は、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料となっています。
損害賠償の相場は、被害の程度にもよりますが1万~10万円と名誉毀損よりも低くなる傾向があります。
侮辱罪について詳しくは侮辱罪で訴えるには?訴えるための方法や、起訴に必要な準備を解説もご覧ください。
著作権侵害
自分のSNSアカウントに投稿した写真や動画を無断転載された場合は、著作権侵害に該当し10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科となる可能性があります。
著作権侵害に対する損害賠償では、実際に発生した損害部分を賠償することにより精神的な損害も回復すると考えられています。
そのため、精神的苦痛に対する基本的に慰謝料の請求は基本的に認められません。
ネットに無断で顔写真を投稿した相手を訴える手順
無断でインターネットに顔を晒された場合、投稿者を訴え何かしらの責任を求めたいと思う方もいるでしょう。
ここでは、投稿者を訴える方法について紹介します。なお、民事訴訟では刑事罰を求めることはできません。
証拠の保全・収集
加害者に対して損害賠償を請求したいのであれば、晒されたことを示す証拠のほかに、被害状況や被害の内容がわかる証拠も準備しておくといいでしょう。
たとえば、名誉毀損や侮辱の言葉とともに顔写真を晒された後の生活の変化(不安で会社に行けなくなった、契約を切られたなど)や、周囲との関係性の変化(周囲から孤立したなど)が挙げられます。
精神的苦痛により深く傷つき、心療内科などでカウンセリングを受けた方は、受診記録なども損害賠償を引き上げる証拠になるので確保しておきましょう。
弁護士に相談する
訴訟をする際は、申し立て手続きから口頭弁論まで法律に関する専門知識が必要です。
そのため、訴えたいと思ったら、早い段階でインターネットトラブルが得意な弁護士へ相談するようにしましょう。
弁護士との相談では、被害状況や解決方法などについて話し合います。
相談前に、裁判を通してどのような結果を得たいのかある程度固めておくと、希望する解決に向けた前向きな話し合いができるでしょう。
裁判所へ申し立てをおこなう
証拠が集まり、弁護士と相談をしたら裁判の申し立てをおこないます。
損害賠償を60万円以上希望するのであれば一般的な民事訴訟を、60万円以下であれば少額訴訟の申し立てをおこないます。
インターネット上の肖像権侵害に対する損害賠償金額は、被害の状況にもよりますが、通常は50万円以下となっています。
被害が少ない場合は少額訴訟を選び、裁判費用や時間を抑えて解決するのもひとつの方法です。
ネットに顔を晒されたときの相談先と対応内容
インターネットに顔を晒されたときの相談先には弁護士、警察、インターネット人権相談受付窓口などがあります。
ここでは、それぞれの相談窓口の特徴や対応内容について紹介します。
弁護士|すぐに削除を希望する方・損害賠償を請求したい方
弁護士の場合は、削除依頼から投稿者の特定、損害賠償請求まで一貫して依頼することができます。
具体的には、以下のような対応を依頼できます。
- 削除依頼の申請・交渉
- 投稿者情報開示請求
- 損害賠償請求
- 書類作成 など
弁護士を探すなら「ベンナビIT」がおすすめ!
インターネット上に顔を晒されるなどのトラブルは、時間が経てば経つほど被害が拡大していきます。
そこで「ベンナビIT」を使い、迅速にトラブル解決に向けて動いてくれる弁護士を探すのがおすすめです。
夜間相談や休日相談可能な事務所も多数掲載しているので、希望に合った弁護士を見つけられるでしょう。
警察|リベンジポルノや脅迫などの被害を受けた方
警察は、事件性がないと動けないため、無許可で顔写真を投稿されただけだと相談しても捜査してもらえない可能性が高いです。
また、警察には捜査などに関する権限はありますが、民事上の損害賠償請求のサポートはしてくれません。
以下のように事件性があるケースでは、警察に相談するようにしましょう。
- リベンジポルノなど性的な画像や動画を晒されている
- 「殺してやる」などの危害を加えるような文章が写真と一緒に投稿されている
- 明らかに盗撮されておりストーカー被害に遭っている可能性が高い など
リベンジポルノの相談に関してはリベンジポルノの相談はどこにすべき?画像や動画を削除したいときの対処法も解説をご覧ください。
インターネット人権相談受付窓口|弁護士や警察に相談しづらい方
未成年者、弁護士にも警察にも相談しづらい事情がある方は、法務省が運営している「インターネット人権相談受付窓口」を利用するのがおすすめです。
インターネット上から相談すると、 後日メールか電話のどちらかで回答してもらうことができます。
メールの場合は返答に数日かかりますので、すぐに回答がほしい方は電話での回答を希望しましょう。
晒された顔写真が悪用されていないかを調べる方法
インターネット上に一度自分の写真が晒されると悪用されていないか、ほかのサイトに転載されていないかなどが不安になってしまう方もいるでしょう。
晒された画像が悪用されていないかは、Googleの画像検索を利用して調べることができます。
PCで調べる方法
①Googleのトップページから、右上の「画像」をクリックし、画像検索の画面に遷移します。
引用元:Google
②下画像のような画面になったら、検索バーの右にあるカメラのアイコンをクリックします。
引用元:Google
③クリックすると、ファイルをアップロードできるようになるので、そこに晒された画像をアップロードします。
引用元:Google
④アップロードすると類似写真が出てくるため、どこのWebサイトに転載されているかを確認できます。
転載されているWebサイトを見つけたらそこへ遷移し、転載されている画面のスクリーンショットを撮り、URL、日付、投稿者名などを記録しておきましょう。
スマートフォンで調べる方法
スマートフォンで調べる際は「Googleアプリ」を利用します。
このアプリは、「Google Play ストア(Androidの場合)」や「Apple Store(iPhoneなどの場合)」などからダウンロードが可能です。
①トップ画面の右上にあるカメラのアイコンをタップすると、スマホ内の写真から検索したい画像が表示されます。
引用元:Google
検索したい画像を選ぶと拡大表示され、下の画像のように注目してほしい部分をスワイプで選ぶことができます。
引用元:Google
選んだ画像と類似する画像が自動で検索されるため、そこから転載されたサイトや自分の写真を見つけることができます。
パソコンで検索したときと同様に、転載されているWebサイトのスクリーンショットを撮り、URL、日付、投稿者名などを記録しておきましょう。
ネットに顔を晒されたあとの生活への影響
インターネットに顔が晒された場合、投稿された画像や投稿内容によって今後の生活への影響が大きく変わります。
たとえば、ただの顔写真だけの場合であれば注目を集めにくいため、たとえ多くの人が見たとしても、生活が大きく変わるリスクは低いでしょう。
逆にリベンジポルノのような性的な画像だったり、法に触れるような行為をしている画像だったりする場合、注目を集めて個人情報を特定されるリスクがあります。
一度写真や動画を投稿されてしまうと、一生インターネット上に残ってしまうため迅速かつ徹底した削除対応が必要です。
まとめ|被害が拡大する前に弁護士へ相談を
一度インターネットに画像や動画が晒されてしまうと全世界に広がってしまうため、気づいたときにすぐ対応しないとどんどん被害が拡大してしまいます。
削除依頼を申請するには、法律に則った正当な理由が必要になるため、最短で解決するにはインターネットトラブルの解決実績が豊富な弁護士のサポートが必要です。
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