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グーグルに書かれた口コミは名誉毀損?判断の仕方や対処法を解説

弁護士監修記事
ITトラブル
2023年04月17日
2024年04月25日
グーグルに書かれた口コミは名誉毀損?判断の仕方や対処法を解説
この記事を監修した弁護士
立花志功弁護士 (立花志功法律事務所)
北海道・札幌にある地域密着型の弁護士事務所。IT問題に注力しており、インターネット上のトラブルを迅速に対応しています。
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グーグルの口コミ欄にひどい内容の書き込みをされ、客足が遠のいたり、会社に対して悪い評判を立てられたりして困っている方もいるでしょう。

グーグルマップに書き込まれた口コミは、その内容が名誉棄損にあたれば、削除要請ができます。削除しても繰り返し書き込まれるなど悪質性が高い場合は、投稿者を特定して責任を追及することを検討するのもよいでしょう。

今回は、グーグルマップに書き込まれた口コミが名誉毀損にあたるのはどのような場合か、悪質な口コミを書き込まれた場合の対処法、慰謝料請求や刑事告訴など投稿者へ責任を追及する方法について解説します。

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目次

グーグルの口コミが名誉毀損にあたる場合とは

書き込まれた口コミが名誉毀損といえるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 公然の場での言動である
  2. 真偽を問わず具体的な事実を示している
  3. 相手の名誉を傷つける内容である

グーグルはネットという公然の場にあたるため、ひとつめの要件は必ず満たします。

つまり、グーグルに書き込まれた口コミのうち、名誉毀損にあたるものとは、具体的な事実を示しながら、その内容が相手の名誉を傷つけるものをいいます。

名誉毀損にあたる可能性がある口コミ例

ではどのような書き込みであれば名誉毀損に該当するのでしょうか。以下に具体例を挙げて紹介します。

飲食店への口コミ

  • 「料理が汚い。虫が入っている」
  • 「調理師免許のない奴が料理している」

「虫が入っている」「調理師免許のない」などの具体的な事実を示しながら、店の信用を落とすような書き込みになっており、名誉毀損に該当します。

美容院への口コミ

  • 「イメージとまったく違う仕上がりになったうえ、対応が悪い。金返せ」
  • 「○○さんにカットしてもらったが、仕上がりが最悪。二度と行かない」

「イメージとまったく違う仕上がりになった」「○○さんにカットしてもらった」などの具体的事実を示しつつ、「対応が悪い」「仕上がりが悪い」「対応が悪い」など社会的信用を低下させる表現を用いています。

相手の名誉を傷つける内容であり、名誉毀損と判断されます。

病院・クリニックへの口コミ

  • 「肺炎を疑われて余計な検査までされたけど、結局ただの風邪でぼったくられた。やぶ医者です」
  • 「この病院では過去に医療過誤があったし、信用できない」

「肺炎を疑われて余計な検査までされたけど、結局ただの風邪だった」「この病院では過去に医療過誤があった」などの具体的な事実を示しながら、病院について社会的評価を下げる書き込みをしており、名誉毀損に該当します。

旅館・ホテルへの口コミ

  • 「予約システムがお粗末で、予約したはずなのにできていなかった」
  • 「フロントの○○の接客態度が最悪なうえ、館内が不潔。もう行かない」

「予約システムがお粗末」「フロントの○○の接客態度が最悪」「館内が不潔」など、具体的な事実を示してホテルの評価を落とす内容であり、名誉毀損に該当する可能性が高いでしょう。

会社への口コミ

  • 「社長が反社会的勢力の人。従業員もみんな下品」
  • 「ブラック企業で毎日残業させられる。従業員は全員社畜」

会社の社会的信用に影響する内容を、「社長が反社会的勢力の人」「毎日残業させられる」など具体的な事実を示しながら記述しており、名誉毀損に該当するでしょう。

グーグルに名誉毀損にあたる口コミを書かれた場合の対処法

グーグルに名誉毀損となるような口コミを書き込まれると、お店や会社の利益に関わります。被害を拡大させないためにも早急に削除しましょう。

削除しても繰り返される場合は、書き込んだ犯人を特定し、民事責任や刑事責任を問うほうがよいかもしれません。

グーグルに削除要請をする

名誉毀損にあたる口コミの悪影響を最小限に留めるためにも、一刻も早く該当の口コミは削除したいところです。グーグルに削除要請をして、消してもらいましょう。

具体的な方法や手順については、グーグルに口コミ削除を要請する方法で詳しく紹介しています。

また、削除要請をしてから実際に削除されるまでには数日から2週間程度かかります。要請が受け容れられても受け容れられなくてもグーグルからの通知はありません。

定期的に該当ページをチェックして削除されたか確認する必要があります。

繰り返される場合は犯人を特定する

削除しても繰り返し悪質な書き込みをされる場合は、書き込んだ犯人を特定し、直接やめるよう交渉したり、責任を追及したりしたほうがよいかもしれません。

具体的な手順については、口コミの投稿者を特定する手順で詳しく紹介しますが、裁判所での手続きを利用せざるをえないケースも多く、弁護士に依頼するのが無難でしょう。

民事訴訟を起こす

書き込んだ犯人を特定し、直接交渉を試みても相手が無視したり、反省の色を見せなかったりした場合は、民事訴訟を起こして慰謝料の支払いを求めるとよいでしょう。

訴訟手続きは自分でおこなっても構いませんが、提出すべき書類が多いうえ、法律に基づいて的確に主張しなければ裁判所に請求を認めてもらえません。

希望どおりの解決を望むなら、弁護士に依頼するほうがよいでしょう。

刑事告訴をする

書き込んだ犯人に対する処罰感情を強く抱いているなら、刑事告訴をするとよいでしょう。

書き込まれた口コミの内容が名誉毀損に相当すると判断されれば、刑法第230条1項の定めに従い、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が科せられます。

これにより、犯人に大いに反省を促せるはずです。

グーグルに口コミ削除を要請する方法

業務や売り上げへの影響を最小限に留めるためにも、該当の口コミはできるだけ早急に削除したいところです。

口コミの削除要請はグーグル上のいくつかの箇所からおこなえます。ご自身にとってわかりやすいところから要請してみるとよいでしょう。

グーグルの検索結果から削除要請をする方法

最もなじみのあるグーグルの検索画面からは、以下の手順で削除要請ができます。

グーグルの検索画面で自社名や自店名を検索

検索結果右側の「ナレッジパネル」内の「Googleのクチコミ」を選択

削除したい口コミの右上にあるメニューボタンから「レビュー報告」を選択

「口コミを報告」の中から該当する申告理由を選択する

グーグルマップから削除要請をする方法

グーグルマップからも、以下の手順で削除要請ができます。

グーグルマップから自社や自店を検索

施設情報欄右側の「クチコミ」を選択

削除したい口コミの右上にあるメニューボタンから「違反コンテンツを報告」を選択

「口コミを報告」の中から該当する申告理由を選択する

グーグルビジネスプロフィールから削除要請をする方法

「ビジネスプロフィールマネージャー」からも削除要請ができます。

  1. ビジネスプロフィールマネージャーにログイン
  2. メニュー欄の「クチコミ」を選択
  3. 削除したい口コミの右上にあるメニューボタンから「不適切なクチコミとして報告する」を選択
  4. 「口コミを報告」の中から該当する申告理由を選択する

グーグルに応じてもらえない場合は裁判所に仮処分申し立て

グーグルに削除要請をしてから数週間以上経過しても口コミを消してもらえない場合は、裁判所に仮処分申し立てをしましょう。

申し立てが認められれば、裁判所からグーグルに対して書き込みの削除を命令してもらえます。裁判所に認めてもらうには、法的根拠を示しながら論理的に主張することが大切です。

仮処分申し立てをおこなうなら、弁護士に依頼するほうがよいでしょう。

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口コミの投稿者を特定する手順

繰り返し悪質な口コミを書き込まれるようなら、投稿者を特定しなければ解決には至らない可能性もあります。ここでは、口コミの投稿者を特定するための手順について紹介します。

口コミ投稿者を特定するまでの流れ

氏名や住所など、口コミを投稿した人の素性を知るには、下記の手順を踏む必要があります。

  1. グーグルへIPアドレスを開示してもらう
  2. IPアドレスから口コミ投稿者が利用しているプロバイダを特定する
  3. プロバイダにIPアドレスの所有者の情報を請求、提供してもらう

必要な情報の請求はプロバイダには直接おこなうこともできますが、応じてもらえないケースも多く、裁判手続きを通して情報開示を受けることになるでしょう。

住所を晒された場合はネットに住所を晒された場合の対処方法|削除依頼や特定の流れを解説をご覧ください。

裁判所に発信者情報開示命令の申し立てをする

口コミ投稿者を特定するには、裁判所に発信者情報開示命令の申し立てをします。これは、2022年10月1日に施行されたプロバイダ責任制限法の改正によって利用可能となった非訟手続きです。

申立人はグーグルに対する発信者情報開示請求のほか、プロバイダに対して発信者情報の提供命令の申し立て、発信者情報の消去禁止命令の申し立ても同時にできます。

投稿者に慰謝料を請求する手順

投稿者の特定ができたら、慰謝料の支払いを求めることもできます。

まずは本人と直接交渉

通常、まずは投稿者本人との交渉を試みます。交渉の方法は、内容を記録できる書面でのやり取りが望ましいでしょう。

特に相手への最初の通知は内容証明郵便を利用するのが一般的です。内容証明郵便とは、郵便局がいつ、誰が、誰あてに、どのような内容の書面を送ったかを証明してくれるサービスです。

併せて配達証明サービスを付加しておけば、相手が「受け取っていない」などと言い逃れをするのを防げます。

対面または電話で交渉をしてもかまいませんが、その場合はあとになって「言った」「言わない」というトラブルになるのを避けるためにも、会話を録音しておくのがよいでしょう。

交渉が上手くいかなければ民事訴訟手続き

本人に連絡をしても無視されたり、交渉をしても相手が非を認めず話がまとまらなかったりする場合は、裁判所へ訴訟提起をするとよいでしょう。

裁判所に訴えれば、相手はこちらの請求を無視できなくなります。さらに、勝訴判決を勝ち取れば強制執行も可能となるため、相手に財産がある限り確実に慰謝料を回収できるでしょう。

ただし、裁判手続きは煩雑なうえ、法律に照らして論理的な主張展開をしなければ、希望する結果は得られません。

民事訴訟手続きを検討するのであれば、ご自身でやるよりも弁護士に依頼することをおすすめします。

投稿者を刑事告訴する手順

あまりに悪質な書き込みをされたり、書き込みによる被害が大きかったりして投稿者を許せないという場合は、刑事告訴をする方法もあります。

警察へ告訴状を提出

刑事告訴をするには、警察に対して告訴状を提出して被害を訴えるだけです。

しかし、罪が成立すると認められ、刑事責任を問うためには、該当の書き込みが名誉毀損罪の構成要件を満たしていることを示さなくてはなりません。

具体的な事実や被害の内容を、証拠を示して説明する必要があります。

また、告訴状を提出しても警察が必ず受理してくれるとは限りません。犯罪が成立するかどうかが不明瞭で起訴できないと判断されれば、受理してもらえない可能性も高いでしょう。

警察に告訴状を受理してもらい、確実に投稿者を刑事責任に問うためにも、専門家の力を借りることをおすすめします。

名誉毀損にあたる口コミについて弁護士に相談するメリット

名誉毀損に該当する口コミをグーグルに書き込まれたら、その対処は弁護士に相談、依頼するのがおすすめです。弁護士に依頼すれば、次のようなメリットが期待できるでしょう。

迅速に口コミを削除してもらえる

削除要請はグーグル上で簡単にできるため、誰がやっても変わりません。

しかし、グーグルに応じてもらえなかった場合は裁判手続きに踏み切るしかなく、自分でやるとたいへんな労力を要するでしょう。

裁判手続きに慣れた弁護士に依頼すれば、自分でやるよりもずっと迅速に対応してもらえます。

状況に応じてベストな方法を選択して進めてもらえるので、早く確実に口コミを削除してもらえるでしょう。

裁判手続きが必要な場合も安心

裁判手続きは不慣れな方にとっては、非常に煩雑で、大変に感じられるものです。

提出すべき書面が多く、法律に基づいて的確に主張しなければ、望む結果は得られません。

弁護士に依頼すれば、口コミの削除や発信者情報の開示などあらゆる裁判手続きを任せられます。

自分ではほとんど何もしなくてもベストな形で解決してもらえるでしょう。

投稿者本人への対応も任せられる

弁護士に依頼すれば、投稿者本人とのやり取りや交渉も任せられます。

特に反省の色を見せない相手との交渉は、本人にとって大きな精神的負担となるでしょう。

解決までにかなりのストレスを感じることになります。弁護士に依頼すれば、投稿者本人とのやり取りは全て弁護士がおこないます。

依頼者は相手方と対峙する必要はありませんので、精神的負担がかなり軽減するはずです。

グーグルへの口コミで訴えられた!加害者が取るべき対応は?

軽い気持ちで名誉毀損に該当するような口コミをグーグルに書き込んだら、相手に訴えられてしまった!そんなときは放置するのが最もよくありません。

自らの軽率なおこないを反省しながら、適切に対処しましょう。

訴えられたら速やかに弁護士に相談を

相手に訴えられて訴状が届いたら、絶対に無視してはいけません。期限までに答弁書を提出しなければ、相手の主張をそのまま認めたとみなされてしまいます。

相手の請求どおりに慰謝料の支払いをしなければならなくなります。それでも無視すれば判決を債務名義として強制執行手続きをされてしまうでしょう。

答弁書は自分で作成することもできますが、少しでも不利な状況から脱するためには、的を射た主張をすることが大切です。速やかに弁護士に相談や依頼をし、適切に対処することをおすすめします。

弁護士費用が払えない場合は法テラスを利用

弁護士費用が払えそうにないために、弁護士に依頼したくてもできないという場合は法テラスの利用を検討するとよいでしょう。

法テラスとは国が設立した機関であり、法的トラブル解決のための総合案内所です。

誰もが平等にリーガルサービスを受けられることを目的としており、経済的困窮を理由に、弁護士への相談や依頼ができない方向けには民事法律扶助制度を設けています。

利用するには一定の資力基準を満たす必要がありますが、無料で弁護士に相談できたり、弁護士費用を立て替えてもらったりすることができます。

経済的な理由で弁護士への依頼をちゅうちょしている場合は、一度問い合わせて利用できるかを確認してみるとよいでしょう。

また法テラスの無料相談は法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説をご覧ください。

まとめ|グーグルへのひどい口コミでお悩みなら弁護士に相談

グーグルに名誉毀損に該当する口コミを書き込まれてしまい、悩んでいるのであれば弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、取るべき対処法をアドバイスしてもらえるほか、対応を弁護士に一任すれば、裁判手続きをおこなわねばならない場合でも安心です。

全て弁護士に対応してもらえるので、迅速に解決に向かうでしょう。悪質な口コミによる悪影響を最小限に抑えるためにも、早めに弁護士に相談し、解決することをおすすめします。

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  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
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