相続放棄を弁護士に依頼するべき5つのメリット|選び方のポイントも解説
相続放棄を検討しているけれど、手続が難しそうで不安だと感じている方も多いことでしょう。
自分自身でも手続自体はできると確認したものの、確実にこなせられるか自信がないので、相続放棄を弁護士に依頼すべきかどうか悩んでいるという方も少なくはありません。
また、相続放棄を弁護士に依頼するメリットを知りたいという方も多いのではないでしょうか。
相続放棄には期限があり、提出しなければならない書類も複数あります。
誤った方法で手続しないためにも、不安な場合は早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
この記事では、相続放棄を弁護士に依頼するメリット、相続放棄を依頼する法律事務所を選ぶポイント、費用相場や手続の流れなどについて解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
相続放棄を弁護士に依頼した場合のメリット
相続放棄を弁護士に依頼するメリットは、以下の5つがあります。
【相続放棄を弁護士に依頼する5つのメリット】
- 法的なアドバイスを受けられる
- 手続を代行してもらえる
- 短期間で確実に手続できる
- 期限が過ぎた場合にも対応できる場合がある
- 相続人同士のトラブルを避けられる
相続放棄の手続は自分自身でおこなうことができますが、弁護士に依頼することで迅速かつ確実に手続を進められます。
対応について後悔しないためにも、下記に記載しているメリットを把握して、早い段階で弁護士に依頼するようにしましょう。
法的なアドバイスを受けられる
弁護士に依頼することで、法的なアドバイスを詳細に受けることができます。
弁護士は、相続に関する法律や関連する法的手続について、豊富な知識と経験を持っています。
相続放棄の手続に進む前段階として、そもそも相続放棄すべきなのかアドバイスをもらえます。
たとえ、相続財産の中に借金があったとしても、必ず相続放棄を選択しなければならないわけではないので、弁護士からアドバイスを受けるようにしましょう。
手続を代行してもらえる
弁護士に依頼することで、相続放棄の手続を代行してもらえます。
弁護士は相続放棄に必要な書類を作成し、正確な手続をおこなってくれます。
誤った内容の書類では、家庭裁判所で受理されず、手続が遅れてしまう原因となりえます。
弁護士に正確な書類を作成してもらうことで、短期間で相続放棄の手続を終えることができるため、なるべく弁護士に依頼するとよいでしょう。
短期間で確実に手続できる
相続放棄は、原則「3ヵ月」という短い期間で必要書類をそろえて家庭裁判所に申述しなければなりません。
この期間を過ぎてしまうと、原則として、相続を承認した(単純承認)とみなされてしまいます。
自分だけで相続放棄の準備をおこなうと、より多くの時間がかかってきます。
この点、弁護士であれば、相続放棄や相続に関する問題に精通しているため、短期間で相続放棄ができるというメリットがあります。
期限が過ぎた場合にも対応できる場合がある
相続放棄の手続期間は、「原則3ヵ月以内」と定められており、期間を過ぎると申述しても受理されない可能性があります。
ただ、相続放棄に関してなんらかのやむを得ない事情がある場合、弁護士に依頼し、家庭裁判所に詳細を説明してもらうことで、例外的に期間を過ぎても相続放棄ができることがあります。
相続放棄の期限について詳しくは相続放棄の期限は3ヵ月 | 期間延長の方法と期限が過ぎてしまったときの対処法をご覧ください。
関係者とのやり取りを依頼できる
相続放棄は自分自身の判断でおこなえます。
しかし、相続放棄に関して、他の相続人や被相続人の債権者などから問合せを受ける可能性があります。
このような関係者とのやり取りについても、弁護士に依頼することができます。
無用なトラブルを防止できるため、スムーズに手続を進められるでしょう。
相続放棄を依頼する法律事務所を選ぶポイント
相続放棄を依頼する法律事務所を選ぶポイントは、以下のとおりです。
【相続放棄を依頼する法律事務所を選ぶポイント】
- 経験やノウハウ・実績が十分にある
- 依頼人の利益を考えて提案してくれる
- 費用体系が明確である
- 弁護士との接しやすさ
相続放棄を弁護士に依頼する場合、どこの法律事務所でもよいというわけではありません。
全ての弁護士が相続放棄や相続トラブルに精通しているとは限らないため、相続放棄案件に関する知識や経験が豊富な弁護士に依頼する必要があります。
弁護士選びで失敗しないためにも、下記のポイントを抑えてご自身の状況に合った弁護士に依頼するようにしましょう。
経験やノウハウ・実績が十分にある
相続放棄は期限が限られているため、経験やノウハウが不足しているとスムーズに手続が完了できない可能性があります。
そのため、法律事務所を選ぶ際は、相続法や関連する分野における豊富な専門知識や、相続問題に関する実績を持つ弁護士が在籍している法律事務所を選ぶことが重要です。
依頼する弁護士を探す場合には、webサイトやプロフィールなどを参考に、当該弁護士が相続分野に精通しているかどうかを確認するようにしましょう。
なお、webサイトやプロフィールなどのみでは、どのくらい相続分野に精通しているのか、明確にわからないことも考えられます。
このような場合には、無料相談を実施している法律事務所で実際に相談し、弁護士と話しながら依頼する弁護士を検討することもよいでしょう。
依頼人の利益を考えて提案してくれる
相続放棄を検討している方のなかには、「まずは相談だけしたい」という方もいるでしょう。
そのため、単純に相続放棄を進めてしまうような法律事務所ではなく、依頼人の利益を考えてしっかりと寄り添ったヒアリングをしてくれる弁護士を選ぶことが大切です。
本当に相続放棄をおこなうことがベストなのかどうかも含めて、しっかりと見極めてくれる弁護士を選ぶのがおすすめです。
費用体系が明確である
法律事務所を選ぶ際は、依頼する際に必要になる弁護士費用についても検討する必要があります。
相続放棄に関連する全ての費用が明示されているかどうかをチェックしましょう。
また、契約条件や料金に関する明確な説明を受けることも重要です。
弁護士との接しやすさ
相続放棄にはさまざまなな要素が関与するため、法律事務所の対応力とコミュニケーション能力も重要です。
的確かつタイムリーに対応し、わかりやすく説明してくれるかどうかを確認しましょう。
相続放棄は期限一杯までかかる場合もありますので、コミュニケーションを円滑におこなってくれる法律事務所を選ぶことが大切です。
確かに実績も重要ですが、ご自身が安心して依頼できると感じる弁護士が在籍している法律事務所を選ぶようにしましょう。
相続放棄を弁護士に依頼する際の費用相場
相続放棄を弁護士に依頼する際の費用相場は、以下のとおりです。
【相続放棄に関する弁護士の費用相場】
- 相談料|30分5,000円程度
- 申述書の作成代行のみ依頼する場合の手数料|30,000~50,000円程度
- 相続放棄手続の代理を依頼する場合の手数料|50,000円~100,000円程度
相続放棄を弁護士に依頼する際の費用は、事務所よって異なります。
具体的な料金については、依頼を検討している法律事務所に問い合わせたり、相談の際に確認したりしましょう。
相談料|30分5,000円程度
弁護士によって異なりますが、相談料は30分5,000円程度が一般的です。
初回相談については、無料としている法律事務所もありますので、確認してみるとよいでしょう。
申述書の作成代行のみ依頼する場合|30,000~50,000円程度
相続放棄申述書の作成代行のみを依頼する場合の手数料は、30,000~50,000円程度が目安となります。
申述書の作成代行のみを依頼する場合は、相続放棄の手続自体は自分でおこなうことになります。
相続放棄手続の代理を依頼する場合|50,000円~100,000円程度
相続放棄手続の代理を依頼する場合の手数料は、50,000円〜100,000円程度が目安となります。
料金は必要となる事務手続の量などによって変動することがあります。
また、家庭裁判所に出向く必要がある場合など、事務所以外での作業が必要となる場合には、日当などが別途発生する可能性もあります。
相続放棄を弁護士に依頼して手続をする流れ
相続放棄を弁護士に依頼して手続をする流れは、以下のとおりです。
【相続放棄を弁護士に依頼する際の流れ】
- 法律事務所に相談予約をして法律相談を受ける
- 相続放棄に必要な書類を作成・準備する
- 家庭裁判所から相続放棄照会書が送付される
- 相続放棄申述受理通知書を受領する
相続放棄は、期間内に手続を完了しなければなりません。
スムーズに手続を進めるためにも、全体的な流れを把握して手続をおこなうことが大切です。
法律事務所に相談予約をして法律相談を受ける
選んだ法律事務所に連絡し、日程調整をして相続放棄に関する初回相談を予約します。
初回相談では、ご自身の状況や意向を弁護士に説明し、相続放棄手続についてのアドバイスや費用についての説明を受けます。
弁護士への相談日時が決まったら事前に相談内容をまとめておき、できる限り資料を集めておくとよいでしょう。
なお、最近ではオンライン相談や電話相談可能な法律事務所も増えています。
家事や仕事で忙しかったり、遠方のため事務所に出向くのが難しかったりする場合は、これらの相談方法を選択するとよいでしょう。
相続放棄に必要な書類を作成・準備する
弁護士は、相続放棄手続に必要な相続放棄の申述書を作成します。
その後、弁護士が作成した書類を確認し、必要な修正や追加情報があれば提供します。
また、相続放棄の申述の際には、戸籍等も添付する必要がありますが、その収集を弁護士に一任することも可能です。
家庭裁判所から相続放棄照会書が送付される
相続放棄の申述から、およそ1週間~10日程度で、家庭裁判所から「相続放棄照会書」が送付されます。
相続放棄照会書は法律事務所に送付されることが多いですが、場合によっては依頼者の自宅に送付されることもあります。
相続放棄照会書に対する回答書の作成は、弁護士のサポートを受けながら漏れのないようにおこなうとよいでしょう。
相続放棄申述受理通知書を受領する
相続放棄照会書に対する回答書を返送し、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理すると、「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。
弁護士から相続放棄申述受理通知書を受け取れば、相続放棄は完了です。
なお、相続放棄申述受理証明書が必要な場合には、家庭裁判所に申請することになります。
相続放棄手続きの流れについては相続放棄手続きの流れ|自分でおこなう方法と弁護士に依頼するメリットを解説をご覧ください。
まとめ|相続放棄を確実におこなうなら弁護士へご相談ください
相続放棄は自分自身でおこなうこともできますが、注意しなければならない点も多く、リスクをともないます。
場合によっては、相続放棄が受理されなくなってしまうケースも少なくありません。
計画的かつ慎重に手続を進めなければ、相続人同士のトラブルに発展する可能性もあります。
相続トラブルを避けるためには、相続放棄についてしっかり理解したうえで、漏れのないように手続を進めなければなりません。
そのため、相続放棄を検討している場合には、早い段階で弁護士に依頼をして手続を進めていくことをおすすめします。