交通事故の無料相談ができるのはどこ?相談の事前準備についても解説
交通事故の加害者もしくは被害者になってしまった場合、相手と示談交渉で揉めてしまうことがあるでしょう。
どうしても交渉がスムーズに進まない場合は、第三者を挟んで交渉すべきですが、その場合、誰に相談すればよいのかわからない方も多いかと思います。
無料で交通事故の相談ができる窓口はいくつかありますが、できる限り多くの慰謝料を獲得したり、お金を払わずスムーズに問題を解決するためには、交通事故を得意とする弁護士に相談することが重要です。
本記事では、交通事故の相談を無料ですることができる窓口や、交通事故の相談を弁護士にする際の注意点などについて解説していきます。
交通事故で無料相談できる窓口一覧
交通事故に関する問題を無料で相談できる窓口はいくつかありますが、ここではおもに6つの相談窓口をご紹介します。
【交通事故で無料相談できる6つの相談窓口】
- 法律事務所の無料相談
- 交通事故被害者ホットライン
- 医療安全支援センター
- 日弁連交通事故相談センター
- 各自治体の法律相談
- 法テラス
法律事務所の無料相談を活用する
交通事故の交渉をスムーズにまとめ、示談金を増額したいと考えるのであれば、まずは弁護士の無料相談を活用することをおすすめします。
法律事務所と聞くと、相談するだけでお金がかかるイメージがあるかもしれませんが、最近では多くの法律事務所が無料相談をおこなっています。
法律事務所の無料相談の概要は以下のとおりです。
【法律事務所の無料相談概要】
相談料 |
・30分5,500円(税込み)〜 ・「初回無料相談」や「3回まで相談無料」など、無料相談を実施している事務所が多い |
相談できる時間 |
事務所により異なるが、おおむね30分〜1時間程度で設定されていることが多い |
弁護士であれば、示談金の交渉を優位に進められるだけでなく、慰謝料の増額請求や、後遺障害等級の認定など、交通事故に関するさまざまな面で適切なサポートをしてもらうことができます。
無料相談をしてその弁護士の印象がよければ、そのまま弁護士に依頼することも可能です。
なお、無料相談を実施しているかどうか、無料相談に対応している時間は法律事務所により異なります。
気になる方は事前にホームページなどで確認しておくようにしましょう。
交通事故被害者ホットライン
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA:ナスバ)では、交通事故ホットラインとして、交通事故の被害者やその家族に、交通事故に関する法律や損害保険、介護に関するアドバイス、紛争処理機関などの各種相談窓口を無料で紹介してくれます。
電話で相談する形態のため、事故後すぐに相談できる点がメリットです。
交通事故ホットラインでは、おもに以下のような相談窓口を紹介してくれます。
相談窓口 |
相談できる内容 |
そんぽADRセンター |
・損害保険に関する一般的な相談 |
損害保険に関する一般的な質問だけでなく、損害保険会社との交渉がまとまらない場合のアドバイスや損害保険会社への苦情、和解案の提示など、トラブルを解決する方法について相談することができます。 |
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(公財)日弁連交通事故相談センター |
損害賠償などの民事上の法律問題に関する相談 |
※詳細は後述 |
|
交通事故相談所 |
交通事故に関する一般的な相談 |
示談交渉、慰謝料・損害賠償請求、過失割合、後遺障害等級認定申請など、交通事故に関する問題全般を、専門の相談員に相談することができる機関です。 各都道府県に相談窓口が設置されており、迅速かつ適切なアドバイスをもらうことができます。 |
医療安全支援センター
医療安全支援センターは、医療に関する相談に対して適切なアドバイスをしてくれるだけでなく、医療機関に関する情報提供や医療安全に関する助言をおこなってくれる機関です。
相談窓口は、日本全国で380ヵ所以上設置されており、各都道府県、および保健所が設置されている市区町村の医療担当部署でそうだんすることができます。
詳しくは、お住まいの地域の近くの医療安全支援センターに問い合わせてみてください。
【参考】:全国の医療安全支援センター
日弁連交通事故相談センター
日弁連交通事故相談センターは、交通事故に関する損害賠償請求や高次脳機能障害などの民事上の問題に関して、弁護士が無料で相談に乗ってくれる機関です。
まずは、弁護士に電話で相談し、必要に応じて面談をおこない契約したあとに、弁護士が「示談のあっせん」や「審査」をおこなってくれます。
示談のあっせん
弁護士が、相手方の保険会社や共済組合に対して和解案を提示するなど、示談交渉がスムーズにまとまるように促してくれる行為です。
示談交渉については交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき6つの理由|交渉の流れも解説をご覧ください。
審査
対象となる9つの共済組合との示談のあっせんがうまくいかなかった場合に、交通事故に示談に関する審査委員会(3名の弁護士で構成される)に、示談の内容につき審査をしてもらう制度です。
なお、審査結果の内容について被害者が同意した場合、相手方の保険会社は審査結果を尊重する義務を負い、示談成立書が作成されます。
もしも、被害者が審査結果に同意できない場合には、調停や訴訟など、裁判所を通した手続きをおこなう必要がありますので、注意してください。
各自治体の法律相談
それぞれの自治体が定期的に実施している、無料の法律相談を利用する方法もあります。
相談できる内容や相談時間については各自治体により異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村のホームページなどで確認することをおすすめします。
【自治体がおこなう法律相談の具体例】
相談名
交通事故相談
相談内容
交通事故相談員(元警察官)によるアドバイス
相談日時
(金曜日・祝休日を除く)月曜日から木曜日
第1回 9時15分から
第2回 10時30分から
第3回 13時15分から
第4回 14時30分から場所・問い合わせ内容
相談会場:江戸川区役所北棟3階 交通事故相談室
事前予約:施設管理課交通安全推進係
電話:03-5662-1998
※ZOOMにてオンライン面談も可能引用元:交通事故の相談|江戸川区
なお、各自治体の無料法律相談でできるのは相談までで、正式に弁護士に依頼する場合には、別途弁護士に依頼する必要がある点に注意が必要です。
法テラスを活用する
各都道府県に設置されている法テラスを利用すれば、弁護士に無料で法律相談をすることができます。
法テラスは、経済的に弁護士に依頼するのが難しい方が、適切な法的サポートを受けられるように設置された公的な法律相談機関です。
ただし、法テラスはその目的から誰でも利用できるわけではなく、収入が多い場合には利用することができません。
法テラスの無料相談は法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説をご覧ください。
交通事故直後に連絡すべきところ
交通事故を起こしてしまうとパニックを起こしてしまい、何をすればいいのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。
事故直後にすべき対応を怠ることで、場合によってはひき逃げ犯として逮捕されてしまうおそれがあります。
ここでは、実際に交通事故に遭った際に、すぐに連絡すべき3つの機関について解説します。
救急隊|119番通報(けが人がいる場合)
けが人がいる場合、負傷者の救護をすることが道路交通法上決められており、救急車を呼ぶことも重要な法律上の義務になります。
また、交通事故の被害に遭ってしまった場合、あまり大事にしたくないという気持ちから、多少のけがであれば、物損事故で済ませてしまおうと考える方も少なくありません。
しかし、事故から数日経過してから痛みが出てくるケースもあり、仮にそこから通院したとしても、交通事故とは関係のないけがと判断されてしまうおそれがあります。
たとえ軽い事故で大きな外傷がなかったとしても、必ず救急車を呼ぶ、もしくは早い段階で病院を受診し、医師の診断を受けるようにしてください。
警察|110番通報
交通事故を起こしてしまった場合には、警察に連絡し、事故状況を確認してもらうことが、道路交通法上義務づけられています。
そのため、けが人の救護とともに、まずは迅速に警察に連絡してください。
警察が到着次第、事故の状況や当事者を確認するための実況見分がおこなわれますが、それをもとに「交通事故証明書」が作成されます。
この証明書がないと交通事故の事実を証明することができず、保険会社から保険金が降りないおそれがあります。
そして、交通事故を人身事故扱いに切り替えられなくなりますので、治療費などの賠償金を受け取れなくなってしまいます。
もし、警察に連絡しなかった場合、ほかにも以下のようなデメリットがあります。
- 道路交通法上の報告義務違反として、「3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金」に処される可能性がある
- 交通事故証明書は事故が遭ったことの公的な証明書なので、もし加害者が交通事故が起きたことを否定してきたとしても、被害者が交通事故が遭ったことについて主張できない
- 警察による実況見分調書がないと、事故状況を客観的に証明することができず、過失割合の交渉を優位に進められない可能性がある
交通事故が起きたら警察に報告するのは大前提です。
たとえ軽い事故であっても、あとになってトラブルになるのを避けるためにも、必ず警察に連絡を入れましょう。
加入している保険会社
車の任意保険に加入している場合には、任意保険会社に連絡をすると、事故直後の適切な対処方法についてアドバイスをくれたり、被害者や医療機関の連絡、レッカーを手配してくれるなどの手厚いサービスを受けることができます。
また、自身が加入している保険に、「弁護士費用特約」が付帯しているかどうかを事前に確認しておくことも重要です。
弁護士費用特約に加入していれば、多くの場合で、弁護士への相談料が10万円まで、手続きにかかる弁護士費用を最大で300万円まで、保険会社が負担してくれます。
交通事故の示談交渉で弁護士費用がこの金額を超えることはほとんどないため、実質無料で弁護士に依頼することができます。
弁護士費用特約に加入しているかどうかは各種保険のプランにより異なるため、事前に保険の契約内容を、保険証書を調べたり、保険会社に確認しておくとよいでしょう。
なお、弁護士費用特約を利用できない場合であっても、交通事故の状況や交渉の今後の見通し次第では、自分で交渉するよりも弁護士に依頼したほうがメリットがある場合も少なくありません。
着手金無料で成功報酬のみで対応している法律事務所もあるため、まずは交通事故を得意とする弁護士に相談してみることをおすすめします。
相手方の保険会社への相談には注意が必要
交通事故の加害者が任意保険に加入している場合、示談金の交渉は、被害者側と加害者の保険会社でおこなうことになります。
相手の保険会社とのやり取りが増えてくると、わからないことがあれば相手の保険会社に相談してしまうこともあるかもしれません。
しかし、相手方の保険会社がいくら丁寧に対応してくれたとしても、加害者の保険会社はあくまでも加害者の味方であり、被害者の味方ではありません。
相手方の保険会社は、なんとかして示談金の支払いを減らしてこようとするでしょう。
こちらが不用意な発言をすることで、示談金の金額が減ってしまうおそれがないとはいえません。
もらえる示談金の額を減らさないためにも、相談するのであれば自分が加入している保険会社、もしくは弁護士に相談するようにしましょう。
交通事故の無料相談を弁護士にする前に準備するポイント
弁護士に無料相談をする際に、事前に準備しておくべきポイントを理解しておくことで、効率よく無料相談を利用することができます。
ここでは、弁護士に無料相談をする際に準備しておくべきもっとも重要なポイントを2つ解説します。
相談内容をまとめておく
弁護士の無料相談は、多くの場合30分〜1時間で設定されています。
限られた時間の中で、有効に無料相談を活用するためにも、以下の2点につき、事前に準備しておくようにしましょう。
- 事故状況、警察の介入状況、相手との交渉の状況などを、できれば時系列順にまとめておく
- 相手に何を望むのか、弁護士に何を実現して欲しいのか
具体例
- 示談金を増額して欲しい
- 後遺障害等級認定を代行して申請してほしい
- なるべく示談金を支払わないように交渉をまとめて欲しい など
まずは、現在の状況をできるだけ具体的に弁護士に伝える必要があります。
状況を正確に伝えることができないと、弁護士から適切なアドバイスを受けることもできません。
できれば時系列順に、事故状況を伝えるようにしておくと、正確かつスムーズに現在の状況を伝えることができるでしょう。
また、弁護士に相談することで何を実現したいのか、こちらの要望をまとめておくことも重要です。
達成したい目的により弁護士の対応方法が異なるため、こちらが何をしたいのかがはっきり決まっていないと、短い相談時間内で的確なアドバイスをすることができません。
弁護士費用特約があるか確認する
自身が加入している保険に弁護士費用特約が付帯していれば、実質無料で弁護士に依頼することができます。
弁護士によっては、まず弁護士費用特約を利用できるかどうかを確認してから相談くださいとしている事務所もあります。
二度手間になってしまうことを避けるためにも、自身が加入している保険会社に弁護士費用特約が付帯しているかどうかを、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
まとめ|交通事故の無料相談なら弁護士に相談してください
交通事故に関して無料相談ができる窓口はいくつかありますが、相手方と実際に交渉をすることができるのは弁護士だけです。
交通事故の示談交渉は、迅速な対応が必要になります。
予約待ちで相談するまでに時間がかかってしまうと、示談金の交渉で不利になってしまうおそれもあります。
無料相談をすることができる法律事務所も数多く存在し、LINEや電話での相談を実施している事務所もあります。
示談交渉を優位に進められるよう、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
相談する際、事前に弁護士費用特約についても確認しておくことを忘れないようにしてください