ネット上の誹謗中傷は解決できる!弁護士に期待できるサポートと主な相談窓口を紹介
誹謗中傷とは、悪口やデタラメなことなどを言ったり書いたりして、相手の名誉や人格を傷つける行為を指します。
特にインターネット上の誹謗中傷は、匿名でおこなわれたり、不特定多数に情報が拡散されたりするなどの問題があります。
自力でネット誹謗中傷を解決するのは難しく、弁護士などに相談するのがおすすめです。
この記事では、インターネット上の誹謗中傷で悩んでいる方に向けて、弁護士に依頼できること、弁護士と相談できる窓口、弁護士を選ぶときのポイント、弁護士費用の相場や依頼してからの流れなどを解説します。
また、弁護士以外にネット誹謗中傷を相談できる公的機関・民間組織なども紹介します。
ネット上の誹謗中傷トラブルを弁護士に依頼した場合に期待できる弁護活動
インターネット上の誹謗中傷トラブルの解決策としては、誹謗中傷の投稿削除・修正、加害者(発信者)の特定と損害賠償請求、刑事告訴などがあります。
弁護士に依頼した場合、これらの手続きをサポートしてくれます。
まずは、誹謗中傷トラブルの解決を弁護士に依頼した場合に期待できることを確認しましょう。
ネット誹謗中傷の削除依頼
弁護士に依頼した場合、インターネット上の誹謗中傷を削除するために動いてくれます。
インターネット上の投稿を削除する方法としては、サイト管理者に直接依頼する任意の削除対応や、裁判所を介しておこなう法的な削除対応などがあります。
これらの手続きでは専門的な知識が必要になる場面もあるため、迅速に削除したいなら弁護士に依頼するのがおすすめです。
加害者の開示請求と損害賠償請求
他人に誹謗中傷された場合、民事上の不法行為に基づく損害賠償請求ができる可能性があります。
しかし、損害賠償請求をするためには、加害者を特定しておかなければなりません。
弁護士に依頼すれば、加害者を特定するのに必要な発信者情報開示命令や、加害者に対する損害賠償請求にも対応してくれます。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
刑事告訴のサポート
誹謗中傷する行為は、刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪などに該当する可能性があります。
加害者を処罰してほしい場合は、捜査機関に告訴しましょう。
刑事告訴の手続きは被害者自身でもおこなえますが、弁護士に依頼すれば被害事実などを的確に示してくれて、捜査機関側が告訴状を受理してくれる可能性が高まります。
【誹謗中傷で該当する可能性がある犯罪と刑罰】
犯罪 |
刑罰 |
名誉毀損罪(刑法第230条) |
3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金 |
侮辱罪(刑法第231条) |
1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料 |
ネット上の誹謗中傷について弁護士と相談できる窓口
インターネット上の誹謗中傷トラブルを弁護士に相談したい場合、ベンナビIT、法テラス、弁護士会の法律相談センターなどを利用するのがおすすめです。
ここでは、誹謗中傷について弁護士と相談できる窓口を紹介します。
ベンナビIT
ベンナビITは、インターネットトラブルの解決を得意としている弁護士事務所が多数掲載されているポータルサイトです。
「お住まいの地域」と「相談したい内容」から弁護士を探すことができ、インターネット上の誹謗中傷トラブルの解決が得意な弁護士事務所も見つけることができます。
また、「初回相談無料」や「電話相談可能」などに対応している事務所も多くあります。
インターネット上の誹謗中傷で困っているなら、まずはベンナビITで弁護士を探してみることをおすすめします。
法テラス
法務省が所管している法テラス(日本司法支援センター)では、国民の法的トラブルを解決するために情報提供業務や民事法律扶助業務などをおこなっています。
このうち民事法律扶助業務では、弁護士・司法書士との無料相談や弁護士費用の立て替えなどに対応していますが、利用するには資力基準などの条件を満たしている必要があります。
法テラスの利用を検討している方は、「近くの法テラス」から探しましょう。
また法テラスの相談については法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説をご覧ください。
弁護士会の法律相談センター
各地域の弁護士会が運営している法律相談センターでは、原則として有料(30分あたり5,000円程度)で法律相談に対応しています。
なかには「インターネットトラブル法律相談」を実施している弁護士会もあり、インターネット上の誹謗中傷トラブルが得意な弁護士と相談できる場合もあります。
相談日時や利用料金などは法律相談センターごとに異なるため、「全国の弁護士会の法律相談センター」で詳細を確認してから相談しましょう。
ネット上の誹謗中傷トラブルを依頼すべき弁護士のポイント3つ
誹謗中傷トラブルを弁護士に依頼する場合、SNSや掲示板などでの誹謗中傷トラブルの解決実績が豊富な弁護士を選びましょう。
また、「弁護士費用が明確か」「相談したときの相性がいいか」なども、弁護士を選ぶときのポイントになります。
ここでは、どのような弁護士に誹謗中傷トラブルの解決を依頼すればよいのかを解説します。
誹謗中傷の解決実績が豊富である
インターネット上のトラブルでは、不特定多数に情報が拡散しやすい、アクセスログの保存期間が短いなどの問題点があります。
弁護士に依頼する際は、インターネットの仕組みやサイトの特徴などについて詳しい弁護士を選ぶのが重要です。
インターネット上の誹謗中傷トラブルの解決実績が多い弁護士であれば、状況に応じた的確な対応が望めます。
弁護士費用が明瞭である
弁護士を選ぶ際は、弁護士費用が明確かどうかもポイントです。
たとえば、インターネット上の誹謗中傷の場合、「削除請求だけを依頼する場合」と「損害賠償請求まで依頼する場合」では金額が大きく変わります。
あいまいな認識のまま依頼してしまうと、のちのち予想以上の金額を請求されてトラブルに発展するリスクもあるため、着手金や報酬金といった弁護士費用について明確に教えてくれる弁護士を選びましょう。
相談したときの相性がいい
インターネット上の誹謗中傷トラブルでは「時間との勝負」になりますが、できる限り相性のよい弁護士に依頼するのも重要です。
相性の悪い弁護士に依頼してしまうと、十分に意思疎通ができないまま対応を進められてしまい、満足のいかない結果になってしまう恐れがあります。
「悩みを相談しやすいか」「丁寧に質問に答えてくれるか」など、弁護士との相談時には相性のよさについても確認しましょう。
ネット上の誹謗中傷トラブルを弁護士に依頼した場合の費用の目安
インターネット上の誹謗中傷トラブルの解決を弁護士に依頼する場合、「何の手続きを依頼するか」「裁判所を利用するか」などで弁護士費用が異なります。
ここでは、インターネット上の誹謗中傷トラブルを弁護士に依頼した場合の費用の目安について確認しましょう。
誹謗中傷の投稿削除
弁護士に誹謗中傷の投稿削除を依頼した場合の費用の目安は、以下のとおりです。
手続き内容 |
着手金 |
報酬金 |
交渉(裁判外) |
5万円~ |
5万円~ |
仮処分(裁判) |
10万円~ |
10万円~ |
加害者(発信者)の特定
弁護士に加害者(発信者)の特定を依頼した場合の費用の目安は、以下のとおりです。
手続き内容 |
着手金 |
報酬金 |
交渉(裁判外) |
5万円~ |
5万円~ |
訴訟(裁判) |
20万円~ |
10万円~ |
加害者への損害賠償請求
弁護士に加害者への損害賠償請求を依頼した場合の費用の目安は、以下のとおりです。
手続き内容 |
着手金 |
報酬金 |
交渉(裁判外) |
10万円~ |
経済的利益の10%程度 |
訴訟(裁判) |
20万円~ |
経済的利益の10%程度 |
ネット上の誹謗中傷トラブルの依頼から解決までの大まかな流れ
インターネット上の誹謗中傷トラブルを弁護士に依頼してから解決するまでの流れは、「投稿の削除だけを依頼するか」「損害賠償請求まで依頼するか」などによって異なります。
ここでは、弁護士に依頼してから解決するまでのそれぞれの流れを確認しましょう。
誹謗中傷の投稿削除だけを依頼したときの流れ
弁護士に誹謗中傷の投稿削除を依頼したときの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 弁護士に依頼する
- サイト管理者に任意の削除依頼をする(削除されたら終了)
- 裁判所に投稿記事削除の仮処分命令の申し立てをする
- 裁判所の仮処分命令をサイト管理者に提示して削除してもらう
加害者の特定と損害賠償請求を依頼したときの流れ
弁護士に加害者の特定と損害賠償請求を依頼したときの大まかな流れは、以下のとおりです。
なお、2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法が施行されたことで、現在は2通りの方法で加害者の特定が可能です。
発信者情報開示請求の流れ(従来)
- 弁護士に依頼する
- サイト管理者に加害者のIPアドレスの開示依頼をする(開示されたら④へ)
- 裁判所に発信者情報の削除禁止と発信者情報開示の仮処分命令の申し立てをする
- 開示されたプロバイダに対して契約者情報の開示依頼をする(開示されたら⑥へ)
- 裁判所に発信者情報開示請求の申し立てをする
- 特定した加害者に対して損害賠償請求をおこなう
発信者情報開示命令の流れ(新設)
- 弁護士に依頼する
- 裁判所に対して発信者情報開示命令(非訟手続き)の申し立てをする
- ②に付随して提供命令申立てなどの手続きをおこなう
- 特定した加害者に対して損害賠償請求をおこなう
発信者情報開示請求については発信者情報開示請求とは|投稿者特定の手続き・注意点・弁護士費用などを解説をご覧ください。
ネット上の誹謗中傷の相談を受け付けている公的機関・民間組織
インターネット上での誹謗中傷に関する相談は、弁護士だけでなく公的機関・民間組織でも受け付けています。
ここでは、弁護士以外の相談窓口について解説します。
こころの健康相談統一ダイヤル
こころの健康相談統一ダイヤルは、各自治体が運営している「こころの健康電話相談」などを統合した、厚生労働省が運営する専用ダイヤルです。
「0570-064-556」に電話をかけると、公的な相談機関(精神保健福祉センターなど)に繋がり、心の悩みについて相談できます。
誹謗中傷によって心に傷を負ってしまった方は利用してみましょう。
誹謗中傷ホットライン
誹謗中傷ホットラインは、一般社団法人セーファーインターネット協会が運営している、誹謗中傷被害者向けの相談窓口です。
専用フォームから誹謗中傷被害を通報することで、協会からサイト管理者に対して投稿内容を削除するように通知を出してくれます。
自分で投稿内容を削除するのが難しい場合にはおすすめです。
違法・有害情報相談センター
違法・有害情報相談センターは、インターネットトラブルに関する情報提供やアドバイスをしてくれる、総務省が運営する窓口です。
自分で誹謗中傷の投稿を削除するためのアドバイスをしてくれるなど、インターネットに関する知識・経験を有した相談員が対応してくれます。
「自分の力で問題解決したい」という方にはおすすめです。
インターネット人権相談受付窓口
インターネット人権相談受付窓口は、誹謗中傷などのインターネット上の人権侵害に関する相談を受け付けている、法務省が運営する窓口です。
相談者に対して削除方法をアドバイスしてくれて、相談内容によっては法務局がサイト管理者などに削除要請をしてくれます。
特に、違法性が高いインターネットトラブルを相談するのに向いています。
最後に|ネット誹謗中傷はまず弁護士に相談を
インターネット上の誹謗中傷の投稿は、任意の削除申請で削除できる場合もありますが、そうでなければ裁判手続きなどが必要になります。
投稿記事削除の仮処分命令や発信者情報開示命令(請求)などの手続きは複雑で時間もかかるため、もしこれらの手続きが必要な場合は、「インターネット上の誹謗中傷トラブルが得意な弁護士」にサポートしてもらうことをおすすめします。
弁護士を探す際は、条件に合った弁護士を一括検索できる「ベンナビIT」を利用しましょう。