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刑事事件の弁護士費用はいくら必要か|私選弁護人と国選弁護人の費用の違いも

弁護士監修記事
刑事事件
2023年02月16日
2024年11月13日
刑事事件の弁護士費用はいくら必要か|私選弁護人と国選弁護人の費用の違いも
この記事を監修した弁護士
春田 藤麿 弁護士 (弁護士法人春田法律事務所)
「お客様の期待を上回る結果を目指す」「生涯にわたり、お客様のパートナーとなる」ことを理念とし、2016年に設立。現在は全国にオフィスを構え、個人・法人を問わず、ニーズに合わせたサポートを提供。
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一般的に、刑事事件の被疑者になった場合は、いち早く弁護士に依頼するのが重要といわれています。

早くに弁護士に依頼することで、長期身柄拘束の回避や不起訴処分の獲得などが期待できるからです。

しかし、弁護士に依頼するには一定の費用を支払う必要があり、この弁護士費用が大きな負担になってしまうケースも少なくありません。

この記事では、刑事事件の被疑者・被告人やその家族に向けて、刑事事件の弁護士費用の目安、弁護士費用を抑えるためのポイント、高額で支払えないときの対処法、弁護士費用に関する注意点などを解説します。

刑事事件の弁護士費用は高額になることが多いので、できる限り無駄な出費を減らして弁護士費用を抑えられるようになりましょう。

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刑事事件の弁護士費用の目安はどれくらい?

刑事事件の弁護活動を弁護士に依頼する場合は、相談料、接見費用、着手金、成功報酬、実費、日当・タイムチャージなどを支払う必要があります。

これらの合計額は事件内容や弁護士事務所などによって異なりますが、一般的には60万~100万円程度が目安となっています。

ここでは、弁護士費用の内訳や費用の詳細について確認しましょう。

刑事事件での弁護士費用の内訳

刑事事件の弁護士費用の内訳と目安は以下のとおりです。

なお、弁護士費用は弁護士事務所によって大きく異なり、似たような刑事事件であっても、事件の悪質性や世間の注目度などによってかわってきます。

弁護士に依頼する前には「弁護士費用がいくらくらいになるのか」を必ず確認し、納得したうえで弁護士に依頼をしましょう。

【弁護士費用の内訳と支払いタイミング】

内訳 相場 支払いタイミング
相談料 0~1万円(1時間あたり) 相談終了後
接見費用 2万~5万円(1回あたり) 接見終了後
着手金 30万~50万円程度 委任契約時(分割可能な場合あり)
成功報酬 30万~50万円程度 事件終了後(分割可能な場合あり)
実費 事件による 事件終了後
日当・タイムチャージ 1万円(1時間あたり) 事件終了後
合計 60万~100万円前後 -

相談料|0~1万円(1時間あたり)

弁護士と正式に契約をする前の相談段階では、相談料(法律相談料)を支払う必要があります。

相談料の相場は1時間あたり1万円程度(30分あたり5,000円程度)ですが、弁護士事務所によっては「初回相談無料」に対応しています。

相談料を支払うタイミングは、基本的にその相談後となっています。

接見費用|2万~5万円(1回あたり)

被疑者が弁護士と面会(接見)するにあたり、接見費用(接見手数料)が発生します。

接見費用は接見1回ごとに発生し、通常であれば1回あたり2万~3万円程度が相場です。

ただし、遠方の弁護士事務所に依頼した場合は5万円程度かかることもあります。

接見費用を支払うタイミングは、接見終了後であることが多いです。

着手金|30万~50万円程度

弁護士に正式な依頼をする場合、結果の成否にかかわらず着手金を支払うことになります。

着手金の相場は1件あたり30万~50万円程度ですが、弁護士事務所によっては「起訴前」と「起訴後」にそれぞれ着手金が発生するケースがあるので注意しましょう。

着手金を支払うタイミングは、一般的には委任時であることが多いです。

成功報酬|30万~50万円程度

弁護士の支援によって良い結果が得られた場合は、その結果に応じた成功報酬(報酬金)が発生します。

ここでいう良い結果には、不起訴による前科の回避、罰金判決(懲役刑の回避)、執行猶予付き判決の獲得、勾留阻止・勾留延長阻止、保釈許可の決定などがあります。

成功の内容にもよりますが、成功報酬の目安額は30万~50万円程度です。

成功報酬を支払うタイミングは、一般的に事件終了後となっています。

実費|事件による

弁護士が弁護活動をおこなうにあたり、収入印紙代、郵便切手代、交通費、通信費、印刷代金、保証金、鑑定料などの実費が発生することがあります。

1万円前後が目安になりますが、無罪を立証するための実験をおこなったり、刑事裁判に移行したりした場合はより多くの費用が発生します。

実費は事件終了後に支払うのが一般的です。

日当・タイムチャージ|1万円(1時間あたり)

弁護士が警察署や裁判所などに行くために事務所を離れる場合は、その時間に応じた日当・タイムチャージが発生します。

日当・タイムチャージの目安額は1時間あたり1万円程度となっており、1日あたり数万円程度かかる場合もあります。

日当・タイムチャージの支払いタイミングは、一般的に事件終了後であることが多いです。

刑事事件の弁護士費用が100万円以上かかった事例

刑事事件の弁護士費用は、一般的に数十万円程度であることが多いです。

しかし、悪質性が高い事件、被害の程度が大きい事件、世間が注目を集めている事件などでは、弁護士費用が高額になる傾向があります。

ここでは、弁護士費用が100万円以上かかった刑事事件の事例を確認しましょう。

1.万引き行為を繰り返した事件(弁護士費用:100万円)

同じコンビニエンスストアで万引き行為を繰り返し、コンビニ店長に取り押さえられたという事例です。

執行猶予中の再犯事件であり、窃盗の前科も多数あったため実刑判決を回避するのは難しく、被害者であるコンビニ店長との示談も困難な状況でした。

しかし、被告人に知的障害が見つかったこと、NPO法人代表が証人として更生支援計画に基づく証言をしてくれたことなどから、最終的に執行猶予付き判決を獲得することができました。

【参考記事】 万引き事件で再度の執行猶予を得た事例|ベンナビ刑事事件

2.高齢者に対して窃盗をした事件(弁護士費用:125万円)

高齢者からキャッシュカードを窃取するなど、合計で5つの窃盗事件・窃盗未遂事件に関与した事例です。

犯罪の性質や複数の事件を起こしていることから起訴を免れるのは難しく、被害者との示談成立も難しい状況となっていました。

それでも被害弁償と供託手続きにより、被害額の9割以上の被害弁償を達成しました。

また、裁判では若年者である被告人に更生の機会を与える必要がある旨などを訴えた結果、保護観察付き執行猶予判決を獲得できました。

【参考記事】 【執行猶予獲得!】粘り強い交渉で保護観察付執行猶予判決を得たケース|ベンナビ刑事事件

3.薬物使用の再犯で緊急逮捕された事件(弁護士費用:100万円)

薬物前科3犯で服役経験もある被告人が、前回の服役から約6年後に覚せい剤に手を出してしまった事例です。

出所から約6年での再犯であったため、執行猶予の獲得は難しい状況といえます。

しかし、閉鎖病棟で3ヵ月間にわたる入院治療に取り組んだこと、裁判で依存症治療の第一人者である医師が証人として証言してくれたこともあり、最終的に執行猶予付き判決を獲得することできました。

【参考記事】 出所から6年の再犯で執行猶予判決を得た事例|ベンナビ刑事事件

刑事事件の弁護士費用をできる限り抑えるコツ

事件の内容や被害の程度などによっては、刑事事件の弁護士費用が100万円以上になることもあります。

この費用は弁護士から適切な支援を受けるためには欠かせませんが、できることなら費用を安くしたいのが本音でしょう。

ここでは無駄な出費を減らし、弁護士費用を少しでも安くするためのコツを紹介します。

無料相談を上手に活用する

弁護士への相談料を安くするために「初回無料相談」を積極的に利用しましょう。

民事事件とは異なり、刑事事件の無料相談を受け付けている窓口は、一部の弁護士事務所や弁護士会の法律相談センターなどに限られます。

無料相談に対応している近くの弁護士事務所や法律相談センターを探し、自身や家族の事件について相談するとよいでしょう。

刑事事件の相談は刑事事件について無料で電話相談できる弁護士の探し方|無料相談するメリットも解説をご覧ください。

事前に相談内容をまとめておく

弁護士に相談するときは、できる限り相談内容をまとめておくのがポイントです。

事件の概要・現況といった相談内容や最終的な希望がまとまっていない場合は、相談に時間がかかり、その分、費用も多く発生してしまいます。

弁護士との相談時間を短くできるよう、事前に事件や希望などの要点をまとめたり、要点をまとめたメモを作成し相談時に持参したりするとよいでしょう。

近くの弁護士事務所に依頼する

弁護士にもある程度の専門分野があるため、基本的には刑事事件が得意な弁護士に依頼するのがおすすめです。

しかし、遠方の弁護士に依頼してしまうと交通費や日当の負担が重くなります。

弁護士の交通費や日当を抑えるためにも、なるべく近くの弁護士事務所の中から弁護士を選ぶことをおすすめします。

事件発生後、すぐに依頼をする

刑事事件の被疑者になった場合は、できる限り早く弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。

たとえば、着手金が起訴前と起訴後に発生する弁護士事務所の場合、早期にサポートを受けて不起訴処分を獲得できれば「起訴後の着手金」を負担せずに済むでしょう。

また、不起訴処分になれば、刑事裁判に必要な費用も支払わずに済みます。

「ベンナビ刑事事件」で弁護士を探すのがおすすめ

刑事事件を得意としている弁護士を探すなら、「ベンナビ刑事事件」の利用をおすすめします。

ベンナビ刑事事件には「刑事事件が得意な弁護士のみ」が掲載されており、地域と事件から弁護士事務所を探すことが可能

弁護士事務所の一覧ページでは、「初回無料相談」に対応しているかどうかなどを確認することもできます。

近隣の刑事事件が得意な弁護士事務所を簡単に見つけられるため、ぜひベンナビ刑事事件を活用してみましょう。

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弁護士費用が高額で支払えない場合の対処法

刑事事件で弁護士に依頼したいけれど、「経済的な理由から弁護士費用を支払うことができない」という場合もあるでしょう。

そのような場合は支払いの負担を軽減したり、公的な支援制度を利用したりするのがおすすめです。

ここでは、弁護士費用が高額で支払えない場合の対処法について紹介します。

着手金が0円の弁護士に相談する

着手金は委任時に支払うのが基本です。

しかし、着手金の相場は30万~50万円程度であるため、手元にまとまったお金がない場合は支払うのが難しいでしょう。

そのような場合は「着手金が0円」の弁護士事務所に相談するのがおすすめです。

着手金がない分、報酬金は高額になっていますが、「すぐに依頼できる」というメリットがあります。

弁護士費用を分割払い・後払いにする

着手金や成功報酬は一括払いが基本です。

しかし、弁護士事務所によっては、弁護士費用の分割払いに対応してくれます。

また、着手金であれば後払いに応じてくれる場合もあります。

分割払いや後払いに対応しているかどうかは弁護士事務所によって異なるため、無料相談などの際に丁寧に事情を説明して可能かどうかを確認してみましょう。

公的な支援制度を利用する

経済的な事情で弁護士に支払うだけのお金がない場合は、刑事被疑者弁護援助制度、国選弁護人制度、当番弁護士制度などの利用を検討してみましょう。

それぞれの制度の概要や条件、特徴などは以下のとおりです。

【刑事事件で利用できる主な支援制度】

名称 概要・条件・特徴
刑事被疑者弁護援助制度 ✔資力がない被疑者が対象になっている
✔逮捕直後から勾留決定前までの支援が受けられる
✔無料で利用できる(弁護士費用は日弁連が負担)
国選弁護人制度 ✔資力がない被疑者・被告人が対象となっている
✔勾留決定後から支援を受けられる
✔原則無料で利用できる(弁護士費用は原則国が負担)
当番弁護士制度 ✔捜査機関に逮捕された人が対象となっている
✔派遣された弁護士がアドバイスをしてくれる
✔1回だけ無料で利用できる

刑事被疑者弁護援助制度や国選弁護人制度は、経済的な事情で弁護士に依頼できない人のための制度であり、原則、現金・預貯金等の資産が50万円未満であれば利用できます。

一方、当番弁護士制度は、捜査機関に逮捕された人なら誰でも1回だけ無料で利用できます。

経済的な事情で弁護士に依頼できない場合はこれらの制度を利用するとよいでしょう。

国選弁護人については国選弁護人とはどんな制度か?基礎知識、利用条件、利用手続きを紹介をご覧ください。

刑事事件の弁護士費用に関する注意点

刑事事件の弁護士費用を検討するにあたり、「実際の弁護士費用は相談によって決まる」「弁護士費用とは別に示談金が必要になる」「任意の弁護士費用保険を利用できない」などいくつか注意点があります。

ここでは、そんな刑事事件の弁護士費用に関する注意点について解説します。

実際の費用は相談によって決まる

多くの弁護士事務所のホームページには、料金表や事例が掲載されています。

しかし、実際の弁護士費用は弁護士との相談で決まるのが一般的で、必ずしもホームページ上の最安値になるわけではありません。

「予想していた金額よりも高額の弁護士費用を請求された」「内訳を聞いたけれどきちんと説明してくれない」など、弁護士から提示された金額に納得できない場合は無理せずに契約を断るようにしましょう。

事件によっては示談金が必要になる

被害者がいる事件の場合は、その被害者と示談を成立させることが重要です。

その際、弁護士費用とは別に、被害者に対して示談金を支払う必要があります。

示談金の金額は犯罪の種類、被害の大きさ、処罰感情の有無などによって異なりますが、一般的な刑事事件の場合は10万~50万円程度で、強制わいせつ被疑事件や強制性交等被疑事件などの場合は100万円以上になることもあります。

このように示談金が必要になることは覚えておきましょう。

任意の弁護士費用保険は利用できない

弁護士費用保険(弁護士保険)とは、弁護士に相談・依頼した際に発生した費用の一部・全部を補償してくれる保険のことです。

離婚問題、相続問題、医療過誤、自動車事故、ストーカー被害、振込詐欺被害など幅広いトラブルに対して利用できますが、刑事事件や少年事件は免責事由に該当するため保険金が支払われません。

刑事事件の加害者が弁護士に依頼する場合は、全額自己負担になるので注意しましょう。

冤罪で無罪の場合、弁護士費用を支払わないでいい?

刑事事件で起訴されて裁判を受けた結果、無罪を獲得できるケースもあります。

しかし、無罪を勝ち取った場合であっても、依頼者は弁護士に対して弁護士費用を支払わなければなりません。

ただし、刑事訴訟法第188条の2に「費用の補償」についての規定があり、弁護士費用に関する一定の補償を受けることができます。

補償額は国選弁護人の報酬が基準であり、満額を受け取れるわけではありませんが、多少は負担を軽減するのに役立つでしょう。

第百八十八条の二 無罪の判決が確定したときは、国は、当該事件の被告人であつた者に対し、その裁判に要した費用の補償をする。ただし、

被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。

引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索

まとめ|無駄な出費を減らして弁護士に依頼しよう

事件内容や弁護士事務所などによって異なりますが、刑事事件の弁護士費用の目安額は60万~100万円程度となっています。

この出費は適切な支援を受けるためには欠かせませんが、場合によっては無駄な費用が発生しているかもしれません。

「無料相談を利用する」「近くの弁護士に依頼する」「すぐに弁護士に相談する」などのポイントを意識して、できる限り刑事事件の弁護士費用を抑えられるようにしましょう。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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