交通事故で弁護士に相談するベストタイミングとは?トラブル別に紹介
交通事故は想定できないことから、実際に事故を起こしてしまった際は対応方法がわからず慌ててしまうでしょう。
特に、事故に遭った場合は加害者に対して損害賠償を請求できるため、適切な対応は知っておきたいところです。
本記事では、交通事故で弁護士に相談するベストタイミングについて解説します。
なお、保険会社との交渉をおこなわなければならないため早い段階での相談をおすすめしますが、タイミングによっては費用倒れになるリスクもあるため、ぜひ参考のうえ把握しておいてください。
交通事故の弁護士相談は「初診後なるべく早め」がおすすめな理由
交通事故の被害によってけがをした場合、初診後はなるべく早めに弁護士へ相談しましょう。
交通事故発生から示談成立までの期間はいつでも弁護士への相談は可能ですが、相談が早いほど任せられる手続きが増えます。
なぜ弁護士への相談は早めが望ましいか、その理由についてより具体的に解説していきます。
早めに相談・依頼しても費用が大きく変わることはない
弁護士に相談や依頼をする時期が早いからといって費用が高くなることはなく、いつ依頼しても大きく変わらないため相談は早いほどよいと考えられます。
そのため、費用が積み上がることをそれほど意識せず、今後の流れや取るべき方法、適切な対応方法などを相談して正確な知識を身に付けておきましょう。
相談だけなら無料で利用できる弁護士事務所も多い
法律事務所の一般的な相談料の相場は、30分5,000円程度です。
相談のみ無料で利用できるケースは多く、費用をかけずに法律のプロから専門的な意見を聞けるため、まずは一度利用して見ることをおすすめします。
なお、無料相談の場合は相談時間や回数に制限が設けられているため、法律事務所の公式サイトや電話での問い合わせで事前に確認しておきましょう。
また、相談内容を具体的かつスムーズに伝えられるようまとめておき、自分の最終的な希望の解決策を明確にしておくことも大切です。
そして、弁護士に依頼して希望どおりに進めるためには、弁護士との相性も大切です。
無料相談で実際に弁護士と話をすることで自分と相性がよいか、信頼できるかを判断できます。
なお、相談の際は事前予約が原則であるため、交通事故の被害に遭ったらできるだけ早く連絡をしておきましょう。
示談金や慰謝料を適正額受け取るためのアドバイスを得られる
示談交渉が始まる前の段階から弁護士に相談できれば、終始一貫した方針のもと示談金や慰謝料を適正額受け取るためのアドバイスが得られます。
なお、示談書は一度署名・捺印をすると撤回できないため安易な同意は禁物です。
法律に詳しくなければ示談書を見ること自体が初めてで見方がわからない、正しい記載内容がわからない、受けた被害に対する慰謝料や示談金の相場がわからないという場合があるでしょう。
それらについて弁護士に相談することで、保険会社と対等に話をするためのアドバイスが受けられるうえ、後遺障害等級認定の申請や示談交渉、訴訟提訴などに関する情報も教えてもらえます。
さらに、弁護士が交渉することで慰謝料や示談金の増額が期待できる場合もあります。
無料相談をしても訴訟などへ移行する場合は費用がかかりますが、事前に説明してくれるため費用倒れの心配はありません。
休業損害請求のためのサポートを受けられる
交通事故による被害の影響で仕事へ出社できない、事故後の治療経過が芳しくなく事業がうまくいかないなど、収入の減少や収入がなくなった場合は加害者に対して休業損害の請求ができます。
ただし、請求額は被害者の職業や収入によって算定方法が異なる点は理解しておきましょう。
早い段階で弁護士に相談することで休業損害請求のためのサポートを受けられ、任意保険会社に対して十分な賠償を請求できる可能性があります。
なお、基本的に交通事故の慰謝料は自賠責基準と任意保険基準、弁護士基準といった3つの算定基準があり、加害者の任意保険は自社利益を確保するため任意保険独自が設定している任意保険基準により休業損害を提示してきます。
そのため、被害者本人が相手の保険会社と直接交渉をしても実際に生じた損失を適切に補填できない場合が少なくありません。
その点、弁護士は弁護士基準を元にサポートしてくれるため、認定保険基準よりも被害者に有利な金額を算定することから適切な休業損害額を請求できるのです。
【関連記事】【弁護士基準とは】交通事故の慰謝料相場や増額のポイントを解説
弁護士費用特約に加入しているならすぐに
弁護士費用特約に加入し利用できる状況であれば、すぐに弁護士に相談しましょう。
弁護士費用特約とは、任意保険会社が提供する保険サービスで、本人もしくは家族の保険に特約が付帯している場合は保険会社に弁護士費用を負担してもらえます。
補償費用は保険会社によって異なりますが、法律相談料10万円と弁護士費用300万円までの負担を設定していることが多いようです。
そのため、弁護士費用特約が利用できる場合はほとんどのケースで弁護士費用を心配する必要がありません。
弁護士費用特約は交通事故の直後から示談成立前であればいつでも使えることが多いため、惜しまず早い段階で相談しましょう。
【関連記事】弁護士費用特約を利用できる範囲|限度額・利用方法を解説
【ケース別】交通事故の弁護士相談・依頼のおすすめタイミング
交通事故の規模によって弁護士へ依頼する必要性は異なりますが、次に揚げる場合は弁護士への相談がおすすめです。
ここからは、交通事故の弁護士相談や依頼する際におすすめのタイミングをケース別で紹介します。
後遺障害等級認定を受けたい|症状固定後に相談
交通事故が原因で後遺症が残り後遺障害等級認定を受けたい場合は、症状固定の診断を受けたあとに弁護士へ相談しましょう。
後遺障害等級認定は交通事故が原因の後遺症がある場合に後遺障害等級を認定してもらうことで、後遺障害が残ってしまったことに対する賠償金をもらうために必要です。
また、どの等級に認定されるかによって、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が変わります。
後遺障害認定を受けるためには、残った後遺障害の程度や種類に応じた審査対策が必要ですが、弁護士に依頼することで過去の認定事例や専門知識から確実な対策を立ててもらえるのです。
さらに、後遺障害認定については症状固定前でも相談でき、早い段階で弁護士に介入してもらうことで治療経過を把握しやすくなり、よりスムーズな後遺障害認定のサポートを受けられます。
治療費の打ち切りを宣告された|すぐに相談
交通事故によってけがの治療が必要な場合、相手方の任意保険会社から治療費を支払ってもらえることが少なくありませんが、支払いが治療途中で打ち切られるケースがあります。
その場合は、相手方の任意保険会社から治療費の打ち切りを宣言されたことを、すぐに弁護士へ相談してください。
治療が必要にもかかわらず打ち切りを受けると治療期間が短くなるため、入通院慰謝料が減ってしまったり、後遺症が残ったとしても後遺障害等級が認定されにくかったりします。
さらには、後遺障害慰謝料や逸失利益がもらえない可能性も高まるのです。
また、治すべきけがも十分に治りきらないという懸念もあります。
治療費打ち切りを宣言された場合は打ち切り延長の交渉、そして被害者自身が治療を継続するため治療費を立て替え、後に相手方に請求しなければいけません。
これについて、弁護士を立てなければうまくいかない可能性が高いため、治療費の打ち切りを宣言された場合は速やかに弁護士への相談をおすすめします。
過失割合や示談金でもめている|示談交渉成立までに相談
交通事故で被害者と保険会社の主張が対立し、過失割合の争いによりなかなか示談がまとまらない場合は、安易に示談に応じず交渉成立までに弁護士へ相談しましょう。
基本的に、保険会社は被害者にも過失があったことを指摘し、過失割合を提示して損害賠償を抑えようとします。
しかし、被害者は過失割合に納得ができなくても、素人がそれに反論することが難しいと考えるケースが少なくないのです。
その点、弁護士に相談することで知識と経験に基づき根拠を示しながら適正な加湿割合を提示して、被害者が納得いく過失割合のもと保険会社との示談が可能となります。
なお、示談成立前であれば示談条件の見直しができるため、提示された示談金が適切かわからない場合もすぐ弁護士に相談すべきです。
弁護士に相談することで提示額は妥当か、増額の余地はあるか、どの費用の増額を求めるべきかを判断してもらえます。
訴訟に発展する可能性がある|速やかに相談
加害者との示談交渉が決裂すると損害賠償請求の訴訟に発展する可能性があるため、すぐに弁護士へ相談してください。
なお、被害者自身が訴訟の対応することは可能ですが、交通事故の損害賠償問題は法律知識だけでなく交通事故特有の専門的な知識が必要です。
そのため、知識や経験が乏しい場合は裁判所に対しての主張が正しく伝わらず、敗訴してしまう可能性があります。
このように、訴訟に発展すると弁護士のサポートがなければ、納得できる損害賠償額を得ることは難しいでしょう。
また、弁護士に相談することで法的な根拠に基づく主張を裁判所へ説得的に伝えられ、その結果として最適な解決にたどり着く可能性が高まります。
そのため、裁判所の手続きを取らなければいけない場合は、すぐ弁護士に相談することをおすすめします。
今すぐ弁護士に相談したほうがよい場合
次のような場合は迅速で適切な対応が必要なため、ひとつでも該当するものがあれば今すぐ弁護士に相談しましょう。
- 重症または死亡等の重大事故のケース
- 治療費を打ち切ると言われた
- 示談交渉でもめている
- 相手方に弁護士がついた
- 訴訟提起された
- 弁護士費用特約に加入している
治療のリハビリや仕事の復帰準備などは時間と労力がかかるうえ、加害者とやり取りをするとなれば精神的負担も大きくなるでしょう。
しかし、弁護士に依頼して加害者とのやり取りを一任すると、被害者自身や被害者遺族の負担を大きく軽減できます。
なお、弁護士によって取り扱う分野が異なるうえ医学的な知識が求められるため、経験やどれだけノウハウを有しているかが極めて重要です。
そのため、交通事故について知見が深く経験豊富な弁護士に相談しなければなりません。
事前に法律事務所の公式サイトにて交通事故問題を得意とするかを確認して、実際に弁護士の雰囲気を知るためにも無料相談などを活用することをおすすめします。
交通事故について弁護士へ相談する5つのメリット
実際に交通事故の被害を弁護士に相談する際、弁護士費用を上回るメリットがあるのかと不安に思う方は多いでしょう。
では、実際に弁護士へ相談するメリットにはどういったものがあるのでしょうか。
ここからは、交通事故について弁護士へ相談する5つのメリットを紹介します。
1.請求できる慰謝料が増額する
弁護士に相談することで、請求できる慰謝料の増額が期待できます。
交通事故の慰謝料は自賠責基準と任意保険基準、弁護士基準のいずれかから算出され、自賠責基準は最低限の補償をする基準であり、任意保険基準は各任意保険会社が独自に設定した基準で、どちらもほぼ同額です。
なかでも弁護士基準が最も高額で、算定した慰謝料額は自賠責基準や任意保険基準と比較すると2倍から3倍程度も高額にある場合があります。
そのため、保険会社が提示する金額よりも慰謝料を含む損害賠償の金額が高額になる可能性があるのです。
なお、弁護士基準は弁護士が介入した場合のみ使用できるため、ご自身で対応される場合には基準とできません。
2.保険会社との交渉を任せられる
交通事故の被害に遭った場合、事故発生から示談成立までの交渉において相手方の保険会社と多くのやり取りをしなければなりません。
やり取りは日々の忙しいなかおこなわれ、保険会社から高圧的な態度を取られたり、専門用語を多用して示談交渉を進められたりするため、被害者にとって大きなストレスになりかねません。
その点、弁護士に相談することで保険会社との交渉を一任できるため、結果として被害者はストレスが軽減され、けがの治療・子育て・仕事に専念できます。
3.過失割合を正しく主張できる
被害者自身が示談交渉をして過失割合や慰謝料の増額を主張したとしても、なかなか受け入れてもらえない傾向にありますが、弁護士は法律の専門家であるため過去の事例などに基づき法的根拠のある的確な過失割合を主張できます。
そして、保険会社が弁護士の主張を拒否し続けると裁判に発展することがありますが、保険会社は裁判を回避するために対応を軟化させる可能性はゼロではありません。
被害者自身の交渉は説得力がないと否定され主張には限界があるため、弁護士が正しく主張することで、結果として慰謝料の増額が見込める点は大きなメリットといえるでしょう。
4.後遺障害等級認定で適切な等級に認定されやすくなる
交通事故のけがが完治せず後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を申請して認定されると後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できます。
しかし、これは誰でも認められるわけではなく、必要な検査を受けたうえで必要書類を準備しなければなりませんが、交通事故の知識がなければ何をどうすべきか迷ってしまうでしょう。
その点、交通事故に詳しい弁護士はそれらの精査ができるため、適切な後遺障害等級が認定される可能性が高まります。
また、認定結果に納得できない場合は異議申し立てをおこなえますが、専門知識がない場合は同じ申請を繰り返すだけで結果は変わらないでしょう。
そのあたりについても、弁護士は異議申し立てに関するサポートもおこない、なぜ希望の等級が認定されなかったのかを分析できるため成功率を高められます。
5.治療費の打ち切りの対応も相談できる
交通事故の被害に遭い継続治療をおこなっているものの、保険会社から突然治療費の打ち切りを宣言される場合があります。
けががまだ完治していないにもかかわらず、このような対応をされると憤りを感じ困惑してしまうでしょう。
しかし、交通事故によるけがは完治または医師による症状固定の判断がされるまで、継続して治療を受けることが重要です。
この場合、保険会社に治療費支払い延長の交渉をおこないますが、プロである保険会社とのやり取りを自身でおこなうことは不安でしょう。
その点、弁護士は治療費の打ち切りの対応に関しても相談できます。
弁護士に間に入ってもらうことで適切な治療延長の交渉ができ、かつ理不尽な対応にも状況を踏まえて交渉してもらえます。
交通事故について弁護士への相談が適切かどうかの判断基準
交通事故に遭ったとしても、普段の生活で弁護士を身近に感じていなければ相談が適切かわからないことがあります。
ここからは、交通事故について弁護士への相談が適切か否かの判断基準について解説します。
費用倒れしないか
弁護士に依頼する場合、費用倒れにならないかという不安があるでしょう。
費用倒れとは、利益を得るためにかけた費用が利益よりも高くなり、結果として収支がマイナスになる状態です。
交通事故の場合であれば、弁護士に依頼しても損害賠償がそれほど増額せず、弁護士費用を差し引くと被害者が受け取れる金額が少なくなってしまうケースを指します。
なお、軽傷の交通事故に関しては示談金が低いことにより費用倒れのリスクが考えられるため、弁護士への相談は十分に検討しなければなりません。
弁護士は相談段階で費用倒れの可能性があることを伝えてくれるため、まずは安心して相談してみてください。
弁護士費用特約に加入しているか
弁護士費用特約に加入している場合は、弁護士費用や実費の負担なく弁護士に依頼できる可能性があるため、心配せずすぐに相談してください。
加入している特約によって異なるものの、基本的に弁護士費用特約は交通事故の直後から示談成立前までであればいつでも使用でき、弁護士費用の合計が300万円、そして相談料の合計が10万円まで負担してもらえます。
また、弁護士費用特約を利用しても基本的に翌年以降の保険料が上がることはないため、特約を使い惜しまず事故後の早い段階から弁護士に相談・依頼をしてください。
時効が成立していないか
交通事故の損害賠償請求には時効があり、示談前に時効が成立している場合は請求できません。
事故の被害状況により時効の期間が異なるため、時効の期間が迫っている場合はすぐに弁護士に相談してください。
さいごに
本記事では、交通事故で弁護士に相談するベストタイミングについて解説しました。
交通事故の被害に遭った場合、弁護士に相談するタイミングは早ければ早いほどよいでしょう。
事故後の対応で示談金の金額が大きく変わるため、十分な治療を受けて適切な損害賠償金を得ることが重要になります。
しかし、重症事故や死亡事故の場合、被害者本人や遺族が保険会社と直接交渉するのは並大抵のことではありません。
その場合、早い段階で弁護士に相談することで幅広いサポートを受けられるためスムーズに物事が進み、かつ被害者にとって望ましい損害賠償金が得られやすくなります。
自分自身で対応して慰謝料を減額されてしまった、あるいは多くの手続きで疲れ切ってしまったという状況に陥らないためにも、まずは弁護士の無料相談を活用してみてください。