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事業承継の相談先11選|相談相手の選び方や相談するときのコツについても解説

弁護士監修記事
遺産相続
2024年12月27日
2024年12月27日
事業承継の相談先11選|相談相手の選び方や相談するときのコツについても解説
この記事を監修した弁護士
熊本 健人弁護士 (磯野・熊本法律事務所)
当事務所では、裁判や書面送付などの対応方法を詳しくご提案いたします。法律相談にお悩みの方は、ぜひご相談ください。
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経営者の中には、自身の年齢や体調などさまざまな理由で次の経営者を決め、事業承継をしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

事業承継をおこなう際には、多くの法律知識が必要となるため、専門家のサポートが必要不可欠です。

しかし、どこに相談すれば良いのかわからないという方も少なくないのではないでしょうか。

事業承継の相談先はたくさんありますが、自分のケースに合った相談先を選ぶことで、より適切なサポートを受けられます。

そのため、相談先の選び方を知ることがあなたの悩みを解決する第一歩ともいえるでしょう。

本記事では、事業承継について相談できる機関や専門家について解説します。

相談先を選ぶ際のポイントや相談のコツなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

事業承継について相談できる5つの窓口

事業承継についての主な相談窓口は、以下の5つです。

  • 事業承継・引継ぎ支援センター
  • 商工会議所
  • 金融機関
  • よろず支援拠点
  • M&A仲介会社

それぞれの相談先の特徴について、詳しくみていきましょう。

1.事業承継・引継ぎ支援センター|親族内承継も第三者承継も相談できる

事業承継・引継ぎセンターとは、国の中小会社庁が設置している公的な事業承継と引継ぎに関する相談窓口です。

支援センターは全国各地に設置されており、各センターにて無料相談などのサービスを利用することができます。

事業承継・引継ぎセンターでは、主に以下3つの支援をおこなっており、すでに事業承継先が決まっている場合はもちろん、これから承継者を探す際のサポートも可能です。

  • 第三者承継支援:後継者が不在の場合の事業引継ぎサポート
  • 親族内承継支援:親族や従業員への事業承継サポート
  • 後継者人材バンク:承継希望者と起業希望者のマッチングサポート

ただし、具体的な承継手続きをおこなうには、支援センターと税理士・弁護士などの専門家と連携しながらおこなうことになる点には注意しましょう。

相談時点では無料ですが、実際の手続きの代行などには費用が発生することも覚えておいてください。

【参考】事業承継・引継ぎ支援センター

2.商工会議所|専門家のあっせんなどをしている地域もある

商工会議所は、地域の中小会社や個人事業主のサポートをおこなっている中小会社団体です。

商工会議所では、中小企業や個人事業主の経営・税務申告・労務など、さまざまなサポートをおこなっていますが、事業承継に関する相談もおこなうことができます。

商工会議所のサポートの特徴は、事業承継前の準備についてもアドバイスや支援を受けられることです。

経営状況や課題の見える化や、事業承継に向けた経営改善などについてもサポートを受けられるので「このまま事業承継するのは不安...」という方は一度相談してみるとよいでしょう。

なお、商工会議所は各地域に設置されているので、相談日程や利用条件などは近くの商工会議所に確認してください。

3.金融機関|事業承継のサポートをしている銀行などもある

事業承継は、金融機関に相談できる場合もあります。

普段から取引がある金融機関がある場合、事業承継に関する相談に乗ってもらったり、サポートしてもらったりできる可能性が高いでしょう。

日ごろからやり取りがある銀行であれば、自分の会社の経営状況や資金繰りについて把握している可能性が高く、とくにお金の面でより的確なアドバイスを得られる可能性があります。

また、ほかの企業の事業承継の例をもとに、どんな方法がよいか助言してもらえるので参考になるでしょう。

銀行には事業承継アドバイザーの資格を持っている行員が在籍していることも多いので、日ごろからお世話になっている銀行の担当者に一度相談してみるのがおすすめです。

4.よろず支援拠点|経営全般に関するサポートが受けられる

よろず支援拠点とは、国が設置している無料の経営相談所です。

よろずや支援拠点では、事業承継に限らず営をおこなううえでのさまざまな課題や疑問について、無料で相談に乗ってもらうことができます。

また、一般の会社だけではなく、NOP法人や一般社団法人、社会福祉法人、創業予定の方も相談可能です。

全国各地に支援拠点があるので、事業承継に関する悩みも気軽に相談してみましょう。

なお、ホームページでは事業承継の支援事例も紹介しています。

自社のケースに似たものがないか、ぜひ探してみてください。

【参考】よろず支援拠点全国本部

5.M&A仲介会社|M&Aに関する積極的なサポートが受けられる

M&Aの仲介会社では、企業の買収や合併に際して両者の間に入り、中立な立場で助言やサポートをおこなう会社のことを指します。

M&A仲介会社では、これまでの実績や独自のネットワークから、事業承継先の企業探しをサポートしてもらうことも可能です。

豊富な実績があれば、手続きや条件の交渉にかかる時間も短く、スピーディに承継が完了できるでしょう。

ただし、企業によっては無料相談に対応しておらず、相談料がかかる可能性もあります。

また、実際に依頼するとなると手数料や手続きの代行費用が高額になるケースも多いので注意してください。

事業承継について相談できる6つの専門家

事業承継に関する相談先としては、以下のような専門家の選択肢となります。

  • 弁護士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 中小会社診断士

それぞれの専門家の特徴や相談できることについて、以下で詳しくみていきましょう。

1.弁護士|事業承継に必要な法律面のサポートが受けられる

弁護士は、法律や裁判に関する専門家です。

事業承継をおこなうためには、民法・会社法・労働法を正確に理解して手続きをおこなう必要があるため、弁護士はまさにうってつけの相談相手であるといえるでしょう。

なお、弁護士がサポートしてくれる手続きには、以下のようなものがあります。

  • 遺言書の作成
  • 株式譲渡契約書などの作成
  • 経営者保証の解除に向けた交渉
  • 取引先との契約や権利などの整備
  • 社内の労務管理体制の構築・整備

事業承継手続きを円滑に進めるためには、法律の知識以外に高度な交渉力が必要になります。

また、万が一、事業承継手続きをおこなう際に何らかのトラブルが起こり訴訟になった場合でも、弁護士であれば代理人として対応も可能です。

事業承継先の方と交渉が必要な場合や、トラブルになる可能性がある場合は弁護士へ相談するのがよいでしょう。

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2.税理士|相続税申告や株価対策などのサポートが受けられる

税理士とは、税金に関する専門家です。

税理士は事業承継をおこなう際に、以下のようなサポートをおこなってくれます。

  • 非上場株式の場合には自社株の評価
  • 相続税と贈与税の計算と申告
  • 株価の引き下げ対策
  • 経営者保証の解除に向けた支援
  • 事業承継をおこなう際の税制計画書策定

税理士がおこなえるのは、事業承継手続きの中でも税に関するものだけです。

そのため、事業承継先との交渉などを依頼することはできません。

あくまでも手続きだけを手伝ってほしいという場合は、税理士への相談を検討してください。

3.公認会計士|財務諸表の作成など幅広いサポートが受けられる

公認会計士とは、会社の財務情報を独立した立場から監査及び会計する専門家で、会計士と呼ばれることもあります。

公認会計士は、債務承継をおこなう際に以下のようなサポートをおこなってくれます。

  • 事業承継についてのアドバイス
  • 財務諸表の適正な作成
  • 非上場株式の場合には自社株の評価
  • 株価の引き下げ対策
  • 経営者保証の解除に向けた支援
  • 事業承継をおこなう際の税制計画書の作成

会計士も税理士と似ており、事業承継においてはお金周りに特化してサポートをしてくれる存在です。

代理人としての交渉などが必要な場合は、弁護士に依頼するのがよいでしょう。

4.司法書士|各種登記手続きや法律面でのサポートが受けられる

事業承継については、登記手続きなどを得意とする司法書士にも相談可能です。

司法書士は、会社の登記や成年後見業務、贈与や遺言、不動産の相続登記などに精通しているため、事業承継をおこなう際の煩雑な手続きを円滑に進められるでしょう。

そのほかにも、司法書士は事業承継をおこなう際に以下のようなサポートをおこなってくれます。

  • 遺言書の作成
  • 成年後見業務
  • 法人の役員変更登記手続き
  • 不動産の所有権移転登記手続き

5.行政書士|官公署に提出する申請書の書類作成などを任せられる

行政書士とは、公官署に提出する書類の作成、事実証明、権利義務などに関する書類作成代行などをおこなう専門家です。

また、経営コンサルタント的な業務をおこなうこともあります。

行政書士は事業承継をおこなう際に、以下のようなサポートをおこなってくれます。

  • 遺言書作成
  • 許認可の引継ぎ
  • M&Aの仲介や後継者の紹介

なお、行政書士におこなえるのは書類の作成にとどまるケースがほとんどです。

具体的な手続きや代理人としての交渉はおこなえない点に注意しましょう。

6.中小会社診断士|事業承継をはじめ経営全般のアドバイスが得られる

中小会社診断士とは、中小会社の経営課題を分析し、経営改善のためのアドバイスや課題の解決策の提案をおこなう専門家です。

中小会社診断士は、事業承継をおこなう際に以下のようなサポートをおこなってくれます。

  • 経営に関するアドバイス
  • 後継者育成に関するアドバイス
  • 事業承継計画策定

中小企業診断士がおこなってくれるのは、あくまでもアドバイスのみにとどまる可能性が高い点には注意してください。

具体的な手続きや書類の作成のサポートについては、ほかの専門家を頼るとよいでしょう。

事業承継の相談相手を選ぶ際に知っておくべき4つのポイント

ここからは、事業承継の相談先の選び方を紹介します。

事業承継の相談先はさまざまなので、あなたにぴったりの相談先選べるように、ポイントを押さえておきましょう。

1.事業承継の支援実績が豊富であるか

まず一番大切なのは、事業承継の支援実績が豊富な相談先を選ぶことです。

事業承継の手続き内容や交渉内容は、会社によって大きく異なります。

そのため、実績が多い相談先ほどさまざまなケースに対応できる可能性が高く、あなたのケースにおいても適切なサポートが望めるでしょう。

一方で、実績がない、または少ない相談先だと的確なサポートを受けられない恐れもあります。

加えて、実際の手続きにおいては、あとあとトラブルが発生しないように事前に対策を打っておくことも必要です。

実績がない専門家に依頼してしまうと、手続きの途中でトラブルが発生し、思うように承継手続きが進まないことも考えられるでしょう。

事業承継の相談先を選ぶ際は、持っている資格だけでなく、相談や実際の手続き実績を確認するようにしてください。

2.報酬体系がわかりやすく、金額が適正か

業務承継の相談先は、実際に依頼した際の報酬体系が明確なところを選びましょう

そもそも事業承継手続きを依頼する際は、どこからどこまでが依頼範囲かがわかりづらく、費用が明確に決まっていないことがあります。

しかし、費用が明確ではない状態で依頼をしてしまうと、あとから高額な費用を請求されてしまうおそれもあるので注意が必要です。

良い相談窓口では、そもそもどこまでを依頼すべきなのかから一緒に考えてくれるので、まずはどこまでの手続きを依頼するのかを明確にしましょう。

その後、依頼する手続きを基準にして費用の見積もりをもらってください。

費用を明確に説明しない相談先の場合は、別の相談先を利用することも検討するとよいでしょう。

4.担当者が信頼できて、話しやすいかどうか

事業承継の相談先選びでは、相談窓口の担当者が話しやすいか、親身になって話を聞いてくれるかなどの相性も重要です

事業承継の相談をする際には、会社の内情や自分自身の事情について説明する必要があります。

しかし、信頼できない相手や話しにくい相手では、安心して説明ができなくなってしまいます。

無料相談の際に親身になって話を聞いてくれるかどうかを確認し、信頼できる窓口に依頼するようにしましょう。

事業承継に関する相談をより効果的におこなうための4つのコツ

事業承継に関する相談は、ほとんどのケースで時間制限が設けられています。

相談時間を有効活用するには、事前準備が欠かせません。

ここでは、事業承継の相談をより効果的におこなうためのコツを4つ紹介します。

1.できる限り早い段階から相談する

事業承継に関する準備は、いつ始めても早すぎるということはありません。

事業承継をおこなう際には、会社の資産や価値の把握・相談相手の選定・後継者の選定・事業運営の引継ぎ・後継者の教育など、すべきことはたくさんあります。

これらを円滑に進めるために重要なのが、事前の準備です。

準備をしっかりとおこなわないまま事業承継を始めてしまうと、思わぬところでほころびが見えてきてしまい、それをカバーするために多くの時間と手間が必要になってしまいます。

事業承継に関する悩みがある場合は、できるだけ早めに専門家や窓口へ相談し、準備に取りかかるとよいでしょう。

2.事業承継の方針や後継者候補をまとめておく

相談に行く際には、事前にどのような方針で事業承継をおこなうか、後継者にふさわしい人物は誰かという2点についてまとめておきましょう。

まずは事業承継の方針を固め、次にそれに合った人物を何人かピックアップして候補とするという順番でおこなうのがおすすめです。

事業承継の方針や候補者が決まっていれば、相談先もそれに合わせたアドバイスをしてくれるはずです。

3.事業承継をする際の課題や懸念点を整理しておく

事業承継を成功させるためには、自社の課題や懸念事項をしっかりと把握しておく必要があります。

課題や懸念事項として多いのは、後継者不足・事業資金の不足・税負担・個人保証の引継ぎなどです。

自社に当てはまる課題や問題点がないか確認し、相談前に洗い出しておきましょう。

4.事業承継をするにあたり現経営者がどうしたいか考えておく

事業承継後、現経営者は今後会社に関わらないのか、関わるとすればどのような形で関わるのかを考えておきましょう。

基本的に事業承継後は、元の経営者は経営からはしりぞくのが理想です。

しかし事情があって、何らかの形でかかわりたい場合は相談先に伝えてみましょう。

さいごに|相談先を選ぶ際は事業承継の無料相談も積極的に活用しよう!

事業承継をおこなう際には、複雑な手続きや準備事項が多く、何かと相談したいことも増えてくるでしょう。

事業承継について悩んだら、最適な相手に相談に乗ってもらい、適切なアドバイスを受けることで手続きをスムーズに進められます。

ここで紹介した事業承継についての相談先では、無料相談に対応しているケースがほとんどです。

まずは相談することからはじめ、具体的なサポートが必要な場合は、専門家への依頼も検討するとよいでしょう。

なお、ベンナビ相続では事業承継を得意とする弁護士を多数掲載しています。

地域はもちろん、無料相談や電話相談の可否などからも弁護士を探せるので、あなたにぴったりの弁護士がきっと見つかります。

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