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不倫の慰謝料請求をするには?相場や条件を解説

弁護士監修記事
離婚トラブル
2023年02月20日
2025年07月08日
不倫の慰謝料請求をするには?相場や条件を解説
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 野条 健人弁護士 (かがりび綜合法律事務所)
地域に根差した法律事務所で、依頼者の声に寄り添った解決を目指す。遺言書の作成や遺産分割協議など相続トラブルについて幅広く対応している。
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不倫の慰謝料請求をする場合、「不貞行為」と「故意・過失」の証拠が必要です。

慰謝料の相場は50万円~300万円程度で、離婚の有無や不倫の悪質性などによって金額は変動します。

ただし、不倫されても絶対に慰謝料を請求できるわけではありません。

証拠が不十分の場合や、浮気相手に過失が認められない場合などは、慰謝料を請求するのが難しくなります。

当記事では、不倫慰謝料が認められる条件や慰謝料の相場、具体的な不倫の証拠について解説。

請求の流れや時効についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

不倫慰謝料を請求する条件は「不貞行為」と「故意・過失」

不倫慰謝料を請求する条件

法的に「不貞行為」と「故意・過失」があったことの2点が証明できれば、不倫の慰謝料を請求できます

民法709条・710条の不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料の請求が認められているためです。

第七百九条

 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

引用元:民法709条・710条

「不貞行為」および「故意・過失」があるとは、具体的には以下の状況です。

  • 配偶者と不倫相手が肉体関係を持った(不貞行為)
  • 不倫相手が、配偶者が既婚者であると知っていた(故意)
  • 不倫相手が、配偶者が既婚者であると知らなかったが、注意すれば既婚者だと容易に知り得た状況である(過失)

なお、法律上の「不貞行為」とは、「肉体関係(性交渉)がある」こと。

キスをしたり手をつないだりしただけでは、原則として不貞行為とは認められません。

慰謝料を請求できる相手は「不倫相手」と「配偶者」

慰謝料は、不倫をした配偶者と、その不倫相手の両方に請求できます

どちらか一方に全額請求することも、双方に分けて請求することも可能です。

たとえば慰謝料金額が300万円の場合、不倫相手に200万円、配偶者に100万円を請求するケースや、不倫相手にのみ300万円請求するケースなどがあります。

ただし、配偶者と不倫相手それぞれから300万円を受け取ることはできません

精神的苦痛に対する賠償額が上限となり、いわゆる「二重取り」はできないことを覚えておきましょう。

不倫慰謝料を請求できないケースもある

不倫の事実があっても慰謝料を請求できない、あるいは請求しても認められにくいケースも存在します

具体的には、以下のような場合です。

  • 夫婦関係がすでに破綻していた
  • 不倫相手が夫を既婚者と知らなかった(かつ、知らなかったことに過失がない)
  • 肉体関係(性交渉)がない
  • 時効が成立している
  • 不倫をしている証拠が不十分である

慰謝料は精神的苦痛に対する賠償です。

婚姻関係がすでに破綻していた場合は、精神的苦痛が少ないと判断されたり、相手に故意・過失がない場合は不法行為が成立しにくいとされたりします。

不倫慰謝料はいくら?相場は50万円~300万円

不倫慰謝料の相場

不倫慰謝料の相場は、一般的に50万円~300万円程度

ただし、大きく分けると「離婚するか」「離婚しないか」で、相場金額は変動します。

離婚する場合の慰謝料相場:100万円~300万円

不倫が原因で離婚に至る場合、慰謝料の相場は100万円~300万円程度

不倫によって婚姻共同生活の平和が破壊され、離婚という結果に至った精神的ダメージは甚大であると判断され、比較的高額になる傾向があります。

離婚する場合は配偶者と不倫相手の双方に慰謝料請求するケースが多く、特に経済的に不安定になる妻の立場では、十分な賠償を求める必要性が高いと考慮されることもあるでしょう。

離婚しない場合の慰謝料相場:50万円~200万円

不倫があっても離婚せず婚姻関係を継続する場合、慰謝料の相場は50万円~200万円程度

婚姻関係の破綻までには至らなかったと評価され、精神的苦痛の程度が離婚する場合に比べて相対的に低いと判断される傾向があります。

配偶者と離婚しない場合、今後の生活を考えて不倫相手に対してのみ慰謝料請求をおこなうことが多く、その場合、不倫相手は慰謝料全額を支払う義務を負います

不倫慰謝料が相場より高額・低額になるケース

不倫慰謝料が相場より高額・低額になるケース

特定の条件下では相場より高額・もしくは低額になることがあります。

慰謝料額の算定では、不法行為の悪質性、被害者の精神的苦痛の程度、加害者の経済状況、社会的地位など、さまざまな要素が総合的に考慮されるためです。

不倫慰謝料が相場より高額になる・増額されるケース

不倫慰謝料が相場よりも高額になる、あるいは請求額から増額されるのは、主に不倫の態様が悪質だったり、精神的苦痛が特に大きかったと認められる場合です。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • 不倫の期間が長い
  • 肉体関係の回数が多い
  • 不倫相手が妊娠・出産した
  • 不倫相手が積極的に不倫関係を主導した
  • 不倫が原因で請求者がうつ病を患った
  • 夫婦に未成年の子どもがいる

慰謝料額は、不法行為の態様(期間、頻度、経緯)、被害者の精神的苦痛の度合い、加害者の資力などを総合的に考慮して決定されるため、悪質なケースほど高額になります。

なお、ダブル不倫(不倫相手自身も既婚者である場合)は悪質性が高いと思われがちですが、慰謝料の相場より高額になるわけではありません。

不倫慰謝料が相場より低額になる・減額されるケース

一方で、不倫慰謝料が相場よりも低額になる、あるいは請求した金額から減額されるケースも存在します。

不倫の悪質性が低いと判断される場合や、請求する側に一定の責任があると考えられる場合などです。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • 不倫の期間が極めて短い
  • 肉体関係の回数が1~2回程度と少ない
  • 不倫前から夫婦関係が悪化・破綻していた
  • すでに社会的制裁を受けている
  • 不倫相手の収入が著しく低い、または資力が乏しい
  • 請求者側にも夫婦関係破綻について一定の落ち度があったと認められる

不法行為の程度が軽微であったり、加害者に賠償能力がなかった場合は、請求できる金額も現実的な範囲に落ち着きます。

また、請求する側にDVやモラハラなど一定の落ち度がある場合や、配偶者や不倫相手がすでに社会的制裁を受けている場合(不倫が原因で会社を懲戒解雇されたなど)も減額事由となり得ます。

浮気や不倫の慰謝料請求に必要な不倫の証拠とは?

不倫慰謝料を請求するには、「不貞行為があった客観的な証拠」と、不倫相手の「故意・過失を裏付ける証拠」が極めて重要です。

裁判や交渉において、不倫の事実や相手の認識を立証する責任は請求側にあります

証拠がなければ、相手が事実を否認した場合に請求が困難になるため、事前の証拠収集が成功の鍵を握るでしょう。

不倫の証拠集めの方法は別記事で紹介しているので、参考にしてください。

【参考記事】不貞行為の証拠とは?慰謝料請求に必要な証拠の集め方や注意点

不貞行為の証拠:肉体関係を証明する客観的なもの

不貞行為の証拠とは、配偶者と不倫相手との間に肉体関係があったことを直接的または間接的に証明する客観的な資料のこと。

具体的には、以下のようなものが不貞行為の証拠として有効とされています。

  • ラブホテルへの出入りを撮影した写真や動画
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの利用明細
  • カーナビの履歴やGPSの記録
  • 宿泊を伴う旅行に行ったことがわかる写真、予約確認メール
  • 性交渉の存在や頻度を具体的にうかがわせる内容のLINEやメールのやり取り
  • 不倫の事実や肉体関係を認めた音声データや自認書
  • 探偵事務所が作成した調査報告書

反対に「食事の約束のメッセージ」や「手をつないでいる写真」などだけでは、肉体関係があったと証明できず、不貞行為の証拠にはなりません。

また、ひとつの証拠だけでは弱い場合もあるため、できるだけ多くの証拠を用意するとよいでしょう

複数集めておくことが、より確実に不貞行為を立証し、交渉を有利に進める上で重要です。

故意・過失の証拠:既婚者と知っていた証拠

「故意・過失の証拠」とは、不倫相手があなたの配偶者を既婚者であると知っていた(故意)、または少し注意すれば知り得たはず(過失)であることを示す証拠です。

特に不倫相手に慰謝料請求したいときには重要。

不倫相手が「既婚者とは知らなかったし、知ることもできなかった」と主張した場合、故意・過失を証明できなければ不法行為責任を問えない可能性があります。

証拠の具体例は次のとおりです。

  • SNSで、配偶者が夫婦関係や家族写真を日常的に公開しており、不倫相手がそれを閲覧できる状態にあったことを示すもの
  • 共通の知人から、不倫相手が「彼は既婚者である」などと聞いていたことを示す証言や書面
  • 配偶者が日常的に結婚指輪をしていたことを、不倫相手が認識していたことを示す情報
  • 職場の同僚であるなど、客観的に既婚者であることを知り得る立場にあったことを示す状況証拠

これらの証拠によって、不倫相手が「知らなかった」という言い逃れを防げます。

一方、たとえば配偶者と不倫相手がマッチングアプリで出会い、配偶者が結婚していることを巧妙に隠していた場合、不倫相手に故意も過失も認められないとして慰謝料請求ができない可能性があります。

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不倫慰謝料を請求する4つのステップ・流れ

不倫慰謝料を請求する4つのステップ

不倫慰謝料を請求する方法は、主に「当事者間の交渉(話し合い)」「内容証明郵便の送付」「慰謝料請求調停の申立て」「慰謝料請求訴訟(裁判)の提起」の4つのステップがあります。

状況や相手の対応に応じて、まずは穏便な方法から始め、段階的に法的拘束力の強い手段へ移行していくのが一般的。

円満な解決を目指しつつ、最終手段も視野に入れる必要があります。

1.直接交渉:まずは話し合いでの解決を目指す

不倫慰謝料を請求する最初のステップとして、まずは不倫相手(場合によっては配偶者も含む)と直接話し合い、慰謝料の支払いについて合意による解決を目指す方法があります。

裁判などの法的手続きに比べて時間や費用を抑えられ、双方の合意に基づき早期解決が期待できる最も穏便な方法です。

ただし、感情的になりやすい局面でもあるため、第三者(弁護士など)を交えて冷静な対応を心がけましょう

また合意ができた場合は、その内容を必ず示談書や合意書といった書面に残しておいてください。

口約束だけでは、後になって「そんな約束はしていない」と言われてしまうリスクがあります。

2.内容証明郵便:書面で請求の意思を明確に伝える

交渉が難航する場合や相手が話し合いに応じない場合、請求内容(慰謝料額、支払期限等)や法的措置も辞さない意思を記載した内容証明郵便を送付して支払いを促します

内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに送ったか」を郵便局が証明するもの。

証拠としての価値があります。

また、相手に心理的なプレッシャーを与える効果も期待でき、時効の進行を一時的に止める「催告」としての効果もあります(6ヵ月以内に裁判上の請求等が必要)

3.慰謝料請求調停:裁判所の調停委員を介して話し合う

当事者間での直接交渉や内容証明郵便を送っても解決しない場合、次の手段として裁判所に「慰謝料請求調停」を申し立てる方法があります。

調停とは、裁判官と、一般市民から選ばれた調停委員が中立な第三者として間に入り、双方の主張を聞きながら、話し合いによる円満な解決を目指す手続き。

調停は訴訟(裁判)とは異なり非公開でおこなわれるため、プライバシーが守られやすいというメリットがあります。

話し合いの結果、合意に至れば、その内容が「調停調書」という書面にまとめられます。

調停調書は強い法的効力を持つため、相手が調停で決めた内容を守らない場合には、強制執行の手続きをとることも可能です。

4.慰謝料請求訴訟:最終手段として裁判で決着をつける

調停でも合意に至らない場合や相手が請求を完全に無視する場合、最終的な法的手段として、裁判所に「慰謝料請求訴訟」を提起することになります。

判決には法的強制力があり、相手が判決に従い支払いに応じない場合は、強制執行(相手の給与や預貯金、財産の差し押さえなど)が可能です。

訴訟を提起するには、まず弁護士に相談し、訴状を作成してもらうのが一般的。

その後、口頭弁論期日で証拠に基づき主張・立証をおこない、最終的に和解が成立しなければ判決が言い渡されます。

【注意点】不倫慰謝料請求の時効は3年か20年

不倫の慰謝料請求権には時効があり、以下のいずれか早い方が到来すると法的に請求できなくなります。

  • 不倫の事実と不倫相手を知った時から3年
  • 不倫行為があった時から20年

たとえば、2020年4月1日に夫の不倫の事実と、その相手がA子さんであることを具体的に知った場合、慰謝料請求の時効は原則として2023年3月31日となります。

また、25年前に夫が一度だけ不倫していた事実を最近になって知ったとしても、最後の不貞行為の時から20年以上が経過しているため、原則として慰謝料請求はできません

時効を止める(更新・完成猶予)方法はある?

法的な手続きによって時効の更新(リセット)や完成猶予(一時停止)を図ることが可能

時効期間が迫っている場合、何もしなければ権利が消滅してしまうため、時効の進行を止めたりリセットしたりする手続きが用意されています。

具体的には以下の方法で時効を止められます

  • 裁判上の請求(訴訟の提起、支払い督促、調停申立てなど)
  • 内容証明郵便による催告
  • 債務の承認

債務の承認とは、不倫相手や配偶者が「慰謝料として〇〇万円支払います」といった内容の書面を作成したり、一部でも支払ったりすること

「債務を承認した」とみなされ、その時点から新たに時効が開始されます。

より多くの不倫慰謝料を獲得するための3つのポイント

より多くの不倫慰謝料を獲得するための3つのポイント

より多くの慰謝料を獲得するためには、「専門家への依頼」「有益な証拠集め」「相手の支払い能力の的確な把握」が重要です。

これらのポイントを押さえることで、より有利な条件での解決が期待できます。

専門家に依頼して冷静かつ有利に交渉を進める

慰謝料交渉は感情的になりがちなため、第三者である弁護士に依頼すると冷静かつ法的に有利な条件で解決できる可能性が高まります

弁護士は法律と交渉の専門家。法的知識や過去の判例に基づいて適切な慰謝料額を算定し、相手方と論理的に交渉します。

また、弁護士が介入することで相手方も真摯に対応せざるを得なくなり、スムーズに話が進むケースは少なくありません。

さらに、弁護士に交渉を代行してもらうと相手との直接のやり取りを避けられ、精神的なストレスが大幅に軽減されます

有益な証拠を集める

より多くの慰謝料を獲得するためには、不倫の事実を裏付ける「有益な証拠」をできるだけ多く、かつ質の高い形で集めることが不可欠

証拠は交渉や裁判における最大の武器であり、その質と量が慰謝料額を大きく左右します。

特に、以下のような「不倫の悪質性」を示す具体的かつ客観的な証拠は、慰謝料増額の重要な要素となります。

  • 長期間にわたる性交渉を示唆する具体的なLINEのやり取り
  • ラブホテルへの出入りを継続的に捉えた写真
  • 不倫相手が不倫関係を主導していたことを示す手紙
  • 不倫が原因で請求者が精神疾患を発症したことを示す医師の診断書

不倫の期間が長かったり肉体関係が多かったりする場合、不倫相手が積極的に不貞行為に及んでいる場合などは悪質性が高いと判断されます。

また不倫が原因で離婚にいたった場合や夫婦に未成年の子どもがいる場合も、相場よりも高額な慰謝料を請求できる可能性があるでしょう。

現実的な請求額と回収可能性を見極める

相手の職業、収入、資産状況(預貯金、不動産など)を可能な範囲で把握し、現実的に支払可能な範囲で最大限の慰謝料を請求することが、実際に慰謝料を回収するうえで重要です。

いくら高額な慰謝料請求が裁判で認められても、相手に支払い能力がなければ回収できません。

事前に相手の資力をある程度把握することで、適切な請求額を設定し、回収計画を立てやすくなるでしょう。

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不倫慰謝料の金額相場は50万円から300万円程度とされていますが、実際に適正な慰謝料を獲得するには専門的な知識と交渉スキルが必要です。

弁護士に依頼すると、日常生活への影響を最小限に抑えながら問題解決を図れるでしょう。

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不倫慰謝料に関するよくある質問

不倫慰謝料に関して多く寄せられる疑問について回答します。

これらの情報を参考に、ご自身の状況に応じた適切な対応を検討してください。

W不倫の場合も慰謝料を受け取れる?

不倫相手も既婚者である、いわゆるダブル不倫の場合でも、慰謝料を請求可能です。

それぞれの不倫は法的には別個の不法行為として扱われ、それぞれの配偶者が慰謝料を請求する権利自体は発生します。

しかし実際には、交渉や裁判の中で、事実上一部相殺されるような形で金額が調整されることがあります。

不倫の慰謝料を配偶者と浮気相手の双方に請求(二重取り)できる?

配偶者と浮気相手の双方に慰謝料を請求することは可能ですが、精神的苦痛の総額を超える金額を二重に取ることはできません

不倫は夫と浮気相手の共同不法行為であり、両者が連帯して賠償責任を負います。

たとえば精神的苦痛に対する慰謝料の総額が300万円と評価される場合、配偶者から100万円を受け取ったら、浮気相手には残り200万円を請求できます。

不倫の証拠がひとつしかない場合でも慰謝料請求できる?

証拠がひとつだけでも、それが不貞行為(肉体関係)を強く推認させる決定的なものであれば慰謝料請求できる可能性はあります。

たとえば、不倫相手が不貞行為を明確に認めた念書や録音がひとつあるだけでも強力な証拠です。

しかし、間接的な証拠ひとつだけでは不十分と判断される場合が多く、複数の証拠を組み合わせることで説得力が高まります

離婚したあとでも不倫の慰謝料を請求することはできる?

離婚後であっても、不倫慰謝料請求権の時効が完成していなければ、慰謝料を請求することは可能です。

不倫の事実と相手を知ってから3年、または不倫行為から20年の時効期間内であれば請求できます。

ただし、離婚時の財産分与や慰謝料の取り決めの際に「一切の請求をしない」といった合意をしていれば請求は難しくなります

離婚協議の内容によって状況が変わるため、専門家への相談がおすすめです。

不倫相手が慰謝料を払えないときはどうなる?

不倫相手が慰謝料を払えない場合でも、支払い義務は残ります

分割払いを求めたり、財産や給与を差し押さえる法的手続きが取られるケースもあります。

ただし、相手に資産や収入がまったくない場合、実質的に回収が困難になるのが実情。

このような状況を避けるため、事前に相手の支払い能力を調査し、現実的な請求額を設定することが重要です。

さいごに

不倫慰謝料を請求するには、法的に「不貞行為」と「故意・過失」の立証が不可欠です。

慰謝料の相場は、離婚する場合で100万円~300万円、離婚しない場合で50万~200万円前後

不倫の悪質性が高かったり、精神的苦痛が特に大きかったりする場合には相場よりも高額になる傾向があります。

証拠が不十分だったり時効が成立していたりすると、いくら不倫の事実があっても慰謝料請求は難しくなるでしょう。

まずは不倫慰謝料に強い弁護士に相談し、慰謝料を請求できるのか、どのような対応が可能かなどを確認するのがおすすめです。

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