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ザックリわかる相続手続き|簡易診断でどの手続きが必要になるか確認しよう

弁護士監修記事
遺産相続
2025年02月12日
2025年03月05日
ザックリわかる相続手続き|簡易診断でどの手続きが必要になるか確認しよう
この記事を監修した弁護士
磯田 直也弁護士 (ルーセント法律事務所(相続分野))
他士業と連携を取り、相続税が関わるような複雑な案件や遺産額が大きい案件にも対応可能。故人が企業やクリニックを経営していた案件など、より難易度の高い相続事件についても対応実績がある。
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ご家族を失い悲しみに暮れる中でも、残された遺族は相続手続きを進める必要があります

しかし、相続手続きは非常に複雑で、民法などの専門的な知識が求められるうえ、たくさんの書類を集める必要があります。

大きな労力がかかってしまうので、遺族にとって身体的・精神的な負担が大きくなるでしょう。

そんなご遺族のためにも、本記事では難しい相続手続きについてわかりやすく解説します。

また、人によって必要な相続手続きは異なるため、状況別に手続きがわかる簡易診断もご用意しました。

なお、場合によっては専門家に手続きを一任することが望ましいので、専門家に相談するメリットについても説明しています。

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相続手続きとは?亡くなった方の財産を引き継ぐための手続きのこと

相続手続きとは、亡くなってしまった方(被相続人)の財産を、相続できる権利を有する方(相続人)が引き継ぐための手続きのことをいいます。

相続手続きは、主に以下の流れで進みます。

順番 手続き 期限 必要性
STEP1 遺言の有無の確認 できるだけ速やかに(目安は1ヵ月前後) 必須
STEP2 相続人の調査 できるだけ速やかに(目安は1ヵ月前後) 必須
STEP3 相続財産の調査 できるだけ速やかに(目安は1ヵ月前後) 必須
STEP4 相続放棄の選択 相続の開始を知った日から3ヵ月以内 必要な場合のみ
STEP5 遺産分割協議 遺産分割協議書の作成 期限なし 遺言書がある場合は原則不要
STEP6 相続税の申告 相続の開始を知った日から10ヵ月以内 必要な場合のみ
STEP7 相続登記の手続き 相続での不動産の取得を知った日から3年以内 相続財産に不動産がある場合

STEP1〜STEP3は全員に必要な手続きとなりますが、STEP4〜STEP7は一定の状況下のみ必要な手続きとなります。

自分はどの相続手続きが必要になるの?状況別に必要な手続きを診断

自分にどの手続きが必要かは状況によって異なります。

以下で具体的なケースを確認しておきましょう。

1.遺言書がない場合…遺産分割協議が必要になるかも

被相続人が遺言書を残していない場合で、かつ相続人が複数いるときは、相続人全員で誰がどの遺産を相続するかについて話し合う必要があります。

相続人間での協議内容がまとまり次第、遺産分割協議書を作成する必要があるでしょう。

ただし、民法によって決められた相続分(法定相続分)通りに遺産を相続する場合には、遺産分割協議書は原則として不要です。

2.相続財産が多い場合…相続税申告が必要になるかも

被相続人の遺産を相続することになった際、遺産の総額が基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告手続きをおこなう必要があります。

基礎控除額とは、一定の範囲の遺産に対して税金がかからない金額のことを指します。

計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となり、控除額を超えた分に対してのみ相続税がかかります。

法定相続人の人数 基礎控除額
1人 3,000万円 + 600万円 × 1 = 3,600万円
2人 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
3人 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
4人 3,000万円 + 600万円 × 4 = 5,400万円
5人 3,000万円 + 600万円 × 5 = 6,000万円

 

遺産の総額が基礎控除額を下回っている場合は、基本的に相続税の申告は不要です。

ただし「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を受ける際には、基礎控除額内でも申告が必要となることがあるので注意が必要です。

3.マイナスの財産が多い場合…相続放棄が必要になるかも

遺産には、土地、預貯金などのプラスの財産のほかに、借金などのマイナスの財産も含まれます。

相続人は、被相続人の財産を相続するかどうかを、以下の3つの方法から選択できます。

  •  単純承認:プラス財産もマイナス財産も引き継ぐ方法
  •  相続放棄:相続財産を全て相続しない方法
  •  限定承認:プラスの財産の範囲内でマイナス財産を引き継ぐ方法

一般的には「単純承認」が選択される場合がほとんですが、遺産にマイナスの財産が含まれている場合には、「相続放棄」を選ぶべきです。

「限定承認」は一見するとメリットがあるように見えるかもしれませんが、手続きに1年程度要し、多額の費用もかかります。

相続放棄は年間20~30万件程度利用されていますが、限定承認は年間700件程度であり、一般的なケースで限定承認をするべきケースはほぼありません。

単純承認を選択する場合、特に手続きは必要ありませんが、相続放棄をする場合、相続の開始を知った日から3ヵ月の期間内に家庭裁判所へ相続放棄を申述する必要があります。

4.土地や建物を相続した場合…相続登記が必要になるかも

被相続人から相続した財産に土地や建物などの不動産が含まれている場合には、相続登記が必要になります。

令和6年4月1日以降、相続人が土地や建物の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する義務が課されました。

正当な理由がないのにもかかわらず義務を守らなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があるので、注意が必要です。

相続手続きは自分でできる?自力でおこなうメリットとデメリット

相続手続きは、専門家に依頼する方法と自分でおこなう方法とがありますが、自力でおこなう場合はあらかじめメリットとデメリットを把握しておくべきです。

以下で確認しておきましょう。

メリット|自分のペースで進められる、費用を抑えられるなど

相続手続きを自分でおこなうことで、自分のペースで作業を進めることがきます。

忙しい日々の中でもスケジュールを調整しやすく、無理のない計画を立てられるでしょう。

また、専門家に依頼する費用がかからないため、手続き全体に要するコストを抑えることができます。

自ら手続きを進めることで、相続に関する全体の流れを把握しやすくなり、知識が深まるというメリットもあります。

【相続手続きを自力でおこなうメリット】
  • 自分のペースで手続きを進められる。
  • 申告や登記に関する費用を抑えることができる。
  • 手続きの流れを把握できる。

デメリット|時間や手間がかかる、間違える可能性があるなど

相続手続きを自力でおこなう場合、必要な書類を準備し、各種手続きの流れを理解するために、相当な時間と労力を要しなければなりません

また、複雑な手続きではミスや手続きの漏れが起こりやすく、後から修正が必要になる場合もあります。

手続きがうまくいかないと、相続人同士でトラブルが発生する可能性もあり、スムーズに進まないケースも少なくありません。

【相続手続きを自力でおこなうデメリット】
  • 時間や手間がかかる。
  • 手続きの間違い、漏れが起こりやすい。
  • 相続人間のトラブルが起こりやすい。

自力で相続手続きをするなら?成功させるための4つのポイント

相続手続きを自力で進めようと考えている場合、スムーズに手続きをするために重要なポイントがいくつかあります。

以下、主な4つのポイントを解説します。

1.必要な手続きを漏れなく確認する

相続財産の種類や遺言の有無によって、必要となる相続手続きが異なります。

また、相続財産の金額や相続人の人数によって、手間や負担も異なります。

自分にとって必要な手続きを漏れなく把握したうえで、相続手続き全体の流れを事前に確認しておくのが大切です。

2.余裕のあるスケジュールを立てる

相続手続きを進めるにあたっては、各手続きに期限が設けられていることを念頭に置く必要があります。

たとえば、相続放棄をする場合は、自身が相続人であると知ってから3ヵ月以内に申述書を提出しなければなりません。

また、相続税の申告は、相続の開始を知ってから10ヵ月以内におこなう必要があります。

相続手続きは多岐にわたるので、必ずしもスケジュール通りに進むことは限りません。

そのため、余裕を持ったスケジュールを事前に立てておくようにしましょう。

3.インターネット検索を上手に活用する

被相続人名義の銀行口座がある場合は、解約や名義変更などの手続きが必要なほか、光熱費などの支払いがある場合は、相続人が引き継いで支払う必要があります。

このような手続きに関しては、銀行や電力会社の公式ホームページで具体的な方法を確認することができます。

たとえば、「●●銀行 相続手続」や「●●電力 相続手続」といったキーワードで、書類や通帳に記載されている会社名を用いて検索すれば、関連する手続きが記載されたページが見つかるかもしれません。

インターネット検索を上手に活用することで、必要な情報を簡単に手に入れることができるでしょう。

4.専門家との無料相談でアドバイスをもらう

相続問題に詳しい専門家として、「弁護士」「税理士」がいます。

専門家に相談することで、個別のケースに応じた具体的なアドバイスをもらうことができます。

また、多くの事務所では、無料の電話相談やメール相談を受け付けているので、ホームページなどで確認しておきましょう。

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相続手続きについて知りたいなら誰に相談すべき?悩み別のおすすめ専門家

相続手続きを自分だけで進めるのは難しそうと感じた場合には、専門家に相談するのがおすすめです。

どの専門家に相談するべきかは状況によって異なります。

以下、悩み別におすすめ専門家を紹介しますので、最適な相談先を見つけるための参考にしてください。

1.遺産分割協議や相続放棄について相談したい場合|弁護士

遺産分割協議や相続放棄に関してトラブルが発生しそうな場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。

例えば以下のような事案では、遺産分割協議で相続人同士の意見が対立することが多いです。

  • 相続人の数が多い
  • 遺産に不動産がある
  • 介護の負担が平等ではない
  • 遺言書がない、又は内容が平等でない

弁護士は、遺産分割協議を進める際、相続人の代理人として他の相続人と交渉することができます。

早い段階から弁護士に相談しておくことで、当事者間のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

2.相続税の申告や節税について相談したい場合|税理士

相続人が自分で相続税申告をおこなうと、時間や手間を要してしまうのみならず、自己判断によるミスで本来支払わなくてよい税金を支払ってしまう可能性があります。

一方、税理士に相続税申告を依頼すると、無駄な税金を限りなくゼロにできるほか、時間的負担も軽減できます。

よって、相続税の申告や節税に不安がある方は、税務の専門家である税理士に依頼するのがおすすめです。

3.不動産の登記について相談したい場合|司法書士

不動産を相続する場合は、相続登記をする必要があります。

もっとも、相続登記に必要書類は多岐にわたり、全て自分でそろえて申請するとなると、大変な知識と労力が必要となります。

相続登記について疑問や不安を抱えている方は、登記の専門家である司法書士に相談するのがおすすめです。

さいごに|相続が発生したら一度、専門家に相談するのがおすすめ!

相続手続きを自分でおこなうこともできますが、相続財産の確認、遺産分割協議、相続放棄など、一つ一つの手続きを漏れなくおこなうには専門的な知識が必要になります。

弁護士などの専門家に相談することで、手続きを適切に進めることができるほか、トラブルの予防も期待できるでしょう。

とくに、複雑な相続案件や当事者間の争いが起きそうな事案の場合には、早めに専門家に相談してください。

参考:相続の優先順位が変わるケースもある? 相続のルールをチェックしよう公益社

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
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