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自己破産をしても家は守れる?手放さずに済む条件と方法を解説

弁護士監修記事
債務整理
2025年02月28日
2025年02月28日
自己破産をしても家は守れる?手放さずに済む条件と方法を解説
この記事を監修した弁護士
春田 藤麿弁護士 (弁護士法人春田法律事務所(債務分野))
「お客様の期待を上回る結果を目指す」「生涯にわたり、お客様のパートナーとなる」ことを理念とし、2016年に設立。現在は全国にオフィスを構え、個人・法人を問わず、ニーズに合わせたサポートを提供。
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  1. 「自己破産をしたいけど、持ち家が差し押さえられるのは困る」
  2. 「持ち家を手放さずに借金を減額してもらう方法って無いの?」

自己破産を検討中の方の中には、このような持ち家に関する悩みを抱えている方も少なくないでしょう。

自己破産は、ほぼ全ての借金の支払い義務を帳消しにできる手続きですが、持ち家など一定以上の価値がある財産は基本的に手放さなくてはいけません

しかし、場合によっては自己破産をした後でも持ち家に住めるケースがあるため、諦める必要はありません。

本記事では、自己破産をしても持ち家に住めるケースや、持ち家に住み続けながら借金問題を解決する方法について詳しく解説します。

また、持ち家の所有者が自己破産をする際の注意点についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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自己破産をすると、持ち家は原則として処分される

自己破産とは、裁判所に申し立てて、ほぼ全ての債務(借金)の支払い義務を帳消しにする手続きです。

奨学金や住宅・自動車ローンをはじめとして、クレジットカードのリボ払いや教育ローンなど、私たちの生活と借金は非常に密接に関わっています。

2022年の総務省統計局の家計調査によると、20代の方のうちおよそ4割が何らかの借金を抱えているとされています。

お金を借りるときは、計画的に返済していけると思っていても、怪我や病気、失職などのやむを得ない事情により収入が減ったり途絶えたりしてしまい、当初の計画通りの返済ができないこともあるでしょう。

自己破産は、そんな方でも生活を立て直せるように国によって認められている制度です。

とはいえ、自己破産をされるとお金を貸している側(債権者)である銀行や金融機関などは大きな損害を受けることとなります。

そういった債権者の権利を守るために、破産者が持つ一定以上の価値がある財産は裁判所によって没収され、換金したうえで債権者たちに分配されるのが通常です。

とくに、持ち家などの不動産は売却処分をすれば一定以上のお金になるケースがほとんどなので、自己破産をした際には原則として処分されることになるでしょう。

自己破産をしても持ち家に住めるケース

自己破産をすると、持ち家は原則として処分対象となりますが、以下の3つのケースに当てはまる場合、例外的に自己破産後も持ち家に住み続けられます

  • 持ち家が自分以外の家族名義である場合
  • 持ち家が共同名義で、共同名義人が一括購入できる場合
  • 持ち家を売却できなかった場合

それぞれのケースについて、具体的に解説します。

持ち家が自分以外の家族名義である場合

自己破産をした際に住んでいる持ち家が自分以外の家族名義の場合、その家は財産処分の対象にはならない可能性が高いでしょう。

自己破産においては、破産者本人の財産のみが清算の対象となり、家族名義の資産は本人のものではないとみなされるためです。

そのため、配偶者や両親などの名義で購入した持ち家であれば、自己破産後も住み続けられます。

ただし、家族名義といっても名義変更が破産申立て直前におこなわれた場合や、名義を借りて実質的には本人が所有していると判断される場合には、財産隠しとみなされ、結果的に処分対象となるため注意しましょう。

また、家族名義であっても、ローンの支払いを破産者がおこなっていた場合など、実質的に破産者の財産であるとみなされる場合には、裁判所がその経緯を詳しく調査する可能性もあります。

持ち家が共同名義で、共同名義人が一括購入できる場合

持ち家が自己破産者と家族や配偶者などとの共同名義となっており、共同名義人が家全体の持ち分を一括で購入できる場合、その家を売却する必要がないケースもあります。

自己破産手続きでは、破産者の財産が換価されて債権者への配当に充てられますが、共同名義の場合、破産者が所有する持ち分のみがその対象となります。

そのため、本来であれば処分対象となる破産者の持ち分を、他の共同名義人が市場価格で買い取ることができれば、家全体が売却されることを防げるのです。

共同名義人が貯金や借り入れなどを活用して資金を調達し、適切に手続きをおこなえば、自己破産をした場合でも裁判所が認めた形で持ち家を手元に残すことができるでしょう。

ただし、持ち家が共同名義であっても、住宅ローンを返済中で家全体に抵当権が設定されている場合は、自己破産をしたタイミングで持ち家は売却されてしまうため注意が必要です。

持ち家を売却できなかった場合

持ち家が売却できなかった場合も、自己破産後もその家に住み続けられるケースがあります。

債務者が自己破産をした際、債務者が所有している財産のうち一定以上の価値があるものは、裁判所の担当者である破産管財人の管理のもと売却処分され、換金したうえで債権者に分配されます。

しかし、持ち家が極端に市場価値の低い不動産であり、売却しても債権者への十分な返済が見込めなかったり、または競売に出した際に買い手が見つからなかったりした場合には、破産管財人がその家の売却を断念することがあります。

この場合、持ち家は売却処分されず、自己破産者がそのまま住み続けることが許されるでしょう。

持ち家に住み続けるための4つの方法

借金問題を解決しながら持ち家に住み続けるためには、以下の4つの方法が考えられます。

  1. 家族に一括払いで買い取ってもらう
  2. リースバックを利用する
  3. 自己破産でなく、個人再生か任意整理で借金問題を解決する
  4. 弁護士に相談をする

それぞれについて、具体的に解説します。

家族に一括払いで買い取ってもらう

借金を整理しながら持ち家に住み続ける方法の一つに、家族に一括払いで家を買い取ってもらうという手段があります。

持ち家が破産者の名義である場合は、通常は破産管財人によって持ち家が回収され、換金処分したうえで債権者に分配されます。

つまり、破産管財人としては「破産者の持ち家と同等の価値のお金」が手に入れば問題ないのです。

そのため、家族や親族などが破産管財人にお金を支払って持ち家を買い取れば、家族や親族が家の持ち主となってその家を借りるという形で今の家に住み続けることができます

ただし、家を買い取る際は、市場相場と同等の価格で破産管財人から購入しなくてはいけません。

また、このような親族間の不動産取引において、ローンを組んでくれる銀行はまず存在しないため、一括払いで購入する必要があります。

持ち家を一括購入するためには数千万円ほどの現金を用意しなくてはならないケースが多く、現実的には難しい方法といえるでしょう。

リースバックを利用する

リースバックとは、持ち家を一旦不動産会社や投資家に売却し、その後賃貸契約を結ぶことで同じ家に住み続ける仕組みです。

自己破産においては持ち家などの財産は処分されてしまいますが、賃貸物件に住んでいる場合は家を追い出される心配はありません。

そのため、自己破産前に持ち家をリースバックしておき、持ち家から借り家に変えることで今の家に住み続けることができるのです。

ただし、リースバックを利用するうえでは以下の3点に注意する必要があります。

通常の賃貸よりも賃料が高くなりやすい

不動産会社が家を買い取る金額にもよりますが、リースバックの場合は一般的な相場よりも家賃が高くなるケースが少なくありません。

将来的に一括払いで家を買い戻さなくてはいけない

リースバック後の賃貸契約は、基本的に期限付きの借家契約として扱われ、契約後2年〜5年後に家を買い戻す前提となります。

ただし、自己破産後5年~7年ほどはローンを組むことが難しいため、買い戻す際は基本的に一括払いで支払わなくてはいけません

もし一括払いで買い戻せるだけのお金が用意できなければ、不動産会社によって持ち家が転売されてしまい、結果として家を追い出されることになるでしょう。

破産管財人の許可のもと適切な金額で売却する必要がある

リースバックをすると、持ち家を売却しただけのお金が手元に入ることになりますが、そのお金は基本的に債権者へと分配しなくてはなりません。

持ち家を相場よりも低い価格で売却すると債権者の利益を害することとなるため、破産管財人の許可を得たうえで適切な価格で売却する必要があります。

自己破産でなく、個人再生か任意整理で借金問題を解決する

自己破産以外の債務整理手段として、個人再生や任意整理を選ぶことで、持ち家に住み続けられる場合があります

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残りを分割払いで返済していく手続きです。

住宅ローンを返済中であっても「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンを特別扱いとして継続的に返済していくことで、今の持ち家に住み続けながら他の借金を大幅に減額することができます。

一方、任意整理は債権者との直接交渉により借金の利息をカットしてもらう手続きであり、裁判所を通さずにおこなえるのが特徴です。

任意整理は、個人再生や自己破産などと比較すると借金の減額幅は小さいですが、整理する対象の借金を自由に選択できるため、ローン返済中かどうかにかかわらず、持ち家を売却せずに借金問題を解決できる可能性が高いでしょう。

ただし、いずれの方法も、安定した収入があることが前提となり、返済計画が実現可能であることを示す必要があります。

弁護士に相談をする

借金問題や持ち家に関する悩みを解決する第一歩として、弁護士に相談することが重要です。

債務整理の実績が豊富な弁護士であれば、さまざまな人の借金問題を解決してきた経験をもとに、自己破産、個人再生、任意整理など、適切な手続きを選ぶためのアドバイスをしてくれます。

借金問題に関しては無料相談を実施している法律事務所も多いため、気軽に問い合わせてみましょう。

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持ち家の所有者が自己破産をする際の注意点

持ち家の所有者が自己破産をする際は、以下の4点に注意しましょう。

  • 自己破産申し立て前に家の名義変更をしない
  • 持ち家に住めるのは、新しい買主が現れるまで
  • 自己破産後は賃貸住宅に住むケースがほとんど
  • 自己破産後は、住宅ローンの利用はしばらくできない

それぞれの注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。

自己破産申し立て前に家の名義変更をしない

自己破産を申し立てる前に、持ち家の名義を他人や家族に変更する行為は避けるべきです。

自己破産で処分対象となるのは破産者本人名義の財産だけなので、自己破産前に名義変更をすれば処分を免られると考える方もいるかもしれません。

しかし、自己破産前の名義変更は必ずバレてしまい、「財産隠し」とみなされて名義変更を無効化されてしまいます

また、名義変更のような財産隠し自体が自己破産における重大なルール違反であるため、場合によっては破産手続きが認められなくなるリスクがあるでしょう。

自己破産の申し立てを検討している場合には、名義変更やその他の資産移動をおこなう前に必ず弁護士に相談し、正しい手続きを進めることが重要です。

やむを得ない事情で名義変更が必要となる場合でも、不正と疑われる行為を避けつつ、手続きをスムーズに進められるでしょう。

持ち家に住めるのは、新しい買主が現れるまで

自己破産の手続きが進むと、持ち家は破産管財人によって売却され、売却代金が債権者への返済に充てられますが、持ち家の売却が完了するまでは家に住み続けることが可能です。

家の立地や状態によってはすぐに買い手が見つかるケースもあり、自己破産申し立てから数ヵ月程度と早期に退去しなくてはならない可能性もあります。

反対に売却まで長引く可能性もありますが、慌てて引っ越し先を探すことにならないように、専門家の助言を受けながら早めに引っ越し準備を進めておきましょう。

自己破産後は賃貸住宅に住むケースがほとんど

自己破産をした場合、持ち家が売却されるため、多くのケースで賃貸住宅に引っ越すことになります

持ち家の買い手が見つかるまでの期間で引っ越し先を探し、賃貸契約を結び引っ越し準備を進めましょう。

ただし、自己破産後の生活再建を円滑に進めるためには、収入に見合った物件を選ぶことが大切です。

自治体が運営する公営住宅や、家賃補助制度を利用することも検討しましょう。

自己破産後は、住宅ローンの利用はしばらくできない

自己破産をすると、信用情報機関に履歴が記録され、いわゆる「ブラックリスト」という状態となります。

自己破産の登録期間は最長で5〜7年とされており、この間は新たな住宅ローンを組むことが困難です。

自己破産後に住宅を購入する場合は、信用情報の回復を待ちながら、審査の通りやすいクレジットカードを申し込んで少額の利用を積み重ねるなど、信用を積み重ねていくことが重要です。

賃貸住宅の場合は自己破産をしても住み続けられる?

賃貸住宅の場合、自己破産後も家に住み続けられるのか気になる方も多いでしょう。

以下では、賃貸住宅の場合の家の扱いについて詳しく解説します。

基本的にそのまま住み続けられる

賃貸住宅に住んでいる方が自己破産をした場合は、基本的に自己破産後も今の家に住み続けられます。

賃貸住宅に住んでいる方にとって家は自分の財産ではないため、自己破産をしたからといって追い出されることはないのです。

家賃を滞納している場合は退去になる可能性も

例外として、賃貸住宅に住んでいる方であっても、家賃を滞納している場合は自己破産によって退去となる可能性もあります。

自己破産は、税金や保険料の未払い分といった一部の債務を除き、ほぼ全ての債務が免除されます。

滞納家賃も自己破産による免除対象となるため、大家さんとの賃貸契約によって定められた家賃の支払いが不履行状態となり、契約違反として追い出される可能性があるでしょう。

ただし、少しでも滞納していたからといって必ず退去となるわけではありません。

基本的に、賃貸契約においては借主のほうが立場が弱く、借家借家法によって借主の権利が強く保護されています。

そのため、大家さんが強制退去を命じることができる条件としては「信頼関係が破壊されている」といえる状態が必要です。

具体的には、3ヵ月以上の長期間の家賃滞納があり、自己破産によって免除となった場合には強制退去となる可能性が高いでしょう。

さいごに|自己破産をしても家を手放したくないなら弁護士に相談を

本記事では、自己破産と持ち家の関係について詳しく解説しました。

自己破産をすると持ち家を手放さなくてはいけないと考えている方も多いかもしれませんが、弁護士などの専門家の助言を受ければ持ち家を残しながら自己破産する方法が見つかる可能性があります。

また、借金問題の解決方法としては個人再生や任意整理もあるため、どうしても持ち家を残したいのであれば自己破産以外の選択肢も検討する必要があるでしょう。

自分に適した債務整理を選択するには、債務整理の実績が豊富な弁護士に相談するのが一番の近道です。

ベンナビ債務整理では、債務整理に注力している弁護士を多数掲載しています。

初回の相談は無料で対応してくれる事務所も多いため、まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。

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編集部
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