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遺産分割協議書への押印を拒否された!相続人ができる対応と弁護士に依頼するメリット

弁護士監修記事
遺産相続
2025年04月11日
2025年04月11日
遺産分割協議書への押印を拒否された!相続人ができる対応と弁護士に依頼するメリット
この記事を監修した弁護士
原内 直哉弁護士 (インテンス法律事務所(相続分野))
弁護士・司法書士の資格を有している他、建設・不動産会社の経営経験もあり、不動産が絡む遺産分割の場合もトータルサポートが可能。休日の面談や電話・オンラインでの面談も受け付けている。
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遺産分割協議書への署名・押印は、拒否することができます。

しかし、拒否されると名義変更や相続税申告などを進められないため、ほかの相続人は困ってしまいます。

そこで拒否された際は、その相続人を説得したり、遺産分割調停を申し立てたりする必要があるでしょう。

本記事では、遺産分割協議書への署名・押印を拒否されて困っている方に向けて、以下の内容について説明します。

  • 遺産分割協議書への署名・押印を拒否された場合の3つのデメリット
  • 遺産分割協議書への署名・押印を拒否されたときの話し合いのポイント
  • 遺産分割協議書への署名・押印を拒否されたときに弁護士に任せるメリット
  • 遺産分割協議書への押印を拒否されても絶対にやってはいけない2つの行為 など

本記事を参考に拒否されたときの対策を学び、円滑に遺産分割協議や相続手続きを進められるようになりましょう。

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遺産分割協議書への署名・押印は拒否される可能性がある

相続人は、遺産分割協議書への署名・押印を拒否することができます。

ひとりでも署名・押印を拒んでいる相続人がいる場合、遺産分割協議は成立せず、相続手続きが進められません。

拒否している相続人のことを説得したり、話し合いを諦めて遺産分割調停に移行したりする必要があるでしょう。

遺産分割協議書への署名・押印を拒否された場合の3つのデメリット

遺産分割協議書への署名・押印を拒否された場合のデメリットは、以下のとおりです。

  • 相続手続きを進めることができない
  • 相続税の申告期限に間に合わなくなる
  • 時間の経過とともに相続が難しくなる

ここでは、遺産分割協議書に署名・押印を拒否された場合のデメリットについて説明します。

1.相続手続きを進めることができない

遺産分割協議をしたあとには、以下のような相続手続きをおこなうことが多いです。

【遺産分割協議後に必要になる主な手続き】

  • 不動産の相続登記
  • 銀行口座の名義変更
  • 株式や投資信託の名義変更 など

これらの相続手続きをする際は、通常、遺産分割協議書や遺言書などを提出する必要があります。

そのため、遺産分割協議書に署名・押印をしてもらえない場合、これらの手続きを進められません。

被相続人が残した財産を活用できないことがデメリットになるでしょう。

2.相続税の申告期限に間に合わなくなる

遺産分割協議が長引くことで、相続税の申告期限に間に合わなくなる可能性があります。

もし申告期限に間に合わなかった場合、税金面で以下のような不利益が生じるでしょう。

【相続税申告に間に合わなかった場合のペナルティ】

  • 延滞税や不申告加算税が発生する
  • 特例措置を適用できなくなってしまう

なお、未分割申告という制度もありますが、配偶者控除や小規模宅地等の特例などは利用することができません。

3.時間の経過とともに相続が難しくなる

遺産分割協議に時間がかかった場合、以下のように新たなトラブルが発生する可能性もあります。

【遺産分割協議書に時間がかかった場合のトラブル】

  • ほかの相続人が亡くなり、新たな相続が発生してしまう
  • 認知症を発症してしまい、成年後見人の選任が必要になる
  • 不動産の相続分に関する相続登記がおこなわれ、第三者に売却されてしまう など

相続の関係者が増えたり、相続人の状態が変わったりすると、遺産分割協議や相続の手続きが難しくなります。

また、不動産など財産の一部が第三者に売却された場合には、その財産の活用も難しくなってしまうでしょう。

遺産分割協議書への署名・押印を拒否されたときの話し合いのポイント

ほかの相続人に遺産分割協議書へ署名・押印を拒否されたときの話し合いのポイントは、以下のとおりです。

  • 署名・押印を拒否している理由を確認する
  • できる限り冷静に話し合いを進める
  • 相続問題が得意な弁護士に相談する

ここでは、遺産分割協議書への署名・押印を拒否している相続人との話し合いのポイントを説明します。

1.署名・押印を拒否している理由を確認する

もし相続人と連絡が取れるなら、なぜ署名・押印を拒否しているのかを確認しましょう。

ほかの相続人が遺産分割協議書への署名・押印を拒否する主な理由には、以下のようなことが考えられます。

【相続人が遺産分割協議書への署名・押印を拒否する主な理由】

  • とにかく手続きを面倒に感じているから
  • 勝手に話を進められて不快に感じるから
  • 一部の人に有利な内容になっているから
  • 財産を隠されているような気がするから
  • 特別受益や寄与分について納得ができていないから など

署名・押印を拒否する理由がわかれば、その問題を解消することで協力してくれる可能性が高まります。

まずは署名・押印を拒否している相続人に電話やメールをして、理由について確認することをおすすめします。

2.できる限り冷静に話し合いを進める

署名・押印を拒否している相続人と実際に話し合いをするときのポイントは、以下のとおりです。

【ほかの相続人と話し合いをするときのコツ】

  • 法律や判例などを参考に客観的な意見を伝える
  • 通帳や登記事項証明書などの証拠を準備しておく
  • 話し合うべき項目を紙に書き出しておいてから話す
  • 直接会うと口論になる場合には手紙でやり取りをする など

感情的になってしまうと、不満を言ったり、言い合いになったりして話し合いが進まなくなる可能性があります。

客観的な資料を提示したり、相手と上手に距離を取ったりしながら、できる限り冷静に話し合いを進めましょう。

3.相続問題が得意な弁護士に相談する

署名・押印を拒否されている場合は、相続問題が得意な弁護士に相談することもおすすめです。

弁護士に相談することで、話し合いのポイントや注意点などについて教えてもらえるでしょう。

また、当事者同士で話し合うべきか、弁護士に依頼すべきかなどについて判断してもらうことも可能です。

初回無料相談に応じている法律事務所も多くあるため、まずはベンナビ相続で弁護士を探して相談してみましょう。

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遺産分割協議書への署名・押印を拒否されたときに弁護士に任せるメリット

遺産分割協議書への署名・押印を拒否されたときに弁護士に任せるメリットは、以下のとおりです。

  • 相手方との交渉を一任できる
  • 第三者の立場で協議を進めてくれる
  • 遺産分割調停・審判なども任せられる

ここでは、遺産分割協議書への署名・押印を拒否されたときに弁護士に任せるメリットを説明します。

1.相手方との交渉を一任できる

弁護士は、遺産分割協議書への署名・押印を拒否している相続人に対して以下のようなことをしてくれます。

  • 相手方に対して法律的な説明をしてくれる
  • 拒否している理由や条件を確認してくれる
  • 署名・押印をするよう説得してくれる など

当事者同士の交渉は負担が大きいですが、弁護士に依頼すれば精神的な負担を軽減することができます。

また、拒否している相続人からしても、弁護士に対してはきちんと対応してくれる可能性が高いでしょう。

2.第三者の立場で協議を進めてくれる

弁護士は依頼者の味方ですが、相続においては第三者的な立場から協議を進めてもらうことも可能です。

相続において第三者的な立場から協議を進めてもらうメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • お互いに冷静な状態で話し合いをおこなえる
  • 円満に遺産分割協議をまとめられる可能性が高い
  • 争点がある場合に妥当な落としどころを提案してもらえる など

遺産分割協議書に署名・押印をしてもらえるだけでなく、協議後も良好な関係を続けられる可能性が高まります。

3.遺産分割調停・審判なども任せられる

話し合いで解決するのが難しい場合は、遺産分割調停・審判に移行することになります。

  • 遺産分割調停:家庭裁判所の調停委員が仲介役となり、話し合いを進めてくれる手続き
  • 遺産分割審判:家庭裁判所の裁判官が遺産分割の内容や方法などについて決定する手続き

これらの手続きは本人でも可能ですが、弁護士に対応を依頼することも可能となっています。

弁護士に依頼すれば書類作成や当日の代理出席などをしてくれて、できる限り有利になるよう進めてくれます

遺産分割協議書への押印を拒否されても絶対にやってはいけない2つの行為

遺産分割協議書への署名・押印を拒否されているからといって、以下のような行為は絶対にしてはいけません。

  • 勝手に署名や押印をする
  • 署名や押印をするよう強要する

ここでは、遺産分割協議書への署名・押印を拒否されても絶対にやってはいけない行為について説明します。

1.勝手に署名や押印をする

遺産分割協議書に勝手に署名・押印した場合は、私文書偽造罪が成立する可能性があります(刑法第159条)。

また、その協議書を使って相続登記をすると、公正証書原本不実記載等罪が成立します(刑法第157条)。

  • 私文書偽造罪:3ヵ月以上5年以下の懲役
  • 公正証書原本不実記載等罪:5年以下の懲役または50万円以下の罰金

無断で遺産分割協議書に署名・押印する行為は犯罪になってしまうので絶対にやめておきましょう。

2.署名や押印をするよう強要する

ほかの相続人に対して無理やり署名・押印を迫る行為は、強要罪が成立する可能性があります(刑法第223条)。

  • 強要罪:3年以下の懲役

通常の話し合いであれば問題ありませんが、脅し文句を言ったり、暴力を用いたりすると強要罪が成立します。

冷静に話し合うのが難しい場合には当事者同士での解決を目指さず、弁護士に依頼するほうが望ましいでしょう。

遺産分割協議書の押印に関するよくある質問

最後に、遺産分割協議書の押印に関するよくある質問に回答します。

Q.署名だけあれば押印はなくても問題ないのか?

遺産分割協議書には、相続人の署名だけでなく、押印も必要になります。

遺産分割協議書に押印がない場合、金融機関や法務局などは基本的に受け付けてくれません。

遺産分割協議書の押印忘れが見つかった場合には、その相続人に対して押印をするよう求めましょう。

Q.印鑑証明書の提出を拒否されたときの対処法は?

銀行口座の名義変更などでは、相続人全員分の印鑑証明書も必要になります。

しかし、相続人が印鑑証明書を提出してくれないというケースもあるでしょう。

そのような場合には、印鑑証明書の提出を拒否された理由に応じた対応をすることをおすすめします。

  • 印鑑登録をしていない場合:本人を説得する、代理で申請する
  • 印鑑証明書を取りに行く時間などがない場合:代理で取得する
  • どうしても印鑑証明書を提出したくない場合:訴訟を提起する

まずは印鑑証明書を提出してくれない相続人に理由を聞いて、必要な手続きを取るようにしましょう。

さいごに|ベンナビ相続で遺産分割が得意な弁護士を探して相談しよう!

ほかの相続人が遺産分割協議書に署名・押印をしてくれないというトラブルは珍しくありません。

そして拒否している理由によっては、当事者同士の話し合いでは解決することが困難なケースもあります。

もし当事者同士での解決が難しそうなら、無理に話し合いをせずに、弁護士に相談するほうが望ましいです。

特に相続トラブルが得意な弁護士であれば、原因に合わせて適切な解決策や対処法を提案してくれるでしょう。

まずは「ベンナビ相続」で最寄りの相続問題が得意な弁護士を探して、現在の状況などを相談することをおすすめします。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
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