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相続問題の弁護士費用の相場は?依頼内容ごとに料金の目安をわかりやすく解説

弁護士監修記事
遺産相続 相続法律相談
2025年12月15日
相続問題の弁護士費用の相場は?依頼内容ごとに料金の目安をわかりやすく解説
この記事を監修した弁護士
金森 将也弁護士 (金森総合法律事務所)
23年以上のキャリアを持ち、高度な専門知識で安心のアドバイスを提供。「話しやすさ」と「的確な見通しの提示」を大切にしています。
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遺産相続トラブルを抱えたときには弁護士への相談・依頼が推奨されますが、弁護士費用が発生する点に注意が必要です。

遺産相続についてどのような業務を依頼するのかや、法律事務所がどのような費用体系を定めているのかによって弁護士費用は異なるものの、依頼内容次第では数十万円程度の費用負担を覚悟しなければいけません。

この記事では、遺産相続について弁護士への相談・依頼を検討している人のために、相続問題の弁護士費用の相場や内訳、弁護士費用を抑えるポイント、遺産相続問題を弁護士に相談・依頼するメリットなどについてわかりやすく解説します。

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相続問題に関する弁護士費用の基本的な内訳・項目

まずは、遺産相続問題について弁護士に相談・依頼したときの費用内訳について解説します。

  • 相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 実費
  • 日当

なお、法律事務所によって報酬体系や項目は異なります。

詳細については、実際に相談を検討している法律事務所まで直接問い合わせをしてください。

1.相談料|弁護士に相談した際にかかる

弁護士の法律相談を受けたときには、相談料が発生します。

相談料の相場は、30分あたり5,000円〜10,000円(税抜)です。

相談料が発生するのは、弁護士との間で遺産相続について依頼をする前の段階だけです。

委任契約を締結したあとに実施される打ち合わせの際には、相談料は発生しません。

なお、最近は相談料を初回のみ無料としている法律事務所も多く存在します。

2.着手金|弁護士に依頼する場合にかかる

着手金とは、弁護士に業務を依頼するときに発生する費用のことです。

遺産相続について弁護士との間で委任契約を締結する場合、契約段階で20万円~50万円程度の着手金を支払うのが一般的です。

なお、着手金は業務が終了する前に委任契約を解除したり、希望通りの結果が実現されなかったりしても、原則として返却されません

ただし、法律事務所のなかには、報酬金を高く設定する代わりに着手金を無料にするなどの対応をしてくれる場合があります。

遺産相続問題を依頼する初期費用を抑えたい人は、着手金無料の法律事務所を選ぶとよいでしょう。

3.報酬金|弁護士が事件を解決したときにかかる

報酬金とは、弁護活動の結果、依頼者に生じた経済的利益を基準に算定される費用のことです。

着手金とは異なり、報酬金は依頼した業務が無事に終了したときや、依頼者に経済的利益が発生したときでなければ発生しません。

報酬金の相場額については、以下の(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を参考にしてください。

経済的利益の金額 報酬金
300万円以下の場合 経済的利益の16%
300万円を超え、3,000万円以下の場合 経済的利益の10% + 18万円
3,000万円を超え、3億円以下の場合 経済的利益の6% + 138万円
3億円を超える場合 経済的利益の4% + 738万円

4.実費|事件を解決するために支出が生じた場合にかかる

弁護士が受任した案件に対応する際に生じた費用は、実費として依頼者が負担しなければいけません。

実費の具体例としては、具体的に以下のものが挙げられます。

  • 戸籍謄本、除籍謄本、住民票などを取得する際に発生する交付手数料
  • 郵便切手代
  • 裁判所に諸手続きを申し立てるときの収入印紙代
  • 書類の写しをとる際に発生する謄写料
  • 裁判所や相手方の居所などへの移動に要する交通費
  • 日当

中でも日当については、半日または1日単位で法律事務所ごとに規定があり、1回あたり数万円程度の費用が発生する点に注意が必要です。

相続の弁護士費用1.遺言書の作成サポート

自分の意思を相続に反映させたい場合には、法的に有効な遺言書を作成する必要があります。

弁護士が作成をサポートする遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言の2種類があり、それぞれで費用が異なるため注意しましょう。

また、遺言の内容によっても費用は変動するため、以下で詳しく解説します。

自筆証書遺言の場合|10万円~20万円程度

自筆証書遺言とは、遺言書全文、日付、氏名を遺言者本人が自筆したうえで、押印をすることで成立する遺言方法のことです。

自筆証書遺言について弁護士に依頼する場合の費用相場は10万円〜20万円です。

【関連記事】自筆証書遺言書の書き方ガイド|遺言書の見本や書き方の流れを解説

公正証書遺言の場合|10万円~20万円程度

公正証書遺言とは、公証人が遺言書の作成に関与したうえで遺言書の原本が公証役場に保管される遺言方法のことです。

公正証書遺言について弁護士に依頼する場合の費用相場は、自筆証書遺言と同じように10万円〜20万円程度です。

ただし、公正証書遺言を作成する場合には、目的の価額に応じて以下の手数料が発生するほか、遺言加算として11,000円の手数料や公証人の出張費用や原本などの発行手数料が発生する可能性がある点に注意してください。

目的の価額 手数料
100万円以下の場合 5,000円
100万円を超え、200万円以下の場合 7,000円
200万円を超え、500万円以下の場合 11,000円
500万円を超え、1,000万円以下の場合 17,000円
1,000万円を超え、3,000万円以下の場合 23,000円
3,000万円を超え、5,000万円以下の場合 29,000円
5,000万円を超え、1億円以下の場合 43,000円
1億円を超え、3億円以下の場合 43,000円に、超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え、10億円以下の場合 95,000円に、超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合 249,000円に、超過額5000万円までごとに8,000円を加算した額

【関連記事】公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼するメリットとは?費用や手続きの詳細も

遺言の内容が複雑な場合|最低20万円程度~

遺言書の作成について弁護士に依頼した場合の費用は、遺言書作成の複雑さや難易度によって異なります

たとえば、遺産の内容がすでに判明しており、相続関係も比較的シンプルなケースでは10万円程度で依頼可能です。

一方、遺言書を作成する前段階として財産調査や、相続人などとの話し合いを要するケースでは20万円以上の依頼料になる可能性もあります。

遺言書作成業務を依頼したときの弁護士費用がいくらになるかは状況によって異なるので、まずは無料相談などの機会を活用して、いろいろな弁護士から話を聞いてみるとよいでしょう。

相続の弁護士費用2.遺産分割協議・調停

ここでは、遺産分割協議や遺産分割調停を弁護士に依頼したときの費用相場について解説します。

交渉の場合|経済的利益の額×20%程度

遺産分割協議の交渉業務にかかる弁護士費用の目安は以下のとおりです。

  • 着手金:経済的利益の額 × 2%〜8%
  • 報酬金:経済的利益の額 × 4%〜16%

経済的利益とは、遺産分割協議を経た結果、依頼者が取得した利益のことを指します。

弁護士が代理人として遺産分割協議に参加をして、遺産分割協議がまとまったケースでは、着手金・報酬金を合わせて経済的利益の10%〜20%程度の弁護士費用が発生すると考えておきましょう。

交渉から調停に移行した場合|経済的利益の額×30%程度

相続人同士の話し合いがうまくいかず、遺産分割協議が不成立に終わったときには、遺産分割調停という手続きが必要です。

そして、遺産分割調停業務を弁護士に依頼する場合、以下の費用がかかります。

  • 着手金:経済的利益の額 × 2%〜8%
  • 報酬金:経済的利益の額 × 4%〜16%

最終的には、相続した経済的利益の10%〜20%程度の弁護士費用が発生することを覚悟しておきましょう。

なお、遺産分割協議段階から弁護士に依頼をしたものの、協議が不成立に終わり、そのまま弁護士に遺産分割調停を依頼したケースでは、遺産分割協議事件と遺産分割調停事件それぞれについて弁護士費用が発生する点に注意が必要です(遺産分割協議が不成立の場合、その分の報酬金は発生しません)。

相続の弁護士費用3.遺留分侵害額請求

遺留分とは、被相続人の財産から法律上取得されていることが保障されている最低限の取り分のことです。

遺留分は法律上保障されたものであり、被相続人による遺言書でも奪うことはできません。

そして、被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与・遺贈した結果、遺留分権利者が遺留分相当額を受け取れなかった場合には、遺留分侵害額請求権を行使して、受贈者や受遺者から金銭の支払いを受けることができます。

ここでは、遺留分侵害額請求権の行使を弁護士に依頼したときの弁護士費用について解説します。

交渉の場合|経済的利益の額×20%程度

遺留分侵害額請求権を行使する場合、最初は受遺者や受贈者に対して内容証明郵便を送付し、侵害された遺留分相当額の金銭を支払ってもらうように話し合いをおこなうのが一般的です。

このような示談交渉を弁護士に依頼したときの弁護士費用の目安額は以下のとおりです。

  • 着手金:経済的利益の額 × 2%〜8%
  • 報酬金:経済的利益の額 × 4%〜16%

つまり、遺留分侵害額請求の交渉を弁護士に任せると、合計で経済的利益の約20%程度の弁護士費用が発生する可能性があります。

交渉から調停や訴訟に移行した場合|経済的利益の額×20%~程度

話し合いだけでは遺留分侵害額分の支払いについて合意形成に至らなかったときには、家庭裁判所の調停手続きを利用して、遺留分侵害額請求について合意形成を目指します。

また、遺留分侵害額の請求調停が不成立に終わった場合には、民事訴訟で最終的に決着をつけなければいけません。

遺留分侵害額請求について調停・訴訟で争わなければいけなくなったケースにおいて、これらの業務を弁護士に依頼するときには、それぞれ以下の弁護士費用が発生します。

  • 着手金:経済的利益の額 × 2%〜8%
  • 報酬金:経済的利益の額 × 4%〜16%

相続の弁護士費用4.相続放棄|5万円~15万円程度

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切承継せずに放棄することです。

相続放棄に関する業務を弁護士に依頼したときの費用相場は、5万円〜15万円程度です。

ただし、被相続人の隠れた借金を調査するのに相当の労力を要する場合や、相続放棄の申述期限の延長を求める場合などでは、弁護士費用が高額になる可能性があります。

相続の弁護士費用をできる限り安くするためのポイント

さいごに、相続に関する弁護士費用をできるだけ抑えるためのポイントを4つ解説します。

  • できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼する
  • 無料の法律相談を積極的に活用する
  • 複数の法律事務所から見積もりをもらって比較する
  • 法テラスの民事法律扶助制度の利用を検討する

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

1.トラブルが悪化する前に相談・依頼する

遺産相続トラブルは、深刻化するほど解決するのに時間・労力を要します

たとえば、遺産分割協議段階で適切な方法でほかの相続人とコミュニケーションをとっていれば話し合いだけで解決できたのに、感情的に遺産分割協議に参加してしまった結果、話し合いがうまく進まず、調停段階に移行すると、手続き進行に苦労をするはずです。

ですから、遺産相続が発生したときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談するのがおすすめです。

早期に弁護士の助けを借りることで遺産相続問題をスピーディーに解決できますし、結果として、弁護士のサポートを受ける期間が短くなるので、弁護士費用も抑えやすくなるでしょう。

2.初回無料相談を活用して相談料を抑える

法律事務所によっては、初回の法律相談を無料で対応してくれます。

無料相談の機会を活用すれば、相談料を節約できるでしょう。

ただし、同じ法律事務所で何度も無料で法律相談を受けることは難しいです。

そのため、弁護士の無料相談で遺産相続問題について相談するときには、相続人の関係性のメモや財産目録、その他の証拠書類などを持参したり、質問したい事項を整理しておくことを強くおすすめします。

【関連記事】弁護士に無料相談するときの注意点7つ!相談の流れや無料相談の活用法

3.複数の法律事務所から見積もりを取り比較する

弁護士費用を抑えたいなら、複数の法律事務所から見積もりをとって比較するのがおすすめです。

ただし、弁護士費用の高い安いだけで法律事務所を選ぶのは避けるべきです。

遺産相続問題について依頼する弁護士を決めるときには、遺産相続実務を得意とするか、話しやすいかどうか、熱意があるかどうか、納得できる費用感かどうかなどの点を総合的に考慮するとよいでしょう。

4.経済的に苦しい場合は民事法律扶助制度を利用する

経済的な理由が原因で弁護士に相談・依頼できない場合には、法テラス(日本司法支援センター)の利用を検討してください。

法テラスとは、経済的困窮者に向けてリーガルサービスを提供している国の機関のことです。

法テラスが定めている収入要件・資産要件をクリアした場合には、無料で法律相談を受けられたり、弁護士費用の立て替え制度を利用できたりします。

法テラスを利用すれば弁護士費用を大幅に抑えて遺産相続問題に対応してもらえるので、経済的な理由を抱えている場合には、お住まい地域の法テラスまでお問い合わせください。

【関連記事】法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説

さいごに|相続問題が得意な弁護士をベンナビ相続で探そう!

弁護士に相談する遺産相続問題の内容によって弁護士費用は異なります。

そのため、弁護士費用を知りたい場合には、相談・依頼を検討している法律事務所の無料法律相談などの機会を利用したうえで、どの程度の弁護士費用が発生するのかを確認するとよいでしょう。

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