寡婦年金とは?もらえる条件・金額・他年金との違いや併給可否をわかりやすく解説
- 「寡婦年金とは?どんな条件でどのくらいの金額が受け取れるの?」
- 「寡婦年金と遺族基礎年金や死亡一時金の違いは?併給できるの?」
遺族基礎年金などと比較すると寡婦年金は対象者が少なく、受給要件や受給額を知らない方が多いでしょう。
遺族基礎年金や死亡一時金との違いや併給の可否も正しく知っておかないと、損をしてしまう可能性もあります。
そのため寡婦年金の受給資格がある可能性があるなら、これら年金の基本的な知識は把握しておきたいところです。
本記事では寡婦年金とは何かや受給要件、受給額、遺族基礎年金や死亡一時金との違いや併給可否について解説します。
要件にあてはまる場合は、寡婦年金を受給するか選択しなければならないケースも少なくありません。
本記事を読めば寡婦年金の基本知識を把握し、年金の選択で損をしてしまうのを避けられます。
寡婦年金とは?読み方は?
寡婦年金とは国民年金の第1号被保険者である夫が亡くなった際に、妻が一定の条件を満たすと60歳~65歳まで受け取れる年金です。
寡婦年金は「かふねんきん」と読みます。
寡婦とは夫と死別・離婚したあと、再婚をしていない独身女性を指す用語です。
寡婦年金は、年金を受け取る前に夫が亡くなってしまった寡婦の生活を支えることを目的としています。
寡婦年金を受け取るには、この目的にあった条件を満たしていることが必要です。
寡婦年金をもらえる条件とは?
寡婦年金をもらうためには、夫・妻それぞれが複数の条件を満たしていなくてはなりません。
以下、具体的な条件の内容を見ていきましょう。
夫の年金保険料納付に関する条件
寡婦年金をもらうためには、夫が以下の条件で年金保険料を納付していた必要があります。
- 死亡日前日時点で、第1号被保険者であった夫が国民年金保険料を納めた(免除された)期間が合算して10年以上であったこと
亡くなった夫が、きちんと年金保険料を納付していた必要があるのです。
夫の年金受給に関する条件
夫の年金受給についても条件があります。
夫が以下いずれかの年金を受け取ったことがあれば、寡婦年金はもらえません。
- 老齢基礎年金:国民年金加入者が、原則65歳になると受給が開始される年金
- 障害基礎年金:国民年金加入者が、病気やけがで生活に支障がある障害を負った場合に受給が開始される年金
夫婦の婚姻期間と生計維持に関する条件
寡婦年金をもらうためには、夫婦の婚姻期間と生活維持に関して以下の条件を満たしている必要があります。
- 夫に生計を維持され、婚姻期間が10年以上継続していたこと
夫に生計を維持されていたとみなされるには、以下条件を満たす必要があります。
- 同居していたか、別居をしていても、妻が仕送りをもらっていたり健康保険の扶養家族だったりしたこと
- 夫が亡くなった前年において、妻の年収が850万円未満(もしくは所得が655.5万円未満)であったこと
妻の年齢と老齢基礎年金に関する条件
寡婦年金を受給するには、妻の年齢や老齢基礎年金の受給について、以下の条件を満たしている必要があります。
- 妻の年齢が60歳以上65歳未満
- 妻が老齢基礎年金を繰り上げ受給していない
老齢基礎年金の受給年齢は原則65歳ですが、60歳になれば繰り上げ受給をえらべます。
妻が老齢基礎年金を受給している場合は、寡婦年金を併給できないのです。
寡婦年金でもらえる金額は?
寡婦年金でもらえる金額は、亡くなった夫が受け取れるはずだった老齢基礎年金の3/4です。
老齢基礎年金の金額は毎年変わりますが、2025年度は満額で831,700円/年でした。
仮に夫が老齢基礎年金を満額もらえる筈だったとすると、寡婦年金の金額はその3/4で623,775円/年となります。
寡婦年金と遺族年金の違いは?併給できる?
寡婦年金と遺族年金は、どのような違いがあるのでしょうか。
遺族年金には国民年金加入者に受給資格がある遺族基礎年金のほか、会社員など厚生年金加入者が受給できる遺族厚生年金があります。
ここでは、寡婦年金と同様に国民年金加入者が対象となる遺族基礎年金との違いを見ていきましょう。
| 遺族基礎年金 | 寡婦年金 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 国民年金加入者によって生計を維持されていた、子どもを持つ配偶者もしくは子ども自身 | 国民年金加入者の夫に生計を維持されていた妻 |
| 受給額 | 831,700円/年 + 子の加算額 ※2025年4月~ ※受給額は毎年変更される |
遺族基礎年金の3/4 ※遺族基礎年金が831,700円/年なら623,775円/年 |
| 受給期間 | 子どもが18歳、もしくは子どもが20歳未満で障害等級1級か2級で20歳になるまで | 妻が60歳~65歳になるまで ※最長5年間 |
このように遺族基礎年金と寡婦年金は、支給対象者などが異なります。
遺族基礎年金は子どものいる世帯や子どもの生活を維持するのが目的であり、寡婦年金の目的は妻の生活を維持することです。
寡婦年金と遺族基礎年金は、同時に受給できません。
両方の要件を満たす場合、どちらか一方しかえらべないためです。
両方の要件を満たしたときは、より多く受給できる方をえらぶことになります。
一方で、遺族基礎年金を受け取っていた妻が、あとから要件を満たし寡婦年金を受給することも可能です。
たとえば以下のようなケースでは、妻が遺族年金と寡婦年金の両方を受け取れます。
- 夫が若くして亡くなり、老齢基礎年金も障害基礎年金も受け取っていなかった
- 妻が寡婦年金の対象年齢になる前に、子どもが18歳を超えていた(子どもは障害を抱えていなかった)
この場合、その他の要件も満たしていれば、妻は寡婦年金も受給できます。
寡婦年金と死亡一時金の違いは?併給できる?
死亡一時金とは遺族年金の受給要件を満たさない方が亡くなったとき、生計を同じくする家族に支払われる還付金です。
要件を満たせば寡婦年金と両方受給できる遺族基礎年金と違い、死亡一時金と寡婦年金はいずれか一方しかえらべません。
そのため寡婦年金と死亡一時金の違いを把握しておき、より多く受給できる方をえらぶ必要があります。
寡婦年金と死亡一時金の主な違いは以下のとおりです。
| 死亡一時金 | 寡婦年金 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 亡くなった被保険者と同一生計だった配偶者・子ども・父母などのなかで、最も優先順位が高い人。 かつ、遺族年金の受給資格がない人。 |
国民年金加入者の夫に生計を維持されていた妻 |
| 受給額 | 12万円~32万円 ※第1号被保険者の保険料納付済期間が長いほど高くなる |
遺族基礎年金の3/4 ※遺族基礎年金が831,700円/年なら623,775円/年 |
| 受給方法 | 一括払い | 2ヵ月に1回。 ※最大5年間 |
寡婦年金と死亡一時金はどちらを受け取るべき?
どちらも受給の要件を満たしているのであれば、寡婦年金と死亡一時金はどちらを受け取るべきでしょうか。
寡婦年金と死亡一時金を比較すると、たいていは寡婦年金がえらばれます。
死亡一時金の受給額は最大でも32万円ですが、寡婦年金はこれより多く受け取れるケースが多いためです。
一方で以下のような場合は、死亡一時金より寡婦年金の金額が少なくなる可能性があります。
- 夫の国民年金加入期間が短かったり保険料が未納だったりして、受け取れる筈だった遺族基礎年金の金額が少ない
- 妻がもうすぐ65歳になり、寡婦年金を受給できる期間が短い
これらの場合は、どちらが多く受け取れるか計算したうえで受給する方を決めましょう。
そのほか、以下のような事情がある場合も、寡婦年金でなく死亡一時金の受給を検討します。
- これから老齢基礎年金を繰り上げ受給したいと考えている
- 夫が亡くなり、今すぐまとまったお金が必要
自分で受給額を計算するのが難しい場合などは、お近くの年金事務所に相談するとよいでしょう。
さいごに|寡婦年金の概要やほかの年金との違いを確認しておこう
寡婦年金は、年金を受け取る前に夫が亡くなってしまった妻の生活を支えるための年金です。
受給要件を満たせば、夫が受け取る筈だった老齢基礎年金を60歳から65歳まで受け取れます。
一方で寡婦年金と死亡一時金は、いずれか一方しか受け取れません。
両方の受給要件を満たす場合、たいていは寡婦年金の方がより多くの金額を受け取れます。
しかし寡婦年金を受け取れる期間が残り少ない場合など、死亡一時金を受け取った方がよいケースも少なくありません。
寡婦年金を受給する際は、死亡一時金との違いをしっかり把握したうえで判断するようにしましょう。
どちらをえらべばよいかわからない場合は、お近くの年金事務所へ相談するとよいです。
