育児放棄(ネグレクト)を理由に離婚できる?おすすすめの手続きと離婚のポイント
育児放棄を理由に離婚することはできるのでしょうか。
これは離婚手続きによって異なり、協議離婚や調停離婚では相手が同意すれば離婚できます。
一方、裁判離婚では育児放棄が法定離婚事由に該当していれば離婚することができるでしょう。
本記事では、このように育児放棄を理由とする離婚を検討している方に向けて以下の内容を説明します。
- 育児放棄(ネグレクト)を理由に離婚はできるのか
- 育児放棄を理由に離婚する際の4つの検討ポイント
- 育児放棄で離婚したい場合のおすすめの離婚手続き
- 育児放棄を理由に離婚の成立を目指す場合の3つのポイント など
本記事を参考に、どうしたら離婚できるのか、何に気を付ければよいのかなどをしっかりと確認しましょう。
育児放棄(ネグレクト)を理由に離婚はできる?
育児放棄(ネグレクト)を理由に離婚が認められるかは事案によって異なります。
- 協議離婚:配偶者が離婚に合意すれば認められる
- 調停離婚:配偶者が離婚に合意すれば認められる
- 裁判離婚:裁判上の離婚事由に該当すれば認められる
協議離婚や調停離婚であれば、当事者同士の合意があれば離婚することが可能です。
一方、裁判離婚の場合は「裁判上の離婚事由」があるかどうかがポイントになります(民法第770条)。
なお、裁判では「悪意の遺棄」や「婚姻を継続しがたい重大な理由」に該当するかで争うことになるでしょう。
育児放棄を理由に離婚する前に検討するべきポイント
育児放棄を理由に離婚する際は、以下の項目について話し合う必要があります。
- 親権をどちらが得るのか
- 養育費をいくらにするか
- 面会交流を実施するのか
- 慰謝料を請求するかどうか
ここでは、育児放棄を理由に離婚する前に検討するべきポイントを説明します。
1.親権をどちらが得るのか
未成年の子どもがいる場合、離婚時に親権者を必ず取り決める必要があります。
育児放棄のような事情があるケースでは、通常、育児を担当していた親が親権を獲得できます。
この理由は、親権者を決める際は「今までの監護実績(養育能力・養育実績)」が重視されるからです。
なお、2026年4月1日以降は共同親権という今までとは異なる親権制度がスタートしていますので、
「どちらが親権者になるのか」だけでなく「単独親権と共同親権のどちらにするのか」も話し合う必要があります。
【関連記事】離婚後の共同親権制度とは?4つの基本ポイントと親権者変更の手続きについて解説
2.養育費をいくらにするか
親権(監護権)を獲得した親は、そうでない元配偶者に養育費を請求することができます。
養育費は当事者同士が任意に決められますが、通常は裁判所の算定基準をもとにすることが多いです。
この「養育費算定表」では子どもの人数・年齢や両親の年収・職種を参考に養育費の目安がわかります。
なお、2026年4月1日以降は法定養育費制度が開始されますが、養育費は話し合いで決めるほうが望ましいです。
【関連記事】養育費を簡単に計算できる!養育費算定表と自動計算機を使う方法を解説
3.面会交流を実施するのか
離婚時には、面会交流の有無・頻度・方法などについて取り決めることもできます。
面会交流は子どもの成長に役立ちますが、育児放棄がある場合は拒否できる可能性は高いです。
もっとも子どもの意見も重要になるため、子どもが「会いたい」と言っている場合は尊重すべきでしょう。
なお、暴力などがある場合は別途、接近禁止命令の申立てや住民票の閲覧制限なども検討しておきましょう。
【関連記事】面会交流を拒否したい!拒絶したときのリスクと認められるには
4.慰謝料を請求するかどうか
育児放棄を理由とする離婚では、慎重に慰謝料を請求するかどうか判断しましょう。
民法上、慰謝料(損害賠償)請求が認められるのは不法行為があった場合となります(民法第709条)。
単なる家事・育児への非協力では難しく、児童虐待や悪意の遺棄などと判断される程度の行為が必要です。
仮に慰謝料が認められる場合、その内容などによって異なりますが、相場は50万円~300万円程度となります。
【関連記事】離婚で慰謝料を請求できるのはどんなとき?相場や請求方法、注意点も解説
育児放棄で離婚する場合は協議離婚か調停離婚がおすすめ
離婚手続きには、主に以下の3種類があります。
- 協議離婚…夫婦で話し合って離婚の成立を目指す手続き
- 調停離婚|調停委員を介して離婚の成立を目指す手続き
- 裁判離婚|裁判所の判決によって離婚の成立を目指す手続き
このうち、育児放棄を理由とする離婚では協議離婚か調停離婚がおすすめです。
ここでは、育児放棄を理由に離婚する際のおすすめの手続きについて説明します。
1.協議離婚|夫婦で話し合って離婚の成立を目指す
協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚する手続きのことです。
以下のような理由から、育児放棄を理由とする離婚ではおすすめとなっています。
【育児放棄を理由とする離婚で協議離婚がおすすめの理由】
- 育児放棄の証拠が必要ないため
- 法定離婚事由が不要であるため
- 迅速な離婚の成立を目指せるため など
当事者同士の合意のみで成立するため、育児放棄の証拠や法定離婚事由などは必要ありません。
また、裁判所での手続きなどが必要ないため、スムーズに離婚手続きを進めることが可能となっています。
そのため、当事者同士での話し合いが可能な状態であるなら、まずは協議離婚を検討するとよいでしょう。
2.調停離婚|調停委員を介して離婚の成立を目指す
調停離婚とは、裁判所に離婚調停の申立てをおこなって離婚する手続きのことです。
裁判所への申立ては必要になりますが、以下のような理由からおすすめの手続きとなっています。
【育児放棄を理由とする離婚で調停離婚がおすすめの理由】
- 冷静な話し合いができるため
- 法定離婚事由が不要であるため
- 証拠があまり重要ではないため
- 離婚条件を詳しく決められるため など
調停離婚は裁判所を使った手続きですが、当事者同士の話し合いと合意がベースとなります。
そのため、裁判離婚とは異なり、育児放棄の証拠や法定離婚事由などはあまり重視されません。
さらに、調停委員が仲介してくれるため、直接顔を合わせる必要がなく、冷静に話し合える点もメリットです。
育児放棄を理由に離婚の成立を目指す場合の3つのポイント
育児放棄を理由に離婚するときのポイントは、以下のとおりです。
- 暴力などがある場合は身の安全を優先する
- 配偶者が育児放棄をしている証拠を集める
- 離婚問題への対応が得意な弁護士に相談・依頼する
ここでは、育児放棄を理由に離婚の成立を目指すときの3つのポイントを確認しましょう。
1.暴力などがある場合は身の安全を優先する
単純な育児放棄だけでなく、配偶者や子どもに暴力を加えているケースもあります。
そのような場合は、まず自分自身とお子さまの身の安全を確保することを優先してください。
【配偶者の暴力から逃げるための主な避難先】
- 実家や親戚の家
- 友人・知人の家
- 民間シェルター など
また、DV相談プラス・配偶者暴力相談センター・警察などに相談するのもおすすめです。
配偶者からの暴力に耐える必要はまったくありませんので、このような相談窓口も積極的に活用しましょう。
【関連記事】DVを弁護士に無料相談できる窓口11選!相談するメリットや選び方も解説
2.配偶者が育児放棄をしている証拠を集める
育児放棄を理由に離婚したい場合は、その証拠を集めておくことが重要です。
育児放棄を証明することは難しいですが、以下のような証拠を集めておくことをおすすめします。
【育児放棄を証明できる可能性がある証拠の例】
- 子どもに関する育児日記
- 育児放棄がわかるやり取り
- 育児放棄について話している音声
- 育児放棄がわかる部屋の写真や映像 など
これらの証拠があれば調停離婚で有利になりますし、裁判離婚で離婚が認められる可能性も高まります。
また、「生活費を入れてくれない」「家に帰ってきてくれない」なども証拠として認められるでしょう。
3.離婚問題への対応が得意な弁護士に相談・依頼する
育児放棄に耐えられず離婚を考えるようになったら、弁護士に相談・依頼しましょう。
特に離婚問題が得意な弁護士を選択すれば、以下のようなメリットが期待できるようになります。
【離婚問題が得意な弁護士に相談・依頼するメリット】
- 育児放棄を理由に離婚できるか判断してもらえる
- 育児放棄の証拠集めに関するアドバイスがもらえる
- 有利に離婚をするためのポイントを教えてもらえる
- 話し合いや法的手続きなどを弁護士が対応してくれる
- 自分の希望や理想に近い形で離婚ができるようになる など
このように離婚の成立だけでなく、より有利な条件で離婚できる可能性が高まります。
無理にひとりで離婚手続きを進めようとせずに、離婚問題が得意な弁護士を頼ることをおすすめします。
さいごに|離婚問題が得意な弁護士は「ベンナビ離婚」で探せる!
育児放棄を理由に離婚する場合は、協議離婚か調停離婚でおこなうことがおすすめです。
これらは話し合いがベースであるため、証拠や法定離婚事由がなくても離婚できる可能性があります。
ただし、相手が応じなければ離婚できないため、しっかりと準備しておくことが重要になるでしょう。
特に離婚の可能性や条件は一人ひとり異なるため、弁護士に相談して判断してもらうのが望ましいです。
まずは「ベンナビ離婚」で離婚問題が得意な弁護士を探して、相談するところから始めるとよいでしょう。
