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自転車事故の賠償金はどれくらい?事例や賠償金の書類も紹介

弁護士監修記事
交通事故
2023年03月16日
2023年03月16日
自転車事故の賠償金はどれくらい?事例や賠償金の書類も紹介
この記事を監修した弁護士
佐々木 光嗣弁護士 (札幌パシフィック法律事務所)
2018年2月に札幌パシフィック法律事務所を設立。スタッフも一丸となり「身近なリーガルパートナー」として迅速な問題解決を目指す。
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自転車は、子どもから高齢者まで幅広い年代で利用できる手軽な乗り物です。

その反面、自転車事故によって命を落としてしまう方やケガを負ってしまう方も少なくありません。

「危ない!」と、危険な運転を目の当たりにした経験のある方も多いのではないでしょうか。

手軽に乗れる自転車ですが、誰でも事故の当事者になる可能性があり、いつ被害者・加害者になるかわかりません。

自転車事故の裁判では、賠償金が高額になるケースも起きています。

万が一のために、家族全員で自転車事故に備えておく必要があるでしょう。

この記事では、自転車事故の賠償事例や、請求対象になりうる賠償金の種類、自転車事故に巻き込まれた際にとるべき行動を紹介します。

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自転車事故の賠償事例

実際に起きた自転車事故の賠償事例を紹介します。

自転車同士の事故

「自転車 対 自転車」の事故では、加害者側の通行違反や、出会い頭による衝突などが見受けられます。

賠償金額 事故の概要 裁判所・判決日
9,266万円 男子高校生が自転車で車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員の男性と衝突した。被害者は言語機能の喪失等の重大な障害が残った。 平成20年6月
東京地方裁判所
3,730万円 自転車が信号機のない三叉路の交差点を左折した際、対向進行してきた70歳男性が運転する自転車と衝突した。被害者は事故から1年4ヵ月後に死亡した。 平成14年6月
大阪地方裁判所

【参照元】
国土交通省|自転車事故の賠償事例
兵庫県公式ホームページ|自転車事故による高額賠償事例

自転車と歩行者の事故

「自転車 対 歩行者」の事故も、自転車同士の事故と同様に、通行違反や信号無視、無灯火や危険運転などが原因で起きています。

賠償金額 事故の概要 裁判所
9,521万円 11歳の男子小学生が夜間、自転車での帰宅途中に歩行中の62歳女性と衝突した。男子小学生は無灯火であり、被害者は頭蓋骨骨折で意識が戻らず、監督責任を問われた母親に賠償命令が下された。 平成25年7月
神戸地方裁判所
5,438万円 37歳男性が信号無視をしながら高速で交差点に進入し、横断歩道を渡っていた55歳の女性と衝突した。被害者は11日後に死亡した。 平成19年4月
東京地方裁判所
3,970万円 15歳の男子中学生が歩道を走行中、62歳の男性会社員と衝突した。被害者は死亡し、加害者の少年には無灯火運転等の過失があるとみなされた。 平成19年7月
大阪地方裁判所

【参照元】
国土交通省|自転車事故の賠償事例
長野県公式ホームページ|自転車事故高額賠償事例(抜粋)

自転車事故の事例から見えること

自転車事故の賠償事例から見えてきたのは、以下3点です。

  1. 自転車事故は未成年が多い傾向
  2. 未成年が加害者の場合は保護者が責任を負う
  3. 損害賠償の金額は事故の大きさや過失割合によって決まる

1.自転車事故は未成年が多い傾向

1つめは、自転車事故は未成年が関係しているケースが多い傾向にある点です。

賠償事例では、小学生や中学生、高校生など学生が運転する自転車の衝突事故が複数見受けられました。

また、警視庁交通局によると、令和元年の交通事故の発生状況について、以下のような分析結果が出ています。

年齢層別自転車乗用中死傷者数(令和元年)

自転車に乗っているときに死亡した、あるいは負傷した人数を表したグラフですが、10~19歳が26%と最も高くなっています。

加害者・被害者なんらかの形で、未成年が自転車事故に遭っていると考えられるでしょう。

2.未成年が加害者の場合は保護者が責任を負う

2つめは、未成年が加害者の場合、保護者が責任を負うことになる点です。

加害者が未成年の場合、本人に「責任能力があるかどうか」に焦点があてられます。

民法上では未成年者に責任能力がないと判断されると、保護者が賠償金を支払わなければなりません。

なぜなら、保護者には監督義務者の責任があるからです。

第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

引用元:民法|e-Gov法令検索

実際、11歳の男子小学生が加害者となった自転車事故では、保護者の監督義務責任が問われ、保護者に対して賠償金の支払いが命じられています。

賠償金額 事故の概要 裁判所
9,521万円 11歳の男子小学生が夜間、自転車での帰宅途中に歩行中の62歳女性と衝突した。男子小学生は無灯火であり、被害者は頭蓋骨骨折で意識が戻らず、監督責任を問われた母親に賠償命令が下された。 平成25年7月
神戸地方裁判所

ただ、未成年者に責任能力があると判断された場合でも、親が損害賠償を負う可能性はあります。

中学生など、学生が数千万円もの預金を保有しているとは考えにくいからです。

どちらにしても、いざとなった時に賠償金を補償できる備えが必要といえます。

自転車事故で請求対象になりうる賠償金

自転車事故に巻き込まれたとき、以下のような費用を賠償金として請求できます。

入院・通院費 入院や通院にかかった費用
交通費 通院の際の交通費
入通院慰謝料・傷害慰謝料 入院や通院を強いられたことによって生じた精神的損害に対する慰謝料
後遺障害慰謝料 後遺障害等級に該当する後遺症が残ったことに対する慰謝料
死亡慰謝料 死亡に対する慰謝料
休業損害 事故によって休業した際の損害

後遺障害などのケースでは、将来の介護費なども加味され、賠償金が高額になる可能性があります。

被害者の状況によって、請求できる項目は異なりますので、弁護士などに相談して適正な賠償金額を算定してもらいましょう。

3.損害賠償の金額は事故の大きさや過失割合によって決まる

3つめは、損害賠償の金額は事故の大きさや過失割合によって決まる点です。

たとえば、加害者側の信号無視によって自転車事故が起きたとしましょう。

そのときの状況や事故の大きさによって、金額が異なります。

【考えられる要因の例】

  • 被害者の負傷度合い…軽傷・重症・後遺障害・死亡
  • 事件の状況…夜間・見通しの悪い交差点・雨や霧などの視界が悪かった
  • 過失割合…被害者も信号無視をしていた・横断歩道を渡っていた   など

過失割合とは、お互いの過失を数値化して表したものです。

「10:0」を上限とし、「8:2」「6:4」といった具合に示されます。

被害者に過失がない場合や、後遺障害を負うほど大きな事故となった際には、損害賠償額は高くなる傾向です。

自転車事故の加害者になってしまった際にとるべき行動

誰でも自転車事故の加害者になってしまう可能性があります。

また、事故を起こしてしまったときは、気が動転してしまうものです。

万が一のときでも対応できるよう、手順を知っておきましょう。

【自転車事故が起きた際にとるべき行動】

  • ケガ人を救護する
  • 現場の安全を確保する
  • 警察に連絡する
  • 事故の状況を確認する
  • 損害保険会社へ連絡する
  • 保険未加入の場合は、被害者と示談交渉をする

最優先なのは、被害者の状態の確認です。

ケガをしているのであれば手当をし、必要に応じて救急車を呼びましょう。

次に、二次災害を防ぐために自転車を移動させ、安全を確保します。

安全を確保できたら、警察や保険会社に連絡を入れましょう。

相手方の名前や住所、連絡先も交換します。

保険未加入の場合は、被害者と直接示談交渉を行うことになります。

「警察に連絡したくない」「自転車事故だし、連絡しなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、連絡は必要です。

警察への届出がないと、保険金請求に必要な「交通事故証明書」が発行されません。

のちの示談交渉にも必要な書類になるため、警察に連絡しましょう。

「自転車保険」に加入すると自転車事故に備えられる

自転車事故に備えられる「自転車保険」があることをご存じでしょうか?

自転車保険とは、被害者への損害賠償と、自分のケガの費用が補償される保険です。

たとえば、自分が自転車事故によって通院しなければなくなったとき、通院費などを受け取れます。

また、相手にケガを負わせてしまった、あるいは物を壊してしまった場合の損害も補償されます。

補償額が1億円や無制限の保険もあるため、自分でできる対策として検討してみてはいかがでしょうか。

なお、自転車事故による賠償の補償は、火災保険などでも対応できるケースがあります。

損害を補償してもらうには「個人賠償責任補償」が必要になりますが、火災保険や自動車保険のオプションとして付帯しているケースも少なくありません。

「個人賠償責任特約」などがついていれば、自転車事故による賠償も補償されることがありますので、現在加入している保険を確認してみましょう。

自転車事故で困ったときは弁護士に相談するのがおすすめ

自転車事故で困ったとき、頼りになるのは弁護士です。

弁護士なら、法律に基づき適正な損害賠償額を導き出してもらえるでしょう。

また、代わりに示談交渉を行ってもらえるのも利点です。

当事者同士の示談交渉では、感情的になり「自分は悪くない」「そっちも飛び出してきた!」などと言い合いになりがちです。

弁護士が介入することで、当事者同士が顔を合わせる必要がなくなるため、冷静に話し合いができるでしょう。

最後に|お子様を持つご家庭は自転車保険を検討してみては?

自転車事故は、意図せず起きてしまいます。

自分が被害者あるいは加害者になる可能性もあれば、子どもが加害者になってしまうケース、祖父や祖母が被害者になってしまうこともあり得ます。

自転車事故に巻き込まれる前に、自転車保険に加入して備えましょう。

また現在、示談交渉や賠償金などでお困りの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

アドバイスや示談交渉などのサポートを通して、心強い味方になってもらえるはずです。

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