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後遺障害14級はどんな症状で認定される?慰謝料が増額した実例を交えて解説

弁護士監修記事
交通事故
2023年03月07日
2024年04月09日
後遺障害14級はどんな症状で認定される?慰謝料が増額した実例を交えて解説
この記事を監修した弁護士
古関 俊祐弁護士 (弁護士法人 新小岩法律事務所)
重度後遺障害事件から死亡事故まで、きめ細かい対応と豊富な経験をもとに、充実した補償を実現させます。弁護士費用特約に加入していない人へ向け、着手金0円プランもご用意しております。
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交通事故の後遺障害というと歩行困難や失明など重度なものを想像する方もいるかもしれませんが、むち打ち症のような比較的軽度なものも該当する場合があります。

後遺障害等級に認定されれば、後遺障害慰謝料を請求できます。

交通事故に遭い、身体的・精神的に感じた苦痛を何らかのかたちで補償してもらいたいと思うのは当たり前のことです。

そのためにはまず自分の症状が該当する後遺障害等級の認定を受けなければいけません。

この記事では、後遺障害14級の内容と認定を取るためのポイント、後遺障害の認定を受けると受け取れる慰謝料の種類や金額の目安について解説していきます。

Point!
弁護士に依頼することで、より納得のいく慰謝料額を受け取れる可能性もあります。自分の症状が後遺障害14級に該当するのか、慰謝料の増額は期待できるか気になる方はぜひ参考にしてください。

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後遺障害とは

後遺障害とは、交通事故において、治療後も事故前の状態まで回復せず、不具合として残る症状をいいます。

後遺障害の等級は、怪我の重さによって1級から14級まで分かれており、さらに、その中でも1号、2号など細かく等級が分かれています。

この等級には、両目失明など重い障害から、むち打ち症など比較的軽い障害も含まれており、「後遺障害」という言葉のイメージよりも実際には広く認められるものです。

後遺障害14級の内容

後遺障害の中でも比較的認められやすく、かつ実務上もよく問題になる「14級」の後遺障害について詳しく見ていきましょう。

後遺障害の14級は、症状により、下記号数に該当します。例えば、一番重い障害とされる眼付近の障害は1号に該当し、いわゆるむち打ち症とされる障害は9号に該当します。

症状 労働能力喪失率
1 眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 5/100
2 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの -
9 局部に神経症状を残すもの -

1.痛みがあっても14級に認定されない?

加害者側の保険会社を通じて、自賠責保険の会社に後遺障害の申請をしたけれど、後遺障害にあたらないという判断(これを「非該当」といいます)を受けた人もいるかもしれません。

後遺障害の申請をおこなう際に、加害者側の保険会社を通じて申請をおこなうことを「加害者請求(任意保険一括対応)」といいます。

加害者請求は、必要書類などを加害者側の保険会社が用意するので、申請をおこなう人の負担が軽いというメリットがあります。

しかし、あくまで「加害者側の保険会社が手続きをおこなう」という点を忘れてはいけません。

申請をして認められた場合、加害者側の保険会社は余分に多くお金を支払うことになります。

そのため、加害者請求の場合、加害者側の保険会社は必要最低限の資料しか自賠責保険の会社に提出しないこともあります。

こうした背景があり、加害者請求では後遺障害等級の申請について「非該当」と判断されることが多いのです。

2.後遺障害14級の認定率を上げる4つのポイント

加害者請求では認定されにくい後遺障害認定も、ポイントをおさえて申請すれば認定される可能性が高まります。

(1)弁護士を通じて後遺障害等級認定の申請をおこなう

後遺障害の認定を受けやすくするためには、申請を自分でおこなう必要があります。

すでにお伝えしたとおり、加害者側の保険会社に依頼す加害者請求では認定される可能性が低いためです。

自分で後遺障害認定の申請をおこなうことを「被害者請求」といいます。

ただ、被害者請求で後遺障害等級認定の申請をおこなう場合、これまでの診断書や診療報酬明細書だけでなく、レントゲンの画像資料等の必要資料を自分で用意しなければなりません。

弁護士に依頼すれば、必要な書類を弁護士が揃えたりすることも可能です。

また、後遺障害診断書についても、主治医の先生に対して、後遺障害の等級認定がされやすい書き方で書いてもらうようお願いすることもできるため、認定されやすくなります。

(2)症状が事故直後から続いており、症状固定まで入通院している

後遺障害認定される後遺障害とは、交通事故により発生した後遺症であることが前提となります。

したがって、痛みなどの症状が事故直後から続いていることを客観的に説明しなければいけません。

そのためにも、事故直後から症状固定日まで治療を続ける必要があります。

「症状固定」とは、これ以上治療を継続しても、症状の改善が認められない状態をいい、症状固定と診断されてから、後遺障害等級認定の申請をおこなうのが一般的です。

後遺障害の等級認定を受けるには、事故直後からこれ以上治療を続けても劇的な改善は見込めないと主治医の先生から伝えられるまで、治療を続ける必要があります。

また、治療の方針などを明らかにするためにも、整骨院ではなく整形外科に通うのが、後遺障害認定されやすくなるポイントです。

整骨院では、症状の状態やレントゲンからの診断等が得られませんので、なるべく整形外科に通うことをおすすめします。

(3)事故の規模から症状が出てもおかしくないと判断できる

事故の態様から、痛みなどの症状が出てもおかしくないといえることも、後遺障害認定されるうえでポイントとなります。

事故の状況を知るための資料としては、交通事故証明書だけでなく、事故状況説明書などの書類が重要となります。

事故状況説明書などはご自身で書く必要がありますが、具体的な書き方や後遺障害認定を受けやすい書き方などは弁護士がサポートできますので、それほど難しいものではありません。

(4)症状が残っていることを医師の診断書などによって証明できる

後遺障害14等級の認定を受けるうえでは、主治医の診断書や後遺障害診断書などが必須です。

先ほどご説明したように、診断書は、後遺症の状態やそれがいつ発生したのかを説明する重要な書類です。

少しでも痛みなどの症状がある場合は、痛みの程度や部位などを詳しく主治医に伝え、それを診断書に書いてもらうよう頼むことが重要です。

その際には、日常生活の動作を含めて説明すると後遺障害の等級認定をより受けやすくなります。

例えば、腰が痛くてベッドから起き上がるのに苦労する、といったことを主治医に話して診断書等に記載してもらえば、具体的な症状として腰の痛みが認定されます。

3 後遺障害14級が請求できる慰謝料の種類

後遺障害14等級の認定を受けた場合、請求できる慰謝料には次のようなものがあります。

(1)14級に応じた後遺障害に対する慰謝料

後遺障害が認定された場合、後遺障害を患った精神的苦痛に対して後遺障害慰謝料というものが支払われます。

先ほど示した表のように、14級の中でも1号から9号と怪我の内容によって分かれています。

認定された等級に応じて金額が変わり、等級数が小さいいほど慰謝料の額は多くなります。

(2)入通院や治療に対する入通院慰謝料(傷害慰謝料)

入通院慰謝料(傷害慰謝料)とは、入通院期間を基礎として支払われる慰謝料です。

弁護士が事件委任を受けた場合、入通院慰謝料については、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部から出されている『損害賠償額算定基準』(業界では「赤本」と呼ばれています)の算定表を基準に計算することになります。

(3)休業したことに対する休業損害

怪我の程度によっては治療のために何日間か仕事を休まなければならない方もいます。

仕事を休んだ期間は「休業損害」として請求できます。実務上は事故発生日より前の、直近3ヶ月分の給料から日割り分を計算して損害額を確定させます。

  • 専業主婦・主夫は休業損害を請求できる?

交通事故の被害に遭われた方の中には、専業主婦・主夫の方も多くいらっしゃいます。

では、この方達が事故に遭われた場合、休業損害は認められるのでしょうか。

結論として、専業主婦・主夫であっても休業損害は認められます。専業主婦・主夫の方が普段おこなっている家事労働は、外に頼めばそれなりの対価が要求されるものなので労働とみなされるのです。

この場合、請求額を確定させるために、年代ごとに男女別に出した平均年収(実務上「賃金センサス」と呼ばれています)を用いて計算します。

(4)後遺障害により損なわれた将来の利益に対する損害

後遺障害が残ると、多くの場合、将来の労働能力が低下し、賃金もそれに伴って下がってしまう可能性があります。

こうした、後遺障害により本来受けられるはずだったが受けられなくなってしまった金額を「逸失利益」といいますが、この「逸失利益」についても対価を請求することができます。

先ほど説明した「休業損害」と「逸失利益」は、賃金の補償という点で似ています。

しかし「休業損害」は、事故から症状固定日までの間、実際に減収した賃金を補償するものであるのに対し、「逸失利益」はあくまでも将来減収するであろう賃金に対する補償です。

  • 主婦・主夫は逸失利益を請求できる?

主婦・主夫の方も「逸失利益」についても請求することができます。

その計算方法も、「休業損害」と同様に「賃金センサス」を用いて計算されます。

(5)入通院にかかった実費

入通院にかかわる費用として、通院時の交通費などがあげられます。

交通費も当然治療を受けるのに必要な費用ですので、請求することができます。

通院に公共交通機関を使用する場合には、その電車賃など、車を使用した場合には、1kmあたり15円を請求可能です。

また、通院に付添が必要であれば、付添費用なども請求できる場合があります。

4.後遺障害等級14級の慰謝料相場と100万円以上増額した事例

後遺障害14級の認定を受け、提示された慰謝料額が本当に妥当なものであるかわからないこともあるでしょう。

ここでは後遺障害14級の慰謝料の相場と、弁護士の交渉により慰謝料が増額した事例についてご紹介します。

後遺障害14級の慰謝料相場

後遺障害慰謝料、入院慰謝料、それぞれの相場は以下のようになっています。

  • 後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の額は、怪我の内容や重さによって異なり、怪我の内容が重ければ重い程、慰謝料の額も高くなります。

また、慰謝料の額は、自賠責保険の相場と弁護士や裁判所の基準とでは大きく異なります。

後遺障害14級の場合、自賠責保険の基準が32万円であるのに対し、弁護士の基準では110万円です。

このように、自賠責保険の基準と弁護士の基準の差額はかなり大きいうえに、弁護士の基準の方が額も高いのが実情です。

  • 入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料については、実務上、以下の表を用いて計算されます。

他覚症状がある場合

他覚症状がない場合

後遺障害14級が認定され、100万円以上増額した事例

後遺障害14級が認定されなかったことにより、当初は200万円程しか提示されていなかった事例がありました。

しかし、そこから弁護士が受任し、後遺障害14級の認定を受け、保険会社と交渉した結果、慰謝料・逸失利益も合わせて結果的に保険会社から500万円以上支払われた事例もあります。

弁護士特約に入っていなくても弁護士に依頼するメリット

交通事故の被害に遭われた方の中には、弁護士特約を付けていないことで、弁護士に相談することをためらってしまう方もいます。

しかし、先ほど説明したように、保険会社から提示される慰謝料は、過去判例の基準よりも低額です。

また、後遺障害等級認定の申請をおこなう場合も、弁護士ならこれまで蓄積されたノウハウから、どういう資料を用意したり治療を受けたりすればいいかをアドバイスできます。

必要な資料をきちんと揃えれば、より後遺障害の認定を受けやすくなります。

後遺障害の認定は後遺障害慰謝料を請求するためにかかせません。

症状に見合った後遺障害等級の認定を受け、弁護士の基準で慰謝料を請求すれば、保険会社から提示される慰謝料より増額できる可能性はおおいにあります。

弁護士費用を差し引いても、保険会社に提示された慰謝料より多く受け取れる可能性があるのです。

費用面に不安がある方でも、安心して弁護士に依頼してください。

弁護士への相談は慰謝料請求の無料電話相談とは?利用すべき人と注意点を徹底解説!をご覧ください。

まとめ

今回は、後遺障害の中でも比較的多い14級についてお話しさせていただきました。

後遺障害として認定されるかどうかで、慰謝料や遺失利益の額に大きな影響を及ぼします。

ご自身の症状が何らかの後遺障害に該当するかどうかわからない場合でも、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

初回相談を無料で受けている事務所もございますので、少しでも不安がある場合は、ぜひお近くの法律事務所までご相談ください

交通事故の相談に関しては交通事故の相談先は7つ!保険会社や日弁連交通事故相談センター等ケース別相談先をご覧ください。

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