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共有持分放棄のやり方は?デメリットはある?後悔しないための実践ガイド

弁護士監修記事
遺産相続 不動産相続
2026年05月07日
共有持分放棄のやり方は?デメリットはある?後悔しないための実践ガイド
この記事を監修した弁護士
熊本 健人弁護士 (磯野・熊本法律事務所)
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共有不動産の扱いに悩み、「そもそも共有持分は放棄できるのか?」「手続きはどう進めればいいのか?」といった疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

相続などで不動産を共有している場合、共有状態のままだと売却や活用が難しく、トラブルの原因になることもあります。そのため、共有持分の放棄を検討するケースは少なくありません。

しかし、共有持分の放棄には一定の手続きが必要であり、税金や権利関係など注意すべきポイントもあります。

内容を十分に理解せずに進めてしまうと、後から「やらなければよかった」と後悔してしまう可能性もあるでしょう。

そこで本記事では、共有持分放棄の具体的なやり方や手続きの流れ、デメリットや注意点についてわかりやすく解説します。

後悔しないためのポイントも紹介しますので、共有持分の整理を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

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共有持分放棄のやり方・手続きの方法は?

共有持分を放棄する手続きは、以下の2段階で進めます。

  1. 内容証明郵便にて共有持分放棄の意思表示をする
  2. 共有持分移転登記の申請をする

確実に手続きを完了させるために、手続きの流れをおさえておきましょう。

1.内容証明郵便にて共有持分放棄の意思表示をする

まず、ほかの共有者全員に対して共有持分放棄の意思を伝えます。

民法によれば、放棄の意思表示をした時点で効力が発生します。しかし、意思表示を口頭やメールだけで伝えると、あとになって「言った・言わない」のトラブルに発展するおそれがあります。

トラブルを防ぐためにも、意思表示を伝える手段として内容証明郵便を利用しましょう。

内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が証明してくれるサービスです。

ただし、いきなり内容証明郵便を送りつけると、事情を知らないほかの共有者が困惑したり、不快感を抱いたりするおそれがあります。

円滑に進めるためにも、事前に電話や対面で連絡したうえで書面を送付しましょう。

【関連記事】【例文付き】内容証明郵便とは?効力・書き方・出し方をわかりやすく解説

2.共有持分移転登記の申請をおこなう

共有持分を放棄する意思表示をしただけでは、手続きは完了しません。

不動産の所有者が移転したことを公示するため、法務局で「共有持分移転登記」を申請する必要があります。

本登記を済ませることで、第三者に対して自分が持分権者ではなくなったことを主張できます。

なお、登記手続きは、原則として登記義務者(持分を放棄した人)と登記権利者(持分を受け取るほかの共有者)が協力して共同で申請しなければなりません。

自分だけでは登記を変更できない点に注意しましょう。

また、手続きの申請には、不動産の所在地を管轄する法務局に必要書類を提出する必要があります。

必要書類の詳細は、「共有持分放棄の必要書類と費用」を参照してください。

他共有者の協力が得られず登記ができないなら訴訟を提起する

ほかの共有者が登記手続きに協力してくれない場合、裁判所に登記引取請求訴訟を提起する必要があります。

登記引取請求訴訟とは、相手に対し「現実に起こった持分放棄に合わせて、登記手続きをしなさい」と命じてもらうための訴訟です。

本裁判で確定判決が出れば、特例として登記の単独申請ができます。

ほかの共有者の押印や書類がなくても、判決書を法務局に提出することで名義変更が可能になるのです。

ただし、訴訟提起には費用と時間がかかります。親族間で裁判沙汰になれば、人間関係の修復は困難になるでしょう。

あくまで、話し合いでの解決が難しい場合の最後の手段として検討してください。

共有持分放棄の必要書類と費用

ここでは、共有持分放棄の手続きのための主な必要書類と費用をまとめました。手続きを進める際の参考にしてください。

【主な必要書類】

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報
  • 登記識別情報(または登記済権利証)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記義務者(持分を放棄した人)の印鑑登録証明書
  • 登記権利者(持分を取得した人)の住民票
  • 委任状 ※代理人申請の場合に必要
主な費用
費用の項目 金額の目安・計算式 内容・備考
登録免許税 固定資産税評価額 × 2.0% 手続き時に国へ納める税金です。負担者に関する決まりはないため、話し合いで決定します。
司法書士への報酬 5万円~10万円程度 手続きを司法書士に依頼する場合の費用です。金額は事務所により異なるため、事前に見積もりを取るのがおすすめです。
実費 数千円程度 必要書類の取得費や郵送代です。(印鑑証明書の発行手数料など)

共有持分を放棄するメリット

共有持分を放棄する主なメリットは、以下の4つです。

  • 共有者との争いを回避できる
  • 維持管理にかかる手間や費用を回避できる
  • 子どもへの負担を避けられる
  • 相続放棄と異なり共有持分以外の相続は可能

ここからは、それぞれのメリットについて解説します。

共有者との争いを回避できる

不動産を共有していると、活用方法や売却の方針をめぐって意見が対立しがちです。

「売りたい人」と「住み続けたい人」で意見が割れたり、修繕費用の負担割合で揉めたりすることもあるでしょう。

その点、自分の持分を放棄してしまえば、共有関係から離脱でき、これ以上不動産について揉める必要もありません。

維持管理にかかる手間や費用を回避できる

不動産を所有している限り、持分割合に応じた固定資産税や都市計画税を毎年支払い続ける義務があります。

建物が老朽化すれば修繕費用がかかるほか、空き家であれば草むしりや清掃などの管理も必要です。

たとえ自分が不動産を利用していなくても、共有者である以上はこれらの負担から逃れられません。

しかし、持分を放棄すれば、所有権を失うと同時に支払い義務や管理責任も消滅します。

納税通知書に頭を悩ませたり、突発的な修繕費の出費におびえたりする必要がなくなるのです。

子どもへの負担を避けられる

共有名義の不動産は、代が変わるごとに共有者の数が増え、権利関係が複雑になりやすい特徴があります。

もし自分が共有持分を持ったまま亡くなると、持分は子どもなどの相続人に引き継がれます。

その結果、子どもが顔も名前も知らない親戚と不動産を共有することになり、管理や処分の話し合いで苦労するおそれがあります。

その点、自分があらかじめ持分を放棄して共有関係を解消しておけば、子どもに苦労を負わせずに済むでしょう。

相続放棄と異なり共有持分以外の相続は可能

共有持分の放棄と名称が似ている手続きに、相続放棄があります。

しかし、この2つは法的性質や効果がまったく異なる制度です。

相続放棄は、被相続人の権利や義務を一切引き継がない手続きです。借金などの負債を免れる一方で、預貯金や自宅といったプラスの財産も含めて全ての遺産を受け取る権利を失います。

一方で、共有持分の放棄は、対象となる不動産の持分権のみを手放す手続きです。ほかの財産への影響はありません。

そのため、共有持分放棄を選択すれば、維持管理が負担となる不動産の持分だけ処分しつつ、親から受け継いだ預貯金や他の重要な不動産を所有し続けられます。

【関連記事】相続放棄とは?手続きの流れや注意点、メリット・デメリットを解説

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共有持分を放棄するデメリット

共有持分の放棄には、メリットだけでなくデメリットも存在します。

とくに注意すべきデメリットは、以下の2つです。

  • ほかの共有者に相談せず放棄すると争いになる可能性がある
  • 共有持分を現金化する機会がなくなってしまう

自分にとって許容できるリスクか、事前にしっかりと理解しておきましょう。

ほかの共有者に相談せず放棄すると争いになる可能性がある

持分放棄によってほかの共有者の持分が増えれば、相手が負担すべき固定資産税や管理費、修繕積立金などの支払いが増加します。

そのため、一方的に持分を放棄すると、相手は「勝手に負担を押し付けられた」と感じ、感情的な対立に発展するかもしれません。

一方的な意思表示のみで放棄が成立するとはいえ、相手には事前に事情を説明して理解を得ておきましょう。

共有持分を現金化する機会がなくなってしまう

持分放棄は、無償で持分を手放す行為です。

そのため、持分を放棄したことへの対価は受け取れません。

本来、不動産には資産価値があるため、不動産会社やほかの共有者に持分を売却できれば、まとまった現金を手に入れられる可能性があります。

とくに都市部の土地など資産価値が高い不動産の場合、安易に放棄を選ぶことは数百万円以上の利益を自ら捨てるのと同じ結果になりかねません。

いきなり共有持分の放棄を決断するのではなく、まずは査定を受けるなどして売却の可能性がないか確認するのも重要です。

共有持分放棄の注意点

共有持分放棄の手続きをおこなう際は、事前におさえておくべきポイントがいくつかあります。

主な注意点は、以下の4つです。

  • 共有者が最後のひとりになると持分放棄ができなくなる
  • 放棄した年の固定資産税は負担しなくてはならない
  • ほかの共有者には贈与税が課税される
  • ほかの共有者が不満を抱く可能性がある

これらを知らずに進めると、「手続きができない」「予想外の税金を請求された」といった事態になりかねません。

それぞれの内容をしっかりと確認しておきましょう。

共有者が最後のひとりになると持分放棄ができなくなる

共有持分の放棄は、あくまで複数人で共有している状態でのみ認められます。

ほかの共有者が次々と持分放棄したり亡くなったりして、最終的に自分が最後の所有者になった場合、持分放棄はできません。

「早い者勝ち」の側面があるため、ほかの共有者の動きには注意が必要です。

なお、ひとりで所有している不動産を手放すには、売却するか、国にお金を払って引き取ってもらう制度(相続土地国庫帰属制度)を利用する必要があります。

放棄した年の固定資産税は負担しなくてはならない

固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者に対して課税されます。

つまり、年の途中で持分放棄をして登記を完了させたとしても、その年の納税通知書は、年初の所有者のもとに届きます。

ただし、共有者間での話し合いにより、実質的な負担分を精算することは可能です。

ほかの共有者には贈与税が課税される

持分を放棄すると、ほかの共有者は対価を支払わずに不動産の持分を取得します。

そのため、不動産を取得した側は税務上「贈与」を受けたのと同じ扱いになります。

その結果、持分を受け取った共有者に対して、高額な贈与税が課されるかもしれません。

あとからトラブルにならないよう、事前に税金のリスクを相手に伝えておきましょう。

また、共有持分を取得した他の共有者には、贈与税だけでなく不動産取得税が課される可能性もあります。

ほかの共有者が不満を抱く可能性がある

持分が増えることは、相手にとって必ずしも歓迎すべきこととは限りません。

活用予定のない不動産の場合であれば、持分の増加は管理責任と税負担が重くのしかかることを意味します。

一方的に手続きを進めると、相手に「いらない土地を勝手に押し付けられた」という不満が残り、将来にわたって親族関係にしこりを残すおそれがあります。

可能な限り事前に事情を説明し、理解を求めた上で手続きを進めるようにしましょう。

共有持分の放棄を検討するべきケースと慎重になるべきケースとは?

共有持分の放棄は、共有関係を解消するために有効な手段ですが、全ての人におすすめできません。状況によっては、損をしてしまったり、新たなトラブルを招いたりするおそれがあるからです。

以下、共有持分の放棄を検討するべきケースと慎重になるべきケースをまとめました。自分がどちらの状況に当てはまるか確認してみてください。

持分放棄を検討するべきケース 持分放棄を慎重になるべきケース
・不動産の価値が低い
・遠方に住んでおり、不動産の管理が難しい
・税金や管理を負担したくない
・ほかの共有者との仲が悪く、連絡を取りたくない
・現金は不要
・不動産の価値が高い
・近隣に住んでおり、不動産を管理しやすい
・ほかの共有者に管理や税金の負担をかけたくない
・ほかの共有者と仲が良い
・現金化したい

持分を持っているだけでお金や手間がかかる不動産であれば、放棄すべきです。

手元に現金は残りませんが、将来の負担や、トラブルを残すリスクを断ち切れるメリットのほうが大きいといえます。

一方で、不動産自体に価値がある場合は注意が必要です。

放棄をすると無償で権利を捨てることになるため、本来得られるはずだった数百万円以上の利益を失うことになります。

また、相手に税金の負担を押し付けることで人間関係が悪化するおそれがあるときは、いきなり放棄を選ばず、「持分の売却」や「共有者間での売買」などの方法も検討してください。

共有持分の放棄についてよくある質問

ここでは、共有持分の放棄に関するよくある質問とその回答をまとめました。似たような疑問をお持ちの方は、ぜひここで疑問を解消してみてください。

共有持分の放棄は早い者勝ちなの?

法的手続きの仕組み上、「早い者勝ち」という側面は否定できません。

民法では、誰かが持分を放棄すると、その持分は「他の共有者」に帰属します。もし他の共有者が次々と放棄し、自分が最後のひとり(単独所有者)になってしまった場合は放棄できません。

最後に残った人は、不動産の管理責任や固定資産税の支払い義務をひとりで負います。負担の重い不動産の場合、決断を後回しにした人が損をする現実があるのは事実です。

ただし、「早ければ何をしても許される」わけではありません。

管理が不十分で崩落の危険がある土地などを責任逃れのために一方的に放棄しようとすると、裁判所によって「権利の濫用」と判断され、放棄が無効になるケースもあります。

周囲に著しい迷惑をかける形での持分放棄は認められない可能性があるため、慎重な判断が必要です。

共有持分の放棄と贈与はどう違うの?

共有持分の放棄と贈与は、無償で相手に権利が移る点や受け取った側に贈与税がかかる点は共通します。しかし、「相手を選べるか」と「売却時に発生する税金の多寡」が大きく異なります。

まず、共有持分の放棄では、相手を選べません。

放棄された持分は、ほかの共有者の持分割合に応じて自動的に配分されます。「Aさんにはあげたいけれど、Bさんにはあげたくない」といった取り扱いはできません。

一方で、贈与の相手は自由に選べます。特定の共有者や第三者だけに譲渡することも可能です。

また、贈与と共有持分の放棄では、不動産を売って利益が出た場合にかかる税金(譲渡所得税)の計算方法が異なります。

項目 放棄で取得した場合 贈与で取得した場合
取得費 放棄時点の時価 元の持ち主の購入価格
売却時の税金 取得費が高くなりやすいため、税金が安くなる傾向がある 取得費が低くなりやすいため、税金が高くなる傾向がある

一般的に、先祖代々の土地など購入価格が不明の不動産であれば、共有持分の放棄で取得したほうが現在の時価を取得費にできるため節税効果が高くなります。

どちらを選ぶかで将来の手取り額が大きく変わるため、税理士や弁護士などの専門家と相談して使い分けるのが賢明です。

さいごに|共有名義不動産の問題は弁護士に相談を!

ここまで、共有持分を放棄するための手続きや必要書類・費用、放棄するメリット・デメリットなどを解説しました。

共有持分の放棄は、維持費や人間関係のストレスから解放される有効な手段です。しかし、共有持分を放棄するにあたっては、正確な知識と相手への配慮が欠かせません。

自分ひとりだけで進めようとすると、手続きの不備で効力が認められない、交渉のやり方を間違えて共有者との感情的な溝を深めてしまうといったリスクがあります。

トラブルなく共有関係を解消するためには、弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士のサポートがあれば、相手との交渉を代理してもらえるため、精神的な負担が軽減されるでしょう。また、個々の状況に合わせた最適な解決策も提案してもらえます。

「ベンナビ相続」では、共有不動産の相続分野が得意な弁護士を、地域や条件から簡単に探せます。

一人で不安を抱え込まず、まずは一度弁護士のアドバイスを受けてみてください。

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