遺産分割協議書の作成後に騙されたとわかったら?取消しの要件とやり直す手順
- 「騙されて遺産分割協議書にサインしてしまった」
- 「署名・押印してしまったけど取り消せる?」
このように、遺産分割協議書を作成したあとで騙されたことに気づき、どうすればよいか不安に感じていませんか?
結論からお伝えすると、騙されて署名・押印した遺産分割協議書は、取り消せる可能性があります。
そこで本記事では、取消しが認められる条件や騙されがちな5つのパターン、取消しからやり直しまでの具体的な手順を解説します。
自分のケースで取消しが可能かどうかを判断し、適切に対応を進めるために、ぜひ参考にしてください。
- 遺産分割協議書で騙された場合は協議をやり直せる可能性がある
- 騙された遺産分割協議を取り消す場合の要件
-
遺産分割協議で騙されがちな5つのパターン
- 1. 預貯金などの高額な遺産が隠されていた
- 2. 不動産の評価額を意図的に低く伝えられていた
- 3. 多額の生前贈与を黙っていた
- 4. 遺産の使い込みを黙っていた
- 5. 都合の悪い遺言書を偽造・隠匿・破棄された
- 騙された遺産分割協議を取り消してやり直す7つの手順
- 1. 騙された証拠を集める
- 2. ほかの相続人に内容証明郵便で取消しを通知する
- 3. 遺言書の偽造や破棄をおこなった相続人を相続手続きから除外する
- 4. 欠格者以外の相続人全員で遺産分割協議をやり直す
- 5. 取消し後の協議で合意できない場合は遺産分割調停を申し立てる
- 6. 調停不成立の場合は遺産分割審判に移行する
- 7. 相続登記や名義変更をやり直す
- 騙された遺産分割協議書を取り消す際の注意点4つ
- 遺産分割協議で騙されたら弁護士に相談するのがおすすめ
- 騙された遺産分割協議書の取消しに関するよくある質問
- さいごに|騙された遺産分割協議書の取消しは早めに弁護士へ相談を
遺産分割協議書で騙された場合は協議をやり直せる可能性がある
一度成立した遺産分割協議は、原則として取消しできません。「分け方が不公平だった」「あとから気が変わった」といった理由では、やり直しが認められないのが基本です。
ただし、そもそも協議の段階で騙されていたなど、合意の過程に問題があったケースであれば、協議自体を取り消してやり直せる可能性があります。
また、騙された場合以外にも、脅されて無理やり合意させられたケースも取消しの対象になり得ます。
騙された遺産分割協議を取り消す場合の要件
遺産分割協議で騙されたと感じた場合でも、すぐに無効になるわけではありません。
取消しが認められるためには、法律上の要件を満たしている必要があります。代表的な根拠として挙げられるのが、詐欺と錯誤(さくご)です。
それぞれの成立要件について、以下で詳しく見ていきましょう。
詐欺|騙されていた場合
相手の嘘を信じて遺産分割協議に合意してしまった場合は、詐欺を理由に取り消せる可能性があります。
詐欺による取消しが認められる要件は以下の3つです。
- 相手に騙す意図があったこと
- 相手の嘘によって勘違いが生じたこと
- 勘違いをもとに署名したこと
具体的には、相続財産を意図的に隠された、不動産の評価額について虚偽の説明をされたといったケースが該当します。
ただし、最初から騙すつもりだったという相手の悪意を客観的な証拠で証明しなければならないため、詐欺による取消しを認めてもらうのは簡単ではありません。
メールや音声、虚偽の資料など、明確な証拠がなければ詐欺の立証は難しいのが現実です。
錯誤|重大な勘違いをさせられていた場合
詐欺の証明が困難な場合でも、錯誤があったと認められれば遺産分割協議を取り消せる可能性があります。
錯誤による取消しが認められる要件は以下の4つです。
- 勘違いがあったこと
- わかっていれば合意しなかったといえるほど重要な勘違いであること
- 勘違いの内容が合意の重要な前提であり、その前提が相手方にも示されていたこと
- 本人に重大な落ち度がなかったこと
たとえば、提示された財産目録が全てだと信じて合意したことをほかの相続人に伝えていたにもかかわらず、あとから隠し口座や不動産の存在が発覚したケースなどが典型例です。
相手の嘘によって勘違いが生じた場合、被害者側に多少の落ち度があっても取消しが認められる可能性があります。
そのため、難易度の高い詐欺より錯誤を主張するケースが多い傾向にあります。
遺産分割協議で騙されがちな5つのパターン
遺産分割協議では、親族だからと信用してしまい、悪意のある手口に気づかないまま署名してしまうケースが少なくありません。
ここでは、遺産分割協議で騙されがちな5つのパターンを紹介します。
1. 預貯金などの高額な遺産が隠されていた
まずよくあるのは、一部の預貯金や株式が意図的に隠された状態で遺産分割協議に合意させられてしまうパターンです。
たとえば、被相続人と同居していた親族が通帳や金融機関の書類を管理し、ほかの相続人に開示しないケースがあげられます。
提示された財産目録だけを信じて署名し、あとから隠し口座の存在が発覚すると「騙された」と感じる人が多いでしょう。
財産目録に漏れがあるかもしれないと感じたら、金融機関に対して残高証明書や取引履歴の開示請求をおこなってください。
相続人であれば、ほかの相続人の同意がなくても単独で請求可能です。
不動産については、市区町村から送られてくる固定資産税の課税明細書を確認するほか、市区町村役場で名寄せ帳を取得することで被相続人名義の不動産を確認できます。
【関連記事】相続財産を隠されたらどうする?遺産隠しの見分け方と解決方法
2. 不動産の評価額を意図的に低く伝えられていた
遺産分割協議では、不動産の価値が実際より低く説明され、少ない代償金で合意させられる場合も考えられます。
「田舎の土地だから値がつかない」「買い手がない」といった説明を信じて署名したものの、実は市場価格がまったく異なっていた、というケースは少なくありません。
不動産価値について騙されたと気づくきっかけは、固定資産税の課税明細書や、不動産会社への問い合わせなどさまざまです。
提示された金額に違和感を覚えたときは、不動産会社に査定を依頼しましょう。
提示された金額と査定結果に大きな違いがある場合、重大な勘違いがあったとして錯誤を主張できる可能性があります。
3. 多額の生前贈与を黙っていた
特定の相続人が多額の生前贈与を受け取っていたにもかかわらず、ほかの相続人に黙って協議を進めたケースも典型例のひとつです。
生前贈与のうち、相続分の前渡しとみなされるものを特別受益といいます。そして、特別受益は相続財産に持ち戻して遺産総額を再計算したうえで分割するのが原則です。
しかし、生前贈与があったことを知らないまま遺産分割をおこなうと、ほかの相続人は少ない財産を前提に合意させられることになります。
ほかの相続人が生前贈与の事実を黙っている可能性があるときは、被相続人の銀行口座の取引履歴を取得してみましょう。
特定の相続人への不自然な振込があれば、生前贈与の存在を裏付けられる場合があります。
ただし、全ての生前贈与が特別受益に該当するわけではありません。日常的な生活費や学費など、親として当然の支出は特別受益にあたらないとされています。
【関連記事】特別受益とは?わかりやすい判断基準、具体的なケース、主張する際の流れを全部解説
4. 遺産の使い込みを黙っていた
特定の相続人が遺産を勝手に使い込んでいたにもかかわらず、それを隠したまま協議が進むケースもあります。
たとえば、介護や看病を理由に被相続人のキャッシュカードや通帳を管理していた親族が、死亡前後に多額の引き出しをおこなうトラブルは珍しくありません。
使い込まれた分は、遺産を使い込んだ相続人に対して不当利得返還請求をおこなうか、遺産に持ち戻して再分割する必要があります。
なお、使い込みがあるかどうかを調査する場合は、金融機関に死亡前後数年分の取引履歴を請求し、不自然な高額出金がないかを確認するとよいでしょう。
【関連記事】遺産の使い込み気づいた時の対処法|罪状や時効を解説
5. 都合の悪い遺言書を偽造・隠匿・破棄された
遺産分割協議の際は、一部の相続人が自分にとって不利な遺言書を有利な内容に書き換えたり、隠したり捨てたりするケースも考えられます。
遺言書の偽造や隠匿、破棄は民法上の相続欠格事由に該当する重大な違法行為です。
相続欠格とは、一定の違法行為をおこなった相続人の相続権を失わせる制度をいい、該当すると相続人としての資格そのものを剥奪されます(民法第891条)。
相続欠格事由に該当する相続人がいる場合、相続権を失った人物を除外したうえで協議をやり直さなければなりません。
疑わしい点があるときは、筆跡鑑定の専門家への依頼や、自筆証書遺言の無効確認を求める訴訟を検討しましょう。
【関連記事】遺言書の偽造が疑われる場合はどうするべき?対処法・見分け方・予防策を解説
騙された遺産分割協議を取り消してやり直す7つの手順
騙された遺産分割協議を取り消してやり直す手順は、以下のとおりです。

まずは客観的な証拠を集めることからスタートし、当事者間の交渉で解決しなければ裁判所の手続きへと移行します。
それぞれ具体的な進め方を見ていきましょう。
1. 騙された証拠を集める
遺産分割協議の取消しを主張するには、相手の嘘や財産隠しを裏付ける客観的な証拠を集める必要があります。
たとえば、以下のようなものが証拠になり得ます。
| ケース | 証拠になり得るもの |
| 遺産隠し・使い込み・生前贈与 | ・金融機関の残高証明書 ・取引履歴 |
| 不動産評価額の偽装 | ・不動産会社の査定書(複数社) |
| 相手の嘘の言動 | ・LINEやメールのやり取り ・会話の録音データ ・虚偽の財産目録 ・遺産分割協議の議事録 |
LINE・メールのやり取りや会話の録音データは、詐欺や錯誤を主張するうえで有力な材料です。スクリーンショットを撮るほか、もしも電話記録が残っているならバックアップをとっておきましょう。
実際に詐欺や錯誤があった場合でも、証拠がなければ調停や裁判での主張が認められない可能性があります。手間はかかりますが、できるだけ多くの証拠を集めるのが重要です。
2. ほかの相続人に内容証明郵便で取消しを通知する
証拠が揃ったら、ほかの相続人に対して取消しの意思表示をします。
口頭や通常のメールでは「言った・言わない」のトラブルになる可能性があるため、必ず内容証明郵便で通知しましょう。
内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に・どのような文書を送付したかが記録される郵便局のサービスです。取消しの意思表示をしたことを法的に証明できるメリットがあります。
なお、内容証明郵便の作成・送付は弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士名義で送付すると相手に本気度が伝わり、協議のやり直しに応じる可能性が高まります。
ほかの相続人が取消しに応じない場合は調停や訴訟で解決を図る
ほかの相続人が遺産分割協議の取消しに応じない場合は、家庭裁判所での調停や、地方裁判所での訴訟によって解決を図ることになります。
調停では、中立の立場である調停委員が各相続人の主張を聞き、合意に向けた調整がおこなわれます。このとき、「騙された」「重大な勘違いがあった」といった事情を説明し、遺産分割をやり直す必要性について理解を得ることが重要です。
ただし、調停は遺産分割の方法を話し合う場であり、遺産分割協議の取消しが法的に認められるかどうかを判断する手続きではありません。
そのため、相手方が取消しを前提とした遺産分割協議のやり直しに合意しない場合には、調停は不成立となります。
調停でも解決できない場合地方裁判所に「遺産分割協議の無効確認訴訟」を提起して、取消しの可否そのものを争うことになります。
なお、訴訟では詐欺や錯誤といった取消原因が存在することを証拠に基づいて立証する必要があります。
専門的な主張や証拠整理が求められるため、弁護士に相談したうえで進めると安心です。
3. 遺言書の偽造や破棄をおこなった相続人を相続手続きから除外する
遺言書の偽造・隠匿・破棄が発覚した場合は、その相続人を協議から除外します。
相続欠格事由に該当する者は自動的に相続権を失うため、除外の手続きは必要ありません。
しかし、戸籍には相続欠格者であることが記載されないため、相続手続きを進めるにあたって、欠格者本人が相続欠格証明書を作成する必要があります。
欠格者が事実を認めない場合は、相続権不存在確認訴訟を提起して確定判決を得なければなりません。
なお、相続欠格事由に該当するのは以下のケースです。財産の隠匿や嘘の説明などでは欠格事由に該当しません。
- 故意に被相続人や相続人を死亡させた、または死亡させようとして刑に処された者
- 被相続人が殺害されたことを知りながら告発・告訴しなかった者
- 詐欺や強迫で被相続人の遺言を妨害した者
- 詐欺や強迫で被相続人に遺言をさせた者
- 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者
相続欠格者がいる場合の相続手続きの進め方については、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】相続欠格とは?該当する5つのケースと相続手続きのポイントをわかりやすく解説
4. 欠格者以外の相続人全員で遺産分割協議をやり直す
遺産分割協議の取消しについて全員が合意したら、欠格者以外の相続人全員であらためて遺産分割協議をおこないます。
正しい財産目録をもとに、各相続人の法定相続分を確認しながら適正な分割割合を話し合います。
前回の協議で詐欺や錯誤があった場合、財産の全体像が変わることも少なくありません。
合意に至ったら新たな遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書を1通ずつ添付します。それぞれが自筆で署名し、実印で押印しましょう。
なお、遺産分割協議書は自分でも作成できますが、トラブルを避けるためにも弁護士に作成を依頼するのがおすすめです。自分で作成する場合は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】【ひな形付き】遺産分割協議書とは?書き方・作成の流れ・必要なケースを解説
5. 取消し後の協議で合意できない場合は遺産分割調停を申し立てる
再協議を試みても相続人全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。
調停では、調停委員がそれぞれの主張や証拠を聞きながら解決案を提示してくれます。裁判のように対決形式ではなく、あくまでも話し合いで解決を目指す手続きです。
調停のメリットは、当事者が直接顔を合わせずに済む点です。相続人同士で激しく対立しているケースでも、調停委員を介することで冷静な話し合いが進めやすくなります。
なお、弁護士に代理人を依頼すれば、本人が出席しなくてよい場合もあります。
遺産分割調停の流れについては、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】遺産分割調停の流れと必要書類|弁護士なしでできるのか、費用はどれくらいか
6. 調停不成立の場合は遺産分割審判に移行する
調停で合意に至らない場合、手続きは自動的に遺産分割審判へ移行します。
審判では、裁判官が各相続人の事情や提出された証拠をもとに、分割方法を決定します。当事者の合意は必要なく、裁判官が一方的に判断を下す点が調停との大きな違いです。
なお、審判の結果に不服がある場合は、審判から2週間以内であれば即時抗告という手続きによって高等裁判所での審理を求めることが可能です。
ただし、即時抗告をしても結論が覆るとは限りません。また、即時抗告をしなかった場合や即時抗告審で結論が出たときはそのまま審判結果が確定します。
確定した審判結果には強制力があるため、当事者全員が審判の内容に従って遺産分割を進めなければなりません。
遺産分割審判の流れについては、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】遺産分割審判の流れと弁護士に相談して有利に進める方法
7. 相続登記や名義変更をやり直す
新たな合意書や審判が確定したら、速やかに不動産や預貯金の名義変更をやり直します。
すでに前の協議書で登記が完了している不動産がある場合は、錯誤を原因とする抹消登記や所有権移転登記の手続きが必要です。
金融機関への書類の再提出も発生するため、手続き全体が複雑になりやすく、司法書士との連携が必要になるケースが多いでしょう。
面倒に感じるかもしれませんが、名義変更を放置すると、現在の所有者が財産を勝手に売却したり担保設定したりするトラブルを招くおそれがあります。
そのため、合意が成立したらすぐに手続きを進めることをおすすめします。
相続登記をしないリスクや手続きの流れについては、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】相続登記とは?登記しないリスクや手続きの流れをわかりやすく解説
騙された遺産分割協議書を取り消す際の注意点4つ
騙された遺産分割協議書を取り消す際は、以下の4つに注意する必要があります。
- 騙されたと気づいてから5年で取消権が時効消滅する
- 内容を追認すると取消しできなくなる
- すでに第三者に譲渡された財産は取り戻せない可能性がある
- 贈与税や譲渡所得税などの税金が発生する場合がある
それぞれの注意点について、詳しく見ていきましょう。
1. 騙されたと気づいてから5年で取消権が時効消滅する
詐欺や錯誤による取消権には、法律上の期限があります。
そのため、期限を過ぎるとどれほど正当な主張があっても遺産分割協議を白紙に戻せなくなります。
取消権が消滅するのは、以下のうち早いほうの期限が到来したときです(民法第126条)。
- 騙されたと気づいたときから5年
- 協議が成立したときから20年
放置している間にも時効期間は進み続けるため、騙されたことに気づいた時点で速やかに行動を起こしましょう。
まずは弁護士に相談し、内容証明郵便などで時効の進行を止めることが重要です。
2. 内容を追認すると取消しできなくなる
騙されたと知ったあと、その協議内容を追認してしまった場合は取消しができません。
追認とは、取消しが可能な行為について、あとから取り消さないことを決める意思表示をいい、取消しの放棄とも呼ばれます。
たとえば、騙されていると知りながら自分が取得した遺産を第三者に譲渡した場合なども、追認とみなされる可能性があります。
取り消さないことを伝えていなくても、遺産を取得し譲渡したことが法定追認と判断され、取消権を失うおそれがある点に注意しましょう。
3. すでに第三者に譲渡された財産は取り戻せない可能性がある
ほかの相続人がすでに不動産などを売却してしまっていた場合、現物そのものを取り戻せない可能性があります。
民法上、詐欺による取消しは事情を知らない善意無過失の第三者には対抗できません。
つまり、買主が騙された経緯を知らず、知らないことに過失もないときは財産を取り戻せないということです。
遺産がすでに第三者の手にわたっている場合は、相続人同士で金銭による解決を目指すしかありません。たとえば代償金を請求したり、不当利得返還請求をしたりといった方法が考えられます。
そのほか、財産がまだ売却されていないなら、裁判所に処分禁止の仮処分を申し立てるのもひとつの方法です。不動産であれば登記簿に記録されるため、第三者への売却を阻止できます。
4. 贈与税や譲渡所得税などの税金が発生する場合がある
遺産分割協議をやり直した場合、思わぬ税負担が生じるケースがあります。
詐欺や錯誤を理由とした法的な取消しであれば、協議は最初からなかったものとみなされるため贈与税などの追加課税は発生しません。
やり直し後の遺産分割に基づいて、相続税の修正申告や更正の請求をおこなうことになります。
しかし、詐欺や錯誤が認められなかった場合や取消権の時効成立後に相手方が任意で再協議に応じた場合など、結果的に相続人全員の合意によってやり直す場合は注意が必要です。
財産の移転があったとみなされ、贈与税や譲渡所得税が課されるリスクがあります。
税金面で不安がある場合は、税理士や税理士と連携できる弁護士に相談したうえで進めることをおすすめします。
遺産分割協議で騙されたら弁護士に相談するのがおすすめ
遺産分割協議で騙されたら、相続を得意とする弁護士に相談するのがおすすめです。騙されておこなわれた遺産分割協議の取消しややり直しは、以下のような理由から自力での対応が難しいためです。
- 詐欺や錯誤の要件を満たすかどうかの判断が複雑
- 証拠収集のハードルが高い
- 時効や追認のリスクを意識しながら動く必要がある
- ほかの相続人が応じなければ調停・審判に発展する
なお、遺産分割協議書の作成は行政書士や司法書士にも依頼できますが、行政書士や司法書士は相手方との交渉を代理したり、裁判所で主張したりといったことはできません。
そのため、特に調停や審判での対応が必要なケースでは、弁護士への相談・依頼を検討してください。
弁護士に依頼すれば、証拠収集からほかの相続人との交渉、裁判所での手続きまでをトータルでサポートしてもらえます。
騙された遺産分割協議書の取消しに関するよくある質問
ここからは、騙された遺産分割協議書の取消しに関するよくある質問に回答します。
単に間違えただけでも遺産分割協議は取り消せますか?
単純な記載ミスであれば、取り消さなくても訂正で対応できます。
相続人全員が合意したうえで協議書を修正して訂正印を押すか、訂正内容を記載した覚書を交わすことで修正が可能です。手続き自体はそれほど複雑ではありません。
ただし、遺産の評価額や存在そのものに関する根本的な勘違いであれば話は別です。たとえば遺産総額が違った、重要な資産の存在を知らなかったといったケースであれば、錯誤取消しの対象になる可能性があります。
行政書士や司法書士が作成した遺産分割協議書でも、中身で騙されていたら取り消せますか?
専門家が書面を作成したかどうかに関係なく、合意の過程に詐欺や錯誤があれば取り消せる可能性があります。
ただし、相手方との交渉や調停・裁判など、あらゆる場面で代理対応できるのは弁護士だけです。やり直しを求める場合は、相続トラブルに対応できる弁護士への相談をおすすめします。
すでに相続税を支払ったあとでも取消しややり直しはできますか?
相続税を納付済みでも遺産分割協議の取消しややり直しは可能ですが、税務署への追加手続きが必要です。
やり直しの結果、自分の取得分が増えた場合は修正申告をおこない、増額分に応じた相続税を追加で納めなければなりません。一方、取得分が減った場合は更正の請求を税務署に提出することで、払いすぎた税金の還付を受けられます。
なお、やり直しによって相続税額が変わる場合は、修正申告や更正の請求が必要になることがあります。
期限は事情によって異なるため、税理士に確認しながら早めに対応しましょう。
さいごに|騙された遺産分割協議書の取消しは早めに弁護士へ相談を
遺産分割協議で騙されたら、騙されたと気づいた時点で弁護士に相談することをおすすめします。
相手の嘘を証明する証拠の収集や内容証明の送付、調停・審判への対応などを自分で進めるのは、法律知識がない方には困難であるためです。また、時効や追認によって、取消しの権利を失ってしまうリスクも存在します。
何より、自分を騙した親族と直接交渉することは、精神的に大きな負担になるでしょう。弁護士に依頼すれば、相手との交渉を含めて接触を最小限に抑えながら、法的手続きを一任できます。
まずは初回無料相談を活用して、自分のケースで取消しが認められるかどうかや、費用対効果を確認してみてください。
