公正証書遺言に関する弁護士の主な業務|メリット・費用相場・注意点まで丸わかり
公正証書遺言を作成する際は、弁護士への相談・依頼がおすすめです。
希望どおりの遺言内容にできる可能性が高まりますし、手続きの負担も大幅に軽減できます。
しかし、具体的なサポートがわからず、なかなか相談できていない人も少なくないでしょう。
そこで本記事では公正証書遺言の作成を検討している方に向けて、以下の内容を説明します。
- 公正証書遺言の作成サポートを弁護士に任せるべき人
- 公正証書遺言の作成サポートで弁護士がしてくれる業務
- 公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼するメリット
- 実際に弁護士に依頼してから公正証書遺言ができるまでの流れ
- 公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼した場合の費用相場 など
本記事を参考に、公正証書遺言の作成について弁護士がどう関わってくれるのかを確認しましょう。
公正証書遺言の作成サポートを弁護士に任せるべき人とは?
公正証書遺言の必要があるけれど、自力での対応が難しい場合は弁護士に任せるべきです。
具体的には、以下の(1)(2)の両方に当てはまる場合は弁護士に相談するのが望ましいでしょう。
| パターン | 具体的な状況 |
|---|---|
| 1.公正証書遺言の作成が必要 | ・可能な限り無効のリスクを避けたい ・相続人同士の相続トラブルが予想される ・遺言書の偽造や改ざんなどのリスクがある ・認知症の疑いがあり遺言能力に不安がある など |
| 2.弁護士への相談・依頼が必要 | ・財産の分割方法のアドバイスがほしい ・相続財産が多いため全て調査してほしい ・法定相続分とは異なる割合で相続させたい ・遺言執行者を信頼できる弁護士に任せたい など |
ただし、実際には「公正証書遺言を作りたい」などの理由でも弁護士に相談することは可能です。
法律相談を受けることで「本当に弁護士に任せるべきなのか」を判断できるようになるでしょう。
公正証書遺言の作成サポートで弁護士がしてくれる主な業務
弁護士が提供している公正証書遺言の作成サポートの主な業務内容は以下のとおりです。
- 公正証書遺言原案作成
- 公証人との打ち合わせ
- 相続人や相続財産の調査
- 必要に応じて証人の手配
ここでは、公正証書遺言の作成サポートで弁護士がしてくれる主な業務について説明します。
1.公正証書遺言原案作成
原案作成では「どの財産を、誰に、どう分けるのか」など遺言の内容の基本を決めます。
弁護士はまず遺言者の話をヒアリングし、相続財産や相続人の洗い出しをおこないます。
そのうえで具体的に「相続財産を誰に相続させるのか」といった文面作成を進めていきます。
また、ほかの相続人の遺留分を侵害しないように分け方のアドバイスもしてくれるでしょう。
弁護士による文案作成と遺言者による確認・修正を繰り返して、理想の遺言書に近づけます。
2.公証人との打ち合わせ
公正証書遺言は、公証人に対して遺言者が口授することで作成されます(民法第969条2号)。
そのため、弁護士は事前に以下のような内容について公証人と打ち合わせをしてくれます。
- 公正証書遺言として有効な内容や文言かどうか
- 公正証書遺言を作成する際の日時や場所をどうするか など
事案によって異なりますが、公証人との打ち合わせは複数回おこなわれることもあります。
こうした公証人との打ち合わせ・やり取りのほぼ全てを弁護士が対応してくれるでしょう。
3.相続人や相続財産の調査
遺言書を作成する際は、戸籍謄本や残高証明書などの資料も必要です。
法律事務所によっては、こうした相続人・相続財産の調査にも対応しています。
基本的には委任状を使って、相続人や相続財産に関する資料の調査が実施されます。
なお、資料収集については依頼者自身が対応するケースもあるため、事前の確認が必要になります。
4.必要に応じて証人の手配
公正証書遺言を作成する際は、証人2名以上の立会いが必要です(民法第969条1号)。
そして法律事務所によっては、このような証人の手配についても対応してくれます。
弁護士や法律事務所の職員に証人になってもらえば、守秘義務の観点からも安心できるでしょう。
【関連記事】公正証書遺言作成時に必要な証人とは?役割と手配方法、費用の目安を解説
公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼する4つのメリット
公正証書遺言の作成サポートを弁護士に相談・依頼するメリットは以下のとおりです。
- 適切な遺言の種類を教えてもらえる
- 遺言の内容を自分の理想に近づけられる
- 遺言を作成するための手間を軽減できる
- 遺言執行者を弁護士に依頼できる場合もある
ここでは、公正証書遺言の作成サポートを弁護士に相談・依頼するメリットを説明します。
1.適切な遺言の種類を教えてもらえる
遺言には、公正証書遺言のほかに自筆証書遺言や秘密証書遺言もあります。
- 自筆証書遺言:遺言者本人が本文を自筆し、署名・押印して作成する遺言書のこと
- 秘密証書遺言:本人が作成し、公証人と証人に遺言の存在を証明してもらう遺言書のこと
公正証書遺言を希望している場合、そのほかの種類の遺言には興味がないかもしれません。
しかし、弁護士に相談した結果、ほかの遺言書のほうが適しているとわかるケースもあります。
また、それぞれの遺言のデメリットや注意点についても、しっかりと把握することができます。
なお、遺言の違い・特徴などについて詳しく知りたい場合は、以下のページでご確認ください。
【関連記事】遺言書とは|種類の選び方や自分で作成する方法を解説
2.遺言の内容を自分の理想に近づけられる
遺言書を作成するにあたって、以下のような希望もあるでしょう。
- 家族で仲良く暮らしてほしい
- 特定の相続人に財産を集中させたい
- 相続人以外の人にも財産を譲りたい など
弁護士に依頼した場合、このような希望に沿った遺言書の作成をサポートしてくれます。
また、遺言書にはルールがありますが、弁護士であれば法律を守って遺言書を作成してくれます。
無効になりにくく、理想に近い遺言書を作成できることも弁護士に依頼するメリットといえます。
【関連記事】公正証書遺言の効力は絶対?無効になるケースや効力を争う方法も解説
3.遺言を作成するための手間を軽減できる
実際に公正証書遺言を作成するには、時間・手間を要することが多いです。
【公正証書遺言を作成する際に必要な手続き】
- 相続人と相続財産の調査
- 公正証書遺言の原案作成
- 必要書類や証人の準備
- 公証人との打ち合わせ など
弁護士に依頼している場合は、このような手続きの多くを任せることができます。
実際、依頼者がやることは、原案を一緒に検討することと当日に公証役場に行くことくらいです。
公証人との打ち合わせや証人の準備といった、負担の大きい手続きに対応する必要はありません。
4.遺言執行者を弁護士に依頼できる場合もある
遺言執行者とは、実際に遺言の内容を実現させるための人のことです。
たとえば、遺言者の死後に遺言執行者は以下のような手続きに対応してくれます。
【遺言執行者の主な役割】
- 相続財産の換価の手続き
- 銀行口座の名義変更の手続き
- 相続登記のための司法書士の手配
- 非嫡出子の認知に関する法的な手続き など
依頼する弁護士によっては、このような遺言執行者まで任せられるケースもあります。
特に相続人同士が不仲なケースや隠し子がいるケースなどではトラブルになると予想されます。
弁護士がスムーズに手続きを進めてくれるため、より遺言の内容を実現しやすくなるでしょう。
【関連記事】遺言執行者とは?役割・報酬・選任すべきケースなどを解説
実際に弁護士に依頼してから公正証書遺言ができるまでの流れ
弁護士に依頼して公正証書遺言を作成する際の流れは以下のとおりです。
- 遺言書が得意な弁護士を探して予約する
- 弁護士と面談して納得できたら契約する
- 弁護士と話し合い遺言書の原案を作成する
- 弁護士が公証人と打ち合わせをしてくれる
- 期日に公証役場に行き公正証書遺言を作成する
ここでは、実際に弁護士に依頼してから公正証書遺言が完成するまでの流れを説明します。
1.遺言書が得意な弁護士を探して予約する
まずは、遺言書の作成サポートが得意な弁護士を探して法律相談の予約をします。
遺言書が得意な弁護士を探す際は、ポータルサイトの「ベンナビ相続」を使うのがおすすめです。
ベンナビ相続では、地域や詳細条件などから条件に合う弁護士を探すことが可能となっています。
「初回相談無料」「土日相談可能」などの弁護士も多いので、まずは弁護士を探してみましょう。
2.弁護士と面談して納得できたら契約する
予約当日になったら法律事務所に行き、弁護士と公正証書遺言について相談します。
そして、アドバイスや弁護士費用などに納得できたら、委任契約を締結することになります。
また、着手金が発生する可能性があるため、費用の支払いについても確認しておきましょう。
なお、「ほかの意見も聞きたい」などの事情がある場合にはすぐに契約する必要はありません。
複数の弁護士と相談してみて、「信頼できる」「納得できる」という弁護士に依頼しましょう。
3.弁護士と話し合い遺言書の原案を作成する
委任契約を締結したあとは、実際に公正証書遺言の原案作成へと進みます。
詳しくは弁護士から指示がありますが、以下のような準備はしておくほうが望ましいです。
【遺言書作成で依頼者側がしておくべき準備】
- どのような財産があるか整理しておく
- 誰に相続させたいのかを検討しておく
- 疑問や懸念点がある場合はまとめておく など
複数回、話し合いややり取りをおこない、公正証書遺言の内容について細かく決めていきます。
4.弁護士が公証人と打ち合わせをしてくれる
公正証書遺言の原案が決まると、弁護士が公証人と打ち合わせをしてくれます。
公正証書遺言は全国の公証役場で作れますが、通常は遺言者の最寄りの公証役場が多いです。
弁護士から依頼者には、公証人と話し合った修正内容や期日などに関する連絡が来るでしょう。
打ち合わせの目安は1週間以上ですが、個別の事案によって異なるため弁護士に相談するのが望ましいです。
5.期日に公証役場に行き公正証書遺言を作成する
公正証書遺言の作成日になったら、公証役場に行って実際に遺言書を作成します。
公証役場で受付を済ませると、公証人がいる部屋に案内されて手続きが進められます。
【当日の公正証書遺言の作成の流れ】
- 遺言者が氏名や遺言内容などを伝える
- 公証人が公正証書遺言の内容を読み上げる
- 遺言者と証人が遺言の内容に問題がないか確認する
- 問題がなければ署名と押印をして公正証書遺言が完成する
- 原本は公証役場で保管され、遺言者は正本と謄本を受け取る
後払いの法律事務所の場合は、このあと支払いがあるため忘れないようにしましょう。
なお、遺言者が病院に入院していたり施設に入所であったりして、公証役場まで移動することが難しい場合には、公証人に病院や施設に出張してもらい、公正証書遺言を作成することもできます。
公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼した場合の費用相場
ここでは、公正証書遺言の作成サポートに関する弁護士費用を確認しましょう。
なお、こちらの費用目安は「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」を参考にしています。
現在は法律事務所ごとに報酬が異なるため、必ず見積もりを取ることをおすすめします。
法律相談料|30分あたり5,000円〜1万円程度
公正証書遺言に関する法律相談は、無料のケースと有料のケースがあります。
有料相談の場合は、30分あたり5,000円〜1万円程度が目安になるでしょう。
なお、契約後の打ち合わせについては、ほとんどの法律事務所で無料となっています。
弁護士費用|13万円〜23万円程度
一般的な公正証書遺言の場合、弁護士費用は13万円~23万円程度が目安です。
公正証書遺言の作成サポートの費用内訳については、以下のようになっています。
| 費用項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 基本報酬 | 10万円~20万円 |
| 公正証書遺言の追加手数料 | 3万円 |
そのほか、弁護士の交通費や日当などの諸費用が発生する可能性があるでしょう。
公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼する際の注意点
公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼する際の注意点は以下のとおりです。
- 必ずしも遺言書作成が得意とは限らない
- 弁護士との打ち合わせに時間を取られる
- 遺言の内容によっては費用が高額になる
ここでは、公正証書遺言の作成サポートを弁護士に依頼する際の注意点について説明します。
1.必ずしも遺言書作成が得意とは限らない
法律分野は民事・刑事などさまざまあり、弁護士にもある程度の得意分野があります。
そのため、中には遺言書作成があまり得意ではない弁護士もいるので注意が必要です。
特に「より満足のいく公正証書遺言を作れるかどうか」に影響する可能性は高いといえます。
財産や相続人が多いなど複雑な事案であればあるほど弁護士選びは慎重におこなうべきでしょう。
2.弁護士との打ち合わせに時間を取られる
事案によって異なりますが、弁護士への依頼から完了までには1~2ヵ月程度は要します。
通常、打ち合わせは複数回おこなわれ、毎回30分~1時間程度はかかると予想されます。
特に、遺言書作成は遺言者の意思が重要ですので、念入りに打ち合わせがおこなわれます。
もし時間をかけたくないなら、オンライン面談などに対応している弁護士を探すのもよいでしょう。
3.遺言の内容によっては費用が高額になる
遺言の内容によっては、以下のように弁護士費用が高額になる場合があります。
| 経済的利益の額 | 弁護士費用の目安 |
|---|---|
| 300万円以下の場合 | 20万円 |
| 300万円超3,000万円以下の場合 | 経済的利益×1%+17万円 |
| 3,000万円超3億円以下の場合 | 経済的利益×0.3%+38万円 |
| 3億円以上の場合 | 経済的利益×0.1%+98万円 |
また、遺言執行の対応や証人の準備などを依頼した場合は追加料金が発生する可能性があります。
予想以上の弁護士費用が発生してしまうリスクがあるため、見積もりを取ることをおすすめします。
公正証書遺言について司法書士や行政書士に依頼した場合の違い
公正証書遺言の作成サポートは、司法書士や行政書士にも依頼できます。
ここでは、司法書士と行政書士に依頼した際の違いについて説明します。
司法書士|特に不動産が多い場合などにおすすめ
以下に当てはまる方は、公正証書遺言について司法書士に相談するのがおすすめです。
- 土地や建物などの不動産が多い
- 後見制度や家族信託についても相談したい など
司法書士は登記の専門家であるため、不動産が多い方に特におすすめとなっています。
さらに司法書士を遺言執行者に指定しておけば、相続登記まで一貫してサポートしてもらえます。
亡くなったあとの相続登記を含めてスムーズに進めたい方は司法書士への依頼を検討しましょう。
行政書士|安く遺言書を作成したい場合などにおすすめ
以下に当てはまる方は、行政書士に相談するのがおすすめでしょう。
- できる限り費用を抑えたい
- 相続人や相続財産の調査を任せたい
- 主に公証人とのやり取りを任せたい など
行政書士は許認可申請の専門家ですが、中には相続問題に対応している事務所もあります。
行政書士には、相続人・相続財産の調査や公証人とのやり取りなど多くの手続きを任せられます。
しかし、高度な法律相談はおこなえないため、具体的な文案まで対応できない可能性があります。
遺言書の文面よりも「手続きを安く進めたい」など料金を重視する方におすすめとなっています。
公正証書遺言と弁護士に関するよくある質問
さいごに、公正証書遺言の作成サポートに関するよくある質問に回答します。
Q.公正証書遺言を作成する際に弁護士への依頼は必須か?
弁護士への依頼は、必須ではありません。
公正証書遺言の作成は、弁護士の関与がなくても遺言者の方がひとりでおこなえます。
もし弁護士に依頼せずに公正証書遺言を作りたい場合は、以下のページもご確認ください。
【関連記事】遺言公正証書を作るときの必要書類|取得場所や手数料、作成の流れも解説
Q.公正証書遺言を作成する際に弁護士費用以外の費用も必要か?
公正証書遺言を作成する際は、以下のような公証人に支払う手数料が必要です。
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円超 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超500万円以下 | 1万3,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 2万円 |
| 1,000万円超3,000万円以下 | 2万6,000円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 3万3,000円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 4万9,000円 |
| 1億円超3億円以下 | 4万9,000円 +超過額5,000万円までごとに1万5,000円加算 |
| 3億円超10億円以下 | 10万9,000円 +超過額5,000万円までごとに1万3,000円加算 |
| 10億円超 | 29万1,000円 +超過額5,000万円までごとに9,000円加算 |
この公証人手数料は公正証書遺言の正本・謄本を受け取る際に支払うことになります。
なお、公証人に病院や施設等に出張してもらう場合には、上記とは別に公証人の出張日当を支払う必要があります。
さいごに|ベンナビ相続で遺言書の無料相談に対応した弁護士を探そう
公正証書遺言について「依頼するかどうか」にかかわらず弁護士に相談するのはおすすめです。
特に無料相談に対応している法律事務所も多くあるため、まずは相談してみるとよいでしょう。
遺言書作成サポートの無料相談に応じている法律事務所は「ベンナビ相続」で簡単に探せます。
まずは近くの遺言作成サポートが得意な法律事務所を探して相談することから始めてみましょう。
