個人再生のデメリットとは?信用情報・保証人・財産への影響や注意点を解説
個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年で返済していく債務整理の手続きです。
借金を減らせる可能性がある一方で、信用情報に事故情報が登録されたり、クレジットカードが使えなくなったり、保証人へ請求がいったりするなどのデメリットもあります。
また、ローンが残っている車やバイクを引き揚げられる可能性や、手続き後も返済が続く点にも注意が必要です。
本記事では、個人再生によって生じる代表的なデメリットや、信用情報への影響、制度上の制約、手続き前に確認すべきリスクについて解説します。
個人再生をするべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
個人再生によって生じる代表的なデメリット
個人再生をすると、以下のようなデメリットが生じます。
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- 手元のクレジットカードなどは強制解約される
- 連帯保証人に対して請求がおこなわれてしまう
- ローンが残っている車やバイクは引き揚げられてしまう可能性がある
それぞれについて、詳しく確認していきましょう。
1.信用情報機関に事故情報が登録される
個人再生をすると、信用情報機関に債務整理に関する情報が登録されます。
信用情報とは、クレジットカードやローンの申込み、返済状況などに関する情報のことです。
カード会社や金融機関は、審査の際に信用情報を確認します。
そのため、個人再生後は一定期間、クレジットカードの新規作成やローン契約が難しくなります。
登録期間は信用情報機関によって異なります。
CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターで扱いが異なるため、「何年で必ず回復する」と一律にはいえません。
個人再生を検討する際は、手続き後しばらくは現金、口座振替、デビットカードなどを中心に生活する必要があると理解しておきましょう。
2.手元のクレジットカードなどは強制解約される
個人再生をすると、現在使っているクレジットカードは利用停止や強制解約になる可能性が高いです。
弁護士に依頼すると、債権者であるカード会社へ受任通知が送られます。
カード会社はその通知を受けて、会員規約に基づきカードの利用停止や解約の手続きを進めることがあります。
特に注意したいのは、公共料金や通信費、サブスクリプションなどをクレジットカード払いにしている場合です。
カードが使えなくなると、支払いが滞る可能性があります。
個人再生を始める前に、口座振替、請求書払い、デビットカードなどへ支払方法を切り替えておきましょう。
3.連帯保証人に対して請求がおこなわれてしまう
個人再生をしても、連帯保証人の支払い義務まで減額されるわけではありません。
本人の借金が再生計画によって減額されても、保証人や連帯保証人は、もとの契約に基づいて請求を受ける可能性があります。
たとえば、奨学金、事業資金、銀行ローンなどに家族や知人が保証人として付いている場合、個人再生をきっかけに保証人へ請求がいくことがあります。
保証人に何も伝えずに手続きを進めると、人間関係のトラブルにつながりかねません。
保証人付きの借金がある場合は、申立て前に弁護士へ伝え、説明のタイミングや対応方法を相談しましょう。
4.ローンが残っている車やバイクは引き揚げられてしまう可能性がある
ローンが残っている車やバイクなどは、個人再生によって引き揚げられる可能性があります。
特に、自動車ローンに所有権留保が付いている場合は注意が必要です。
車検証上の所有者がローン会社や販売会社になっている場合、完済するまでは本人が自由に処分できる財産とはいえません。
個人再生をすると、ローン会社が車やバイクの引き揚げを求めることがあります。
一方で、すでにローンを完済している車や、所有権が本人にある車であれば、手元に残せる可能性もあります。
ただし、評価額が高い場合は返済額に影響することがあります。
なお、持ち家については、住宅ローン特則を利用できれば残せる可能性があります。
住宅ローンがある方は、住宅ローン特則の条件もあわせて確認しましょう。
住宅ローン特則については以下の記事を参照ください。
【関連記事】個人再生しても持ち家を残せる条件とは?住宅ローン有無に分けて解説
信用情報機関に登録されて生じる3つの影響
信用情報に事故情報が登録されると、クレジットカード、ローン、スマートフォンの分割払い、賃貸契約などに影響する可能性があります。
ここでは、信用情報に登録されることで生じやすい3つの影響を説明します。
1.クレジットカードやローンの審査に通りにくくなる
信用情報に事故情報が登録されている間は、クレジットカードやローンの審査に通りにくくなります。
カード会社や金融機関は、申込者の収入だけでなく、過去の返済状況や債務整理の有無も確認します。
個人再生の情報が登録されていると、返済能力に不安があると判断されやすくなります。
そのため、住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなどの新規契約は難しくなるでしょう。
なお、信用情報の登録期間が過ぎたからといって、必ず審査に通るわけではありません。
収入、勤務先、勤続年数、借入状況、各社の社内基準によって審査結果は変わります。
【関連記事】個人再生後、ローンを組めるのはいつから?住宅ローン借入時の注意点も解説
2.携帯電話やスマートフォンの分割契約ができなくなる
個人再生後は、スマートフォン本体の分割払い契約が難しくなる可能性があります。
スマートフォンの通信契約と、端末代金の分割契約は別のものです。
端末を分割払いで購入する際には信用情報が確認されるケースがあります。
そのため、個人再生後に新しいスマートフォンを購入しようとしても、分割払いの審査に通らないことがあります。
この場合は、端末を一括購入する、中古端末を利用する、現在の端末を長く使うなどの対応を検討しましょう。
【関連記事】ブラックリストに登録されても携帯契約はできる?今すぐ契約するためのポイントも解説
3.賃貸アパートの入居審査に通りにくくなる可能性がある
個人再生をしただけで、賃貸アパートを必ず借りられなくなるわけではありません。
ただし、入居審査で信販系の保証会社が関与する場合は、信用情報が影響する可能性があります。
保証会社が信用情報を確認し、事故情報が登録されていることを理由に審査に通らないケースがあるためです。
一方で、すべての保証会社が信用情報を同じように確認するわけではありません。
保証会社の種類や大家・管理会社の判断によって結果は変わります。
個人再生後に引っ越しを予定している場合は、保証会社の種類や支払方法を事前に確認しましょう。
個人再生をおこなう際の制度上の制約や留意点
個人再生には、信用情報や債権者側の対応とは別に、以下のような制度上の制約があります。
- 減額した借金の返済が必要になる
- 特定の借金だけを対象にはできない
- 非免責債権の返済義務はそのまま残る
- 官報に氏名や住所などが掲載されてしまう
- 手続き完了までにある程度の時間がかかる
- 手続きをするために数十万円の費用がかかる
ここでは、個人再生をする前に知っておきたい制度上の留意点を確認していきましょう。
1.減額した借金の返済が必要になる
個人再生では、自己破産のように借金の返済義務自体がなくなるわけではありません。
減額後の借金は、再生計画に沿って返済する必要があります。
返済期間は原則3年です。
特別な事情がある場合は、最長5年まで延長できることがあります。
つまり、個人再生は「借金を減らして返済し直す手続き」です。
手続き後も毎月の返済が続くため、家賃や食費、教育費、医療費などを支払ったうえで返済原資を確保できるかを確認しておきましょう。
2.特定の借金だけを対象にはできない
個人再生では、原則としてすべての再生債権を手続きの対象にする必要があります。
「消費者金融だけ整理したい」「家族からの借金だけは外したい」といったように、特定の借金だけを選んで整理することはできません。
クレジットカード、カードローン、銀行ローンだけでなく、家族や友人からの借金、奨学金、勤務先からの借入れ、保証人付きの借金も申告が必要です。
一部の債権者だけを優先して返済すると、債権者間の公平を害する行為として問題になることがあります。
どうしても対象にしたくない借金がある場合は、個人再生ではなく任意整理が向いていることもあります。
申立て前に弁護士へ相談し、自分に合う手続きを確認しましょう。
3.非免責債権の返済義務はそのまま残る
個人再生では、カードローンや消費者金融からの借入れなどは減額の対象になります。
一方で、税金や社会保険料、養育費などは、手続き後も支払義務が残ります。
そのため、個人再生の返済計画を立てる際は、減額後の借金だけでなく、税金や養育費などの支払いも含めて家計を確認することが必要です。
税金や社会保険料を滞納している場合は、役所や年金事務所などへ分納や猶予を相談しましょう。
4.官報に氏名や住所などが掲載されてしまう
個人再生をすると、再生手続開始決定や再生計画認可決定などの情報が官報に掲載されます。
官報には、氏名や住所などが掲載されるため、完全に誰にも知られない手続きとはいえません。
ただし、一般の人が日常的に官報を確認していることは多くありません。
官報に載ったことだけで、家族や勤務先、知人に知られる可能性は高くないでしょう。
【関連記事】官報とは?債務整理で知っておきたい国の機関紙の役割と内容
5.手続き完了までにある程度の時間がかかる
個人再生は、すぐに完了する手続きではありません。
弁護士への相談後、おおまかには以下のような流れで進みます。
- 債権調査
- 必要書類の準備
- 裁判所への申立て
- 再生計画案の提出
- 認可決定
申立てから認可決定まで半年から一年程度かかることが一般的です。
また、申立て前の資料準備にも時間がかかります。
通帳や給与明細、保険資料、不動産資料など、多くの書類を集めなければなりません。
書類に不備があったり、資料提出が遅れたりすると、手続きがさらに長引く可能性があります。
早めに必要書類を準備し、弁護士や裁判所からの連絡には速やかに対応しましょう。
6.手続きをするために数十万円の費用がかかる
個人再生では、裁判所費用や弁護士費用などで合計50万円~80万円程度の費用がかかります。
裁判所費用としては、収入印紙や郵便切手、官報公告費、予納金などが必要です。
個人再生委員が選任される場合は、追加で費用がかかります。
また、弁護士に依頼する場合は、相談料、着手金、報酬金、実費などが発生します。
費用が不安な場合は、分割払いに対応している法律事務所や法テラスの利用も検討しましょう。
依頼前には、裁判所費用を含めた総額と支払時期を確認することが大切です。
【関連記事】法テラスを利用して債務整理をするメリット|利用する際の条件や依頼までの流れなど
個人再生について知っておくべき3つのリスク
個人再生には、手続きによって生じるデメリットのほかに、事前に把握しておきたいリスクとして以下のようなものが挙げられます。
- 同居家族などにバレる可能性がある
- 個人再生が認められない可能性がある
- 手続き後に返済が苦しくなる可能性がある
それぞれについて詳しく解説します。
1.同居家族などにバレる可能性がある
個人再生をした事実が、家族へ自動的に通知されるわけではありません。
しかし、同居家族には知られる可能性はあります。
個人再生では、家計資料や同居家族の収入資料が必要になる場合があるため、資料を準備する段階で怪しまれかねません。
また、裁判所や弁護士からの郵便物、保証人への請求、ローン付き車の引き揚げなどをきっかけに、家族に借金について知られるケースもあるでしょう。
家族に知られたくない事情がある場合は、最初の相談時に弁護士へ伝えておきましょう。
連絡方法や郵送先、必要書類の集め方などを工夫できる場合があります。
ただし、完全に秘密にできるとは限らないため、どの場面で発覚する可能性があるかも確認しておくことが大切です。
2.個人再生が認められない可能性がある
個人再生は、申し立てれば必ず認められる手続きではありません。
個人再生を利用するには、将来にわたって継続的な収入を得る見込みが必要です。
減額後の借金を返済できる見込みがなければ、手続きは認められにくくなります。
また、再生計画案の内容が清算価値を下回る場合や、小規模個人再生で債権者の反対が一定数を超える場合も、認可されない可能性があります。
個人再生が適しているかは、収入や財産、借金総額、債権者の構成によって変わります。
申立て前に弁護士へ相談し、任意整理や自己破産も含めて比較しましょう。
【関連記事】個人再生の失敗するケース4選|認められないデメリットや避けるためのポイントも紹介
3.手続き後に返済が苦しくなる可能性がある
再生計画が認可されても、その後の返済が苦しくなる可能性があります。
個人再生は、認可後に原則3年間返済を続ける手続きです。
返済期間中に収入が減ったり、教育費や医療費などの支出が増えたりすると、計画どおりの返済が難しくなる可能性もあるでしょう。
返済が滞ると、再生計画が取り消されるリスクがあります。
再生計画が取り消されれば、減額されたはずの借金を再び請求されてしまいます。
申立て前には、毎月の返済額だけでなく、税金や社会保険料、住宅ローン、教育費なども含めて家計を確認しましょう。
無理のある返済計画を立てるのではなく、数年間続けられる金額かどうかを確認することが重要です。
さいごに|弁護士に相談して本当にデメリットになるか確認しよう
個人再生には、信用情報への登録や保証人への請求、ローン付き財産の引き揚げなどのデメリットがあります。
また、手続き後も返済が続き、費用や時間もかかります。
ただし、これらのデメリットがどの程度問題になるかは、人によって異なります。
保証人がいない人、車のローンがない人、住宅ローン特則を利用できる人などは、影響を抑えながら個人再生を利用できる可能性があるでしょう
大切なのは、デメリットだけを見て判断しないことです。
任意整理や自己破産と比較し、自分の収入や財産、借金総額、家族関係に合った方法を選びましょう。
個人再生を検討している場合は、早めに弁護士へ相談し、自分にとって本当にデメリットになる点と、回避できる点を確認することをおすすめします。
