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相続人調査とは?進め方や自分でできる戸籍収集の方法を解説

弁護士監修記事
遺産相続 遺産分割
2026年10月27日
相続人調査とは?進め方や自分でできる戸籍収集の方法を解説
この記事を監修した弁護士
長谷川 達紀・日吉 加奈恵弁護士 (新静岡駅前法律事務所)
依頼者様のお気持ちに寄り添い、最も良い選択ができるよう、一緒に考え、解決策を提案させていただきます。
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相続が発生したものの、「誰が相続人になるのかわからない」「戸籍をどこまで集めればよいの?」と悩んでいませんか。

相続人調査とは、亡くなった方の戸籍をたどり、法律上の相続人が誰なのかを確認する手続きです。遺産分割協議や不動産の相続登記、預貯金の解約などを進めるうえで、相続人を正確に把握しておく必要があります。

相続人調査は自分でおこなうこともできますが、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を確認する必要があり、状況によっては複数の戸籍を収集しなければなりません。

本記事では、相続人調査の基本的な進め方から、自分で戸籍を収集する方法、調査が難しい場合の対処法までわかりやすく解説します。

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相続人調査とは|相続手続きに必要な理由

相続人調査とは、亡くなった方の戸籍を確認し、法律上の相続人(法定相続人)が誰なのかを確定する手続きです。

一般的には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などを取り寄せ、配偶者や子ども、父母、兄弟姉妹など、相続人になる可能性がある人を確認していきます。

相続人調査が必要なのは、相続手続きの多くが「誰が相続人なのか」を確定したうえで進める必要があるためです。

たとえば、遺言書がなく遺産分割協議をおこなう場合、原則として相続人全員の参加が必要です。相続人の一部を除外しておこなった遺産分割協議は無効となるため、事前に相続人を漏れなく確認しておかなければなりません。

相続人調査を十分におこなわないまま手続きを進めると、あとから前婚の子や認知された子など、それまで把握していなかった相続人が判明することもあります。その場合、遺産分割協議をやり直さなければならない可能性があります。

相続人調査が必要となる主な場面は、次のとおりです。

  • 遺産分割協議をおこなうとき
  • 遺留分侵害額請求をおこなうとき
  • 不動産の相続登記をするとき
  • 預貯金の解約・払い戻しをするとき
  • 相続税の申告をするとき
  • 相続放棄などを検討する際に、自分やほかの親族が相続人にあたるか確認するとき

このように、相続人の確定は、その後のさまざまな相続手続きを適切に進めるための土台となります。相続が発生したら、まずは戸籍を確認し、誰が相続人になるのかを正確に把握することが重要です。

相続人調査の対象となる法定相続人の範囲

相続人調査では、民法で定められた相続人の範囲と順位に沿って、誰が法定相続人になるのかを確認します。

法定相続人は、大きく「配偶者」と「血族相続人」に分けられます。法律上の配偶者は原則として常に相続人となりますが、事実婚・内縁関係のパートナーは法定相続人には含まれません。

一方、血族相続人には、次のように相続できる順位が定められています。

  • 第一順位:子どもなどの直系卑属
  • 第二順位:父母・祖父母などの直系尊属
  • 第三順位:兄弟姉妹

上位の順位に該当する人がいる場合、原則として下位の順位の人は相続人になりません。たとえば、亡くなった方に子どもがいれば、父母や兄弟姉妹は原則として相続人にはなりません。

【関連記事】法定相続分とは?計算例・計算ツールや遺留分との違いまで図解でわかりやすく解説

相続人調査の手順5つ|自分でおこなう場合

相続人調査は、大きく分けて5つの手順で進みます。

  1. 死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)を取得する
  2. 出生までさかのぼって戸籍を収集する
  3. 集めた戸籍から相続人の範囲を確定する
  4. 相続人全員の現在の戸籍を取得する
  5. 相続関係説明図を作成する

それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。

手順1|死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)を取得する

まずは、被相続人が亡くなった時点の戸籍を取得します。

戸籍は本籍地の市区町村で管理されており、死亡の記載がある戸籍を確認することで、そこから過去の戸籍をたどっていくことができます。

なお、死亡によって戸籍に記載されている人が誰もいなくなった場合、その戸籍は「除籍」となります。一方、配偶者などほかの人が戸籍に残っている場合は、引き続き戸籍として扱われます。

現在の戸籍謄本の正式名称は「戸籍全部事項証明書」ですが、市区町村の窓口では「戸籍謄本」と伝えても基本的に問題ありません。

まずは死亡時の戸籍を確認し、そこに記載された情報を手がかりに過去の戸籍へとさかのぼっていきましょう。

手順2|出生までさかのぼって戸籍を収集する

死亡時の戸籍を取得したら、そこから被相続人の出生まで連続する戸籍を収集します。

死亡時の戸籍だけでは、過去の婚姻や離婚、転籍などによって現在の戸籍から抜けた子どもなどを把握できない可能性があるためです。出生まで戸籍をさかのぼることで、前婚の子や認知した子なども含め、相続人となる可能性がある人を確認できます。

戸籍をさかのぼる際は、転籍や戸籍の改製などの記載を確認しながら、一つ前の戸籍を順番に取得していくのが基本です。

なお、2024年3月からは「戸籍証明書等の広域交付」が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも、対象となる戸籍証明書等をまとめて請求できるようになりました。そのため、本籍地が何度も変わっている場合でも、それぞれの市区町村へ個別に請求する手間を減らせます。

ただし、広域交付を利用できる請求者は本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られ、代理人や兄弟姉妹などは利用できません。また、一部の戸籍は広域交付の対象外となるため、必要に応じて本籍地の市区町村へ個別に請求します。さらに、本籍地以外の市町村窓口で請求する場合、戸籍の数が多いと、発行までに時間がかかることがありますので、注意が必要です。

手順3|集めた戸籍から相続人の範囲を確定する

被相続人の出生から死亡までの戸籍が揃ったら、その内容を確認して法定相続人を確定します。

法律上の配偶者は原則として常に相続人となり、血族については、子ども、直系尊属、兄弟姉妹の順に相続人となる人を確認していきます。

特に注意したいのが、前婚の子や認知された子など、ほかの親族が把握していなかった相続人の存在です。現在の家族関係だけで判断せず、戸籍の記載をもとに漏れなく確認する必要があります。

また、被相続人の子どもが先に亡くなっている場合は、孫などが代襲相続人となる可能性があります。兄弟姉妹が相続人となるケースでも、兄弟姉妹が先に亡くなっていれば甥・姪が代襲相続人となることがあるため、必要に応じてその人たちの戸籍も確認しましょう。

手順4|相続人全員の現在の戸籍を取得する

法定相続人を確定したら、相続人全員の現在の戸籍謄本など、今後の相続手続きに必要となる書類を揃えます。

相続人の戸籍は、不動産の相続登記をはじめ、さまざまな相続手続きで相続関係を証明するために必要となることがあります。

また、相続人の現在の住所がわからない場合は「戸籍の附票」を取得する方法があります。戸籍の附票には、その戸籍に在籍している間の住所の履歴が記録されているため、相続人の住所を確認する際に役立ちます。

特に、長年連絡を取っていない相続人がいる場合などは、必要に応じて戸籍の附票も取得するとよいでしょう。

手順5|相続関係説明図を作成する

必要な戸籍を収集して相続人を確定したら、被相続人と相続人の関係を整理した「相続関係説明図」を作成します。

相続関係説明図とは、被相続人と法定相続人の関係を家系図のような形でまとめた書類です。相続登記の申請時に戸籍謄本などとあわせて提出することで、原則として戸籍謄本などの原本を返却してもらえます。

また、複数の相続手続きを予定している場合は、「法定相続情報証明制度」を利用する方法もあります。

これは、戸籍謄本などと法定相続情報一覧図を法務局へ提出し、登記官の確認を受けた一覧図の写しを交付してもらう制度です。交付された法定相続情報一覧図の写しは、相続登記や預貯金の相続手続き、相続税の申告などで、戸籍謄本等の束の代わりとして利用できます。

相続人調査が完了したら、確定した相続人へ連絡を取り、必要に応じて遺産分割協議など次の相続手続きへ進みましょう。

相続人調査で自己対応が難しくなるケース

相続人調査は自分でおこなうこともできますが、家族関係や相続人の状況によっては、戸籍の収集や確認が複雑になることがあります。

特に、次のようなケースでは自己対応の負担が大きくなりやすいため注意が必要です。

  • 被相続人に離婚・再婚歴がある
  • 被相続人が養子縁組をしている
  • 被相続人に認知した子がいる
  • 代襲相続が発生している
  • 相続人の人数が多い
  • 相続人の中に行方不明・連絡が取れない人がいる
  • 被相続人や相続人に海外在住者・外国籍の人がいる

たとえば、被相続人に離婚・再婚歴がある場合は、前婚の子が相続人となる可能性があります。また、養子縁組や認知した子がいる場合も相続関係が複雑になり、確認しなければならない戸籍が増えることがあります。

このように、家族関係が複雑な場合や戸籍だけでは調査を進めにくい事情がある場合は、無理に自分だけで対応せず、弁護士や司法書士などの専門家への相談を検討するのも一つの方法です。

相続人調査の費用相場|自分でおこなう場合と弁護士に依頼する場合

相続人調査にかかる費用は、自分で戸籍を収集するか、弁護士などの専門家に依頼するかによって大きく異なります。

自分で調査する場合は、戸籍謄本などの取得費用が中心となるため、数千円程度で済むケースもあります。一方、弁護士に依頼する場合は、戸籍の取得費用などの実費に加えて弁護士費用がかかります。

費用の目安は、以下のとおりです。

ケース 費用の目安 主な内訳
自分でおこなう 数千円程度~ 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍などの取得費用
弁護士に依頼する 数万円~数十万円程度 弁護士費用+戸籍謄本などの取得費用

必要な戸籍の数や家族関係の複雑さなどによって、実際にかかる費用は変わります。弁護士への依頼を検討している場合は、事前に見積もりを取り、どこまでの業務が料金に含まれているのか確認しておきましょう。

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相続人調査を弁護士に依頼するメリット

相続人調査を弁護士に依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

  • 戸籍収集の手間を代行してもらえる
  • 行方不明の相続人にも対応できる
  • トラブルが起きてもそのまま任せられる
  • 調査後の手続きにスムーズに移行できる

以下で、それぞれ具体的に見ていきましょう。

戸籍収集の手間を代行してもらえる

弁護士に依頼するメリットは、相続人調査に必要な戸籍の収集・確認をまとめて任せられることです。

弁護士は、受任した業務に必要な範囲で「職務上請求書」を使用し、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを取得できます。

古い戸籍には手書きで判読しづらいものもありますが、内容の確認まで含めて任せることが可能です。

自分で収集する場合は、戸籍の記載を確認しながら過去の戸籍を順番にたどる必要があり、状況によっては1ヵ月〜2ヵ月、あるいはそれ以上かかることもあります。

弁護士に依頼すれば、こうした戸籍の収集・確認にかかる手間や時間を大幅に減らせます。

行方不明・絶縁状態の相続人にも対応できる

行方がわからない相続人や、長年連絡を取っていない相続人がいる場合も、弁護士に調査やその後の対応を任せられます。

弁護士に依頼すれば、戸籍の附票などを取得して現在の住所を調査し、所在が判明したあとの連絡や交渉についても窓口として対応してもらえます。

自分だけで所在を調べようとすると、戸籍などをたどりながら住所を確認し、自ら連絡を取らなければならないため、大きな負担になりかねません。

また、調査しても所在がわからない場合には、状況に応じて不在者財産管理人の選任申立てなど、遺産分割を進めるために必要な手続きについても相談できます。

相続人間のトラブルにそのまま対応できる

相続人同士でトラブルが発生しても、そのまま交渉や法的手続きを任せられるのが弁護士に依頼するメリットです。

たとえば、遺産分割をめぐって意見が対立した場合には、依頼者の代理人としてほかの相続人との交渉を進めてもらえます。

司法書士や行政書士は、遺産分割をめぐる紛争について依頼者の代理人として交渉することは原則としてできません。そのため、相続人同士でもめる可能性がある場合は、はじめから弁護士に依頼しておくと安心です。

調査の段階から依頼しておけば、トラブルが起きたあとに改めて弁護士を探す必要がなく、スムーズに対応へ移れます。

相続人調査後の手続きにスムーズに移行できる

相続人調査だけでなく、その後の遺産分割協議や相続手続きまで継続して依頼できるのも弁護士のメリットです。

相続人を確定したあとには、遺産分割協議をはじめ、さまざまな手続きが必要になります。弁護士であれば、相続関係の整理から遺産分割協議、ほかの相続人との交渉などまで一貫して依頼できます。

不動産の相続登記や相続税の申告についても、必要に応じて司法書士や税理士などと連携して対応してもらえる場合があります。

早い段階から弁護士に依頼しておけば、調査後に新たな問題が判明した場合でも、事情を把握している弁護士にそのまま相談でき、次の手続きへスムーズに進められます。

相続人調査に関するよくある質問

ここでは、相続人調査についてよく寄せられる質問をまとめました。

Q.遺言書がある場合も相続人調査は必要ですか?

遺言書がある場合でも、相続人調査が必要になることがあります。

たとえば、遺留分を確認する場合や、遺言書に記載されていない財産が見つかった場合などは、誰が法定相続人なのかを把握しておく必要があります。

また、相続手続きの内容によっては、遺言書があっても被相続人と相続人の関係を戸籍などで確認する必要があります。

そのため、「遺言書があれば相続人調査は一切不要」とは限りません。遺言書の内容や必要な相続手続きに応じて、法定相続人を確認しましょう。

Q.相続放棄した人も調査対象に含めますか?

相続放棄をした人がいる場合でも、相続人調査は必要です。

相続放棄が受理されると、その人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。その結果、ほかに同順位の相続人がいなければ、次順位の親族が新たに相続人となることがあります。

たとえば、子ども全員が相続放棄をすると、父母などの直系尊属が相続人となり、直系尊属もいなければ兄弟姉妹が相続人となります。

そのため、相続放棄の有無を確認したうえで、新たに相続人となる可能性がある親族まで調査することが重要です。

なお、相続放棄が受理されているかどうかは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所への照会によって確認できます。

Q.相続人調査はいつまでにおこなうべきですか?

相続人調査自体に法律上の期限はありませんが、相続が発生したらできるだけ早く始めることが大切です。

相続手続きの中には期限が定められているものがあり、たとえば相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に手続きする必要があります。

相続税の申告・納付期限も、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。

相続人の確認に時間がかかると、その後の手続きを進める時間も短くなってしまいます。期限のある手続きに間に合うよう、相続が発生したら早めに相続人調査を始めましょう。

まとめ|相続人調査で困ったら早めに弁護士へ相談しよう

相続人調査は自分でもできますが、家族関係が複雑な場合などは、戸籍の収集・確認に想像以上の手間や時間がかかることがあります。

特に、被相続人に離婚・再婚歴や養子縁組がある場合、代襲相続が発生している場合、行方がわからない相続人がいる場合などは、調査が複雑になりやすいでしょう。

自分での対応が難しい場合は、弁護士に依頼することで、必要な戸籍の収集から相続人の確認まで任せられます。相続人同士でトラブルが発生した場合には、その後の交渉や法的手続きについても相談できます。

弁護士を探す際は、相続問題に詳しい弁護士を地域や相談内容から検索できる「ベンナビ」を利用するのもおすすめです。無料相談やオンライン相談に対応している法律事務所もあるため、相談内容や費用を比較しながら自分に合った弁護士を探せます。

戸籍の収集方法がわからない、相続人との連絡や遺産分割に不安があるといった場合は、問題が複雑になる前に弁護士へ相談してみましょう。

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