裸の写真が流出してしまったらどうすればいい?相談先や対処法、罰則について解説


ネット上に裸の写真が流出してしまったというトラブルは、ネットの普及によって増加している問題のひとつです。
ネット上で写真が流出した場合は、拡散される前に早急に対処することが大切です。
しかし、誰に相談してどのように対処すべきかわからないという方も多いでしょう。
ここでは、裸の写真が流出してしまった場合の対処法や相談先、刑事罰などについて解説します。
裸の写真を流出させると脅迫されている場合の対処法についても紹介しているので、まだ写真が流出していないという方も参考にしてください。
裸の写真が流出した場合の対処法
自身の裸の写真がネット上に流出してしまった場合、迅速かつ適切に対処することが大切です。
被害者の方は、次の順序で対処するようにしましょう。
証拠を集める
写真が流出したことに対して警察へ相談や加害者への慰謝料請求を行う場合、証拠が必要になります。
まずは、裸の写真が流出したことを証明できる証拠を集めましょう。
保存すべき証拠には、次のようなものが挙げられます。
- 画像が公開されているページのURL
- 画像が公開されているページのスクリーンショット(プリントアウト)
- 画像投稿者のSNSのアカウント情報
- 画像投稿者のとのメッセージ(DM)のやり取り
すぐに写真を削除して欲しいという気持ちが先行してしまうと思いますが、証拠が消されてしまう前にスマホやパソコンでスクリーンショットもしくはプリントアウトして証拠を保存するようにしてください。
警察に被害届を提出する
警察に相談すれば、ネットに流出した写真の削除方法や今後の対処法についてアドバイスをしてもらえることがあります。
そして、被害届を受理してもらえれば、捜査してもらうことができます。
被害届が受理されれば警察は加害者の捜査をしますので,加害者逮捕、警告等が期待でき、起訴されれば,犯人は迷惑行為防止条例違反やリベンジポルノ防止法違反等による刑事罰を受ける可能性があります。
サイトに写真の削除依頼をする
SNSや掲示板などでは、個人を特定できる写真を無断で掲載することは肖像権侵害に該当する可能性が高いため、削除対象になるケースが多いと言えるでしょう。
まずは当該Webサイトの運営者に削除依頼を出しましょう。
削除依頼の方法はWebサイトごとに異なるため、利用規約などを確認してください。
ただし、削除依頼を出しても情報が足りなければ規約違反に該当しないとして削除してもらえないケースがあります。
または、運営者から連絡が返ってこないケースもあるでしょう。
サイトへの削除依頼の手続きがうまくいかない場合や、不安がある場合は,インターネット問題を専門に取り扱う弁護士に相談してみてください。
損害賠償を請求する
写真を流出させた加害者に対し、損害賠償を請求するにはどうすればよいでしょうか。
損害賠償を請求する方法は、大きく分けて,当事者間でおこなう示談交渉と民事訴訟の2種類があります。
一般的には、当事者間で示談交渉をおこない、示談が成立しなかった場合に民事訴訟へと発展します。
損害賠償の請求に必要な手続きや交渉はご自身でもおこなうことができますが、法的な知識がなければ困難でしょう。
また、加害者と直接やり取りをすることは精神的に大きな負担となります。
そのため、加害者に対する損害賠償請求は弁護士に依頼して進めることをおすすめします。
犯人が特定できていない場合は,Webサイトに発信者情報開示請求をおこなうことで相手を特定できる可能性があるため,この場合もインターネット問題を専門に取り扱う弁護士に相談してみてください。
発信者情報開示請求については発信者情報開示請求とは|投稿者特定の手続き・注意点・弁護士費用などを解説をご覧ください。
裸の写真を流出させた加害者が受ける罰則について
他人の裸の写真を本人の許可なく流出させることは、犯罪です。
写真を流出させた加害者は、次のような刑事罰を受ける可能性があります。
迷惑行為防止条例違反
被害者が撮影されていること知らなかった場合、盗撮になります。
盗撮は迷惑行為防止条例違反に該当する可能性があります。
迷惑防止条例は各都道府県によって規定が異なりますが、東京都の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
また、常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
リベンジポルノ防止法違反
撮影された裸の写真を他人へ公開することは、リベンジポルノ防止法(正式名称:「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」)に違反する行為です。
第三者が個人を特定できる方法で性的な画像を撮影し、無断で公表すれば「公表罪」が成立します。
公表罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。(リベンジポルノ防止法第3条1項)
また、撮影者が直接写真を公開していなくても、公開させる目的で他人に写真を提供すれば「公表目的提供罪」が成立します。
この場合、法定刑は1年以下の懲役または30万円以下の罰金です。(リベンジポルノ防止法第3条3項)
リベンジポルノの相談に関してはリベンジポルノの相談はどこにすべき?画像や動画を削除したいときの対処法も解説をご覧ください。
児童ポルノ禁止法
被写体の人物が18歳未満の場合、児童ポルノ禁止法(正式名称:「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)違反に該当する可能性があります。
18歳未満の人物の裸を撮影すること自体が児童ポルノ禁止法違反に該当するだけではなく、裸の自撮りを送らせたという場合も該当します。
そして、児童ポルノを不特定多数の人に提供した場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、又は併せて科せられます。(児童ポルノ禁止法第7条6項)
脅迫罪、強要罪、恐喝罪
「裸の写真をネットに晒す」などと脅されている場合には、脅迫罪や強要罪、恐喝罪が成立する可能性があります。
脅迫罪
生命や体、財産、名誉に対して害を加えることを告知して脅した際に成立します。
「裸の写真を晒してやる」と言われれば、脅迫罪が成立する可能性があります。
法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。(刑法第222条)
強要罪
脅迫や暴行によって権利の行使を妨害し、義務のないことを強制することで成立します。
たとえば、「写真を晒されたくなければ復縁しろ」と言われれば、強要罪や強要未遂罪が成立する可能性があります。
法定刑は、3年以下の懲役です。(刑法第223条1項)
恐喝罪
脅迫や暴行によって相手を怖がらせ、金銭や物品などを与えさせることで成立します。
たとえば、「写真を晒されたくなければ100万円払え」と言われれば、恐喝罪が成立する可能性があります。
法定刑は、10年以下の懲役です。(刑法第249条1項)
裸の写真を流出させると脅されている場合の対処法
裸の写真はまだ流出していないものの、写真を流出させると脅されているというようなケースもあるでしょう。
裸の写真を流出させると脅されている場合に取るべき行動をご紹介します。
脅されている証拠を保存する
まずは脅されている証拠を保存します。
メッセージのスクリーンショットや、ボイスレコーダーによる会話の録音などが証拠になります。
証拠がなければ脅されていることが証明できないため、証拠は消さずに保存してください。
警察に被害届を提出する
警察に被害届を提出することにより、捜査してもらうことができる場合があります。
警察が捜査を開始すれば、犯人が自主的に写真を削除してくれる可能性もあります。
また、犯罪になるのかわからないという場合でも、警察に相談することにより,今後の対処法などについてアドバイスしてもらえる場合もあるでしょう。警察に相談しても事態が好転しない場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼して写真の削除要請をする
警察に被害届を提出しても、相手が写真を削除してくれるとは限りません。
こうした場合は、弁護士に依頼して写真の削除要請をおこないましょう。
弁護士からの警告によって相手が削除に応じることや脅迫を止める効果が期待できます。
また、場合によっては裁判所に削除仮処分命令を申立てることで、脅迫や写真の流出を差し止めできる可能性があります。
なぜネット上に裸の写真の流出トラブルが起こるのか?
ネット上に個人の裸の写真が流出してしまうというトラブルは、スマホやパソコンの普及によって増加傾向にあります。
どのようにしてトラブルの原因となる裸の写真は入手されるのでしょうか?
性行為時に撮影される
交際相手や遊び相手などとの性行為時に、裸や性行為中の写真を撮影されて流出するパターンは多いです。
交際相手だからと撮影を許可したとしても、別れてしまってから逆恨みによって写真を流出されてしまうことがあります。
また、相手にしつこくお願いされて撮影してしまったケースや、隠し撮りされていたケースなどもあるでしょう。
裸の写真を送るように言われ、自ら送ってしまう
交際相手などから裸の写真が欲しいと言われ、自分で自分の裸を撮影して送ってしまうケースもあります。
近年では、掲示板や出会い系サイトなどで知り合った相手とLINEやSNS上でやり取りをしている中で裸の写真を送ってしまい、トラブルに発展してしまうケースが増えています。
とくに10代の若年層は危機意識が低く、相手の本性を見抜くことが困難です。
そのため、こうしたトラブルが増えており、ネットにおける自撮り被害は問題になっています。
ネット上に裸の写真が流出した場合の相談先
ネット上に裸の写真が流出した場合、親や友達には相談できずに一人で悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
周囲の人に相談しにくい問題ですが、警察や弁護士に相談することでトラブルの解決が期待できます。
警察
警察に相談することにより、写真の流出が犯罪かどうか判断してもらえる場合があります。
そして、今後どのようにすべきかアドバイスをもらうことができ、被害届を提出することで捜査や逮捕などの対応が期待できます。
近くの警察署に直接出向いて相談することもできますが、各都道府県警察の「性犯罪被害相談電話窓口」に電話相談で相談することも可能です。
弁護士
弁護士に依頼すれば、流出してしまった写真を削除するためにWebサイトへ削除依頼を請求してもらうことが考えられます。
警察に相談しても,直接,写真の削除を要請することはできません。写真が拡散されれば被害者はより深いダメージを負うことになります。
弁護士に委任し,迅速に対応してもらうことで,写真の削除依頼によって被害を最小限に抑えられるでしょう。
また、写真を流出させた相手に対して損害賠償請求できる場合もあります。
相手が示談に応じない場合には裁判で請求することになりますが、裁判手続きも全て弁護士に任せることができます。
まとめ|裸の写真が流出した場合は早急に弁護士へご相談ください
裸の写真が流出してしまった場合の相談先や対処法についてご紹介しました。
裸の写真が流出した場合は、証拠を保存して早急に警察へ相談しましょう。
そして、拡散を防ぐためにも迅速に弁護士へ相談して写真の削除依頼をおこなうべきです。
ご自身で的確に対処することは難しく、何よりも精神的な負担が大きいです。
弁護士に相談することにより、心強いサポートを受けられることが期待できるため、迷っている方もまずは相談してみるのがよいでしょう。