法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説
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法テラスとは、国が設置した法律問題の相談案内所のことで、弁護士による無料法律相談や弁護士費用の一時立替えなどのサービスを提供しています。
ただし、無料相談などのサービスを利用するためには、収入や資産などのさまざまな条件をクリアする必要があり、誰でも利用できるわけではありません。
本記事では、法テラスのサービス内容や利用条件、無料相談や費用立替えなどを利用する際の流れや注意点などを解説します。
法テラスとは?
離婚問題や遺産相続などの急なトラブルに巻き込まれてしまった際、どのように対応したらよいのかわからずに混乱してしまう方は多いでしょう。
あらゆる法律問題を解決すべく設立されたのが法テラスであり、国が設置している総合案内所です。
法テラスでは、一般の方向けに法制度に関する情報を提供したり、経済的事情で弁護士を雇うことができない方に対して支援をおこなったりなど、さまざまな業務をおこなっています。
法テラスで利用できるサービス
法テラスで利用できる主なサービスとしては、以下の3つがあります。
- 法制度や相談機関の紹介
- 弁護士との無料法律相談
- 弁護士費用の一時立替え
ここでは、それぞれのサービス内容について解説します。
1.法制度や相談機関の紹介
法テラスでは、法律問題で悩む方を対象に、役立つ法制度や相談機関などの紹介をおこなっています。
電話・メール・チャットボットなどで対応しており、たとえば以下のような相談が可能です。
- そもそも現在悩んでいる問題は法的トラブルかどうか?
- 現在悩んでいるトラブルについて、どこに相談すればよいか?
- 現在悩んでいるトラブルを解決するために知っておくべき法制度はあるか?
- どのような専門家にサポートしてもらうのがよいか? など
具体的な利用の流れなどについては「情報提供業務」をご確認ください。
2.弁護士との無料法律相談
法テラスでは、法テラスが定める利用条件を満たしている方を対象に、弁護士との法律相談を3回まで無料で提供しています。
通常、弁護士に相談する際は30分あたり5,000円~1万円程度の相談料がかかりますが、法テラスを利用すれば1万5,000円近く節約することが可能です。
法テラスの無料法律相談では、離婚問題・遺産相続・パワハラ・交通事故といった、刑事事件以外のあらゆる法的トラブルについて相談できます。
「弁護士に相談したいけど経済的に困窮している」というような方は、法テラスを活用するのがおすすめです。
3.弁護士費用の一時立替え
法テラスでは、法テラスが定める利用条件を満たしている方を対象に、弁護士費用の一時立て替えなどのサービスも提供しています。
ただし、あくまでも一時的な立て替えであるため、利用した場合は毎月5,000円~1万0円を分割で支払い、原則3年以内に返済する必要があります。
参考までに、以下は依頼内容ごとにかかる弁護士費用の一例です。
| 代理援助 | 実費 | 着手金 |
|---|---|---|
| 500万円請求の訴訟 | 3万5,000円 | 22万円 |
| 金銭的請求のない離婚訴訟 | 3万5,000円 | 23万1,000円 |
| 債権者10社の自己破産申立 | 2万3,000円 | 13万2,000円 |
【参考元】民事法律扶助業務|法テラス
依頼内容によっては弁護士費用が高額になることもあり、依頼したいと思ってもなかなか難しいこともあります。
もし経済的事情で弁護士に依頼するのが難しいなら、法テラスの費用立替え制度を利用するのがおすすめです。
ただし、法テラスと契約している弁護士への依頼でしか費用立替えを利用することはできません。
【関連記事】法テラスの依頼費用が丸わかり!事件ごとの費用相場や立替金の決定タイミングなども
法テラスで無料相談できる内容
| 相談できること | 相談できないこと | |
|---|---|---|
| 民事事件 | 家事事件 | 刑事事件 |
| 借金問題・債務整理・労働問題・交通事故・インターネットトラブルなど | 離婚問題・遺産相続など | 傷害事件・窃盗事件・殺人事件など |
法テラスでは、借金問題や交通事故といった民事事件から、養育費請求や生前贈与といった家事事件まで幅広く相談を受け付けています。
ただし、刑事事件に関する相談はできません。
刑事事件に関する相談については、お住まいの地域の弁護士会や個別の法律事務所などにご相談ください。
法テラスの無料相談や費用立替えの利用条件
法律問題で悩む方にとって法テラスは助かる存在ですが、法テラスの無料法律相談や弁護士費用の一時立替えなどを利用するためには所定の条件をクリアする必要があります。
まず、無料法律相談を利用するためには以下の2つの利用条件を満たす必要があります。
- 資力基準が一定の金額以下であること
- 報復や宣伝が目的ではないこと
なお、弁護士費用の一時立替えを利用するためには、さらに「勝訴の見込みがないとはいえないこと」という条件も満たしている必要があります。
ここでは、それぞれの利用条件について解説します。
1.資力基準が一定の金額以下であること
| 世帯人数 | 収入要件 | 資産要件 | |
|---|---|---|---|
| 月収額 | 家賃・住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額 | ||
| 単身者 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) |
4万1,000円 | 180万円以下 |
| 2人家族 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) |
5万3,000円 | 250万円以下 |
| 3人家族 | 27万2,000円以下 (29万9,2000円以下) |
6万6,000円 | 270万円以下 |
| 4人家族 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) |
7万1,000円 | 300万円以下 |
東京・大阪に住んでいる場合は()内の基準が適用になります。
【参考元】民事法律扶助業務|法テラス
上記のとおり、資力基準は「収入要件」と「資産要件」に分かれます。
収入要件の「月収額」とは、申し込んだ本人と配偶者の手取り月収額の合計です。
たとえば、夫と妻の2人家族で夫婦共働きの場合は世帯の手取り月収額が25万1,000円以下、家賃の支払いや住宅ローンの返済をしている場合は30万4,000円以下であればクリアとなります。
また、資産要件にある金額は、申し込んだ本人と配偶者が所有している資産額の合計のことで、自宅を除く不動産や有価証券などが含まれます。
法テラスの無料法律相談などを利用する場合は、収入と資産の両方の条件をクリアする必要があります。
2.報復や宣伝が目的ではないこと
無料法律相談や弁護士費用の一時立替えなどの「民事法律扶助業務」は、経済的余裕がない方でもスムーズにトラブル解決できるように支援するのが主な目的です。
たとえば「報復的感情や売名行為のために訴訟を起こしたい」というようなケースについては、本来の制度が目指している支援の形とは離れてしまうため利用が認められません。
あくまでも経済的に厳しい環境にある方が、法的トラブルの解決を諦めずに済むようにサポートするのが目的であるため、報復や宣伝を目的としたものではないことも条件のひとつです。
3.勝訴の見込みがないとはいえないこと
弁護士費用の立て替え制度を利用する場合は、勝訴の見込みがあるかどうかも条件となります。
たとえば、和解や調停によって解決できるトラブルや、免責見込みのある自己破産などは勝訴の見込みがあるものとして含まれます。
ただし、具体的な判断は法テラス側に委ねられ、当事者は状況に応じて必要書類などを準備する必要があります。
証拠などを総合的に考慮したうえで「勝訴の見込みがない」と判断されてしまった場合は、制度を利用することはできません。
【関連記事】法テラスの利用条件とは?3つの主なサービスごとに何を満たす必要があるのか解説
法テラスで無料相談や費用立替えを利用する際の流れ
法テラスで無料相談や費用立替えを利用する場合、基本的には以下のような流れで手続きが進行します。
- 必要書類を準備する
- 法テラスに問い合わせる
- 利用条件を満たしているかどうか確認される
- 審査結果が通知される
ここでは、それぞれの手続きについて解説します。
1.必要書類を準備する
まずは、法テラスを利用するために必要な書類を準備しましょう。
- 現在の資力を証明する書類
- 資力申告書(生活保護受給者は不要)
- 世帯全員分の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)
- 相談内容に関する書類 など
現在の資力を証明する書類とは、直近2ヵ月の給与の支払明細書・直近の課税証明書・直近1年分の確定申告書の写しなどが該当します。
相談内容に関する書類とは、問題の経緯や関係者情報をまとめたメモや、相手方とのやり取りがわかる契約書などが該当します。
ただし、状況によっても必要になる書類は異なるため、詳しくは法テラスに連絡する際に直接確認しておくことをおすすめします。
2.法テラスに問い合わせる
| 法テラスのサポートダイヤル (平日9時00分~21時00分、土曜9時00分~17時00分) |
0570-078374 |
|---|---|
| メールでの問い合わせ | 詳しくはこちら |
| 法テラスの事務所窓口 | 詳しくはこちら |
必要書類を準備できたら、法テラスに問い合わせましょう。
メールなどでも問い合わせはできるものの返信に時間がかかる場合があるため、基本的には電話で連絡することをおすすめします。
対面で相談を受けたい場合は、最寄りの法テラスの事務所を探して予約をとりましょう。
3.利用条件を満たしているかどうか確認される
問い合わせると、名前・電話番号・生年月日などの個人情報や、無料法律相談の要件に該当するかどうかなどが確認されます。
確認作業が終了次第、都合の良い時間帯を伝えて法律相談を予約します。
弁護士との法律相談でアドバイスを受けたのち、問題解決に向けて具体的なサポートを受けたい場合は弁護士費用の立替え制度なども検討することになります。
弁護士費用の立替え制度を利用する場合、「審査に必要な書類について」に記載されている書類を準備・提出する必要があります。
4.審査結果が通知される
書類を提出すれば2週間ほどで審査結果が出て、書面にて通知されます。
書面には返済方法や立替額などが記載されており、内容に問題がなければ契約を交わして弁護士のサポートを受けることになります。
法テラスで無料相談や費用立替えを利用する際の3つの注意点
法テラスを利用すれば多くのメリットが受けられるものの、いくつか注意すべき点もあります。
ここでは、法テラスで無料相談や費用立替えを利用する際の3つの注意点を解説します。
1.弁護士は自由に選択できない
法テラスで無料法律相談などを利用する際、原則として自分で弁護士を選ぶことはできません。
したがって「離婚問題が得意な弁護士に相談したい」といったニーズに応えてもらえず、場合によってはミスマッチが起こったりするおそれがあります。
相談した際には弁護士側の応対もよく確認し、もし「相性が合わない」などと感じた場合は自分で弁護士を探すことも検討しましょう。
2.無料相談は一つの問題につき30分×3回まで
法テラスの無料法律相談では、「ひとつの問題に対して30分×3回まで」という利用制限があります。
たとえば、遺産相続の相談であれば、家庭環境や資産状況が複雑で説明に時間がかかったりして、場合によっては無料で相談できる時間内には収まらないことも考えられます。
したがって、できるだけ法律相談がスムーズに進むよう、事前にしっかり準備しておくことが大切です。
質問事項が複数ある場合は優先順位を付けておいたり、家系図や財産目録などの相談内容に関する資料を整理しておいたりなど、なるべく簡潔かつわかりやすく話ができるように工夫しましょう。
3.弁護士費用の立替え後は返済が必要
法テラスの弁護士費用の立替え制度は、あくまでも一時的な費用の工面であり、弁護士費用そのものが無料になるわけではありません。
法テラスに立て替えてもらった弁護士費用は、毎月5,000円~1万円分割で返済していく必要があり、問題解決後3年以内には完済する必要があります。
したがって「まったくお金が払えず、完済の見込みがない」というような経済状況の方には不向きといえます。
法テラスで無料相談や費用立替えが利用できない場合の3つの対処法
法テラスの利用条件を満たしておらず、無料相談や費用立替えが利用できない場合は、以下のような対応を検討しましょう。
1.相談料や着手金が無料の法律事務所を選ぶ
法テラスが利用できない場合は、相談料や着手金を無料にしている法律事務所を探すのが有効です。
現在では初回の相談料を無料にしている法律事務所が増えており、以前に比べて気軽に相談しやすくなっています。
また、交渉・訴訟・書類作成などの具体的なサポートの依頼まで考えている場合は、できるだけ近場で依頼できる弁護士を探すのがおすすめです。
弁護士費用の中には「実費」があり、弁護士の交通費・移動費などが含まれています。
移動にかかる時間の節約という面だけでなく、金銭的負担を減らす意味でも、なるべく近くに法律事務所を構えている弁護士を選ぶのがおすすめです。
2.分割払い・後払い可能な法律事務所を選ぶ
弁護士費用を一括で支払えない場合は、分割払いや後払いに対応している法律事務所を探すのも有効です。
もし事務所ホームページに詳しい記載がない場合は、直接問い合わせて確認しましょう。
なお、分割払いや後払いに応じてくれるかどうかは個別に判断されることも多いため、必ずしも要望どおりになるとは限らないという点には注意してください。
3.ベンナビで弁護士を探す
身近に頼れる弁護士がおらず、自分で一から探す際は当サイト「ベンナビ」がおすすめです。
ベンナビとは弁護士ポータルサイトのことで、ベンナビ離婚・ベンナビ相続・ベンナビ債務整理・ベンナビ債権回収など、分野ごとにサイトを構えています。
たとえば「ベンナビ離婚」では養育費請求や親権トラブルなどの離婚問題が得意な全国の弁護士を、「ベンナビ債務整理」では個人再生や自己破産などの債務整理が得意な全国の弁護士を掲載しています。
各サイトでは、お住まいの地域や相談内容から簡単に弁護士を絞り込み検索でき、弁護士選びが初めての方でもスムーズに対応可能な弁護士をすぐに探せます。
初回相談無料・分割払い可能・後払い可能などの法律事務所も多く掲載しているので、費用面が不安な方も気軽に利用できます。
もちろん法律相談だけの利用も可能ですので、まずは一度ご相談ください。
まとめ
法テラスは「弁護士に頼りたいけどお金がない」といった方にとっては非常に頼れる存在です。
ただし、無料法律相談や弁護士費用の立替えなどを利用するためには条件を満たしている必要があるほか、弁護士を自由に選択できないなどの点は注意が必要です。
また、法テラスに限らず弁護士に相談する際は、事前の準備が非常に大切です。
限られた時間の中で相談したい内容を全て解決できるよう、あらかじめ優先順位を付けておいたり資料を用意しておいたりするのがおすすめです。
法的なトラブルは、自分一人で解決しようと思ってもなかなかうまく処理できません。
もし法テラスを利用しても問題解決が難しい場合や、そもそも法テラスを利用できない場合などは、ベンナビで相談先を探してみましょう。









